6月16日金曜日
午後1時過ぎまで仕事をして、大急ぎで帰宅する。
本日より月曜日まで短期間ながら札幌へ遊びに行く。
特に札幌へ行かなくてはならない理由はないけれど、いつも利用している中華航空の航空券代が手頃だったし、6月の札幌は陽気も良く、新緑も清々しそうに思って、年明け早々に航空券だけは買っておいた。
午後5時の飛行機に乗って、今日はひとまず台北まで飛び、明日の朝の飛行機で台北から札幌へ向かう予定。
このブログでは台北での乗り継ぎ一泊を中心に書いてみます。
[ネコにはかわいそうですが留守番をしてもらいます]
台北までの飛行機は、5時5分の出発予定だけれども、少し遅延するらしい。
今晩は乗り継ぎ一泊だけだから、別に意足必要もないし、気分的には余裕であった。
それに、今回はマイレージを使って台北まではビジネスクラスにアップグレードしてある。
その先、台北から札幌の往復もジャンボの2階席、つまりエコノミーのサービスながら、ビジネスクラスのシートが使えるゆったり旅。
しかし、疑似ビジネスと違って、本物のビジネスクラスなので、バンコク空港での出国審査もプレミアレーンを利用できるので、出国審査でイライラしなくて済んだ。
中華航空のラウンジは今月から9月までの予定で改装工事らしく、代わりにCIPラウンジと言う、有料ラウンジの利用券を配られる。
いつもの中華航空ラウンジと比べて、サービスはどんなレベルだろうかと期待をしていたのだが、有料ラウンジと言うには、ずいぶんとお粗末な内容であった。
具体的には、食べ物と言ったら、チャーハンと焼きそばくらい、サンドウィッチも寂しい限りで、なんと食パンとトースターが置いてある。
時刻からして、ラウンジならアフターヌーンティーのサービスをしてても良さそうだったけれど、それらしいものは用意されていなかった。
アルコール類も、あるにはあるといった程度、ビールはタイ国産のシンハとチャーンのみ、ウイスキーはジョニーウォーカーの赤ラベル。
中華航空のラウンジの方が、内容的に上を行っていると感じた。
ラウンジを持っていない航空会社から流れてきた利用者が多いからだろうか、結構混んではいた。
[出国審査場のプレミアレーン券とCIPラウンジ券]
そんな不満を持ちながらも、カンパリソーダを飲み、チャーハンと焼きそばを食べる。
今回は、ビジネスクラスだから、機内食も美味しいものがいいただけるだろうと期待して、珍しく腹八分目にとどめておく。
搭乗開始のアナウンスがあって、ゲートへ向かう。
しかし、ゲートについてもまだ搭乗開始されていないのか、人があふれている。
私も待合室の奥に開いているシートを何とか見つけて、座ってしばらく待つ。
たぶん、中華航空のラウンジだったら、ちゃんと連絡が取れてて、実際に搭乗開始されてから呼び出しが来るものだっただろう。
5時半になって搭乗開始。
ビジネスクラスでもエアバスなので、荷物は頭上の棚の上に納めなくてはならない。
これが不便に感じる。
ジャンボの2階席なら、座席の横に蓋つきの大きな荷物入れがあるので、とても便利である。
乗り込んですぐに、ウェルカムドリンクを持ってきてくれた。
ビールを所望したけれど、アルコール類は離陸までお預けとのこと。
うーん、以前はウエルカムドリンクにシャンパンをいただいてたように思うけど、ルールが変わったのか、それともコストセーブなのだろうか、ひとまずオレンジジュースをいただく。
離陸したのは、それからさらに1時間待たされて6時半になってしまった。
[オレンジジュースでもナッツが付くことを発見]
[太陽が西の空に沈もうとしたとき、ようやく飛び立ちました 遅延は一時間半ほどに]
台北までは4時間ほどのフライト。
どんなサービスかと期待していたけれど、4時間であってもバンコクから台北は短距離区間にでも位置づけられているのか、洗面道具などは配られなかった。
食事も、ワインリスト付のメニューこそ配られるが、出来合いの食事と言うか、料理を一人前ずつ取り分け、よそってくれるようなサービスはなかった。
[以前はエコノミーでもメニューを配っていたが、何時頃からなくなったんだろう]
注文した料理は、洋風の鶏肉料理。
鶏の胸肉のソテー、温野菜、マッシュポテトなど、あたたかい料理は一つの皿にまとめて盛り付けられ、冷菜の小鉢とガーリックブレッドが付いてきた。
ワインも注文したけれど、ワインより先にビールを持ってきてくれた。
さっき、乗り込んだ時に「ビールを所望した」ことを覚えていてくれたようだ。
ビールは台湾ビールの缶。
ワインもすっきりして美味しかった。
[ガーリックブレッドが苦手である ガーリックをこそげ落として食べる]
味付けはおとなしく、特別どうと言うことはなかったが、鶏皮も柔らかく、なかなか切れなくて苦労することもなかった。
ボリューム的にはちょうどよかった。
最後にデザートには果物とハーゲンダッツアイスクリームが配られた。
[数年前までよく利用していたキャセイ航空ではエコノミーでもハーゲンダッツだった気がする]
食後にはウイスキーをいただいた。
銘柄は台湾が誇るカバラン。
機内免税品販売でこの銘柄を以前買ったものの栓を開けずにまだアパートの棚に置いたままにしてある。
ウイスキーの品評会で入賞したとかいうウイスキーだそうで、何か機会があれば栓を抜こうと思っていたけれどいまだに機会を得ていない。
そんなカバランを機内でごちそうになることになった。
スコッチのーように少しスモーキーな感じがあるが、あと口にはフルーティーな感じもある。
品評会で入賞する味とは、こんな感じなのか、私にはその深みまではなかなか理解できない。
しっかりと2杯目もいただいてしまった。
機内のエンターテインメントでは、これと言って見たい映画もなかったので、音楽を聴く。
音楽と言っても歌謡曲で、「東洋金典」と紹介されているプログラムのなかに、キャンディーズが含まれていることを喜んで、イヤホンジャックを差し込んで聞き入る。南沙織、桜田淳子、山口百恵と続いてキャンディーズの「年下の男の子」を聞くことができた。
約2時間ほどのプログラムの中のたった一曲。
1970年代から最近までのヒット曲を集めたプログラムだったけれど、知っている歌謡曲は1980年代までで、1990年になると歌手の名前さえ分からなくなってしまった。
それでも、もう一回キャンディーズを聞きたいがために、プログラムを最後まで聞き、また初めに戻らせて2周目を聴いた。
来年でキャンディーズが解散して40年になる。
[こんなところでキャンディーズに出会えるととてもうれしい]
台北に到着したのは、出発が遅れたこともあり、夜11時を回っていた。
今夜は北投温泉で夜明かししよう、できれば月光荘と言う温泉旅館に泊まってみようと考えていたが、滑走路からターミナルへ向かう機窓から外を見ると土砂降り。
もう夜も遅いし、台北市内まで行けても、北投温泉までの公共交通機関が終わっているかもしれない。
雨が降る深夜の台北の街を徘徊するのも情けない。
そのくらいなら空港内で仮眠をとった方が無難かと思えた。
飛行機の扉が開き、ターミナルへ入ったところで、時刻は11時半。
空港内のWiFiに接続して、台北市内MRTの圓山駅から北投へ行く最終電車を調べたら、"23:42"となっていた。
あと1時間少々。
行きつけるかもしれない。
過去にも早朝のリムジンバスで台北市内まで30分少々で行った経験がある。
大急ぎで入国審査を抜け、バス乗り場へ。
ここまで5分とかかっていない。
台北市内行きのリムジンバス乗り場には長い行列ができている。
来たバスは満席と言うことで、大量の積み残しを置いて出発してしまった。
私は長い行列を見ただけで、こりゃ乗り切れないだろうと諦めて、他のルートのバスを探した。
23:45発の大有バスの台北行きがバス停に止まっている。
このバスが北投へ行くMRTの駅まで行くかわからないが、ひとまず市内へ向かえば道が開けるかもしれないと、バスに乗り込もうとしたら、「先に切符売り場で切符を買ってくるように」と言われる。
急いで切符売場へ行って「台北まで1枚」と言ったのだが、「台北のどこへ行くんだ?」と聞かれて困ってしまう。
そこで事情を話したら、次の23:50のバスで行けばよいと教えてもらう。
23:50のバスはいつもの南崁の街を抜けるローカルバスであった。
空港からすぐ高速道路に入るリムジンバスと違って、言ってみれば各駅停車である。
金曜日の夜、雨も降っているし、これで間に合うかは非常に心もとなくなってきた。
深夜と言うことで南崁の街に渋滞はなかったけれど、何か所もの赤信号の度に、秒針が無情に進んでいってしまう。
南崁の街を抜けて高速道路に入る。
ここまですでに30分近くかかっている。
高速道路も順調。
頭の中で「走れ、走れ、コータロー」とメロディーが流れてくる。
うん、あれは名曲だった。
23:35、高速道路を降りて台北の市街地に入る。
間に合うかもしれない。
雨は小降りになっている。
信号待ち、左折、停留所など、ハラハラしたがMRT圓山駅近くでバスを降りる。
23:40。
小雨降る中、駅まで走る。
横断歩道の歩行者用信号が赤いままだったけれど、信号無視して走ったおかげで最終電車に飛び乗ることができた。
金曜夜の最終電車、日本なら酔っ払いで満員なのだが、台北の最終電車に酔っ払いの姿は見られなかった。
車内も空いている。
硬いプラスチックの椅子に腰かけて一息つく。
[終電の車内風景、日本とはだいぶ違うようだ]
北投駅で降りて、月光荘へ目指す。
宿はすぐに見つかった。
商店街の中にあり、狭い入り口など注意しなければ気が付かないだろう。
事実、前回北投温泉に来た時も、ここに温泉宿があるなど気が付かず素通りしていた。
[上の看板をよく見なければ、ここが温泉旅館とは誰も気が付かないだろう]
月光荘は古い温泉旅社で、たぶん現存する北投の温泉宿としては最古ではないかと思われる。
ネットで北投の安宿を探していたら見つけたもので、調べてみるとなかなか興味深い旅館であった。
安宿ではあるが、源泉、しかも北投の青湯を引いている。
ネットの情報は古いものであったが、それによるとオーナーは日本の女学校を出て、教員をしていた人だそうで、何十年か前にこの旅館のオーナーになったと書かれていた。
もし、ご存命ならお会いしたいものだが、時刻は深夜1時を回っている。
狭い入り口から、奥へ入っていくと、椅子で宿のおばさんが仮眠をしていた。
恐縮ながら、明日の朝、4時半まで3時間ほど休憩をさせてほしいと伝える。
空室はあるとのことで、3時間の休憩なら450元とのこと。
もし、延長するなら時間当たり100元とも言う。
これで温泉に入っても良いというのだから、お得である。
案内された部屋は、共同の温泉浴室のすぐ隣。
部屋は「旅社」のイメージそのものの部屋ながら、エアコンもあるし、WiFiもある。
歯ブラシ、石鹸も用意されてて、これで温泉入り放題だから、うれしい。
[旅社らしく雑然としているが、まずまずきれいな部屋だ]
[安宿でもそろうものはそろっている]
共同の浴室も狭く、個室になっている。
浴槽は相当の年代物で、手足伸ばして入れるほどの大きさはない。
また、入浴ごとに湯を落とすことになっているのか、浴槽に湯は張られていなかった。
浴槽の栓は普通の栓とはまるで異なり、塩ビパイプであった。
大きくはない浴槽ではあったが、それでも温泉の湯を貯めるのには10分以上かかった。
[浴槽はかなりくたびれているが、様式バスタブなんかより、ずっと情緒があっていい]
せっかく貯まった源泉100パーセントの温泉ではあるが、北投の湯は成分が強いだけではなく、温度も熱く。
埋め湯をしなければ、湯の温度が下がるまであと一時間は待たなくてはならないだろう。
もったいないけど、水道水を流し込んで埋め湯をする。
[水面にニョッキリと飛び出したパイプが風呂の栓]
ではでは、入浴。
うーん、きつい。
埋め湯をして適温にしたはずだけれどもまだまだ熱い。
さらに泉質が過激なので肌を刺してくる感じがある。
皮膚病に効きそうだが、敏感肌ならアレルギー反応を起こすだろう。
お湯で顔を洗い、少し目に入っただけで、シャンプーの原液を垂らしたくらい沁みる。
口に入ると苦みがある。
身体を洗おうとタオルに石鹸をこすりつけてもちっとも泡立たない。
シャンプーなどハナから諦めた。
こんなちっぽけな安旅館で、こんな凄い温泉があるということに感動してしまう。
熱くて、チリチリと棘が刺さるみたいで痛くて、初心者の私には長湯はできなかった。
ほとんどカラスの行水みたいに部屋へ逃げ帰る。
[どんなに石鹸をこすりつけても泡は立たない]
目覚ましを4時過ぎにセットし、部屋の明かりを消して、ベッドにもぐりこむ。
まだ2時間近くは眠れそうだ。
しかし、チクチク、チクチクと顔の皮膚が痛痒い。
温泉成分を流さずに出てきたので、成分が肌に浸み込み、暴れているようだ。
チクチク、チリチリ、なんだかなかなか寝付けない。
顔だけでも水道水で洗っておくべきだったかもしれない。
それでも、寝入っていたのだろう。
携帯電話の目覚ましコールで目が覚めた。
さっさと支度を整えて、追加料金の100元がかからないよう退室の準備をする。
宿のおばさんはまだ寝込んでいた。
宿を出たのが午前4時半。
MRTの始発は6時からだけれど、台北市内へ向かうバスは午前5時前くらいから動き出すらしい。
バスに乗る前に、北投温泉では確認しておきたい場所がある。
北投最古の温泉場、「瀧乃湯」がどうなっているか気になっていた。
前回来たときは改装工事と言うことで長期休業に入っていた。
大正時代の木造建築で、いつ崩壊してもおかしくないくらいボロボロだったので、そのまま取り壊されてはしまいかと心配であった。
[北投温泉最古の瀧之湯]
瀧之湯、ちゃんと再開してました。
まだ個室浴室が再開していないようだけど、建物も幾分きれいになった感じ。
来月また台湾に来る予定にしているので、そのとき瀧之湯にもう一度来てみたいと思う。
これだけちゃんとできていれば、あと何十年かは営業を続けてくれそうだ。
それにそろそろ開業100周年を迎えるのではないだろうか。
[日本にも瀧之湯ファンが多いので、みんな再開を喜んでいることでしょう]
台北市内へ向かう市内バス218番は5時前にやって来た。
こんな早い時間からバスが動いてくれてて助かる。
これで市内へ出て、民権西路あたりから空港へ行くバスを拾う予定。
そとが少しずつ明るくなってくる。
土曜日の早朝だからか、乗り降りする人は年配者が多い。
年寄りは朝が早いからなのだろうか。
[日本なら土曜のこの時間、朝練に向かう中高生が乗り合わせてきそうだが、台北では見かけない]
基隆河を渡り台北市内へ入って、どのあたりで降りたらよいだろうかと思っているうちに土曜の早朝で交通量も少ないものだからバスは中山北路をどんどん南下して、気が付いたら国賓大飯店の前まで来てしまっていた。
おやおや、これは失敗と慌ててバスから降りて、中山北路を北へ戻る。
時刻は5時半。
西洋人の若いグループがふざけあいながら歩道を歩いている。
朝からテンションが高いのか、それとも朝帰りなんだろうか。
しばらく歩いて民権西路にたどり着く。
空港行きのバスが何時に来るのかわからないが、バス停でしばらく待っても空港行き以外のバスもまったくやってこない。
反対方向へ向かうバスは時々来ているから、そのうち来そうだけど、早く来ないものかと気になる。
そろそろ6時になろうとしたとき、来るときと同じ大有バスがやって来た。
(札幌編へ続く)