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ドンホイロートで潮干狩り
6月3日 日曜日

ひょんな話から、会社の日本人スタッフの何人かと潮干狩りに行くことになりました。
潮干狩りの行先はサムットソンクラーム県のドンホイロート。
以前にも何度か来たことがあり、小粒のハマグリがワンサカ採れる干潟がある場所。
タイの人たちにとっては、ハマグリなどシジミ程度の価値しかない安物(今ではシジミも高級かな)で、タイ人もこの干潟に潮干狩りに来るけれど、目的はハマグリなんかではなくマテ貝のようである。
地名ともなっているドンホイロートとはタイ語で「マテ貝の洲」と言う意味である。
が、われわれ日本人らはマテ貝よりハマグリの方が有難味がある。

干潮の時刻をネットで調べると、午前8時過ぎらしい。
そして潮の引き具合も大した事なさそうなので、ひょっとしたらとんだ期待外れを演出してしまうのではないかと言う不安を抱きながら、早朝のバンコクを出発する。

私の小さな車に総勢4人が乗り込んで、西へ向かう。
日曜日と言うこともあって、渋滞もなくスムースに走れる。
スタッフたちはタイでの潮干狩り初体験。
たぶん、潮干狩り自体が初体験のスタッフもいるようで、潮干狩りの道具は何も用意されてきていない。
唯一、用意をしてきたというスタッフが持ってきたのは、小さなプラスチック製のバケツのみ、
そうなることは最初から予想していたので、鋤のようなものなどを人数分用意してきた。
大漁を見越して大きなプラケースも車に積んできた。

サムットソンクラーム県に入り、塩田が見えてきたところで、道端で売っている塩を一袋買う。
天然の塩であるが、粗製品で、不純物も多いが、ハマグリを持ち帰るのに、塩水が必要。
海水を入れれば済むところではあるけれど、泥の海なので、海水には泥が溶け込んでいるだろうから、採ったハマグリの砂抜きをさせるには泥の海水では都合が悪そうなので、水道水に天然塩を入れて塩水を作ることにした。
ビニール袋に1キロくらい入って20バーツとバカ安。
こんなものをいくら売っても大した利益にならないだろうし、それに塩などそんなに売れるモノでもないだろう。
家庭で料理をしないのがバンコクでは一般的だから、家に調味料としての「塩」がないなんて普通。
なのに、この沿道では塩を売る露店が延々と連なっている。

8時過ぎ、ドンホイロート到着。
悪い予感が的中して、潮がちっとも引いていない。
岸壁まで海水が満ちている。
桟橋の前にたむろしている貸しボート屋に「潮干狩りができるか」聞いてみたら、いまならできるという。
急げ、潮が満ちてくるぞともいう。
ボートに乗って右手へ行けば、干潟になってて、そこで潮干狩りができるらしい、
ボートはエンジン付きで、貸切り1時間で400バーツとのこと。
もう少し安くならないかと交渉を持ち掛けたが、わざわざ潮干狩りに来たカモは、逃げるわけがないだろうと察しているようで、交渉には乗ってこない。
そのかわり、時間の延長ならOKとのこと。

ドンホイロートの桟橋は潮が引いていない
[ボート屋と借り賃の交渉、それにしても潮が引いてないのが心配]

ポートに乗り込む前にトイレを済ませておく。
駐車場からトイレへ向かう途中で土産物屋があって、ビニール袋いっぱいにハマグリが入ってたった80バーツで売られている。
ボートが400バーツだからボート代を浮かせるためには、相当な量のハマグリを採らなくてはならなさそうだ。
ハマグリ以外にも、干物や佃煮風、焼き海老にフライなど、ビールのツマミになりそうなものがたくさん売られている。
潮干狩りなんかより、このままここでピール飲み大会に変更したくなってくる。

小さな発動機つきボートを借りる
[結局、業者の言い値で借りることに、6~8人くらい乗れそうなので、大勢の方がお得になりそう]

ボートで進むこと10分ほど、メークロン川の河口の沖に広い干潟ができていた。
洲は泥ではあるが、ズブズブと足がもぐってしまうようなことはなく、結構しっかりしている。

いざ、ハマグリを搔き出すぞ
[心配してたけど、潮干狩りはできそうです]

鋤で泥を掻いてみると「ガリガリ」っと早速手応えある。
泥の中から大きめのアサリくらいの大きさのハマグリが出てきた。
もうひと掻きしてみると、またも「ガリガリ」。
掻けば掻くほど、ハマグリは簡単に採れてしまう。
釣りで言ったら「入れ食い」と言うやつだろうか。
簡単に採れ過ぎてしまう。
掘った貝をブラケースの水槽まで運ぶゆとりがないくらいにザクザクと採れてしまう。
そこで掘ったハマグリをそのまま泥の上に放っておいて、あとでまとめて拾うことにしたのだが、ハマグリたちはちょっと目を離すと、勝手にどんどん泥の中に潜ってしまう。
仕方ないので、10粒ほどごとに腰を上げて、ハマグリたちを水槽へ運ぶ。
しゃがんでガリガリ、起き上がっては水槽までトボトボを何度も繰り返す。

メクロン河口の沖には広い干潟が現れていた
[干潟は結構広くて、遠くのほうまで潮が引いている]

本職の漁師さんたちも貝を拾っている。
ただしハマグリではなく、ちいさな赤貝。
この赤貝を養殖して大きく育てて売るのだそうだ、裸足の足で泥の上を歩いていると赤貝のいる場所が解るのだそうで、何気なく歩いていたかと思うと立ち止まっては、赤貝を拾い上げている。
赤貝は養殖するものとは知らなかった。
それも完全養殖ではないとは驚いた。
タイの人たちは酒のつまみによく赤貝を食べているけど、出荷までにはずいぶんと手間がかかるようだ。

ちいさなカブトガニ(抜け殻?)
[ちいさなカブトガニを拾った。脱皮した後の抜け殻だったみたいだ]

一時間ほどで、プラケースの水槽はハマグリでずっしりと重たくなった。
ボート代など投資回収できているかわからないけど、食べきれないほど持ち帰っても仕方ないので、そろそろ切り上げることにする。
手が少し筋肉痛、腰も痛むし、日焼けで襟足がチリチリ。
なかなか疲れたけど、ずっしりとした収穫に満足度も高い。

撤収
[撤収、大漁のハマグリ抱えて、いざボートへ]

ハマグリ大漁
[プラケース横の白い物体が来るときに買った天然塩]

プラケース
[砂抜きには金気(カナケ)が良いようなことが最近読んだ向田邦子の小説の中に書かれていた]

帰りのドライブは私以外全員爆睡。
ひとり無言でハンドルを握り続けて、昼前に我がアパートへ到着。
早速屋上に上って、昼食の準備。
メニューはハマグリを使ったボンゴレと酒蒸し。
部屋から調理器具や調味料、食器を持ってきて、調理を開始。

ボンゴレの下ごしらえ
[ニンニクを叩き潰し、玉ねぎ刻み、下ごしらえが進む]

パスタを茹で、ハマグリを料理酒で蒸し、玉ねぎと刻み、ニンニクをすりつぶし、、、
パスタはいい感じに茹で上がったものの、ハマグリと和えるのに手間取ってしまう。
ハマグリからエキスがたっぷりと染み出したスープは美味しそうなのだが、パスタがスープを吸ってしまい、ちょっと茹で過ぎ加減になってしまった。

ハマグリのボンゴレ完成
[ちょっとパスタが柔らかくなりすぎてしまった]

それでも、唐辛子とオレガノをまぶして、味の方はなかなかのもの。
それに、「これでもか!」というほどハマグリたっぷり、イタリアン・レストランで食べたら、きっと一皿でボート代くらいになりそうだ。
ビールもグビグビと飲めてしまう。
ビールはチャーンビール。

乾杯
[ボンゴレがちょっと濃い目の味付けなので、ビールが旨い]

山盛りボンゴレとビールで満腹気味だけれど、酒蒸しも食べる。
酒蒸しにはヤハリ日本酒が合うので、冷蔵庫に入れていたいただき物の「仁勇」という千葉の吟醸生酒の栓を抜く。
少し白濁したお酒は、かなりフルーティーな味わい。
最近の日本酒はこうしたフルーティーな味が人気のようだ。

酒蒸し
[大鍋いっぱいの酒蒸し グリーンのボトルが仁勇]

そういえば、先日フェーデルブロウというビールを1ケース買った。
ずいぶん以前に飲んだことがあるチョット高級なビールで、「ドイツのシングルモルト」と書かれていた。
いつものチャーンよりちょっと高いのだが、このビールもなんだかフルーティーであった。
ドイツのビールというより、デンマークのビールのような感じがした。

話が日本酒からビールに逸れたが、とにかく満腹で、さらに昼間の酒は効くというか、ちょっと酩酊気味で本日はお開きとなる。
ハマグリは盛大に料理して、むさぼり食べ、テーブルの上には縄文人の貝塚もびっくりするほどの貝殻の山ができた。
たが、ヤハリ食べきれるものではなく、残ったハマグリはビニール袋に詰めて各自土産として持ち帰ることとなった。
ハマグリは冷凍保存ができるそうだけど、今日はしこたま食べてしまったので、しばらくはハマグリを食べたいという気にならないだろう。

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