10日ほど前くらいから、右側の腰に痛みを感じ始めた。
ギックリ腰になんかなった経験がないのではっきりわからないけど、ずいぶんと痛いらしいし、とうとう自分もギックリ腰になったかと思った。
しかし、別に重たいものを持ったということもないし、原因が思い当たらない。
痛いのは右側の腰で、骨盤の上部、特定の一部分だけ。
座っていたり、立っている分には痛くないのだけれど、歩くと痛い。
特に階段がとても痛い。
ひょっとして一か月前にインペリアルホテルのプールサイドの階段から落ちた時の後遺症かとも思ったりした。
階段から落ちた後で、ピサヌウェート病院へ行ったけれど、あんまりしっかり診てもらえなかったので、不満があった。
そこで今回は病院を変えてみることにした。
変えた病院はピサヌローク市内のバンコク病院。
街の東側にあり、下宿やオフィスからは遠いのだけれど、タイ各地にある私立病院の大手なので、ピサヌウェート病院より良いのではないかと期待した。
6月8日、午後に自転車でバンコク病院へ行ってみる。
自転車を病院の建物の横へ止めるように指示され、裏口のようなところから病院へ入る。
その裏口のようなところから入ってすぐに小さな受付があり、そこで登録をするが、スタッフはあんまり愛想がよくない。
パスポートや保険のカードなどのコピーを取られるが、その間こちらはカウンターの前に立ったまま。
登録が終わったのか、血圧などの検診へ案内されたのだけれども、案内するスタッフはスタスタと先に歩いていってしまい、後ろも振り向こうとしない。
こちらは腰が痛くて、歩くのも大変。
できれば車いすを用意してほしいくらいなのに、不親切である。
健診場所で待っている間に周りを見回すと、患者たちの服装はピサヌウェート病院の患者たちよりも劣るように感じた。
この病院は高級病院と言うか、治療費が高いことでも有名な病院なので、サンダル履きで古着のような服を着た患者は似つかわしくないのだけれど、順番が来るまで看護婦さんと患者さんが話しているのに耳をそばだてていたら、とうやら交通事故で自動車保険での治療らしい。
血圧、体重と測定されて、医師と面会。
診察に当たってくれたお医者さんは、病院スタッフと違い、比較的親切で、短時間ではあるけれど、ちょこちょこと触診し、問診した。
タイ語なので説明してもらってもはっきりわからなかったけれど、骨の問題でも、神経の問題でもなくて、肉の問題だそうだ。
ついでに最近自転車を漕ぐと左の膝に痛みをおぼえるので、そのことも申告したら、それもやっぱり肉の問題だろうとのこと。
肉がどうしたのかはわからないが、薬を飲んで明日からリハビリに通うようにとのこと。
このお医者さんは別として、どうも印象が良くないので、この病院へ来たことを後悔し始めていたのだけれど、決定的にヒドイと感じたのは会計で出会った。
会計で呼び出されるのに30分以上も待たされたし、1,570バーツの請求を受けた。
「治療費は保険でカバーされるはずだ」
と主張したらば、
「20%の自己負担だから1,570バーツになる」
と言い返された。
いままで、一度も自己負担など求められたことがない。
確かに、外来で保険がカバーするのは8,000バーツまでだから、それをオーバーしたので自己負担ならわからないでもない。
しかし、ほんの数分の診察で、レントゲンを撮ったり、血液検査をしたわけでもないのに8,000バーツを超えるなんて考えられない。
「20%の自己負担なんて今まで請求受けたことがないから、保険会社に確認してよ」
と文句を付けた。
ここからが病院に対する不信感につながるのだけれど、
「じゃ、払わなくても構わない」
と言われた。
一体どうなっているのだろう。
もし、1,570バーツを払ったらどうなっていたのだろう。
「じゃ、ここにサインして」
と言われて、書類を見てみると白紙の請求書が含まれている。
不本意ながらサインをして、隣りの窓口で薬を受け取る。
もらった薬は、前回階段から落ちた時とほぼおんなじ薬で、痛み止めと筋肉弛緩剤を一週間分。
そして、明日から一週間毎日リハビリに通うようにと言われたが、印字された請求書のコピーは渡されなかった。
[白紙の請求書へサインだけ]
さて、いったい病院は保険会社にいくら請求するつもりなのだろうか。
私に自己負担20%で1,570バーツだと言ったのだから、もともとの費用は7,850バーツということになる。
ちょっと、高すぎ。
うーむ、この金額って、保険がカバーする金額ギリギリまで請求ってことではないだろうか?
でも、タイを代表する系列の病院で、そこまでアコギなことはするわけないだろう、きっと一週間分のリハビリの費用も含めてじゃないだろうか。
それにしても、どうして白紙の請求書にサインをさせるのだろう。
なんだか、モヤモヤばかりでスッキリしないが、翌朝からリハビリに通い始める。
このリハビリを受けるにあたって、血圧を測ると、下が80で上が120と理想的な数値。
もともと高血圧で前日に測定したときが95/155だったので、劇的に良くなっている。
処方された筋肉弛緩剤とかが血圧を下げているのだろうか?
血圧計はオムロン製であった。
私の血圧計もオムロンだけれど、一年ほど前から液晶表示が故障してしまって、使い物にならなくなっている。
病院ならオムロンのサービススタッフも出入りしているだろうから、修理窓口もあるのだろうと思って、リハビリ部門のカウンタースタッフに、「私もオムロンの血圧計を使っているが、故障して修理したいので、オムロンのコンタクト先を教えてほしい」と申し出た。
「故障したら、捨てて新しいの買いなさい」
とスタッフは言い放ち、他の女性スタッフとケラケラと笑い出した。
非常に不愉快。
リハビリといっても何か運動させられる分けてはなく、こちらはベッドに寝たまま。
そして患部にレーザー光線を当てて温めること15分ほど、これを腰と膝のニか所に対して行い、その後氷枕(保冷剤)を患部に当てて冷やすこと15分といった簡単なもの。
リハビリを担当するスタッフの対応は悪くない。
レーザーの照射も丁寧で、ときどき熱くないかと聞いてくる。
冷却の方は氷枕を当てられたまま、だれも付き添いはおらず、何かあったら呼び鈴を鳴らせと言われる。
リハビリに要する時間は、待ち時間を含めても1時間ほど済んだ。
リハビリ後、そのまま帰ろうとしたら、呼び止められて会計へ回れという。
リハビリ代は2,615バーツで、保険でカバーされるからと、サインだけを求められる。
レーザー照射と氷枕での冷却にしては、ずいぶんと高い気がしたが、前日に請求書のコピーを確認できずにサインした分には、リハビリ代は含まれていなかったわけだ。
[うつ伏せに寝て、腰にレーザー照射]
投薬とリハビリはさっそく効果が出てきて、もうほとんど腰の痛みを感じなくなってきた。
自転車でも膝は痛くならない。
おんなじ薬を飲んでいても、高額治療費を払うと、治りが早いのだろうか。
こうしてリハビリを毎日続けたのだけれど、リハビリ部門の血圧計で血圧を測ると、毎度とても良い数値(78/120)が表示される。
そこで「処方された薬とか飲むと血圧が下がるものか?」と質問してみた。
すると、「関係ないはず」とのこと。
[本当にこの数値ならうれしいのだけれど]
「もともと高血圧なのに、数値が良すぎるんだけどね」と言ったところ、
「じゃ、別の血圧計で計ってみましょう」ということになって、他の部門へ行って、再測定してみた。
下の数値91、上の数値144。
ほとんどいつもとおんなじ数値。
さらにまた別の部門へ回って血圧を測定するが、88/140となる。
「血圧計によって数値が違うものだから」と説明を受けた。
なお、「でも、心拍数はどれもほとんど一緒だから大丈夫」とも言われた。
こういうのでも、スタッフは悪気はないのだろうけど、信用を失うもとになると思うな。
[別部門にあった血圧計]
リハビリ中、こちらはベッドに横たわっているだけで、何もすることがないからスマホでメールをチェックしたりするのだけれど、病院内には"OPD GUEST"というWiFiが飛んでいるらしい。
これは外来者用のWiFiだろうと思いカウンタースタッフのWiFiのログインパスワードをもらおうとしたのだけれど、スタッフが言うには「これはスタッフ用のWiFiで外来患者用のWiFiはない」と言う。
でも、飛んでいる電波は"OPD GUEST"以外に"HOSPITAL STAFF"というのもある。
このスタッフは勘違いしているなと思って、設定画面を見せて説明したが、
「私も"OPD GUEST"を使ってて、これにはパスワードが必要だけど、部外者には秘密なの」と話し方は丁寧だったけど、どうも要領を得ない。
たぶん、このスタッフさんが知らないだけなのだろうと思って、病院入口の受付スタッフに確認したら、ログインパスワードが書かれた紙きれを渡された。
なお、このパスワード、ログインするたびに入力しなくてはならないのが面倒くさい。
[冷却治療は患部に保冷剤を当てるだけ]
腰も膝もほとんど痛みを感じなくなってきたところで、自宅でできるストレッチ・トレーニングと言うのを指導を受け始める。
全部で5種類ほどなのだけれど、毎日少なくとも朝晩2回、それぞれ10回ずつやるようにと指示される。
5種類を朝晩で各10回ということは、100回である。
これを続けないといけないらしい。
こういうのはあんまり得意ではない。
ついつい忘れがちとなってしまう。
でも、朝リハビリに行くと、「ちゃんとやりましたか」とチェックを受ける。
嘘はつきたくないので、口ごもると「ちゃんとやってくださいね」と叱られる。
リハビリも1週間続けた6月15日。
これで朝の病院通いも終了かと思っていたのだけれど、どうも毎日2,616バーツ(日によって金額が少し前後してる)になるカモと見込まれてしまったらしい。
リハビリを開始する前に医師との面会があった。
今回は女医さん。
「どうですか」
との質問に「おかげさまですっかり良くなりました」
と答えたのだけれど、
「そうですか、それは良かった、じゃまた1週間後に」
と言われる。
私はてっきり、また1週間後に経過をチェックしてくれるだけなのかと思ったのだけれど、病院スタッフからまた1週間分のリハビリ・アポイントカードを渡される。
「あれ、まだリハビリ必要なんですか?」と質問したら、
「大丈夫、保険が効くから」とトンチンカンな答えが返ってきた。
「もう、ほとんど痛くないし、毎日通院は勘弁してほしいな」とお願いしたところ、1日おきに通院してリハビリを続けるということで了承された。
[治療費合計だと、結構な高額医療費ということになりそう]
さて、腰の痛みの原因、よく分からないけど、リハビリ担当から患部周辺のストレッチ・トレーニングをしっかりやって、筋肉を鍛えるように指導されている。
ジョギングしたり、プールで泳いだり、運動に気を付けているつもりだったけれど、この何か月か仕事がなくなって、椅子に座っているだけの時間が1日の大半を占めていたのが故障の原因ではなかったかと思えてきた。
なるべくストレッチ・トレーニングを忘れないようにして、次回お医者さんに会ったらばリハビリからも解放してもらえるようになりたいものだ。