2020年9月
今は9月も下旬の26日になってしまった。
今月は一度もブログを書けていない。
仕事が多い時も当然忙しいけど、仕事がうまく回っていないときは、空回りに巻き込まれて忙しい。
その空回りの中でも、特に中旬にチェンマイ、バンコク、チェンライと飛び回ったのは、体力的にもずいぶんきつかった。
飛び回った理由も、仕事の関係。
もう、去年からタイ北部の支店を見るように言われていたけれど、なんだかんだと理由を付けてピサヌロークに引きこもっていた。
ピサヌロークだって、人員補充がないまま私一人で回しているようなもので、これで他の支店を見るなんてことは、とてもではないができない。
しかし、この3か月で社内での人員整理・削減が進んで、もとどこもスタッフが半分以下になってしまった。
いつまでも逃げ回っていると、最終責任を押し付けられそうなので、なんとか苦境を乗り切るために腰を上げなくてはいけないのかと諦めることにした。
それでも、バンコクの人たちから見たら、チェンマイもチェンライも、飛行機で飛べば1時間ほどで到着できてしまうという感覚で、ましてこれら2都市と地理的に近いピサヌロークなら、どこでもすぐ行けるだろうというイメージらしい。
でも、ピサヌロークからは飛行機だって飛んでないし、鉄道やバスでは移動だけで1日仕事。
車だって、山道を延々と走らなくてはならない。
正直なところ、タイの交通機関はバンコクを中心に放射線状でしか発達していないので、地理的に近くても、実際にはとても遠いのである。
9月11日、午前4時にチェンマイ行きの急行に乗る。
当然まだ真っ暗な時刻。
寝台車で寝ていきたいくらいだけど、ここは経費節減でオンボロの座席車。
しかも、大昔の木造客車。
[昭和30年代がここにはある]
先月も鈍行でチェンマイへ往復してきたけど、チェンマイまではバンコクへ向かうより、山の中を走るので景色が良い。
景色は良いけど、時間はかかる。
チェンマイまで8時間。
途中から、幼稚園の園児たちが乗り込んできて、クンターンという山の中の駅で降りていった。
遠足なんだろう。
[幼稚園の遠足]
チェンマイに到着して、駅前の客引きを無視して、駅前通りに出てソンテオに乗る。
先客2名、タイ人女性。
私と同じ急行で到着した模様。
ソンテオなので相乗りタクシー。
私の目的地はカドスアンケーオ、そこまで40バーツで行くという。
いまやソンテオの料金は最低30バーツからだそうだから、街の東から乗って、西までで40バーツというのは、ほぼ妥当な金額と思う。
しかし、先客の女性二人は、旧市街のお堀端手前で下車した。
下車する際に、ドライバーに60バーツを払ったら「ひとり60バーツだから、ふたりで120バーツ」と言われていた。
私より200メートル手前で乗ってるはずなのに、旧市街の手前で下車して120バーツは高すぎる。
私なら乗らないか、降りるときに抗議するだろう。
西洋人観光客も絶対に120バーツなど払わないと思う。
しかし、2人は、文句ひとつ言わずに、120バーツを払って下車していった。
カドスアンケーオで下車し、レモンツリーでランチにする。
豚ひき肉をイカ詰めてカレー煮にしたチューチープラームックヤッサイ。
これ好物であるが、先月来た時は食べてなかった。
ビールがほしくなるところだけど、午後からはチェンマイの支店での仕事が待っているので自重する。
[レモンツリーでランチ]
支店はニンマンヘイミン通りにあるけれど、この界隈は近年中国人観光客ににぎわっていた。
店の看板はタイ語や英語よりも中国語が目立ち、コンビニのキャンペーンまで中国語になっている始末。
しかし、新型コロナで外国からの観光客が途絶えて、営業していない店が多い。
コンビニは営業継続しているけれど、中国語の幟や張り紙がやたらとむなしく見える。
中国人観光客でにぎわっていたはずのカフェには、タイ人観光客が入って自撮り写真に夢中になっている。
5時過ぎまで支店で打ち合わせなどをしてチェンマイ駅へ戻る。
チェンマイはたった半日の滞在だったけれど、夕方6時のバンコク行き寝台特急に乗りたい。
そして、バンコクで週末を過ごしたいと思っている。
以前は、夜9時くらいまでバンコク行きの夜行列車があったものだが、いまは6時が最終になっている。
6時までに駅に向かうとなると、チェンマイ市内の渋滞が酷いということで、支店で車を出してもらう。
それでも駅に着いたのは出発の5分前。
ギリギリであった。
駅頭で車内で食べるための中華まんじゅうやカノムチープというシュウマイ、そしてトウモロコシを買い込んで、ホームへ急いだ。
[今夜の夕食]
この寝台特急は、数年前に中国から輸入した新型である。
とても長い編成になっているが、乗客はあまり多くないようだ。
後ろの方は、誰も乗っていない車両が続いている。
もともとチェンマイとバンコクを結ぶ夜行列車は、西洋人観光客に人気が高くて、いつも満席だったけれど、外国人が来なくなって、乗客も減ったのだろう。
それに運賃もちょっと高い。
バンコクまで2等で1,041バーツ。
たぶん格安航空会社のキャンペーン料金よりずっと高い。
こんなに利用者が少ないなら、短い編成にすればよいものを、この新型はエアコン用の電源車を付けた固定編成で、車両の切り離しを自由にできないのだろう。
以前の寝台車は、各車両にディーゼル発電機を載せてエアコンの電源も賄っていたので、列車を長くしたり、短くしたりも簡単だった。
私の指定された車両は、少ない利用者をまとめたのか、3割くらいの乗車率はあった。
新しい車両なので、キレイで、スマートな印象を受ける。
しかし、シートはクッションがあまり効いておらず硬い。
それと、背もたれも垂直で、あんまり座り心地は良くないようだ。
窓際には折り畳み式のテーブルがある。
さっそく、テーブルに先ほど買った食材を並べて夕食とする。
[新しいのでまだキレイ]
タイの列車に乗ると、食べ物などが入った籠を持って、車内を行き交う物売りが多いのだけれど、この列車には禁止されているのか、物売りは皆無。
しかも、長距離列車には食堂車が連結されていて、ボーイやウエイトレスが各席を回って料理の注文を受け、席まで届けてくれるサービスがあるが、だれも回ってこない。
回ってきたのは、検札係だけで、小さなペットボトル入りの飲料水も配られた。
食堂車も連結されているようなのだけれど、果たして営業しているのかも疑わしい。
車内清掃をする掃除府は乗り込んでいて、ときどきゴミ集めに来るが、もともとほとんど乗客が乗ってないので、ヒマを持て余しているようだ。
夜8時には寝台係がベッドを作りに来る。
通路を隔てて2段ベッドが並ぶ。
旧型の寝台車は通路に2段ベッドの上へ登るハシゴや荷物棚が並んで、通路が雑然とした印象だったけれど、新型の通路は出っ張っているものが何もなくて、すっきりしている。
そして、ベッドの枕元には読書灯があり、ちゃんと灯りがともる。
まだ故障していない。
そして、AC電源もある。
じゃまなのは、折り畳み式のテーブル。
窓際に折りたたんでもでっぱりはある。
[マットの幅は、ベッドより狭い]
翌朝、ほぼ定刻にバンコクに到着。
眠ったような、よく眠れなかったような、なんだかフワフワした感じが残っている。
バンコクのアパートに着いたら、寝直しをしたい感じだ。
[バンコクに到着]
9月15日、定期健康診断を受ける。
ここ何年か毎年サミティベート病院で健診を受けていたけれど、今年はラマ9病院。
ラマ9病院もバンコクのアパートから比較的近いので便利。
何か月も前から、塩分の摂取を控え、炭水化物も控え、生野菜をバリバリたべるなどの高血圧対策をしてきて、5月ころには血圧もとても良い数字になっていたので、今年の検診ではもう血圧に関してお小言を言われなくて済むだろうと安心していた。
それが、先月くらいから、たぶんストレスによるものか、再び血圧が上昇し始めて、以前と同じレベルにまで戻ってしまった。
健診当日の朝もジョギングをし、シャワーもして、なるべくストレスになるような仕事のことを考えないようにして臨んだのだけれど、血圧計は94/140をデジタル表示した。
しかし、問診時の医師からは別に「血圧を下げる薬を飲むように」とか言われることもなく、「ちょっと男性としては体重が少なすぎますね」と言われただけであった。
身長は185cmで、体重は62kg。
他にコレステロールの数値などもあまりよくないと指摘された。
詳細な結果は2週間後に郵送されてくるそうだ。
[健診を受けたラマ9病院でもらった食事券、100バーツで食べれるものはなかった]
9月16日、昼までバンコクで仕事をして、夕方の飛行機でチェンライへ飛ぶ。
飛行機に乗るのは半年ぶりくらいかもしれない。
チェンライまで飛行機にしたのは、キャンペーンか何かで破格の金額で予約ができたから。
たったの280バーツ。
[飛行機の搭乗率は7割くらい]
チェンライでは時計塔から1キロほど歩いたところにある小さなホテルに泊まることにした。
かわいらしいホテルであったが、部屋の中はなんだか女の子の部屋みたいな飾りつけで、男一人ではなんだか落ち着かない。
[女の子向きの部屋]
夜はチェンライの時計塔の前で待ち合わせて、知人と食事をすることにした。
9年ぶりの再会ということになる。
チェンライの町も、前回来たのはいつのことだろうか?
まだチェンマイに住んでいたころだろうと思われるので、15年以上は過ぎている。
なんだか、そのあいだにずいぶんと装飾が派手な街になったように感じる。
時計塔も、ゴテゴテと飾りが付き、ライトアップされている。
その時計塔の上をツバメが集団飛行をしている。
ライトアップの光で照らされながら夜空を滑空する姿は、サーチライトに映しだされた敵戦闘機集団のようにも見える。
[以前はこんなに派手な時計塔ではなかったと思う]
知人によると、外国人観光客が来なくなって、チェンライの店も大半が閉めてしまったとのことである。
なので、食事ができるところも限られているのだそうだ。
そんな中で、知人はイタリアンの店とか、いくつか営業している店を探しておいてくれたのだけれど、私たちはウィアンインホテルの近くにあるお粥屋に入って、ビールを飲みながら、これまでのことや、今のこと、仕事のことなどのよもやま話を2時間以上もしていた。
チェンライも新型コロナウイルスでとんでもなく不景気になっていることは、知人の話からもよくわかった。
もともと不景気なピサヌロークに籠っていると、世の中の変化から取り残されてしまいそうだ。
翌朝は、チェンライ支店でのお仕事。
実はチェンライ支店へ行くのは恥ずかしながら初めてであった。
支店の近くには昔家族で泊まったことがある韓国人経営のゲストハウスが残っていた。
しかし、ここも利用者が来なくなったということで、ゲストハウスの営業はしていないらしい。
見た感じでは、併設の韓国料理屋は営業を続けているように見える。
[ここのオーナーは健在なのだろうか]
チェンライ支店で仕事は、打ち合わせと現状確認と今後の対策などで、このご時世、ほぼ売上ゼロになってている支店経営をどうやって軌道に乗せるか、負担が大きい。
血圧を押し上げているストレスは、ピサヌロークだけでも大きな原因となっているのに、チェンマイとチェンライまで加わったら、ほんとうに降圧剤を飲まなければ、危険な状態になってしまいそうだ。
特にチェンライは支店開設以来、ほとんど販売実績がない。
財務表すらないので、一つずつ確認して、この一年間の売上が、支店の前に掲示している看板に対するち「看板税」にも満たないことまで判明し、愕然とする。
昼までに仕事を切り上げて、バスターミナルへ向かう。
チェンライからはピサヌロークを経由して、タイ東北部へ向かう長距離バスが昼過ぎから夕方にかけて出発することを知っている。
しかし、バスターミナルへ行ったところ、以前ここからすべてのバスが発着していたけれど、現在は新しいバスターミナルができて県外へ行くバスはそこから発着しているとのこと。
歩いていくのは無理なくらい遠い場所らしい。
新しいバスターミナルまではソンテオが結んでいるそうなんだけれど、利用者が集まらないと出発しないという。
今すぐに行くのなら、60バーツだそうだ。
こちらは、あとはバスに乗るだけだし、バスの予約もしていないので、5分10分を急ぐこともない。
「相客が車で待つよ」と言ったのだが、実際には相客はなかなかやって来なかった。
新しいバスターミナルへ行く人は、どうしているのだろう。
地元の人は、だれかに送ってもらったりするから、乗り合いソンテオなんて利用しないのだろうか?
いいかげん、60バーツでもイイかなと思ったところで、相客が一人でて、運賃は30バーツとなる。
[新しいバスターミナル]
チェンライからピサヌローク方面へのバスを探したらば、ナコンチャイツアーという会社のバスで13:30発とちょうど良いものがあった。
しかし、窓口で切符を買おうとしたら、18:00までないという。
13:30発は運休だという。
他にもソンバットツアー社のバスで同じくらいの時間のバスが掲示されていたけれど、やっぱり運休だという。
でも、こちらは15:30発のバスなら走るというので、そのバスの切符を買う。
出発まで2時間以上。
街はずれのバスターミナルなので、近所を散策するようなところもないし、待合室にもエアコンが入っていない。
とりあえずは、まだ昼食を食べていなかったので、切符売り場の女性に美味しい食堂はないかと聞いて、紹介されたクイテイアオ屋に入る。
特別に美味しいということもないけど、まずいという店ではなかった。
店に入っている他の客たちは、肉を煮込んだようなスープのクイテイアオを食べていたけれど、私はクリアなスープで肉なしをたべた。
[おすすめを受けたクイティアオ]
スーパークラスというのか、普通の一等バスよりも二割くらい運賃の高いバスであったけれど、二人掛けの座席が並ぶ普通のバスであった。
乗車率は三割程度と空席ばかり、なるほど運休するバスが多いのも道理だと思った。
全席指定ということになっていて、私も指定された席に座ったが、こんなに空席ばかりなのに、私の隣には如何にも田舎から出てきた農夫と言った感じの男性が座った。
どうして、こんなことになるのか理解できない。
以前、チェンマイに住んでいた時など、ソンバットツアーのバスはバンコクへの行き帰りによく利用していた。
車内でのサービスが良くて、乗り込むと茶菓子のサービスやドライブインでの食事のサービスがあったものだが、このバスは動き出しても飲料水しか配られない。
これは私にとってあんまり嬉しくないサービスだけど、エアコンだけはガンガンと効かせる。
乗っているお客が少ないから、車内はますます寒い。
なにもサービスをしてくれない女性のサービス係は、厚手のジャンパーを着こんでいる。
[タイのバスはとにかく寒い]
ピサヌロークまで450kmほどと思われるから、6時間半くらいで到着できるんじゃないかと思っていた。
しかも、このバスはタイ東北部、メコン川沿いのナコンパノムまで行く長距離便、ピサヌロークまでノンストップなのかなと思っていたのだけれど、なんと各駅停車。
ちょっとした町のバスターミナルをひとつひとつ立ち寄っていく。
しかし、トイレ休憩はない。
日が暮れて、そろそろ何か食べたいと思っても、ドライブインには立ち寄らない。
車内は寒いし、腹は減るし、みじめな気持ちになってくる。
他の乗客はもう眠り込んでいる。
ウータラディットを過ぎて、あと100kmほどでピサヌロークだと思ったところで、やっとドライブインに立ち寄った。
もうここまで来たらば、休憩などしないで早くピサヌロークへ向かってほしいと思ったくらいだけど、トイレに行けるのと、簡単な夜食を食べられるのはうれしかった。
ドライブインを出発して、しばらくしたらパンとクッキーが入った小箱が配られた。
なんで、今頃配るんだろう。
もっと早く配ってくれれば、ひもじい思いもしなかったのにと思う。
[はやく配ってほしかった]
ピサヌロークに到着したのは夜11時をとっくに過ぎてから。
やり残した仕事を今日中に処理するため、オフィスへ向かう。
ピサヌロークの新しいバスターミナルも町からとても遠いところにある。
バスターミナルからオフィスまではタクシーに乗る。
タクシーの運転手はあまりに客がなくて待ちくたびれたからか、車内で爆睡中だった。
窓を何度か叩いて、ようやく起き出した。
ちなみにピサヌロークでメーター・タクシーに乗るのは今回が初めて。
初乗りが40バーツ、市内までは80バーツほどだったので、以前に利用したことのあるバイクタクシーより安いようだ。
日付が変わる直前にオフィスへ入る。