11月の後半に妻がタイへ1週間ほど来ていた。
ほとんどピサヌロークにいたのだけれど、こちらも休みを取って遊びに行けるような状態ではなく、ほぼ連日オフィスへ連れてきて、スタッフたちへ日本語指導にあたってもらっていた。
初めのうちは、私のスタッフたちへの指導が厳しすぎるだの、もっと褒めてやれだのと妻は私に苦言を呈していたけれど、数日たったころには、何度同じことを教えても、すぐに忘れてしまうという現実にさすがの妻も日頃の私の苦労が少しはわかってくれたようだ。
しかし、妻がスタッフの相手をしてくれていたので、私は日中自分の仕事に専念できて、仕事がはかどった。
夜も比較的早く仕事を切り上げることができた。
そして、夕食はアパートで自炊せず毎晩外食ということになった。。
外で食べれば、当然ビールも飲みたくなるので、平日もこの期間限定と理由を付けて、毎日一本ずつ飲んだ。
[ここの料理は濃いめの味付けながら白粥によく合う]
アパートの環境にも妻は少しカルチャーショックを受けたようだ。
夜中まで犬の鳴き声、オスネコがうちの黒猫に言い寄って廊下で鳴く声が響き、午前3時には隣の鶏たちがコケコッコー。午前5時前からはお寺の拡声スピーカーから音楽が鳴り響いてくるという、とにかく日頃静かなところに住んでいる人間には安眠妨害としか感じられない環境とはどんなものか知ってもらった。
このような安眠妨害もあり、夜明け前に起き出し、いつものジョギングをする代わりにナーン川まで散歩をして、朝日を見てたりもした。
本当は、朝日が昇る前の、空が紫色に染まるあたりがきれいなんだけれど、ナーン川の対岸から昇ってくるオレンジ色の朝日も悪くなかった。
[ナーン川から昇ってくる朝日]
ラーチャブラナ寺のマッサージにも何度か連れて行った。
ここのマッサージおばさんが、妻の膝の痛みなど、1か月もマッサージを続けたら必ず治るという。
こちらはあちこちの病院を回ってきても、さっぱり治療効果が上がらずにいるので、こういうことを言われると藁にもすがる思いなので、これで治るのかとぬか喜びしてしまう。
「タイの人たちも、膝が痛くて人工関節入れたりするけれど、マッサージで私は何人も治してやったんだよ」とも言う。
しかし、何度か通ったけれど、妻の評価によれば、このマッサージおばさん、手抜きマッサージばかりで、街中のマッサージの方が良かったという。
希望は急速にしぼみ始めた。
[ラーチャブラナ寺のマッサージで使われていた軟膏]
ナーン川に浮かぶ筏のクオッティオ屋は気に入ったようだ。
川に浮かんで気持ちもいいし、味も悪くない。
とにかくのんびりした風情が良かったようだ。
他にも空飛ぶ空芯菜の食堂にも何度か食べに行った。
ここの空芯菜は美味しいし、白粥が特に気に入ったようだ。
しゃぶしゃぶシローというローカルな食堂は、しゃぶしゃぶとタイスキがミックスしたような店であった。
タレも完全にタイ風で、タイスキと違うのは、お肉類がしゃぶしゃぶ風にごく薄いスライスになっていることくらい。
野菜も白菜、空芯菜、パクチョイで、ネギの代わりにパクチーヤイ。
ブッフェなので満腹にはなったけれど、また行きたいという店ではなかった。
アパート近くにあるラバーツリーカフェという店では2回昼ご飯を食べた。
カフェだけどコーヒーなどは注文せず、カニ炒飯。
これがパラリと軽いチャーハンで、カニのエキスも絡まって、なかなか美味しい。
屋外だけれど、涼しげな木陰で、気持ちも良い。
私は以前にも来たことがあるけれど、その時は子猫が2匹遊んでいて、ネコカフェかと思っていたが、今回はネコの姿は見かけなかった。
[ここのカニ炒飯は美味しい]
食べに行ったりした中で、一番の正解は、ワットワイから北に行ったところにある飲茶屋。
偶然に飛び込んだ店だったけれど、庶民的でマレーシアあたりの南洋華僑食堂と言った感じの店であった。
店の前には蒸籠が積み上げられている。
潮州系の飲茶だからなのだろうか、ハッカオと呼ばれるエビ蒸餃子はあるけれど、あとはほとんど練り物の団子の上にキノコやカニカマもどきなどを載せたたものばかり。
香港あたりのようにシュウマイや大根餠などはなかったけれど、カノムチープというタイ風の小粒シュウマイは蒸籠とは別に10粒30バーツで皿に盛られていた。
私の好きな雲吞麺もあった。
雲吞麺自体は、オフィスの向かいにあるイムアロイの方がおいしいけれど、ここのもワンタンにエビが入っていて、結構おいしい。
[ローカルな飲茶食堂の雰囲気がノスタルジック]
ピサヌロークからバンコクへ戻るとき、少し遠回りだけどペッチャブーンを回ってドライブした。
ペッチャブーンにはガイヤーンという焼き鳥で有名なウィチアンブリという町がある。
そこに立ち寄って、名物のガイヤーンを食べたのだけれど、地鶏なのかもしれないけれど、まだひな鳥みたいに小さく、肉付きも良くなかった。
半身を注文したけれど、ほとんど食べるところがなかった。
ガイヤーンの店は街道沿いなずらりと並んでいたけれど、入る店を間違えたのか、それともどこもこんなものなのかわからないけど、ちょっと失敗。
そのウィチアンブリの街はずれにあるバーンクルー温泉にも立ち寄る。
以前来た時は50バーツの質素な一人用風呂であったけれど、今回は奮発して400バーツのお風呂にした。
さすがに浴槽も大きくなり、浴室も明るくて値段の差は歴然としていた。
バスソルトやミネラルウォーターも用意されている。
ネコもついでに一緒に入浴させてもらった。
ネコもちゃんとシャワーして、すすぎもしっかりしたはずなんだけど、ネコを浴槽に入れたらば、水面いっぱいにネコの毛が浮いてしまった。
排水溝もネコの毛で詰まり気味になってしまった。
[一時間と言う時間制限があるらしい]
隣の浴室にも日本人が入っているよと女主人が教えてくれた。
確かに日本人男性らしい声が聞こえる。日本人の特徴ある英語で何かしゃべっている。
それに対するのはタイ人独特の英語発音で、若い女性の声である。
今回、妻がタイに来た最大の目的は銀行口座の手続きのため。
何年か前からATMカードが使えなくなってしまって、復活させる手続きをしなくてはならなかった。
オフィス近くの銀行で手続きをしようとしたが、ここでは係員が対応できないので、バンコク病院向かい側にある支店へ行ってほしいと言われる。
指示された支店へ行き、番号札をもらって1時間近く待たされる。
妻のATMカードは新しく再発行ということになった。
カード発行手数料200バーツ也。
ついでなので私の口座も確認しようとしてたら、私の口座もカードが使えなくなっていた。
係員によると、この夏にシステムが変わったので、以前のカードは使えなくなったという。
これも再発行手数料200バーツ也。
こんなの銀行側の都合なのに、費用を利用者に負担させるという発想が理解に苦しむ。
しかも、私の口座に登録されている情報に不備があるので、口座そのものもブロックされている。
解除手続きにまた明日来るように言われる。
翌日指定された時間に行ったが、番号札取ってまた1時間待ち。
しかも、待った挙句にまだ本店での手続きができてないという。
手続きができるようになったら電話で知らせるからという。
オイオイ、、、。
オイオイついでをもう一つ。
ちょっと風邪気味だったのと、ちょうど半年前に犬に噛まれて、その後の狂犬病注射をまた打たなくてはならなかったので、夜病院へ行く。
夜の時間ということもあるが、ずいぶんと待たされた。
そして、ロビーで待っているとき、小学校低学年くらいの男の子が、診察受付カウンターの中で遊んでいるのを目撃してしまった。
紙に落書きをしたり、お菓子を食べたり、引き出しを開けたり閉めたり、、、。
どうやら婦長クラスの看護婦さんの子供らしい。
タイでは子供を職場へ連れてくることは珍しくないけれど、医療現場で患者のカルテや処方箋などが置かれたカウンターで子供を遊ばせるのは、医療事故に直結してしまうだろう。
この病院、オフィスに近いし、設備もしっかりしている大きな私立病院なので、しばしば利用していたし、病院側からもメディカルツーリズムとして外国人患者を誘致したいと相談を受けたりしたけれど、そんなことより、もっと先に取り組んでもらわなくてはならない問題があるようだ。
妻が帰った後は、今度は車が災難続き。
オイル交換をしてもらったら、ベアリングがダメになっているよと言われる。
ベアリングなんてビー玉よりずっと小さい鋼球。
交換したって、大したことないだろう。
タイは工賃だって安いし、ベアリングの交換も依頼する。
簡単ですぐ終わるからと言われたが、工員はタイヤを外した後、どこかへ消えてなかなか帰ってこない。
いい加減、ベアリング交換は次回にするよと言いかけたとき、工員は帰ってきてちょこちょこッといじくって、すぐにタイヤを取り付けてくれた。
実作業時間は5分に満たない。
ベアリングを買いに行っていたそうだ。
しかし、誤算は大きかった。
たかだか500バーツ以内だろうと思っていたら、ベアリング代だけで3000バーツと言う。
鋼球交換なんかでなく、軸受けそのものの交換のようになっていた。
結局、オイル交換と併せて5000バーツ。
さらにエンジンの下にオイル漏れが見られるし、ミッションオイルが減っているという。
これはここではできないのでディーラーでやってくれとのこと。
[ミッションオイルが漏れているそうだ]
後日トヨタのディーラーへ持ち込んだ。
到着一番に「タイヤが劣化してきているからすぐ交換しましょう」という。
ミシュランタイヤがいまなら1万2千バーツという。
「オイオイ、タイヤはまだ溝もたっぷりあるし、交換は来年だよ、それよりオイル漏れをチェックしてよ」
車が持ち上げられて点検開始。
私はラウンジのようなところへ通されて、待つことになる。
ラウンジにはコーヒーや冷たい飲み物、お菓子やバジル炒めライスなんかがある。
こういうのに弱いんです。
[コーヒーだけでなく、食べ物があるのが凄い]
女性係員が来て、ただいま助手席のエアバックを新しいものに無料交換できますが、交換しますかと聞いてくる。
無料なら交換してよと言ったが、よく考えたらこれってただのリコールなんかだったんじゃないだろうかとバジル炒めライスを食べながら思ってしまった。
しばらくして修理の見積が出来上がる。
部品代や工賃など細かくタイ語で書かれている。
パッと見ではわからないので説明してもらうと、ミッションオイルのパッキンがダメになっていて要交換。
当然ミッションオイルも交換、、、
で、エンジンオイルも交換となっている。
オイオイ、エンジンオイルは2日前に交換して、まだ10キロも走ってないんだぜ、、、。
しかし、パッキンの取り寄せに時間がかかるので、土曜日にまた来るように言われる。
そして、金曜日の午後3時。
電話が鳴って、「注文した部品が届いたからすぐ来るように」と言う。
こっちは仕事中なんだぜ、それにアポイントは明日の土曜日、、、
土曜日は修理する車が多いから、すごく待ちされる、今来た方がイイと粘られる。
それでも、とにかく土曜の午後に行くからと電話を切る。
で、土曜日に無事にパッキンの交換を済ませて、また数千バーツの請求を受ける。
しかし、これで終わったかと思ったら、なんだか発進がぎこちない。
まだオイルが馴染んでないのかなとも思った。
[こんなゴムの交換程度で、修理代がかさむなぁ]
木曜日に一時帰国のために、新しく国際免許をピサヌロークの免許センターへ取りに行く。
すぐできるから座って待つように言われて、待つこと1時間。
これからお昼休みだから、午後また来るように言われる。
タイの田舎の人は時間が余って仕方ないのか、とにかく平気で待たさせるのが困る。
ご飯でも食べててと言われるが、昼ご飯など10分もあれば食べ終わってしまう。
結局、2時間以上も時間かかかってしまった。
待たされることが多いので、最近は出かけるときはノートパソコン持参で、待ち時間にも仕事ができるようにしている。
国際免許の発行も済み、金曜はバンコクで仕事なので、終業後いったんアパートにもどり、簡単に夕食を食べて、夜8時にバンコクへ向かう。
夜遅くなら5時間くらいでバンコクに到着できるだろう。
車を走らせたところハイウェイに入ってすぐ、エンジンの警告ランプがオレンジ色に点灯した。
ゲゲ、なんだなんだ、いままでこんな警告灯は点いたことがない。
これじゃ、今晩バンコクに向かうのは無理。
明日またディーラーへ持ち込むとして、どのくらい修理に時間とお金がかかるだろうかと心配になってくる。
ディーラーは朝8時かららしいので、修理が早く終われば、午後にはバンコクに入れるだろう。
ダメならお昼の飛行機かな、飛行機代高いんだろな、
いやいや、修理代はどのくらいするんだろうか、
そんなことを考えていたら、夜眠れなくなってしまった。
翌朝、ディーラーへ向かうべく、車のエンジンをかけたら、今朝は警告ランプが点灯しない。
うーむ、自動車も自然治癒力があって、時間の経過で治癒していくもんなのだろうか?
しかし、当然そんなことはなく、発信がぎこちない。それに燃料メーターの下がり方も速すぎる。
やっばり、エンジンに問題あるらしい。
ディーラーで待たされること1時間。
バジル炒めライスは朝の時間用意されていなかった。
前回とは別の女性スタッフが見積書を持ってきた。
費用は2500バーツほど、あぁ、まぁこの程度で済んでよかった。
見積もり明細を聞いてみると、エアコンの冷媒交換とか、フィルターの交換とか、あんまりエンジンと関係なさそうな項目が並んでいる。
あれれ、こんなんでエンジン不調治るのか?
女性スタッフに質問してみると、これはエンジンとは関係なくて、エンジンは現在整備士がチェックしているところだとか、、、。
さらに待つこと1時間。結果が出て原因は酸素センサーの故障だそうで、これも部品の取り寄せに数日かかるとのこと。
これからバンコクまで運転していっても大丈夫だろうかとの質問に大丈夫との答え。
なお、センサーは部品代だけで6000バーツを超える。
今日は13日の金曜日、無事にバンコクまで行けるだろうか、、。
結局は、発進時の不安定さはあるものの、高速で走っていればふだんとほとんど変わりなく、燃費がやたらと悪いのが気になったが、道は順調で3時にはバンコクへ到着できた。