8月31日 金曜日
今月何度目になるだろうか、またしてもピサヌロークへ向かう。
月末の金曜日で道路が渋滞するのではないかと心配だったが、朝7時半に出発し、対向車線が車で数珠つなぎになっているのを横目にスイスイと走ることができた。
スピードメーターは100キロを超えないように注意しているが、100キロ以下だとトラックにも抜かされる。
道は快調だけれども、車の調子は走り始めてから30分くらいすると、毎度のことながら少し不安定になる。
燃料に水が入っているかのような感じなのだが、それも走り続けているといつの間にか復調してしまう。
ちゃんと整備に出して点検してもらいたいところだけど、修理工になんと説明したら良いのかわからないので、そのままになっている。
今回はネコも一緒である。
いままでずっとピサヌロークでの宿はアマリンナコンと言う鉄道駅前のホテルに泊まっていた。
古いホテルで、全体的に薄暗く、お化けでも出てきそうな宿であったけれど、宿泊料金はとても格安。
駅前の一等地にありながら、広い駐車場もあり便利だった。
しかし、残念なことにネコの入館は認められていない。
来月は仕事の関係で、ピサヌロークに月の半分か、それ以上滞在しそうなので、ネコをバンコクで留守番させておくには忍びない。
そこで先週から定宿の変更を試みてみた。
[ネコも一緒です]
ネコ連れでも宿泊できるところはないかとブッキングドットコムで調べたところ、「バーンミースコー」と言うゲストハウスがネコ連れOKとなっていた。
値段はヒトは一泊朝食付きで450バーツ、同伴するネコは別途に200バーツとのこと。
ピサヌヌローク市内には、ほかにネコOKの宿は検索に引っかからなかった。
[建物はタイの長屋式タウンハウスの一部を改装した感じ]
このゲストハウスは市内の中心部から3キロくらい南にあり、夕食場所として気に入っているナーン川沿いの「空飛ぶ空芯菜」のレストランや市場などへはちょっと遠く、滞在先としてはあんまり便利ではなかった。
そして、もともとゲストハウスはあんまり好きではない。
腐って鯛ではないが、古びてもホテルを志向している。
でも、ネコとの滞在にはほかに選択肢がない。
で、最初に部屋へ案内されて、窓からの金色に輝く寺院の屋根を見たらば、その窓からの眺めをすっかり気に入ってしまった。
お寺の名前はワット・チャン・タワントクと言う。
月決めの宿代を聞いてみたらば、まずまず手頃な金額であった。
月決めだと、電気代や水道代は別途で、朝食のや掃除、リネンの交換などのサービスはなくなるが、その代わりネコの連れ込み料もかからないらしい。
[この窓からの眺めが気に入った]
ピサヌロークまで5時間かからずに到着。
まずは新しい定宿となるバーンミースコーにネコと荷物を降ろして、今日中にやっておかなくてはならない仕事に出かける。
別に難しい仕事ではないし、夕方までにはやるべきことは終わってしまう。
ここピサヌロークの県知事は、あと1か月ほどでプーケットへ転任されるらしい。
タイの県知事はバンコクなどを除いて、選挙によらず、中央政府からの任命制で、別に地元の人がなるわけではない。
また新しい知事が着任したら、また1からプロジェクトの後援をお願いしていかなくては、、、。
数時間の留守番をネコはゲストハウスの一室で無事にこなしてくれていた。
留守番中に何をしていたのか分からないが、たぶんタンスの引き出しの奥にもぐりこんで隠れていたのだろう。
うちのネコは噛みついたり、引っ掻いたりと凶暴なのだが、根は臆病なネコである。
ベッドの上で、昼寝をしながら私の帰りを待てるだけの余裕が出てくるまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。
[部屋はだいたいこんな感じ]
夕食には「空飛ぶ空芯菜」のレストランへ行きたいのだが、運悪く雨が降り出してきた。
距離も2キロ以上もあり、車で行くべきなのだろうけれど、ここへ行けばビールが飲みたくなる。
ビールを飲めば、車の運転は避けねばならない。
部屋の中へ運び込んだ荷物の整理をしながら雨が止むのを待つ。
近くにトタン屋根の小屋でもあるのか、雨音がやたらと大きく聞こえる。
7時近くになって雨は止んだそうだ。
ナーン川沿いに歩いて「空飛ぶ空芯菜」のレストランへ向かう。
ワット・チャンタワントク前の橋を渡る。
さっきの雨のせいだろうか、土手から川へ茶色い水が音を立てて流れ込んでいる。
川の流れも速いようだ。
ナーン川には筏が浮かび、水上レストランになっている。
また、レストランだけではなく、水上生活の民家もある。
聞くところによると、昔はタイのあちこちの川に筏を浮かべて暮らしている水上生活者がたくさんいたそうなのだが、現在はピサヌロークを除いて川の上での生活は禁止されているらしい。
唯一許可されているらしいピサヌロークの水上生活者の筏の家も昔と比べるとずいぶんと減ってしまっているようだ。
[水上レストランの先に数軒の水上生活者の筏の家が見える]
ナーン川沿いの道は一部で護岸工事でもしているのか、工事中で泥んこ道になっていた。
私の靴底には穴が開いているし、もともと布製のデッキシューズなので泥んこの水たまりには全く処置なしである。
それでも歩くこと30分ほどでナイトバザールのはずれ、空飛ぶ空芯菜の店に到着。
この店で最近気に入っているメニューは「ヤムルアムカオトム」である。
タイ語は修飾語が後ろに来ることになっているので、そのまま訳すとお粥のミックスぴり辛サラダと言うまったく意味の分からないものになってしまう。
が、注文して出てきたものは、お粥とお粥向きのミックスピリ辛サラダのセットであった。
ここにはほかにセットメニューや定食類などなく、すべてアラカルトなのにどうしてこれだけがお粥のセットなのか不思議に感じる。
不思議でも何でも、これが私の口に合う。
ヤムと言うタイ式の和え物と言うか、ピリ辛サラダ自体は大好きなのだが、それに加えてその具材がいい。
ブラサリットと言うタイ式の魚の干物のフライ、塩玉子、パクドーンと言うタイ式のピクルスなどが入っている。
いかにも庶民的なメニューで、適度に塩辛く、酸っぱく、ちょっと甘く、そしてキーンと辛い。
お粥に合うし、ビールとの相性も良い。
[素朴な材料ばかりで作ったヤムだけど、粥ともビールとも相性が良い]
他にも鶏のカシューナッツ炒めなども追加注文して、チャーンビールの大瓶も2本飲んでしまう。
ここの給仕兼会計係をやっている母娘とはもう顔見知りである。
彼女らはここの従業員ではないそうで、調理場と料理を担当するのはオーナーであるレストラン側で、飲み物などだけを彼女らが請け負っているのだそうだ。
収入は飲み物の売り上げとチップだけとのこと。
いつもチップとして小銭を置いているが、受け取るとき他では見られないくらい素直に喜んでくれるのが気持ちいい。
宿への帰り道もとぼとぼ歩く。
ピサヌロークにはタクシーもトゥクトゥクもサムローもあるけれど、夜になると営業をしていないらしい。
もっとも、あったとしても乗らずに歩いて帰るだろう。
ワット・チャンタワントクのお寺の周囲を囲む壁には美人の仏さまがずらりと並んでいる。
[塀のレリーフは美人の仏様]
翌朝、朝食が付いていないので、何か近所で食べようと思ったが、朝食として食べたくなるようなものを売っている店が見つからない。
パートンコーと豆乳などの屋台でも出ていれば良いのだが、あるのはビニール袋に入った惣菜や豚や鶏肉の焼いたものなど。
それとやたらとカオマンガイを売る店。
タイ人は田舎の人も肉食好きが多いようだ。
1時間近く歩き回って、なにも得られず、部屋に戻ってうどんを茹でて食べる。
[部屋からの眺めは良いが、窓の下にはたくさんのニワトリがいて、未明からコケコッコー]
昼くらいまでに仕事をひと段落つけて、ラチャパット大学近くへオニ蓮を見に行く。
これは昨晩YouTubeで蓮の葉っぱの上に乗るビデオを見てそれがピサヌロークだったので、興味を持ち、地図で調べてやって来た。
[田んぼの中の道の奥にあるオニ蓮園]
蓮池は、やはり特別なものらしく、入場料として10バーツ。
タイで蓮など珍しくもないが、私はオニ蓮など見たことがない。
いや、植物園か動物園の池にあったのかもしれないが、関心もなかったので記憶にない。
しかし、ビデオの映像を見てから、実物が見てみたくなった。
[入場料は各自が10バーツを箱に入れる手抜き方式]
四角い大きな池にオニ蓮の葉がたくさん浮かんでいた。
その姿は、緑色をした子供用ビニール製のプールが池を埋め尽くしているかのようだった。
奥の方で、蓮の葉の上に乗っている人がいる。
近くへ行ってみると、蓮の葉の上に乗るのを手助けしてくれる係員がいて、蓮の葉乗りは別料金だそうだ。
金額は書いていないようだったけれど、たずねたら100バーツとのことであった。
[池は巨大な蓮の葉で埋まっている]
この蓮の葉乗りは人気があるようで、何人かの観光客が来ては蓮の葉の上でポーズを決めている。
大きな丸い葉が池を埋め尽くしており、その蓮の葉の上を自由に歩き回ってみたいところだけれど、人が乗れる蓮の葉の上には、緑色のマットが敷かれており、そのマットの上でなければ、蓮の葉が破れてしまうらしい。
なので、葉の上に乗っても動くことはできず、じっとしているだけ。
しかも、強い日差しを遮るものもなく、写真のモデルをしている時間はそれほど長くないようだ。
[蓮の葉乗り、一回100バーツ]
係員にオニ蓮も花が咲くかと聞くと咲くと言う。
後ろの池に行けば見せれるよと言うことなので行ってみる。
ひろい池に無数の巨大な蓮の葉が浮いているが、花はツボミが一つあるだけであった。
ピンク色したやはり巨大なツボミであった。
蓮の花は朝咲くものと思っていたが、このオニ蓮の花は午後遅く、3時から4時ころに花が咲くそうだ。
しかし、それまで待てるほど時間の余裕もないので、ふたたび仕事に戻る。
ビジネスシューズが泥んこになっていた。
[午後遅くに花が咲くらしい]
ピサヌロークもまだまだ知られていない観光スポットがあるようだ。
[写真が好きなタイ人には人気が出そう]