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スズメの子と過ごした3日間
4月26日 (水)
前の日曜日の朝、市場へ行った帰り道でスズメのヒナが道端に落ちているのを発見。
まだ裸ん坊のとても小さなスズメだった。
まだ巣立ちの練習とかできそうもなく、きっと巣から転げ落ちたのだろう。
朝から30度を超える気温と強烈な日差しに焼かれて、かなり衰弱している。
目はつむったままで、声も出さないが、お腹が膨らんだり凹んだりしていて、呼吸をしているから生きてはいるらしい。
急いで下宿の部屋へ連れて帰る。
まずは水分を取らせなくてはと、閉じているクチバシをこじ開けて、水に浸した箸の先をクチバシに当てる。
クチバシが動き、水を飲んでいるのがわかる。
立て続けになんども水を飲ませているうちにスズメの子は少し正気を取り戻してきたようで、目も開くようになった。
少し休ませてから、こんどは良く熟したマンゴーをとても小さく刻んだものを食べさせる。
自分からは食べようとしないので、またクチバシをこじ開けて、口の奥へとマンゴーを詰め込み、こんどはクチバシを閉じさせて呑み込ませる。

20年前にチェンマイにいた時も小鳥のヒナを助けたことがある。
あの時は、すぐに獣医のところへ連れて行って、エサなどについて助言を受けた。
あの小鳥はハイイロモリツバメという種類で、スズメよりも一回り大きかった。
今回はネットでスズメのヒナに食べさせるべきものを調べたら「青虫」が良いと書かれていた。
さっそく外へ青虫探しに出る。
タイは一年中夏で、年間を通じて虫には悩まされ続けているので、青虫くらいたくさんいるだろうと思ったのだけれど、いざ探してみるとちっとも見つからない。
日本だったらキャベツ畑とんへ行けば見つかるけれど、ピサヌロークの下宿周辺には野菜畑などまるでない。
桑の実があったので、一つ失敬している。

仕方なしに近所のペットショップへ行って店員に相談してみる。
勧められたのは九官鳥用のエサで、これを磨り潰してお湯に溶いて食べさせるといいと言われ、一袋購入。
それとミルウォームという幼虫。
これは生餌。

ミルウォーム
[ミルウォーム]

ミルウォームは20年前のハイイロモリツバメの時にもお世話になった。あの子はこのミルウォームを見ただけで、これでもかってくらいに黄色い口を大きく開いて食べさせろとねだっていた。
しかし、このスズメの子はミルウォームに全く関心を示さない。
青虫がダメなら、ミルウォームだっておんなじ幼虫だし、これを食べさせれば元気になるだろうと、ちょっとかわいそうだけれどクチバシを強引に開いて奥の方へ押し込む。
しかし、ミルウォームも生きているので果敢に脱出を試み、クチバシの隙間から逃げ出してしまう。
それにミルウォームを丸呑みするにはスズメが小さすぎるようだ。
ミルウォームを半分に切ってしまう。
こうすれば、ミルウォームも動きが止まってしまうのでクチバシの奥に放り込んでも逃げられず、スズメの子はそのまま呑み込んでくれる。
苦労して5匹ほど呑み込ませ、桑の実も少しちぎって呑み込ませる。

初日のスズメ
[まだあんまり元気がない]

こんなことをだいたい1時間おきくらいに夕方くらいまで繰り返していた。
そして、何度目だろうか、無理やり食べさせているうちに初めてフンをした。
そして小さな声だけれど、チッチと鳴き声を上げるようになった。
でも、まだぐったりしていて、起き上がることができずにいる。

ネズミを捕まえてきたネコ
[夜、下宿のネコ(ブラウニー)がネズミを捕まえて咥えていた]

翌朝、水を飲ませ、ミルウォームも強制的に食べさせる。
食べる量も、一度に10匹近く食べれるようになった。
クチバシをこじ開ける時、スズメが嫌がって口を閉じようとするのだけれど、心なしかその閉じようとする力が強くなっている気がする。
鳴き声もスズメらしくチュンチュンと鳴くようになってきた。
また元気になって来て、一生懸命起き上がろうとしている。
しかし、どうもまだ起き上がれず倒れてしまう。

スズメの子と桑の実

そのまま職場へ連れていき、ときどきエサを与え、フンをふき取る。
ミルウォームをちらつかせると、自分からクチバシを開くようになってきた。
開いた口の奥の方へ押し込まないと呑み込めないらしく、割りばしでつまんで入れるのは苦労した。
また、昼くらいになると、ミルウォームを一匹丸のまま食べられるようになった。
そして、10匹くらい食べると満足するのか、もう自分からはクチバシを開こうとはせず、また眠くなるのか目を閉じて眠ってしまったりする。

午後になると30分くらいの間隔で盛んにチュンチュンと鳴いてエサを催促するようになってきた。
もう十分元気を取り戻したと思った。
しかし、よく観察してみると、左足がダメになっているらしいことが判明。
左足はまったく大腿骨に当たるところからつま先まで全く動かない。
さわっても痛そうにしないし、骨折しているようにも見えないが、感覚がまるでなく神経が通っていないらしい。
どうやらそのせいで起き上がれないのだろう。
このまま放置していたら自然に治るようにも見えないし、しかるべき時期になったら獣医の診断を受けて、治せるようなら直してやりたいと思う。
もし、治らないとなったら、、、スズメは片足でも生きていけるのだろうか?
イヌやネコなら足が一本ダメになっても、もともと4つ足だから何とか生きていけるけど、鳥は足が二本なので、歩けなくなるだろう。
松葉づえとか車いすと言うわけには行かない。
フラミンゴなんて一本足で立っているけど、それは立っているだけ。
また、飛び立つときも片足ではジャンプ力にも限界があるだろう。

給餌
[エサを催促するようになった]

夕方くらいになるとチュンチュンとエサを催促する間隔が15分おきくらいにまで短くなってきた。
桑の実もミルウォームも夜までには全部食べ尽してしまった。

3日目、火曜日。
このスズメは寝坊助らしい。
朝は7時近くに起こすのだけれど、「あー死んじゃったか」と思わせるようにゴロリと横たわって目を閉じたまま全く動かない。
つまみ上げると、ようやく目を覚ましたのか、キョトンとした表情をする。
「さて、また1日このスズメの世話が始まる」とちょっと負担にも感じる。
可愛いのだけれど、ちょっと手間がかかりすぎる。
せめて自分でエサを食べてくれるくらいになってほしい。
ミルウォームは喜んで食べるけれど、それは私がミルウォームを一匹ずつつまんで口の奥に入れてやるからで、自分からミルウォームをついばもうとはしない。
私は出張も多いし、そう毎日オフィスへ連れて行くわけにもいかない。

職場のスタッフに「だれかスズメの面倒を見てくれる人を探してくれないか」と依頼をする。
が、なかなか簡単には見つかりそうもない。
15分間隔でのエサやりが続く。
食べるとフンをする。
そして、食べ終わると寝る。
初日と比べて、少し毛が生えてきているような感じだ。
最初は禿げ頭だったのに、茶色い毛が少し増えてきた。
お腹のあたりは全く毛がなくて、ちょっとグロテスクに見えるけど、きっとこれも数日のうちに毛が生えそろってくるのではないだろうか。
調べてみたら生まれて2週間後くらいでスズメは巣立ちをすると書かれてあったので、あと1週間か10日くらいで飛べるようになってくれるのではないかと期待する。
次の私の出張が10日後なのでなんとか間に合ってくれそう。

しかし、片足がダメで、起き上がれないのは問題。
枝とかなら片足でもとまってくれそうな気がする。
手の指にとまらせてみようとするが、握力がまだないためか、まったくダメ。
これも体力がついてくれば、枝に片足立ちができるようになってくれるのだろうか。
いまから10日後を目指してリハビリの特訓をさせていくべきかと考える。

ミルウォームばかり食べてデブになったらますます飛べなくなりそうなので、チンゲン菜もちぎって食べさせる。
このチンゲン菜は市場で買ってきたものなのだけれど、水洗いしたら2匹の青虫(たぶん蛾の幼虫)が出てきた。
その青虫はミルウォームの3倍くらいの大きさがあって、こんなの食べさせて大丈夫だろうか?
切り刻むのはちょっと嫌だなぁ、、と思いながら箸でつまんでスズメの前に持って行ったらクチバシを大きく開け、身体を振るわせてクレクレとねだる。
エイヤっとそのまま放り込んだら、丸呑みしてしまった。
続けてもう一匹も丸呑み。
大きいけどミルウォームより青虫の方が柔らかく、そして美味しいのだろう。

だんだん食べる量も増えてきて、次々にミルウォームを食べる。
食べると言っても、よく噛んで食べるわけではなく、丸呑み。
しかもミルウォームはまだ生きているので、大きく口を開けたとたんに、ノドの方から先に食べてミルウォームが這い出してきて、そのまま逃走を図ろうとする。
このスズメの腹の中で、ミルウォームたちはまだモゾモゾと動き回っているのだろう。

そして4日目
つまり今朝のことである。
寝坊助のスズメを起こす前に、自分の朝食の支度を先にすることにした。
今朝も日課のジョギングを夜明け前からしていたけれど、途中で雨になってしまい、下宿に戻った時にはびしょ濡れになっていた。
シャワーをして着替え、お茶を飲むために階下にある電気ポットへお湯をもらいに下りる際、部屋のドアを閉めずに下りてしまった。
お茶を手に持って部屋に戻り、そろそろスズメを起こそうかとスズメを入れている入れ物を置いたベッド横を見たらば、入れ物がない。
「あれ、へんだな」と近づいてみたらば、入れ物は床に落ち、スズメを包んで寝かせていた柔らかな布も床に広がっていた。
なにかの拍子に落っこちたのかな?
片足のスズメなので、仮に落ちても自分で歩いてどこかへ行くということは考えられない。
とりあえず周りを探していたら、ベッドの下からゴロゴロとノドを鳴らしながら下宿のネコ、ウォッカがすり寄ってきた。
「おまえやったか!」とウォッカの顔を見たが、なにも応えず嬉しそうにゴロゴロさせているだけ。
私の黒ネコも以前はよくアパートの屋上で小鳥を捕まえてきていた。
半殺しの状態で捕まえてきて、小鳥をおもちゃにして遊んでいるが、死んで動かなくなると、もう関心がないのか、そのまま放り出してしまっていた。
そんな経験があるので、部屋のどこかにスズメが放置されているのではないかと一生懸命探してみた。
しかし、見つからい。
まだ羽も毛も生えそろっていないけれど、スズメだってネコに襲われればバタバタして、羽や毛が抜け飛び散ると思うのだが、それらしきものもない。
ネコに噛まれれば血も流れるだろうけど、赤いものなどどこにも流れていない。
まさか、一夜のうちにスズメは大きくなり、飛べるようになって、どこかへ飛んで行ったのだろうか、ディズニーの漫画映画じゃあるまいし、そんなことはありえないだろう。
可能性として考えられるのは、ネコのウォッカがスズメの子をまるでスズメが青虫を食べる時のように丸呑みしてしまったのではないだろうか。
可能性としてはかなり高い。

ウォッカ
[ぜんぜん悪びれた表情も見せないウォッカ]

ウォッカは食いしん坊ネコだし、ふだんでも朝はとてもお腹を空かしている。
ネコが小鳥を捕まえてしまうのは自然の摂理だからウォッカが悪いわけではない。
私がもっと細心の注意をして、部屋のドアもしっかり閉めずネコの侵入を許してしまったのだから、責任は私にある。
だんだんかわいくなってきていたところなので、とても悔しくあきらめきれないけれど、その反面、「これで開放された」とも感じてしまっている。
スズメさん、ごめんなさい。

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| 日常 | 05:39 PM | comments (0) | trackback (0) |
ブログの修正
4月16日にトラブルは発生した。
その時私がいたのは旅行先の宿で、オランダのハーレム郊外のドミトリールーム。
メンテナンス中
こちらは朝が遅いのか、同室者はみんなまだベッドの中で眠っている。
私は朝が早いので、一人起き出してレセプションの前でパソコンを開いてみた。

今回の旅行もブログに書くことになるから、ちょっと準備だけをしてみようかとページを開こうとしたら「メインテナンス中」との表示。
全く身に覚えのないことで、前回のサクラとラビットの記事は問題なく更新できていたし、その後は更新とか何も触っていない。

私が何も触っていないのに私の知らないところで何か発生しているとしたら、サーバー側の問題が考えられる。
このブログの裏はPHPというプログラム言語で書かれていて、プログラム自体は高橋昇一さんと言う方が作られたブログウェアBlognPlusを基にしている。
このBlognPlusはなかなかの優れもので、基礎知識がなくても使えてしまうし、機能も使いやすくできている。
しかし、残念なことに高橋昇一さんは10年ほど前にBlognPlusの開発を止められてしまったそうで、しかも2017年にはサイトも閉鎖されてしまっている。
blogn
これは私の知識不足によるものなのだけれど、PHPというプログラム言語は日々更新されているようで、最新のバージョンは7とか8らしいのだけれど、Blognの最終版が対応できているのはバージョン5までらしい。
バージョンがアップするにしたがって新しい関数とかルールとかが組み込まれてくるのは当然として使えなくなる関数とか禁止事項とかが現れて来るそうで、それに合わせてプログラムの書き換えをしないとサーバーが動かなくなるらしいと今回のトラブルで勉強した。
しかし、もともと基礎知識がないのだから、このBlognPlusのプログラムを自力で修正していくことなど不可能。

困ったものだと思うと同時に、こりゃ何か別のプログラムへ乗り換えも検討必要かと悩む。
一応、PHPのバージョンを確認しておくかと、サーバーを借りているサイトをチェックしてみた。
php
するとバージョンをアップするようにとの警告文が表示された。
バージョンアップするようにということは、つまりまだサーバー側は古いバージョンのままで、それが本当ならPHPのバージョンによる問題は発生しないはず。
でも、だったら原因が一体何なのかさっぱりわからない。

それからというもの、試行錯誤でプログラムの再インストールなどをなんども繰り返し、やっと先ほど復活させることができた。
で、これがその成功かどうかのテストということになる。
原因はいまだにはっきりわからないのだけれど、たぶんコンフィグというファイルとそれに関連するファイルが壊れていたのではないかと想像している。

でも、一応は復活したけれどPHPのバージョンは低いまま、これだとセキュリティーとかのサポート対象外となって、今後またいつどんなトラブルに見舞われるか分からない。
来年になって時間ができたら、抜本的な対策をしておかないと不味そうだ。



| https://chiangmaikk.com/blog/index.php?e=1 |
| 日常 | 04:59 PM | comments (0) | trackback (0) |
ラビットで花見が実現
3月下旬にもまた一時帰国。
住宅ローンの一部繰り上げ返済の期日が3月27日(月)であったこともあるのだけれど、東京でサクラを見てきたいという希望もあった。
ここ何年か、東京でのサクラの開花は年々早まっているそうで、3月下旬には満開となり、4月には散ってしまうらしい。
以前の記憶だと、サクラが咲くのは入学式のころだったと思っていたけれど、最近は卒業式の花らしい。

サクラ
[このクロネコ、研修生が誕生日にくれたもの]

これも特別な理由はないのだけれど、今回の一時帰国は奮発してビジネスクラスで飛行機を予約した。
ビジネスクラスと言っても、利用するのはいつもの中華航空なので、大騒ぎするほど高額と言うわけではなかった。

それでも結果としては「猫に小判」のようなモノで、身分不相応なことをすべきではないということがよく解った。

猫に小判
[身分不相応で搭乗拒否されても不思議でない]

とりわけ機内食では失敗をした。
せっかくの料理も、飛行機に乗る前にいつもの習慣で、さんざんラウンジで飲食してしまったためほとんど箸をつけられなかった。

以前なら、胃袋の拡張機能に自信があったので、いくらでも食べられたし、アルコールさえ含有されていればいくらで飲めたものが、今回、特に帰りは台北からバンコクへのフライトではサラダしか食べられなかったし、ビールもグラスに半分しか飲めなかった。

和食メニュー
[最初の機内食は完食できた]

なお、その機内食も「植物由来のメニュー」とかを事前に注文しており、ミシュラン・グリーンなんとかというレストランのものらしいのだけれど、特別美味しいとは感じなかった。
空腹でないことも原因だけれど、ビーガンとか言われる料理、肉の代わりに野菜や穀物を使った料理と言うことになっているのだけれど、そもそもそのあたりが満足度を高められなかった原因かもしれない。
タイでもギンヂェーと呼ばれる精進料理は肉を使っていないので、私も好んでよく食べている。
普段からあんまり肉を食べたいと思っていないので、肉の入らないギンジェーは安心して食べられる。
タイのギンジェーは中国人の影響を受けたもので、中国式に肉に見立てて豆腐などを加工したものを使っていることが多い。
見た目は肉や魚そっくりなんてものがたくさんある。
味もなんとなく似せてあるようだ。
しかし、それらはあくまでも肉の代わりの代用品で、肉の代わりに過ぎない。
その点で、日本の精進料理は、肉の代用品と言った発想ではなく、肉以外の食材の美味しさを追求していることで優れていると思う。
最近はやりのビーガンとかは、もともと肉食人種の西洋人の発想から生まれているから代用品の域を抜け出せないのではないかと思う。

ビーガン機内食
[白身魚のフライに見せかけてあるけど、中身は湯葉に似ていた]

3月25日の夜に東京へ入り、28日の飛行機で東京を離れたので、実質
中2日の滞在。
今回は銀行の手続き以外にサクラを楽しみたかったのだけれど、滞在中の天気はあまりよくなかった。
ほとんど毎日雨模様。

ラビットスクーターの補修も雨が降っては作業ができないので、雨が止んだタイミングで行う。
その補修で、今回の作業のメインと考えていたのがキャブレターの補修だったのだけれど、ちょっとした手違いで注文していたガスケット類が届いていなかった。
26日の夜には郵便速達で届いたのだけれど、それまではキャブレターを分解して石油で部品の一つ一つを洗浄し、細かな穴にスポイトで石油を流し込んで、目詰まりを除去したりした。

サクラの方は、自宅前に大きなサクラの老木があり満開に近いくらいに花を咲かせているが、下から眺めても雨雲の下だとあんまり色的に映えない。
やっぱり青空の下で咲いているのが見たかった。
小雨降る中、傘をさして自転車で小平霊園へ墓参りにも行ったけれど、こちらもサクラは咲いていても何だか寂しげ。

サクラ
[児童公園がサクラ色になっている]

毎度、一時帰国のたびに色々とドジを踏んでいるのだけれど、今回も2つほどドジをしてしまった。

一つはタイから履いてきた靴の底に穴が開いていたこと。
これは、以前はいていた靴で、穴が開いたので買い替えたのだけれど、間違ってアパートの部屋を出るとき、古い方の靴を履いてきてしまった。

穴の開いた靴
[靴底に穴が開いていると雨の日は辛い]

2つ目はラビットスクーターのカギを忘れてきたこと。
たぶんこれは前回の一時帰国の時、木彫りのキツネのキーホルダーにつけたラビットスクーターのカギをズボンのポケットに入れて、何かのはずみでキーホルダーからカギが外れて、カギだけがズボンのポケット奥に残っていた。
タイへ戻ってズボンのポケットに何やら古いカギがあるのに気が付いたのだけれど、その時はそのカギがラビットのカギだったことまでは頭が回らず、何か南京錠かなんかの古カギだろうと思って、その辺に放り投げておいた。

それが今回東京に戻ってラビットの補修をしようとカギを探したらば、カギのとれたキツネのキーホルダーしか出てこなかった。

結局、キーを回してラビットスクーターの電源を入れることは諦め、配線をいじくって、スイッチのオンオフ部分を直結してしのぐことにした。

27日、天気は少し回復して、雨は上がった。
ただし、空一面にどんよりと雨雲が広がっていて、太陽も青空も拝めないような天気。
それでも、ラビットの補修をするにはあまり問題にならず、早速ガスケットやパッキンなどを交換したキャブレターをラビットに装着する。
スパークプラグも新しいものに交換して、スターターボタンを押し、キックペダルを踏み込んだりしてみたら、意外とあっさりとエンジンが始動してくれた。
先月までと違い、回り始めたエンジンがすぐに停止してしまったり、アフターファイアが起きたりすることもなく、安定して回ってくれている。
ちょっとだけスローの調整をしてやっただけで、ポンポンポンと快調に回り続けている。
こうなると早速乗りたくなってしまう。
ほんとうはまだ乗り回したりするよりも先に車体の整備とかやるべきことはたくさんあるのだけれど、とりあえずは動くということで、それらは後回しにして、近所を走り回ってみる。
はじめはローギアだけで、ゆっくりと15分くらい走り回る。
うん、スロットルを回せばちゃんと前へ進む。
ブレーキを踏めば止まる。
あたり前のことだけど、やたらとうれしい。
次はギアをセカンドまで上げる。
ギアチェンジもできている。
サードまで上げると、スピードも出る。
いまのところ不具合は感じられない。

もう少し乗り回しができるようにとガソリンスタンドで給油をする。
前回までは、まるでガス欠のようにガソリンスタンドまで鉄の車体で重たいラビットを押して行き、給油後も押して帰るというみじめな姿だったのだけど、今回はスイーっとガソリンスタンドまで乗り付けて、給油することができた。
ガソリンを入れて足が伸びたので、団地内のサクラ並木があるところまで走ってみる。
青空ではないけれど、ほぼ満開のサクラ。
この団地ができて50年以上が過ぎている。
当時はまだ若かったサクラの木も、すっかり大きくなり貫禄十分な大木となっている。

サクラ並木
[ラビットでサクラの花見ができてうれしい]

更に足を延ばしてトトロの実写ロケができそうな古い農家の残る地区まで行ってみる。
こんな風景の中をラビットスクーターで走ると1960年代にタイムスリップしたような気分になってくる。

柳窪
[市内にはまだこんな風景が残っている]

市役所通りの道を走っていたら、通り沿いに近くの畑で取れた野菜の直売所があった。
ちょうどキャベツや大根が欲しいと思っていたので立ち寄ったところ、この直売所をやっている男性から声をかけられた。
彼は古い車やバイクが好きなのだそうだ。
私のラビットを見て、とても興味津々らしい。
それから少しの間ラビット談義をする。
そして、もし本当に欲しいようなら、次回もう一台あるラビットスクーターを譲りましょうかと言うところまで話が進んだ。
もう一台のラビットは、3年前にエンジンの試し掛けをしたら暴走してしまったトラブルがあり、たぶん原因は私のキャブレター調整ミスだったとは思うけれど、それ以来ずっと放置してきたので、動くようになるかわからず、半分部品取り用にしようかくらいに考えていた。
それに、ラビットを2台所有維持していくだけの余裕もなくなっいて、どんどん朽ちらせてしまっている。
もし、だれかが大事にしてくれるのならもそれも良いかと思った。
次回の一時帰国がいつになるかわからないけれど、もしその時にまだ興味があるのなら、見てもらおうかと考えた。

午後になって小金井公園へ足を運んでみる。
ここはサクラの名所としても有名。
広い緑地にたくさんのサクラの木が植えられている。

小金井公園
[都内でも有数のサクラの名所]

園内は月曜日と言うのにサクラ見物や行楽に来ている人たちがたくさんいた。
子供たちはたぶんもう春休みだから、遊びに来ていても不思議はないけれど、家族連れが目立つのはどうしてなんだろう。
在宅勤務が一般化して、日本の大人も自由な時間が増えたのだろうか。

花見のグループ
[まだ少し肌寒いのでテントを張って花見をしているグループ]

満開のサクラは生命力にあふれているけど、やっぱり青空が見えないのと、どんよりとして薄暗いから、サクラの色が綺麗に映えてこない。
そんな中で、枝垂桜は比較的曇り空でもきれいに見えるような気がした。
もともと細い枝が枝垂れていて、柳のようになよっとしている感じが昔の芸者さんのようなイメージだし、花の色も桃色が少し濃い目なものだから、薄暗くても色気がある。

枝垂桜
[枝垂桜は陽気なソメイヨシノと対照的]

28日、また朝から小雨が降っている。
もう少しラビットの調子を確認してみたいと思っていたけれど、小雨の中小平霊園まで往復するのがやっとだった。
あんまり雨の中を走るのも良くないし、それと昨日と比べるとエンジンのパワーが落ちているのが感じられる。
ほんとうに、古いラビットスクーターは気まぐれで、お天気屋だと思う。
だからこそ、愛着もわいてくるのではある。
最近のバイクや車は電子部品が多く、電子部品の耐用年数が過ぎたら、もう手の施しようもなくなってしまうのと比べ、ラビットには電子部品など全くないので、部品が壊れても修理が効く。
修理ができるうちは、修理し続けてやりたくなってくる。

小平霊園のサクラ
[小平霊園のサクラ、今回ラビットには乗れたし、サクラも見れたし、奮発した甲斐があったかも]

午後になって雨が上がったけれど、もう空港へ向かう時間。
帰りの便は、いままでと比べて接続が良くなり、台北の空港で一泊せず、そのまま乗り継げるようになった。
しかし、乗り継ぎ便が遅れて、バンコクのアパートに到着したのは午前3時になっていた。

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