12月13日 火曜日 - 12月14日 水曜日
一時帰国最終日。
今回は下田温泉へ一泊旅行もできて満足、満足。
ただ、いつもなら会社のスタッフにお菓子などなにかしらお土産を買ってきているのだが、今回はなにも用意していないことが少し気がかり。
人数が多いから少額で数をこなせるようなものしかいつも買って行かないので、土産を渡してもスタッフたちは別に喜んでくれたりなんかはしないけど、それでも「土産忘れるな!」の声でおくられている。
まぁ、手ぶらで出社したらどんな反応を示されるか今後のための試験ケースと考えることにして成田空港へ向かう。
午後2時半の中華航空なので、朝はのんびりできる。
天気予報では今日は雨の確立が高かったけれど、幸いなことに雨は降っていない。
しかし、曇り空。
いつも成田から台北までのフライトでは富士山が見たいがために右舷窓側の席にしているのだが、富士山を眺めることはできないかもしれない。
富士山のことはさておき、帰路は運の良いことに成田から台北も、台北からバンコクもジャンボジェットの2階席で席の予約ができた。
[中華航空のジャンボジェット]
以前にもブログに書いたが、中華航空の2階席は本来ビジネスクラスなのだが、エコノミークラスとして開放してくれている。
なので、早めに座席の指定をすれば確保できそうなものなのだが、2階席の大半が航空会社のマイレージ会員の中でもエリートプラス資格専用に大半の席がブロックされている。
私のようなゴールドメンバーは一般メンバーと同じ扱いで、ブロックを開放してもらえない。
しかし、全部がブロックされているわけではなく、ほんのわずかだけど一般用にも開けてあり、私が予約したときにはまだそれが空いていた。
[運よくビジネスクラスのシート]
今回のシートはいつもと少し仕様が異なっているようで、少し古いタイプなのだろうか。
前後の間隔はやたらとゆったりしていて一昔前のファーストクラスみたいだ。
しかし、シート自体は少し細身のように感じた。
1階の一般的なエコノミー席も台湾人乗客が多かったが、2階席は私以外はほぼ台湾人のようだ。日本人もいないし、西洋人もいない。
そして、観光客風の乗客もいなくてビジネスマン風が圧倒的に多い。
この人たちがエリートプラスメンバーなのだろうか。
機内で映画を見る。
「植物図鑑」と言う比較的新しい邦画で、主人公は若い女性、そして恋愛ものようなので、あんまり私の趣味ではないが、離陸して窓から下界を見下ろしても、雲に覆われて富士山は見えないので、とりあえず映画でも見ようかと言う気になった。
で、植物図鑑と言う映画を見た感想は、悪くなかった。
いや、結構好きかもしれないと思った。
[植物図鑑]
ストーリーは不動産会社に勤めるパッとしないOLサヤカが、お腹を空かせて動けなくなっている青年をまるで「捨て犬を拾う」ように、連れ帰り飼い始める。
青年は野草について知識が豊富で、また野草を使った料理も得意。
青年はサヤカに毎日弁当を作り、休日には野原へ食べられる野草を摘みに行く。
サヤカは青年を好きになるが、飼い始めて半年、青年はサヤカのもとから消えてしまう。
未練たっぷりなサヤカは青年を探そうとするが見つからない。
しかし、サヤカの誕生日に誕生日プレゼントとして「植物図鑑」がおくられてくる。
この図鑑の背表紙に書かれた写真家の名前が、青年の名前であり、図鑑の出版記念パーティーで、青年の本当の姿を知る。
この本当の姿と言うのは、有名な華道家の息子で、そして現在は野草を撮影する写真家になっていると言うもの。
そして、再会してハッピーエンド。
この最後の部分が、私の最も気に入らない展開なのである。
少女趣味的と言うか、安直な韓国ドラマ風と言うか、大嫌いなのであるが、この映画の中では、青年と最初に出会う前のところで「ある日私は夢を見た」と言うセリフから展開している。
つまり、青年とのことがすべてこのサヤカと言う冴えないOLの夢の中で出来事であったとしたら、私としては全然不快感を感じない。
誰だって、夢の中では自由であるべきだと思う。
このストーリー全体が夢の中の出来事だったのか、現実だったのかの答えはこの映画では用意していないので、見る人任せなのだろう。
で、この青年、野草を使って様々なヘルシー料理を作る。
このあたり、私の好きな展開である。
そして、青年のセリフの中で植物学者でもあられた昭和天皇のお言葉で「雑草と言う名の植物はない、植物にはみな名前がある」を紹介しているのも好ましい。
私が愛読している産経新聞の記者だった故近藤紘一さんの文章の中にも、「かつての名文記者たちは、自らの無知をタナに上げて、『名もない花が・・・』と書き飛ばした(名も無い花なんてこの世に存在しない。当人が知らないだけだ)。」と書いている。
これは美文による虚飾で価値観や判断を誤ってしまいやすいことへの警鐘として書いている一部であるが、この原点は昭和の陛下のお言葉であったことを知った。
そして、私の場合、「雑種と言うネコはいない、ネコにはみな名前がある。なのにウチのネコには名前がない」と言う言葉を残したい。
[植物にはみな名前がある]
搭乗開始前に大好きないなり寿司と飲茶にカップラーメンをラウンジで食べさせてもらっていたが、機内食で出た豚丼風の機内食もしっかり食べてしまう。
そして満腹になったら眠くなり、ウトウトしていたら台北空港に着陸した。
バンコク行きの乗継便は、明朝の出発なので時間はたっぷりある。
乗り継ぎ時間を利用してやりたいことは、台湾の手打ちうどん風の生麵を市場で買うことと、北投温泉に行くこと、そして又一村の水餃子を食べること。
まずは、台湾の手打ちうどんだが、10月に空港から近い南崁の街の市場で買ったものが、極太でやたらと腰が強くて、めっぽう美味しかった。
この生麺を仕入れて冷蔵庫で冷凍しておこうという算段である。
空港からバスに乗って南崁に着いたら、夜空には丸くて明るい月が出ていた。
東京は曇っていたけど台北は晴れているらしい。
夜の台北で動き回るのに、雨が降られたら大変なので、まずは幸先が良い。
[南崁は月夜だった]
向かった先は夜市ではなく、台湾のどこにでもあるような市場。
肉や野菜など食材を売っている市場。
この奥にある手作り餃子の店で台湾手打ちうどんを2袋、約1.2キロを80元で買う。
[台湾手打ちうどんだけでなく、餃子やワンタンも手作りで売っている]
ふたたびバスに乗って台北市内へ、そして地下鉄に乗り換えて北投温泉へ急ぐ。
北投温泉の共同浴場である瀧乃湯は夜9時までの営業らしいから、今から行くと「終い湯」と言うことになるかもしれないが、銭湯と異なり、源泉かけ流しの温泉なので、終い湯でも問題ないだろう。
新北投の駅に到着したのが夜8時、急ぎ足で瀧乃湯までの温泉公園沿いの道を歩く。
暗い道端には随分とたくさんの人が出ている。
みんな立ち止まってスマートフォンをいじくっている。
若い人だけでなく、年配者もスマホに熱中している。
何か台湾の人にとって大きな関心事項となるような情報でも流れているのだろうか。
瀧乃湯は閉まっていた。
営業終了と言う感じではなく、営業をしていない感じだ。
暗くてよくわからないが建物もなんだか取り壊しているように感じられる。
うーむ、瀧乃湯は大正時代からの浴場で、1世紀近くもほとんど補修もされずきていたから、とうとうボロ過ぎて営業停止にでもなってしまったのだろうか。
[瀧乃湯暫停営業の公告]
入り口に「暫停営業」の告知がされていた。
暫停営業とは、暫"定"営業ではなく、暫時停止と言うことだろうから、希望的には補修工事のため一時営業を停止していると解釈できなこともない。
しかも7月からだから、もう5か月も営業していないことになる。
やはり暗くてよくわからないが、本当に補修工事をしているのだろうかと心配になる。
告知分にもいつ再開されるかは書かれていない。
せっかく北投温泉まで来たのに残念。
でもせっかく来たのだからどこかで温泉に入りたい。
地獄谷入り口近くにも入浴施設があったような気がしたので向かってみた。
しかし、地獄谷温泉入り口の入浴施設は、どうやら個室浴場のようだ。
泉質は温泉だろうけど、大きな浴槽ではないはず。
これでは興ざめ。
公園沿いに坂を下ると、途中に公営の大きな露天風呂公園のようなものがあった。
入浴料金も40元と格安である。
入り口にはたくさんの人が並んでいる。
これは良さそうだと思ったが、中国語、韓国語、日本語などで書かれた注意書きを読んでみると、どうやら水着着用らしい。
しかも、水着にもいろいろと条件が付いている。
私は水着なんて持っていない。
残念だけど、次回来る時には水着を持ってくることにしよう。
この露天風呂公園の周辺でもたくさんの人がスマホをいじくっている。
私もWiFiに接続できたので、北投温泉の公衆浴場に関する情報を調べてみた。
ほとんどが瀧乃湯に関する情報か温泉ホテルの日帰り入浴情報だったが、北投駅の方へ下ったところに銭湯風の温泉公衆浴場があるらしく、しかも水着の着用も不要らしい。
温泉情緒などちっとも感じられない繁華街の中の道を北投駅方向にしばらく歩いたところに「本当にこれが公衆浴場か?」と思われるようなビルに公衆浴場はあった。
温泉マークのネオンに"24H"なんて表示されてて、なんとなく連れ込み宿のような感じもするが、入ってみると銭湯風の施設であった。
[浴場名は北投青磺名湯]
入浴料は120元。
瀧乃湯よりちょっと高い。
だいたい東京の銭湯と同じくらいの料金だ。
回数券や敬老パスのようなものもあるらしい。
[番台は銭湯風だけど改札口まである]
内部は脱衣室などなく、浴室の壁に棚があり、そこに脱いだ服を入れる形になっている。
洗い場にはシャワー、風呂イス、洗面器など一通りそろっているが、石鹸やシャンプーなどはない。
大きな浴槽が2つあり、超激熱と高温の2種類の湯がかけ流しになっている。
いずれも北投温泉の青湯でかなりの酸性。
超激熱は45℃±2となって、もし+2℃で47℃なんかで入浴したら火傷してしまうのではないかと心配になるが、デジタル式の温度計では44℃を示していた。
それでも、私など3分と入っていられないくらい熱い。
そして、浴槽の中でちょっとでも動くと、熱湯が痛い。
特に手の指先がビリビリと痛い。
むしろお腹や背中の皮膚の方が、熱湯に強いみたいで、痛みはそれほど感じない。
そんな熱湯風呂に、悠然と涼しい顔して長湯をしている人がいる。
きっと常連さんなのだろうが凄すぎる。
日本の我慢大会に出たら入賞確実だと思う。
もうひとつの、高温浴槽の湯温は43℃になっている。
これもかなり熱いが、この程度なら私でもなんとか入っていられる。
それにしても、44℃と43℃とは1℃しか違わないのに、皮膚感覚ではものすごく熱さが違って感じることに驚いてしまった。
ここの公衆浴場の良いところは、水風呂があることで真っ赤に茹で上がった身体を冷やすことができる。
また、浴槽の淵に腰かけてペットボトルの水を飲みながら、休憩していても文句は言われない。
入浴客は地元の商店主風の人が多く、高齢者も多い。
洗い場で石鹸を使ったが、酸性が強すぎるためかちっとも泡が立たない。
熱い湯に3分入っては、10分のびてを繰り返し、1時間少々を過ごした。
夜11時を過ぎているか、まだ地下鉄は走っており、行天宮あたりまで行き、そこから台北の夜道を散策しながら又一村へ向かう。
南崁は月夜だったが、台北では月が見えなかった。
曇っているのか、それともビルの陰にでも隠れてしまっているのだろうか。
午前1時過ぎ、又一村で水餃子を一皿食べる。
茹でたてではなく、少し冷めかかっているのが残念。
見ていると、注文を受ける前から水餃子を茹でて、茹で上がったら大皿に上げて注文を待っている。
お客の多い時間帯なら、回転が良いからそれでも茹でたてと変わらないだろうが、深夜だと客も途切れがち、注文を受けてから茹でてもよさそうなのに、ちょっと残念。
[深夜の又一村]
店の中には台北在住と思しき日本人男性数人がテーブルを囲んで、ビールなど飲みながら小菜を突いている。
既にだいぶ出来上がっている様子。
20個入りの冷凍水餃子(90元)を2袋買い求め、台北駅の空港リムジンバス乗り場まで歩く。
リムジンバス乗り場に空港行バスは止まっていたが、切符売り場は見当たらない。
バスには現金乗車はできないそうで、しかもこのバスにはスマートパスの読み取り機が付いておらず、悠々カードも使えない。
バスの運転手に「どうしたらよいか」と質問したら、「三重バス停の切符売り場で売ってるからそこで買えば良い」と言う。
三重と言ったら、台北から川を渡った隣り町ではないか、そこまでどうやって行けというのかと思ったら、そこまでこのバスに乗って行き、三重に着いたら切符を買えということらしい。
空港には午前3時に到着。
ラウンジは朝5時半まで閉まっているので、それまで適当に搭乗待合室にある寝そべることができるイスで仮眠を取ることにした。
気持ちよく眠りに落ちたと思ったら、まだ午前4時過ぎと言うのに周辺が騒がしくなった。
どうやら朝一番のマニラ行き搭乗待合室で寝ていたようで、気が付いたらフィリピンの人たちがたくさんいる。
きっと台湾へ出稼ぎに来ていて、これから故郷へ帰るところだから、みんなはしゃいでいるのだろう。
[台北のラウンジでもお粥の朝食]
5時半を待って、中華航空のラウンジに入る。
食べ物は朝食時間帯と言うことで、朝食メニュー中心にそろっていた。
しかし、朝食だからかビール以外のアルコール類は用意されていないようだった。
シャンパンブレックファストとはいかなかったけれど、朝のビールと言うのは旨い。
バンコクへの機材もジャンボで、2階席のビジネスクラスシートに座らせてもらう。
旧式のシートだからか、フルフラットにはならないけれど、足は延ばせるし、背もたれも深く倒れるので、昨晩の寝不足解消には好都合だ。
[2階席はシートの前後間隔がとにかく広くて身長183cmの私には特にうれしい]