9月30日(金)~10月01日(土)
9月はアパートと職場を往復するばかりの毎日だった。
週末も半分以上は出社して、早朝から深夜まで職場に籠っていた。
たまの休みは掃除や洗濯などの家事に追われて、ちっとも休んだ気にならなかった。
[通勤に使っているバイクのめーたーが77777.7kmになった でも掃除してないので汚くて恥ずかしい]
そんな9月が過ぎるとしばらくはまたのんびりした毎日に戻れる。
それをほんの半日ばかり先取りして、仕事を半ドンで切り上げて空港に向かう。
火曜日まで休みを取って、日本へ一時帰国。
毎度マンネリ化している中華航空を利用しての台北立ち寄りプラン。
もともとはバンコクを夕方に出発して、深夜の台北発成田行きに乗り継ぐつもりだった。
しかし、航空券購入後しばらくしたら深夜の台北発成田行きが欠航になるとの連絡が届いた。
乗り継ぎ便は朝9時前の便になるとのこと、、これではスケジュールが半日ずれる。
台北での乗り継ぎ時間も10時間以上となる。
日中の10時間なら台北の街で遊べるが、深夜の10時間では時間を持て余す。
台北でのホテルの提供有無を中華航空に確認してもらったが、ホテルの提供はないけど、航空券の払い戻しには応じるし、予約の変更も可能とのことだった。
それでも、すでに休暇の申請も済ませているので、いまさら変える気はない。
しかし、塞翁之馬、今回便の欠航により振替となった航空便はCI-100便、ジャンボジェット機での運航。
この機材、2階席をエコノミークラスとして開放している。
しかも座席はジャンボのビジネスクラス。
これは前回の一時帰国で味をしめてしまった。
電動のリクライニングは倒してしまえばベッドみたいなものだし、備品も良い。
前後の間隔もゆったりしている。
もちろんそんなシートを私のような格安航空券利用者が利用するには競争が激しく、すでに一般用の予約可能席は埋まっていた。
それでも、航空会社の上級会員用の席はまだ残っているようなので、今回の欠航で便が振替になり、長時間の乗り継ぎ待ちを了解する交換条件として、2階席を希望したところ、すんなりと往復とも2階席を用意してもらえた。
これはなかなかラッキーであった。
[ネコはお留守番]
バンコクの空港までエアポートリンクで向かい、搭乗手続き。
なんだかチェックインのシステムが不調なようで、一人当たりの手続きにかかる時間が長い。
ウェブチェックインも済ませてあったので、私自身のチェックインにはさほど時間がかからなかった。
出国審査も空いている時間なのか、スムースに抜けられた。
この2年間日本への一時帰国はずっと中華航空に乗り続けてきたので、今回から中華航空のゴールドメンバーに昇格させてもらえた。
何がうれしいって、ラウンジが使えることである。
いつもの空港ラウンジもサービスは悪くないが、アルコール飲料は一杯だけとの制限があった。
しかし、航空会社のラウンジなら飲み放題である。
いそいそと中華航空のラウンジに向かう。
昼ごはんもまだ食べていなかったので、ラウンジでの軽食が楽しみ。
そのラウンジが満員の大盛況。
私は台湾人のグループの中のソファーに相席させてもらった。
ビールはスーパードライからスタート。
中華航空の機内で提供される日本のビールはサッポロ系だったけれど、バンコクのラウンジはアサヒらしい。
そう言えば成田のラウンジはキリン一番搾りの生ビールサーバーだった気がする。
飲茶、ワンタン麺、白ワイン、サンドウィッチ、ブランデー、フルーツと手当たり次第に食べて飲み、満足したところで搭乗ゲートへ向かう。
[まずは台北まで3時間ほどのフライト]
出発は少し遅れて、離陸したのは6時近くになっていた。
機内では寝ていこうかと思っていたが、映画を見てしまった。
「世界から猫が消えたなら」
この映画、今年になってバンコクの映画館で見ていたが、ついついまた見てしまった。
全体のストーリーはともかくとして、どうしてアルゼンチンのロケが必要だったのか不思議に思われた。
函館が舞台となっているのだから、わざわざ地球の裏まで行かなくても良いだろうに。
脳腫瘍で明日にも死んでしまうかもしれない主人公が思い出などの大切さを理解して、死に向き合おうとするまで描いていたが、私は猫のことばかり考えていた。
うちの猫が死んでしまったらどうしよう。
うちの猫ももう7歳になった。
まだまだ元気だけど、あと10年とは生きていてくれないだろう。
死んだらお墓を作ってあげるべきだるうか、どこへ埋めてやろうか、タイに埋めたままで日本へ帰るのは忍びない。
火葬して遺骨を持ち帰ろうか、涙が出てきてしまう。
[中華航空の映画ラインナップ 私の好みに合っている]
台北には夜10時過ぎに着陸した。
機内では配られた機内食をしっかり食べてしまい、ワインも飲んでしまった。
台北での乗り継ぎ時間を利用して、最近恒例となっている台北市内の又一村の水餃子でも食べようかと思っていたが、ちっとも空腹を覚えない。
それでも、空港内をウロウロしたりしているより台北市内を歩き回った方が面白そうなので、市内行きの高速バスに乗る。
高速バスには韓国からの観光客がたくさん乗っていた。
日本人はいないようだ。
天気が心配だったけれど、幸い雨は降っていないようで、ハイウェイの路面も乾いてライトに照らされ白く見える。
雨が降って困るのは、私の靴底には穴が開いていて、水たまりでもあれば、浸水してきてしまう。
もともと市場の靴屋で130バーツほどで売られている靴で、靴底のゴムも薄く、如何にも安物と言った靴なのだが、軽いし柔らかいいので気に入って、毎度同じタイプの靴を買っている。
そして大体半年程度で履きつぶしてしまっている。
今回も穴も開いて引退させるところだったのだが、靴屋に行きそびれたり、靴屋が締っていたりで、まだ履き続けている。
[ジョギングも買い物も、半年間この靴を履いてました]
パスは台北市内へ入り中山北路のアンバサダーホテル前のバス停で下車する。
もう11時を回っており、人通りもほとんどないし、店も閉まっている。
屋台街や夜市のある場所ではなく、こんな時間にウロウロしてもあまり面白い場所ではない。
やはり又一村の方角へ歩いてみる。
主に日本人観光客や駐在員向けの飲み屋が集まるエリアに又一村はあり、酔っ払いと客引きとお水系のお姉さんでにぎわっているエリアでもある。
見るだけの社会勉強としては、面白い場所だと思っている。
日本語の店名がならぶバーの中の一軒に入ってグラスを傾けるより、コンビニで缶ビールでも買って飲むような倹約志向だし、カラオケでマイクを握るには音痴すぎる。
バンコクでも日本人向け歓楽街のタニヤという夜はやたらとケバケバしい場所があるが、台北の裏通りにある飲み屋街は、昭和の新宿裏通りを感じさせるノスタルジックな雰囲気がある、
少し先まで歩くと、ハングルの看板が目立つ一角に出た。
韓国人専門の店というわけではなく、なんとなく一昔前の赤坂にある韓国クラブ街のような雰囲気で、焼肉屋に入っているお客の多くが日本人のようだった。
「あんた、お酒飲みたい?」と台湾独特の妙なアクセントのちょっと甲高い声をかけられた。
振り返ると小さな飲食店の並ぶ路地で小柄な女性が声の主で、歳はよくわからないが60前後ではないだろうか。
きっと路地の中の店でママでもしているのだろう。
「いいや、今は飲みたくないよ」と答えて素通りする。
又一村は深夜12時を回ってもお客が入っている。
お水系の女性と、酔客のペアもちらほら、1時間ほど歩き回っているが、私はまだ満腹のままなので、又一村の水餃子は今回諦めることにする。
南京東路を西に向かい、円環の北側に伸びる屋台街をひやかす。
時間が遅いからか、それとも最近は繁盛していないからかわからないが、往年の屋台街の活気はなく、屋台も、店もずいぶんと減ったように感じた。
午前2時近くのバスで空港へ戻る。
航空便の発着がほとんどないためか、ターミナルはがらんとしており、出国審査の窓口も一つがぽつんと開いているだけだった。
これでラウンジのソファーで転寝でもしていようと思ったのだが、あろうことかラウンジが閉まっている。
この時間に発着する中華航空がないからなのだろう。
朝5時半から営業再開らしい。
然らばと、ターミナル連絡シャトル乗り場近くにある休憩場所へ向かう。
ここにはたっぷりと間隔を取って、ゴロリと寝られるような大きな椅子がある。
寝るのだったらラウンジのソファーよりも快適そうである。
[こんな椅子で夜明かししました]
180度、フルフラットシートと言うわけにはいかなかったが、目が覚めると目の前の大きな窓から朝焼けが眺められた。
時刻は6時前。
もう少し寝ていたい気もしたが、さっそくラウンジへ行って朝食にしたい。
小腹もいい具合に少し空いてきている。
[目が覚めたに目の前にはこんなきれいな朝焼けが広がってました]
ラウンジにはすでに先客が結構入っている。
従業員食堂風の豪華さがちっとも感じられないラウンジ内の食堂で、まずは牛肉麺。
台湾製の「北海道ビール」、飲茶、ワイン、ウインナーソーセージ、地瓜と言う焼きいも、、、
満腹、満足。
社員食堂風から、上の階のソファーがあるラウンジへ移動して、ハイランドウイスキーをオンザロックにしてチビチビ。
朝からウイスキーなんて幸せ。
[台北空港ラウンジの牛肉麵 たっぷりの豆板醤を入れてみました]
10時間以上の乗り継ぎ時間も無事に過ごして、成田行きのジャンボに乗り込む。
お待ちかねの2階席はビジネスクラスのシート。
ちょっと離陸が遅れたけれど、成田までは3時間とかからずに飛んでしまうらしい。
こんなシートなら6時間くらい飛んでいてくれても構わない。
ぐっすりと寝ていけそうだけれど、貧乏人の性で、機内食をしっかり食べてしまう。
「魚ご飯」と言われたが、とんでもなく脂ののった大きな魚の切り身を甘いタレ焼きにしてある。
これがなかなかおいしい。
食感としてはウナギの蒲焼に似ていなくもないが、ナマズにも似ている。
いったいなんという魚だったのかスチュワーデスさんに聞きそびれてしまったが、2階席を担当しているスチュワーデスさんに日本人はいないようだったから、仮に中国語でうまく質問できたとしても、その答えとなる魚の中国語名を私が聞き取って理解できるとは思えない。
昔は、中華航空に限らず、エコノミークラスでも機内食のお品書きを配っていたものだが、もしそんなお品書きがあったら、魚と料理法も悩む必要がなかっただろう。
昔に比べて航空券代は安くなったけれど、エコノミークラスのサービスはずいぶんと落ちたように思われる。
食後はシートをいっぱいまで倒し、足も思いっきり延ばして寝てしまう。
襟元まですっぽりとくるまったブランケットも厚手の高級品。
気持ちよく眠りに落ちたかと思ったら、すぐに着陸態勢に入ったとかで、起床時間となってしまった。
[これがエコノミー切符でも乗れるビジネスクラス サービスはエコノミーのままです]
成田到着は午後1時少し前。
入国審査も日本人レーンはガラガラ、並ぶことなくスタンプが押され、荷物受け取りのターンテーブルへ。
ここまで飛行機を降りてから10分とかかっていなてと思うが、ターンテーブルにはもう私のカバンが回っている。
今回PRIORITYタグを付けてもらっているとは言え、なんとスピーディーなのだろう。
これがバンコクだったら、入国審査も遅いし、荷物はさらに遅い。
意気揚々といつもの格安高速バス「東京シャトル」のカウンターへ。
先週、事前に乗車券をネット割引の900円で買っておこうと思っていたが、なんと売り切れになっていた。
もともと成田から東京へのバスは便が指定されるわけではない無予約のハズだが、どうも1日の販売枚数を40枚程度に制限しているらしく、先週の段階で「売り切れ」となっていた。
当日券は1000円となるが、それでも電車より安いので「東京まで1枚」と言うと、「次は1時40分発のご案内」とのこと。
まだ30分も待ち時間がある。
そんなに待ちたくないし、バス停で乗り込めないかと思いバス停に向かったが、東京シャトルは切符がなければ乗れないとのこと。
しかし、別会社の「アクセス成田」と言うバスは運賃は同じく1,000円で、バスに乗る時払えば良いらしく、しかも5分と待たずにやって来た。
乗り込んだ時はガラガラだったけれど、途中の第3ターミナルで満席となり、積み残しまで出る盛況ぶりであった。
車内にはWiFiもあって、サービスは「東京シャトル」より良いようなのだが、東京駅でバスを下車する場所が八重洲中央通りであるのが私にとっては不便である。
私はJRではなく、地下鉄東西線を利用するので、日本橋側が発着となる東京シャトルの方がやはり便利なようだ。
[成田空港第3ターミナルから満席に アジア系外国人観光客も目立った]
東京の自宅にたどり着いたのは午後4時。
バンコクのアパートを出てから約24時間かかったことになる。
まったく酔狂が過ぎている。
[多摩地区にある自宅周辺ではキンモクセイの香りがあちこちで漂っていました]