5月13日金曜日
朝起きてみるとなんだか少しのどが痛い。
ぬるめの温泉ばかりに浸かっていたからだろうか?
風邪のひきはじめなんかでなければよいのだが、今回の予定は結構ハードで体力勝負。
体調が悪くてはスケジュールが崩れてしまう。
[蘆山温泉の朝 深い谷なので朝が遅い]
[寒いのか温泉のお湯が流れる排水溝の蓋の上で寝てる子犬も]
[窓の下は谷川]
宿の周りを少しだけ散歩してから、朝風呂とする。
大浴場ではなく、部屋についているお風呂。
小さいバスタブ式のお風呂だけれど、お湯は温泉だし、手桶もあれば、洗い場の床には木の簀の子まで敷いてあるのがうれしい。
入浴をし、髭を剃り、さっぱりしたところで朝食会場へ向かう。
[部屋の風呂]
朝食会場は昨晩と同じ場所。
テーブルも同じテーブル。
昨晩は大きな炊飯器がありセルフサービスでご飯をよそった場所に、今朝は白粥とコーヒーに豆乳、そして饅頭があった。
台湾の朝食で白粥というのはおいしい。
台湾では白粥以外に芋粥なんかもあったりもするのだが、今朝のお粥は白粥だけだった。
おかずはやはりプレートに盛られていて、内容はスクランブルエッグ、青菜炒め、きゅうりの漬物、ピーナッツ、肉のデンブ。
[セルフサービスコーナー 棚の上にネコが隠れてます]
[お粥のおかずプレート]
8時40分のバスに乗って蘆山温泉を離れる。
乗客は私一人きり。
ただし、私も途中の春陽部落で降りてしまったので、この先バスは空気を運ぶことになってしまった。
[昔からの高級旅館、天蘆も営業停止中]
春陽部落からは細い坂道を上り、小学校を越えたらば人家も途切れて森の中の道となる。
急な上り坂だけれども、舗装もされていて時々自動車も走ってくる。
そんな中で後ろからやってきた小型トラックの運転手が声をかけてきた。
「どこまで行くんだ?乗せるよ」
以前もこのあたりの山を歩いていると「乗らないか?」などと声をかけられたものだ。
しかし、私は歩きたいから歩いているので、好意には感謝して、歩き続ける。
春陽村から歩いてきた道が省道に出る。
この道をずっと行けば、花蓮である。
今回はそのうちの翠峰というところまでできるだけ歩いてみようと思っている。
省道も上り坂で、斜面には野菜畑、特にキャベツ畑が多い。
また摘み取ったお茶を乾燥させ製茶する作業場もある。
天気予報は外れて、青空の好天に恵まれ、周囲の景色が良い。
ただ、省道には大型トラックやトレーラーが頻繁に走っており、それらに抜かされるときは、ものすごい排気ガスと巻き上げられる埃で、しばらく立ち止まってしまう。
[省道は交通量が多い]
途中の検査站というバス停から寿亭というバス停まで2キロほどバスに乗る。
寿亭から先も交通量はそれなりにあったが、途中の見晴らしはさらに良くなり、歩いていても気持ちが良い。
[中央山脈の山なみ]
[案内されているのはいずれも3000メートル級の山々]
国民賓館というところから先は遊歩道も整備され、排気ガスを浴びることもなくなった。
ただ遊歩道は森の中に伸びており、視界は今一つである。
遊歩道を通ってたくさんのハイカーたちが下ってくる。
ずいぶんよく整備されていると思ったら、途中に料金所があった。
ここは清境農場で入場料として平日160元、休日200元を徴収していた。
省道を歩けば料金はかからないがもせっかくだから気分の良いところを歩きたいので入場料を支払って中に入る。
以前はこの清境農場では牧畜や養蜂、高原野菜栽培などを行っている見晴らしの良い農場に過ぎず、入るのに入場料などかからなかったような気がするが、現在は人気行楽地となり整備も進んだようだから、仕方ないのかもしれない。
それに園内ではショーなどの催し物やアトラクションの施設が何か所もあり、1日楽しめる施設になっているようだ。
[ここで入場料を支払う]
入場料を払って領収書を受け取ったが、さらに手の甲にスタンプを押された。
これはこの先にもう一つ料金所があり、このスタンプを見せればフリーパスになるというものらしい。
山の斜面を登る遊歩道は階段になり、何百メートルも続いている。
階段なので一気に標高が稼げてしまう。
森の中で一匹の羊を見かける。
以前は乳牛もたくさんいた記憶があるが、今回はまだ牛を見かけない。
しかし、この農場にはいるはずで、売店ではこの農場の牛乳や乳製品が売られている。
馬もいるが、今は観光用の乗馬らしい。
[園内の案内地図 本当はゆっくり過ごすべきところのようだ]
森を抜け2つ目の料金所を過ぎると、緑の牧草地が広がる斜面に出た。
ここが青青草原なのだろう。
視界を遮るものがないから、見晴らしはよいし、大地はみずみずしい緑に覆われている。
また、ところどころに白い綿羊がいてアクセントになっている。
[青青草原 好天に恵まれました]
[こんなところはピクニックで来るべきですね]
タイの人同様に台湾の人たちも写真が大好きであっちこっちでポーズを決めていたりする。
結婚式衣装で撮影している人もいる。
私も自撮りに挑戦してみるが、うまくポーズも顔の表情も決まらない。
[自撮り 羊たちに笑われている気がする]
[気恥ずかしくて近づけません]
再び省道に出て翠峰を目指して歩き始める。
翠峰から先へ行くバスは1日一本だけ、翠峰を午後1時前に通過するはず。
時刻はまだ10時なので時間はたっぷりある。
この省道沿いにはペンションのような宿泊施設があちこちにある。
いずれの建物も洋館風だったりスイスのロッヂ風だったりして、台湾ではないようだ。
自然も険しい山や深い谷、そして緑の草原が広がる斜面など、アルプスにでも来ているかのような景観を見せている。
しかし、やっぱり台湾なので看板などはやたらと派手で大きく、文字は漢字である。
[ここはハイジの世界かも]
海抜2050メートル。
ここんなところにもセブンイレブンがあった。
もっとも高いところにある店みたいなことが書かれている。
日本で標高がこのくらいの場所でコンビニなどあるのだろうか?
店の入り口にはガチャポンがいくつかおかれていた。
これなんかはきっと世界一高いところにあるガチャポンではないだろうか?
[世界一高いところにあるガチャポンかも]
[赤い葉っぱが青空に映える]
松岡の派出所を通り過ぎる。
このあたりには戦後雲南省出身者が多く入植に入っているからなのか雲南料理の食堂が目に付く。
渡橋米線という雲南料理を以前に昆明で食べたことがあり、大変においしく、私の好物の一つになった。
チェンマイの北、メーサロンも雲南省出身者が多く、雲南料理が名物になっているが、メーサロンでは渡橋米線を見たことがなかった。
その私の好物である渡橋米線をメニューに掲げた店もここにはあるのだが、朝食の食べ過ぎでまだ食欲が沸いてこない。
[山つつじが咲いていた]
だんだん海抜も高くなり、森の中の道で視界があまり利かなくなる。
松の木が多く、松ぼっくりがたくさん落ちている。
また、木々の幹の表面はびっしりとコケに覆われている。
松岡から翠峰まではすぐで30分も歩けばつくだろうから、翠峰から先までも足を延ばそうかなどと考えたりしていた。
そんなことを考えながら歩いていたら警察車両に呼び止められた。
「どこへ行くんだ」
ダウンジャケットを着こんだ運転席の警察官は別に職務質問をしている感じではない。
「翠峰まで」
と答えたら、「乗ってけよ」と誘われる。
しかし、こんどもまた謝辞して歩き続ける。
あと2キロくらいだろうと思って歩いているが、どうやらまだ相当先らしい。
歩いても、歩いても、翠峰にたどり着かない。
一本道だから道に迷うわけではないが、そろそろバスの時間も迫りつつある。
[徒歩での登りはここまで]
結局それから一時間以上もかかって翠峰に到着。
時刻は12時半になっている。
気温は低いが、ずっと坂道を歩いてきたので汗だくである。
以前の翠峰は古い木造の警察官舎が木立の中に一軒あるだけのところだったが、今は派出所もコンクリート製で立派になり、隣には大きな2階建ての警察の宿舎まであった。
[翠峰の警察宿舎]
派出所の前には黒い犬が2匹いて、人懐っこい。
台湾の山には昔から黒い犬が多く飼われており、やたらと吠えるモノがいるが、懐くのもいる。
犬と遊びながらバスを待つ。
さっきまで晴れていた空が曇り始めてきた。
春陽から翠峰まで約20キロ、途中少しバスにも乗ったがよく歩いたものだ。
それも上り坂ばかり、明日あたり筋肉痛になりそうだ。
合歓山を越えて私を大禹嶺まで運んでくれるバスは1時少し前に来た。
小型のマイクロバス。
若い人は乗っていなくて、乗客は10人にも満たない。
「どこまで」と運転手に聞かれ「大禹嶺まで」と答えたら、
「花蓮行きのバスは3時50分」と教えてくれた。
[豊原客運の豊原発梨山行バス]
この翠峰からは絶景の連続になるはずなのだが、バスが走り始めてすぐに濃い霧が立ち込めてきて視界がまるで効かなくなってきた。
30年前にバイクを借りてここまで登ってきたことがある。
その時は晴れていて、素晴らしい眺めだった。
もう一度眺めてみたいと思って今回のスケジュールを組んだのだが残念。
[霧が深くなってきた]
そのうち土砂降りの雨となった。
濃い霧もかかったままで、時速も30キロ以下のノロノロ運転。
それでも行楽客の乗用車は多く、道も詰まり気味。
自転車でここまで登ってきて、この雨に降りこめられて、岩陰で雨宿りをしているサイクリストもいる。
[とうとう本格的な雨になった]
武嶺を過ぎるあたりから雨は上がった。
たぶん雨雲よりも高いところまで登ってきたのだろう。
霧も薄くなり、絶景が見え隠れし始めてきた。
[雨は上がり、山が見えてきた]
13時40分、合歓山に到着。
ここで5分休憩。
晴れてはいないので、期待していたほどの景観は眺められなかったけれど、さすがに標高3000メートルを超えて、山には背の高い木は生えておらず、岩と草の斜面が折り重なる峰を覆っている。
合歓山の尾根には岩がまるで恐竜の背骨のように頂上へ向かってならんでいる。
こんなに高い山の上まで来たのはブータン以来ではないだろうか。
こんな高いところでもiTaiwanのWiFiに接続することができた。
ここにある山小屋は本日満室との表示が出ていた。
そしてずいぶんとたくさんの観光客が来ている。
ほとんどが自家用車で来ているようだ。
このあたりも自然保護のために上高地のように自動車の乗り入れを規制すべきではないかと思った。
[このあたり冬には雪が降り積もる]
[ビジターセンターから合歓山の山頂を見上げる]
数人の乗客を降ろして、車内も閑散としてきたバスは下り坂になった道を進む。
斜面にのあちこちにシャクナゲが咲いている。
時間があれば乗り物などに乗らず歩いてみたいところだ。
[あちこちにシャクナゲが白い花を咲かせている]
合歓山からは30分も走らずに大禹嶺の交差点に到着。
私一人がここのバス停で降りる。
バスはそのまま交差点を左折し、トンネルに入って東西横貫公路を梨山まで走る。
この東西横貫公路は花蓮と台中を結ぶ幹線道路で、私も昔は何度も利用したことがあるし、昔はバスが毎日何本も走っていて、10時間くらいで花蓮と台中を結んでいた。
しかし、もう10年以上前に山崩れで道路が崩壊し、それ以降バスは通じていないそうだ。
ここまで乗ってきたバスも不通区間を迂回するために合歓山を経由して1日がかりで走っているとのこと。
そのおかげで私も合歓山をバスに乗って楽々越えられたのである。
またここから花蓮へもバスの便は1日1便しかなく、大変不便である。
[大禹嶺からまだバスは梨山へ]
その1日1便きりのバスまでまだ2時間近く時間がある。
しかし、この大禹嶺のバス停周辺には、食堂などない。
作業小屋ではないかと思われるような家屋がパラパラと点在し、店と言ったら高原野菜を並べた簡易な店だけ、あとは公衆トイレと信号機があるくらいだ。
また霧も少し流れているし、息が白くなるくらい気温は低いので、ここでじっとバスを待つより少し先まで歩いて山を下ってみることにする。
[ここで標高2565メートル]
[大禹嶺のネコと遊びながらバスを待つという手もあった]
原生林の中に続く道をしばらく歩いていたら、大禹嶺派出所まで4キロとの表示があった。
派出所あたりには集落でもあって、食堂なんかもあるかもしれない。
そこで遅い昼でも食べればバスの時間にちょうどよさそうだ。
[ここで標高2500メートル 6キロで標高差500メートル]
柘植や松の木が多い森林で、この道路以外はまさに人跡未踏といった感じである。
歩いていても民家など一軒もない。
ただ1か所、道路工事をしているところがあり、そこには作業員もいて、工具が唸る音が響いていたが、それ以外は鳥の鳴き声が聞こえるだけの静かな下り道であった。
車もほとんど走ってこない。
[原生林の中の一本道]
途中で緋桜を咲かせている木があった。
季節外れの狂い咲きであろうか?
それともこのくらい山の高いところに来ると、今が開花時期なのだろうか?
[このあたりの何本かが赤い花を付けていた]
1時間近く歩いたところで警察派出所があった。
派出所といっても建物は大きくて立派だ。
警察署としてもおかしくないくらいだ。
しかし、周辺に民家は一軒もない。
派出所の中に入って、「この前にバスは止まりますか?」と聞いてみる。
しかし、この前にはバスは止まらず、もう少し下まで行ったらガソリンスタンドがあって、そこに4時ころバスが来るはずと教えてくれた。
この派出所でもiTaiwanのWiFiでネットに接続することができた。
ネットで地図の確認をすることもできた。
[大禹嶺より200メートルほど標高が下がった]
ガソリンスタンドの周りにも民家はなかった。
公営の青少年向け山荘が、道から反れた山の中にあるように描かれていた。
ただこのガソリンスタンドではチマキを売っていた。
口に入るものは、このチマキとコーヒーだけで、あとは石油製品しか売っていない。
お腹もすいてきたのでチマキを買うことにした。
35元也。
台湾のチマキは漢字で肉粽と書くがごとく、もち米の中に豚肉がたっぷり詰め込まれたボリュームのある食べ物だ。
これで35元なら安い。
台湾のコンビニでも日本風のおにぎりが売られており、これも一つ35元くらい。
しかし肉粽と比べたらボリューム感がまるで違う。
だいたいここのはおにぎりの倍くらいの大きさがある。
チマキを頬張り、昨晩飲み残した粟酒をチビチビりながらバスを待つ。
このガソリンスタンドは関原と言うところにあり海抜が2374メートル、台湾で一番高いところにあるガソリンスタンドだそうだ。
[台湾最高所のガソリンスタンド]
[G.S.の肉粽 なんとか食べ物にありつけた]
4時に花蓮行きのバスがやってきた。
乗れなかったら一大事なので、大きく手を振ってバスを止める。
乗り込んでみると乗客は一人も乗っていない。
始発の梨山からここまで1時間ほど走ってきているはずだが、乗客など誰も乗せずに来たようだ。
たった一人の乗客を乗せて、バスは細い山道をくねくねと下っていく。
対向車があれば容易にすれ違えないようなところでも、かなりのスピードで走る。
中国製の中型バスで、サスペンションが良くないのかよく揺れる。
カーブも急で、先ほど飲んだ粟酒が胃の中でシェイクされ、再発酵でも始めたようだ。
あんまり気持ちよくない。
[延々と崖に這いつくばりながら道は続いている]
[雄大な山並み 崖崩れの爪痕も]
ほとんど人家のない原生林の中をバスは走る。
崖に這いつくばったような道で、時々素掘りのトンネルもくぐる。
途中から乗ってくる乗客はなく、バス停そのものもないようだ。
5時半、天祥に到着。ここで30分休憩。
渓流の対岸、岡の上に中国風の赤い多重の塔が立っていて、そこまで行ってこようかとも思ったが、下から写真を撮るだけにしてバスに戻る。
[太魯閣峡谷の終点 天祥]
ここ天祥は台湾を代表する観光地太魯閣峡谷の終点に当たる場所で、このバスが本日最終の花蓮行きとなるのだから、多くの観光客が乗り込んできてよさそうなものだけれど、やはり誰も乗ってこなかった。
天祥にしてもたくさんまだ観光客は残っていたし、観光客がいないわけではなく、当世の台湾では観光旅行に出かけられる人は、自家用車を持っており、クルマで観光に出かけるのだろう。
そしてバスに乗るのは自家用車を持っていない人たちだけになったということではないだろうか?
こんなに乗車効率が悪ければ、そのうちにこの路線は廃止されてしまうのではないだろうか。
[大理石の峡谷を流れる立霧溪]
天祥から先、薄暗くなってきたとはいえ、太魯閣をバスの窓越しに眺めることができた。
さすがは台湾を代表する景勝地で、大理石の峡谷は何度来ても素晴らしいが、以前に比べると、峡谷の断崖にノミで筋を引いたような隘路が、ずいぶんと整備され、危険な場所はトンネルで抜けるようになっていた。
安全で快適になったわけだが、太魯閣の魅力は危険と隣り合わせのスリルだっただけに、ちょっと物足りなさを感じた。
[まだこうした粗削りな場所も残っている]
[せっかくの景観が上手く写せていなかった]
太魯閣峡谷沿いからは何人かの乗客を拾った。
一組のは中国語を話していたが、あとは外国人観光客であった。
花蓮の町が近づくと地元の人たちもバスに乗り込んでくるようになった。
幹線道のバイパスではなく、旧道で集落を一つずつ回る運行をしているのも乗客をかき集めるためのようで、花蓮を目前に時間がかかりはじめ、花蓮到着は7時過ぎになっていた。
降りた場所は花蓮の旧鉄道駅前にある花蓮総站である。
以前は立派なバスターミナルがあり、前のロータリーには蒋介石だかー孫文だかの銅像が立っていた。
しかし、いまはすべて更地になっており、銅像もなければバスターミナルもくなり、簡易なバス停の標識が一本立っているだけに成り下がっていた。
予約してある富凱大飯店は歩いてもすぐの場所にあった。
チェックインしてエレベーターで上へ昇る。
やたらのんびりしたエレベーターだった。
部屋は9階でツインベッドの狭い部屋であった。
しかし、WiFiが使えるのはありがたかった。
[清潔だったけど 窓のない部屋でした]
ネットが使えたので花蓮に来たら食べておこうと思っていた液香扁食というワンタンの名店の場所を確認することができた。
ここのワンタンは以前にも一度食べにいったことがあったが、名店とはいっても路地の奥にある目立たない店で会った記憶がある。
ネットで確認したらやはり大通りから横道に入ったところと表示されていた。
宿からは中正路というにぎやかな通りを歩き、10分ほどでたどり着けた。
早速注文。
一人前65元で、前金制。
カウンターでお金を払ってテーブルで待つと使い捨て容器に入ったワンタンが運ばれてきた。
ワンタンは箸を使わずにレンゲスプーンだけで食べるようだが、ワンタンも具がしっかり入っていて、一口では食べきれないサイズのようだ。
[台湾一旨いとも言われる液香扁食のワンタン]
カバンの中に忍ばせてきた紹興酒を取り出し、やはり使い捨ての紙コップに注いでワンタンを食べながらクイクイやる。
ワンタンは白くて柔らかな皮で豚肉をたっぷり包んであり、確かに美味しい。
以前に来たときはずいぶんと薄味だったような記憶だったが、今回食べてみたら、味はかなりしっかりしている。
また、以前は蒋経国総統が来店した時の記念写真などを飾っていたが、今は馬英九総統の記念写真になっていた。
壁の写真の馬総統も今度の20日に総統に就任する民進党の蔡英文新総統に変わるのだろうか?
なお、この店食べていく人よりも冷凍にしたワンタンを土産として買い求めに来る人の方が多いようだ。
[路地裏のどこにでもありそうな店構えです]
ワンタンを食べ終わって店を出たらば土砂降りの雨になっていた。
雨の中、折り畳みの傘を差しながら夜の花蓮の町を歩く。
特産の大理石などの加工品を土産物として売る店は昔通りたくさんある。
また、もともと観光客相手の商売が中心の花蓮の町なので、土産用として芋餡を使ったお菓子の店も多い。
中には戦前からあるというヱビスという店などは、戦前のノスタルジックな雰囲気を演出しているところもある。
また店の職人の姿を大きく描いた「炎の料理人」のような店もあった。
猫グッズの店もある。
ワンタン屋も町のあちこちにある。
[花蓮にもネコグッズの店があった]
[猫眼玉 ネコの目玉を売っているわけではありません]
雨でズボンが濡れる。
靴も水が浸みてきて、グチャグチャ、びしょびしょ。
先ほどバスを降りた先が観光夜市になっていたが、この雨で観光客の姿はあまり多くないようだ。
その観光客もほとんどが中国大陸からの観光客のようだった。
[花蓮の観光夜市 中国人観光客だけ「雨にも負けず」]
もう少し何か食べようかとも思ったが、早く帰ってシャワーを浴びたくなったので、宿へ戻ることなした。
途中、コンビニで豆乾という豆腐の加工品のような台湾スナックを買う。
この豆乾はシャワーを浴びた後、紹興酒や粟酒のお供としてつまむ。
あぁ、本当に今日はよく歩いた。
明日あたり筋肉痛になりそうだ。
雨にも濡れたし、今夜あたりゆっくりお風呂にでも浸かりたいと思うのだが、今夜の宿にはシャワーしかない。
[もともとはバスタブもあったんだろうなぁ、、]
後編へ続く