3月9日 土曜日
ずっと休みをとっていない。
睡眠不足でもあり、このままだと思考が委縮してしまいそうだ。
来月には数日の休みをとって、一時帰国しようと考えているけど、そろそろ限界かなと思う。
昼過ぎまで仕事をして、この週末は仕事が甘そうだと判断して、早引けしてしまう。
明日も昼からの出社にしてしまえば、どこか近郊で気分転換に一泊してこれそう。
このピサヌロークの街のホテルに泊まってもいいだろうけど、それだとなんか気分転換が不完全燃焼してしまいそう。
そうだ、温泉に行こう。
隣のカンペンペット県には温泉がある。
温泉に入って、ビールでも飲んだら完全燃焼間違いなしだろう。
ネコも長いこと洗ってあげていないので温泉に入れてシャンプーしてやろう。
ネコにはいい迷惑かもしれないけど、シャンプーすれば毛並みも良くなるはず。
ピサヌロークからカンペーンペットまでは100キロ少々。
車で1時間半ほどの距離。
車は埃と鳥の糞と、なにやらよくわからない汚れが付着して、ひどいことになっている。
温泉で時間があれば洗車もしてやろう<
みんな綺麗になって気分転換しよう。
[カンペーンペットのプラルアン温泉/翌朝の撮影]
日没前にはカンペーンペット県のプラルアン温泉に到着。
すでに事務所は閉まっていたが、宿直の管理人らしい男性はいて、いつでも温泉には入れるしバンガローにも空きがあるので宿泊できるとのこと。
もちろん泊りがけのつもりでいる。
しかし期待外れだったのは、バンガローで、バンガローには温泉が引かれていない。
しかもシャワーはあるけどバスタブはない。
温泉に入るなら一回80バーツ払って個室の温泉小屋を利用することになるそうだ。
その点では、以前よく行っていたウタイタニ県のサモートーン温泉はよかった。
でも、せっかく来たんだから、泊まって温泉してビールを飲みたい。
ビールも2本くらい飲んじゃおうか。
[料金表 浴室代50バーツに入浴料30バーツがかかります]
が、これ期待外れで、「ここには夕食の食べられる食堂はない」とのこと。
では、どこで食事ができるかと言うと、「今日は村で市が立つ日だから、そこへ行けばいろいろと売ってるよ」と言われる。
つまり村まで出かけなくてはならない。
ここまでの道中に市が立つような村など見かけなかったから、今来た道と反対方向なのだろうか。
さっそくネコと一緒に温泉に入る。
ネコをしっかり抱いて、バタつかないように手足を抑えながら、ゆっくりと大きな浴槽に沈む。
丸い風呂で直径が2メートルはありそうで、お湯はかけ流し、もっとも温泉の温度は60℃とあったから、温泉だけでなく水もガンガン入れないと熱くなりすぎる。
[大きな浴槽に私とネコだけのためだけにたっぷりと湯を張る]
ちょっと熱めの湯加減だけれど、ネコも静かにお湯につかる。
ネコは猫舌と言うけれど、お風呂は熱くても大丈夫なのだろうか、平気な顔している。
しかし、それも1分くらいのモノだろうか、普段から抱かれていてもすぐにむずがるネコなので、ジタバタし始める。
このままネコを抱えていたら、引っ掻かれるのが関の山。
今度はネコにシャンプーを振りかけて、ゴシゴシと洗い始める。
出るは出るは抜け毛がすごい。
ネコ用のカツラができるのではないかと思うほど毛が抜ける。
こんなに抜けたら、ネコが薄毛になるのではないかと思うほどだ。
シャンプーも私が頭を洗う時の分量と比べると5倍くらい使う。
ネコはシャンプーも嫌いである。
もともとネコは濡れるのが嫌いな動物らしいから、ちっともじっとしていない。
隙あらば逃げ出そうとするのを、尻尾をひっつかんで引きずれ戻してまたゴシゴシ、ブクブク、シュワシュワ。
私が使っているプラスチックのヘアブラシでネコにブラッシングするが、ネコ用ではないから、どうにも勝手が良くない。
[やめてよと、訴えかけるようなまなざし]
この個室温泉小屋にはシャワーの設備がない。
ネコをシャンプーで泡だらけにした後、洗い流すのにシャワーがほしいところだけど、ない。
あるのは小さな手桶だけ。
この手桶で、浴槽から何度もお湯を汲んでネコにかけてシャンプーを洗い流す。
毛が多い分だけ、シャンプーを落とすのにも手間がかかる。
頭からザブザブとぶっかけたいところだけど、ネコは顔に水がかかるのがことのほか嫌いのようであるし、
大きくて三角の耳に水が入ると耳の病気になりやすいというから、顔だけは慎重に手のひらでお湯を少しずつかけてやる。
昔はシャンプーすると毛がペシャンコになって、ネコがヒョロヒョロに痩せて見えたものだけれど、今では贅肉がたっぷりついて、毛がペシャンコになってもデブのままである。
シャンプーを洗い流し、すぐにタオルで拭いてやろうかとも思ったけれど、そのままに放置してみた。
自分でブルブルブルっと身体をふるって水を弾き飛ばすところを見たい気持ちもあった。
しかし、ブルブルブルはしなかった。
犬はするけど、ネコはしないのだろうか。
今度は自分が石鹸でからだを洗う順番。
ここのお湯は台湾の北投温泉と違って、石鹸でもちゃんと泡が立つ。
お湯はほんのりと心なしか硫黄のような臭いもするが、普通の銭湯の湯と大して変わらないようにも感じる。
でも、こんなたっぷりなお湯に浸かれるというのは、実に気持ちがいい。
個室なので、他人に気を使うということも必要ない。
[あちこちにニワトリのオブジェが置かれている]
入浴後、市が立っているという村へ行こうとしたが、来るときの道とは反対方向へいくら進んでも集落らしいものが見えてこない。
コンビニなんかないし、屋台もない。
メーピン川の手前に村があったが、静まり返っている。
店などあるのかどうかもわからないくらい真っ暗。
メーピン川を渡った先に旧街道のような道があり、集落があるが、やはりもう眠ったように静か。
一軒だけ間口を開けた店屋があったが、食堂ではなく美容院のようであった。
こりゃ今夜は食いっぱぐれたかなと思いながら再びメーピン川を渡っていたら橋のたもとに食堂らしきものが見える。
営業しているかわからないけど、そこへ向かってみる。
入り口がわかず、真っ暗な集落の細い道をさまよい、お寺の境内を突きってようやく見つけたのは、まさにリバーサイドレストラン。
しかし、川べり、対岸とも灯はなく、ただ真っ暗な中を大きな川が流れているらしいと言った程度で、ちっともしゃれた店ではない。
先客に男性二人がおり、また女主人の友達らしい中年女性が数人でテーブルを囲んでいた。
まだ食事はできるということで、ご飯とヤムタクライと言うレモングラスとナッツのヤムを注文する。
もっとも、食べられそうなものはそれくらいしかメニューになかった。
魚とカエルの料理は何品かメニューにあったが、メニューの大半を占めているのは車のローンに関する広告。
ヤムだって、このレモングラスのヤム以外にムーヨーと呼ばれるベトナム風ソーセージのヤムしかなかった。
それでも、食べ物にありつけただけでも良かった。
温泉でのビールは諦めなくてはならなさそうだ。
レモングラスのヤムはナッツがたっぷりの入っていて、ナッツも南京豆以外にカシューナッツまで入っていたのはうれしかった。
ご飯はいつ炊いたのだかわからないような冷や飯で、少しべっちょりと水っぽいところもあった。
[やっとみつけた食堂で簡単に夕食を済ませる]
女主人の友人らしい中年女性たちに適当にからかわれながらも、小さなバナナをもらった。
自然に生えてるものと言うバナナは甘く、美味しかった。
夕食の代金は190バーツ也。
バンガローへ戻ると、バンガローの周りで酒盛りをしていた。
カラオケを持ち込んで、音楽流したり、歌ったり。
ガスコンロを持ち込んで料理までしている。
なるほど、ここはキャンプ場のようなものなんだ。
空には星がたくさん出ていた。
私もなにか食べ物でも持参して、星空の下で食べればよかったんだ。
[田舎なので星がきれい]
3月10日 日曜日
夜明け前から起きてゴソゴソ始める。
温泉で朝風呂をしたいところなのだが、昨日の個室温泉小屋はもう営業しているだろうか?
バンガローより歩いて受付へ向かう。
宿直の男性係員によれば、「いつでも入れるよ」とのことであった。
1回の入浴で80バーツはちょっと痛いけど、温泉に入るのが目的で来たのだから、80バーツをケチって入浴しなかいというのはナンセンスである。
しからば、朝風呂の支度を整えて朝風呂としよう。
ネコはもういいだろうから、自分一人でのんびりしよう。
と、バンガローへ戻りかけていたら、施設内に足湯がある。
しかも、小さな池にお湯が張ってあるようなチャチなものではなく、足湯が小川のようになっている。
その温泉の小川の岸には何か所か東屋があり、そこで休みながら足をお湯に浸せる仕組みになっている。
これはなかなか良さそうだ。
しかも無料で開放されているようだし、ここで足湯しながら寝転がって文庫本など読んだら気持ちよさそうだ。
ちょうど白々と夜も明けてきた。
[こんなバンガローですが、テレビやエアコン、冷蔵庫もあります]
バンガローから文庫本とタオルを持ってきたら、なんと先客が来ていた。
足湯の東屋は岸にいくつも並んでいるのだから、別に先客がいても支障はないのだけれど、この先客は「足湯」で全身浴をしている。
温泉の小川に海パンひとつで入っているのである。
うーむ、そんな利用法もあるとは知らなかった。
めちゃくちゃ気持ちよさそうであるが、私は水着など持ってきていない。
羨ましいけど、足だけ温泉に付けて、文庫本を読み始める。
[日本でもこんなすごい足湯はそうそうないんじゃないかな]
この先客は韓国人で奥さんと小学生の娘二人と来ていた。
ここの常連で年に5,6回はシラチャカラ来ているとのこと。
さらに発見したのは、ここには個室や足湯だけではなく、大浴場まであった。
大浴場の営業は朝8時からということで、、しばらく待つ。
[日帰り温泉的な雰囲気の大浴場入り口]
大浴場の入浴料は30バーツで、まんまと一番風呂を独占。
ここは裸湯ではなく、水着着用とのことであったが、トランクスでも構わないらしい。
湯かげんが少しぬるいと注文付けたらば、ゴボコボと熱い源泉のバルブを開いてくれた。
大きさはちょっとした温泉旅館の大浴場に引けを取らない。
壁には下手な滝と渓流の絵が描かれている。
風呂の形も四角ではなく、ひょうたん型で、タイでここまでやってくれれば満足である。
[団体でも入浴できる大きさ、深さもあります。]
[源泉が浴槽の真ん中からゴボゴボと吹き上がってきました]
もっとも、発想が温水プールから来ているからか、浴室内には洗い場もなければ、シャワーも手桶も何もない。
身体は浴室の外にある屋外シャワーブースを使うことになっているようだ。
朝食は施設内の簡易食堂が営業を始めていたので玉子チャーハンを作ってもらって食べる。
こちらは40バーツ也。
[食堂も遅めの開店、早めの閉店]
少し休憩してからピサヌロークへ戻ることにする。
今からなら午後一番には出社できそうだ。
車を洗車しようと思っていたけれど、そういう環境にはなさそうで、汚れた車のまま帰ることにする。
運転席へ乗り込んで、エンジンをかけて、前を見たらば、助手席側の窓に丸くヒビが入っている。
今まで全く気が付かなかったけど、どうしたんだろうか?
昨日田舎道を走っているときに、砂利でも飛んできたのだろうか?
あんまり愉快ではないけど、とりあえず運転には支障がなさそうだ。
[フロントガラスにヒビが、、やり場のない悔しさ]
帰り道、ブーゲンビリアが非常に美しく咲いているところがあった。
ブーゲンビリアの咲き誇り方は満開のツツジに似ているけど、赤や紫以外にも、薄いピンクやオレンジなど、さまざまに色があってもっと壮観。それに強い日差しのもとでは、力強さを感じさせてくれる。
ブーゲンビリア、好きだなあ。