2月の半ばから仕事が忙しくなり、プライベートな時間がほとんど取れなくなってしまっていた。
1か月以上の連続出勤、早朝から深夜まで、久しぶりに激務をこなした。
そんななかで、2月6日の夜だけは本の数時間ながら少しゆっくりできた。
そしてタイのドブロクを飲んでみた。
先日、会社のスタッフからタイのドブロクをもらった。
チェンライの実家で作ったそうだ。
別に酒屋ではないので、厳密には密造酒と言うことになるのかもしれない。
昔、チェンマイに住んでいた時、ソンクランのタイ正月に近所で呼ばれてドブロクを飲ませてもらったことがある。
ほんのりと甘く、飲み口も悪くなかったが、あとで少し頭が痛くなった。
飲んで、腹の中に入ってからも発酵を続けていたのかもしれない。
飲みたいと思っても、店で売っている酒ではないし、その意味では珍しい酒である。
夜9時過ぎに退社して、屋台でソムタムを買う。
日本ならドブロクのツマミに漬物なんかが合いそうな気がするが、タイだとソムタムが合うような気もする。
屋台の女主人が「辛いのは食べられるか?」と聞くので、もちろんと答えるが、えらくたくさんのトウガラシを入れている。
ほとんど冗談の世界かと思うほどだ。
これで50バーツと言うのは少し高いような気もする。
[トウガラシを採算無視するかのごとき大量投入]
ラムのスペアリブを煮込んだものを先日もらって冷蔵庫に入れていたので、それも引っ張り出して食べることにする。
[こんなんでドブロクのツマミになるのだろうか]
小さなペットボトル入りのドブロクの冷蔵庫で冷やしていた。
常温だと発酵しすぎてペットボトルが破裂しかねないし、発酵が進んで酢になってしまうかもしれないと思ったのと、やっぱり冷やした方が美味しそうだと思ったから、冷蔵庫に入れていた。
[ペットボトルは350ccとなっているから2合相当かな]
ペットボトルのキャップを開け、グラスに静かに注ぐ。
黄色みがかった白濁色で、薄いクリーム色のような感じ。
これはドブロクでも上澄みの方なので、こんな半透明なのだろう。
[半透明で柔らかそうな色、味もマイルド]
香りは米の甘さが感じられる。
味は、ほんのりと甘い。
酸味はほとんどなく、やはりコメの味がする。
昔、それもかなり昔に韓国の法酒と言うのを飲んだことがある。
慶州の伝統的な酒とされている。
その法酒がこんな味だったような気がする。
同じく韓国のドブロクのような酒で、数年前にブームになったマッカリなんかとはまるで違う。
ずっと上品な味である。
[飲み口がいいので、ついついグラスを重ねてしまう]
タイの酒だからソムタムが合うかと思ったが、激辛のソムタムだと酒の味を殺してしまいそうだ。
野沢菜漬けかなんかでグビグビやったら一番似合いそうだけれど、野沢菜どころか沢庵だってない。
が、ソムタムと一緒に食べようと思ったモチ米のカオニャオはドブロクと相性が良いことを発見。
米の味のする酒のつまみに米を食らうというのも変な話だが、これが結構いけるのである。
小さなグラスに2杯目、3杯目と注いでいるうちに、白濁が濃くなり、トロリとした濁り酒風になってきた。
甘さも、米の味も強くなったように感じる。
もう上品さはあまり感じない。
これも昔の話だが、岩手県の「雪っこ」と言う缶入りの濁り酒を飲んだことがあるが、それに似ていなくもない。
このくらいの味になると、ソムタムとも良い勝負になる。
また、こってりとしたラムの煮込みとも相性がいいようだ。
[濁り酒のようになってきた]
しかし、小さなペットボトル一本きり、5杯も注いだらばなくなってしまった。
全然飲み足りないが、これからまた別の酒など飲み始めたら、きりがない。
明日の朝も6時前には起きて仕事に行かなくてはならないのだから、、、、
[別にネコがドブロクに酔ったわけではありません しかし大トラ顔負けの寝相]
そういえば、下川裕治さんの「新・アジア赤貧旅行」と言う本の中で、沖縄の泡盛のルーツを探してサートーと言う酒をひっそりと製造販売している店へ行く話があったが、サートーと言うのは醸造酒であり、今回私の飲んだドブロクに近いものである。
それに対して、泡盛は蒸留酒なので、サートーを泡盛のルーツとするには無理がある。
サートーなどを蒸留した酒がラオカーオで、これは確かに泡盛と製法もよく似ている。
それに泡盛もタイの米から作られるのだから、、、。
そして、サートーにしてもラオカーオにしても、探し回らなくてもすぐに手に入る酒で、コンビニでも売られている。
なお、下川氏も書かれているとおり、サートーもラオカーオもあまりうまい酒ではない。