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札幌旅行 (中編)
9月10日 (日)
快適に眠ることができ、目を覚ましたら大浴場へ下りて行く。
なんて幸せなんだろう。
こんな朝の時間から大浴場の浴槽には湯が張られている。
そして誰も先客はいない。
またも独占状態。
手足伸ばして、入浴ができる。
そのうちに若い学生さん風がやって来たが、彼は頭だけシャンプーして風呂には浸からずに出て行った。
このユースホステルには大浴場とは別にシャワールームもある。
シャンプーだけならシャワールームを使えば良さそうなものだが、ほんとうは入浴もするつもりで扉を開けたら、私が主みたいにして浴槽で大の字になっていたから遠慮してしまったのかもしれない。

シングルルーム
[これがシングルルーム、ソファニに机、壁にはテレビもある]

以前、このユースホステルでは朝食のサービスもあったらしいけれど、コロナが始まってから朝食サービスは団体客だけになったようで、一般客は素泊まりしか受け付けていない。
私は機内食で手を付けなかったパンを食べて朝食の代わりとする。
レンジで温めたパンにバターを塗って食べる。
飲み物は水道の水。
今度からインスタントコーヒーを持って旅するべきかもしれない。
たとえインスタントでも水道水とパンよりずっとマシだろう。

今日のスケジュールは何も決まっていない。
どこか行きたいところなどない。
お金も使いたくない。
天気は良さそうだし、歩き回るのが一番。
さてどこへ歩くか。
Google Mapで札幌周辺の地図を眺めていて、藻岩山へ登ってみようと考えた。
ユースから歩いて行っても頂上まで3時間かからずに行けそう。

8時半に歩き始める。
針路は西にとる。
豊平川に架かる橋を渡る。
橋のたもとには鮭のオブジェがある。
季節になれば、この川を鮭が産卵のために遡上してくるのだろう。
なんどか札幌に来ているが、鮭の姿を見たことがない。
私は今日ずっと時間を持て余しているから、鮭は来るかと川面を眺めていても良いのだけれど、季節が違うから諦める。

サケのオブジェ
[豊平川にかかる橋のたもとにサケのオブジェ]

豊平川を渡って中島公園へ入る。
札幌は近代的な都市計画によって作られた街だからか大規模な公園がある。
この中島公園も大きな池のある公園で、青空の下で緑が美しい。
緑は柳の葉。
植えられている木は柳が多い。
先月イギリスに行った時も柳が綺麗だった。

中島公園
[柳の緑が美しい中島公園]

別に急いでいるわけでもないから、中島公園のベンチに座ったりしながらのんびり散策を楽しんでも良いはずなんだけれど、目的地を藻岩山と定めたので、中島公園内も通過するだけ。
ただ、ちょっと目に留まった建物があった。
「豊平館」という古い洋館。
ウエッジウッドのような色合いのしゃれた建物で、もともとはホテルだったらしい。
ホテルと言っても、一般客用ではなく開拓関係の迎賓館のような建物だったようだ。
明治時代の初期のころ、このような立派な洋館を立ててしまうというのは、北海道開拓へどれほど熱が入っていたかと言う証拠だともいえるけど、しかし、限られた予算をこのような一部の特権階級の人たち向けに使っているのも、鹿鳴館みたいで、なんとなく背伸びの方向を間違えているような気がする。

豊平館
[豊平館、内部も見学できるようだ]

住宅地の中を歩き、市電の線路を2回渡って、市街の西側へやってくる。
もう山がすぐ近くに迫っている。
病院脇に登山口がある。
そこに登山ルートを示した地図があった。
ここから馬の背という峰に当たるところまで1.8km、さらにそこから1.1kmで藻岩山の山頂。
標高は531メートルとなっている。
1時間もあれば登れてしまえそう。
時刻は10時。

登山マップ
[藻岩山の登山マップ]

登山道は良く整備されている。
歩きやすい。
私の靴の底は薄いので、岩が露出していたりするところを歩くととても痛いのだけれど、土の道はならされていて、石もそれほど多くない。
歩いていると道の左手に道祖神のような石仏次々と現れてくる。
どれも置かれてから何十年も経過しているようなものばかり。
藻岩山が信仰の山と言う話は聞いたことないけど、それに近いようなものを感じさせる。

日曜日ということもありハイカーが多い。
既に登り切って下ってくる人も多い。
すれ違う時にもほとんどの人は「こんにちわ」と声をかけあう。
あんまりにすれ違う人が多いので、こんにちわの連発となる。
中には、声をかけても無言で過ぎて行く人もいる。

登山道
[登山というよりハイキング]

こちらは軽装だけれど、ハイカーの人たちはだいたいしっかりとした登山ルックをしている。
靴も登山靴で、ストックを手に持ち、ナップザックを背負っている。
それに対して、私は軽装なので、身軽で足取りは早い。
すれ違うだけでなく、登っているハイカーたちを後ろから次々と追い抜いていく。
しかし、そんな私のことを追い越していく人もある。
なんとジョギング、駆け足で山を登っている人もいる。
500メートルくらい、歩いて登るなら大してことはないけれど、走って登るとなると、相当心臓が丈夫でないとパンクしてしまうだろう。
ハイカーたちはほぼ100%カバンに鈴を付けて、チリンチリンと音をさせながら登っている。
これがクマ除けの鈴と言うものなんだろう。
しかし、こんなにハイカーが列をなして行き来していたら熊などとても出てきたりしないだろう。

馬の背という尾根のあたりまで来たら木々の間に札幌の街並みが見えた。
尾根伝いだから、ここからずっと展望が開けるのかなと期待したけれど、道は尾根の上より、西側に位置しているらしく、展望はほとんど開けなかった。

馬の背
[チラリと札幌の街並みが見えた]

登山道沿いの道祖神風石仏には番号が振られていて、その番号はすでに30を越えた。
道の傾斜が急になり、木の根の露出も多くなって、少し喘ぎながら登るともう間もなく頂上へ到着。
ケーブルカーの駅もあり、駅の屋根上が展望台になっていた。
ここまで登ってくる間、ほとんどの人と「こんにちわ」と声を交わしてきたが、発音からもその登山者が日本人であることかわかった。
中に何人か西洋人もいたけれど、これは見ればわかる。
そしてアジア圏からの旅行者には出会わなかったように思ったのだけれど、頂上に来てみたら広東語なのか中国語の方言のような言葉が飛び交っている。
この人たちは、きっとケーブルカーでやって来たのだろう。
ここ藻岩山は夜景が美しいとされてて、夜は展望台が観光客で埋まるそうだから、ケーブルカーでやってくる人が多いのだろう。
時刻は11時。
登山所要時間は1時間と予定通り。

藻岩山山頂
[標高531メートル]

展望台からは札幌の街並みが一望できた。
遠く石狩湾も見える。
石狩湾沿いには風力発電用の風車が並んでいる。
空は晴れて青い。
空気も薄く青い色がついている感じがする。
すべてが青いフィルターを通したような色に見える。
そして札幌の市街地はビルが多い。
つまりコンクリートだらけ。
コンクリートも青っぽく見える。

藻岩山からの展望
[天気に恵まれた]

展望台で一休みしながら次の目的地をどこにするか考える。
ここまで2時間半で来てしまったし、さてこれからどこへ行こう。
どこへ行くにしても、お金を使わなくて済むところがイイ。
こうした山へ登ってる分には、汗はかくけど、タダである。

スマホの地図を眺めて、札幌市の南東部に「羊が丘展望台」を発見。
今は街の西側から眺めているけど、東側からの眺めも広々として良さそうだ。
羊ヶ丘展望台へは行ったことがある。
団体ツアーを引率してだったけれど、クラーク博士の像がある場所だった。
距離にして10km前後。
やはり2時間半も歩けば到着できそうだ。

下山道は上りは別の市民スキー場側へと下りることにした。
こちらの道は先ほどの道と比べて、ハイカーが少ない。
ほとんど出会わない。
登山道は整備されていて、道に迷うことはなさそうだけれど、細い道の両側は熊笹に覆われている。
道はずっと下りと言うわけではなく、上りがしばらく続くようなところもある。
せっかく下ってきたのに、また登りとは、なんだかもったいないような気がするし、またひょっとしてどこかで道を間違えたかと不安なにったりもする。

熊に注意
[北海道での山登りには熊よけの鈴は必須らしい]

それでも沢の音が聞こえてきてからしばらく歩いたところでアスファルト舗装された駐車場に出た。
どうやらここが市民スキー場なんだろう。
いまはまだ雪の季節だから駐車場に止まっている車もほとんどない。
ここからはアスファルトの道を沢沿いに下る。

すぐに別荘地と言うか住宅が並ぶようになった。
やがて正面に車が行きかう国道が見えてきた。
時刻は正午を少し回ったところ。
そろそろお腹もすいてきた。
どこかで何か安く食べさせてくれる店はないかとGoogle Mapで調べてみたら、国道の交差点に「吉野家」がある。
俄かベジタリアンの私としては牛丼なんて食べたくないのだけれど、この吉野家の口コミを読んだら「アジフライ丼」など代わりメニューがあると書かれていた。
アジフライに心惹かれる。
タイにいるとアジフライなど食べるチャンスがほとんどない。
ウスタソースで千切りキャベツと一緒に食べたら旨そうだ。
黄色いカラシも付けてくれるだろうか?

ダンプカーが行きかう国道の丁字路に吉野家があった。
ファミレス風の作りの店。
自動ドアがスライドして開き、中に入るといきなりレジで「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりですか」とパートの主婦のような女性に声をかけられる。
いやいや、ちょっと待ってほしい、店の外からアジフライはいくららなんだろうとメニューを探していたが、見つからずそりままもセに入ってしまった身に、「店内でお召し上がりですか」と聞かれても困るのである。
「ちょっと待って、メニューから選ばせてよ」と依頼をする。
変な客だと思われただろう。
だいたい吉野家へ食べに来る人はメニューなど見なくても注文できる常連さんが多いだろう。
私だって以前はそうだった。
でもメニューにアジフライは掲載されていなかった。
アジフライはなにかの期間限定メニューだっんだろうか、、、。
まぁ、アジフライでなくても牛肉以外なら許容範囲なんだけど、、。
「牛丼屋さんでこんなこと聞いて恐縮ですが、肉料理以外のメニューってありませんか?」と質問した。
一瞬間があって、
「これ牛肉も入っちゃうんですけど、ウナギも入っているウナ牛丼なんかもありますけど」と言われる。
いやいや、そうじゃないんだよね。
どうも食の世界で日本はまだまだ後進国なのかビーガン・メニューの浸透率が非常に低いようだ。
同じ吉野家でも台湾の吉野家ではビーガンなんてことがが一般化するだいぶ以前から植物由来メニューが充実していた。

結局、「すみませんでした」と頭を下げて吉野家をそのまま出てしまう。
もう一度Google Mapで検索。
こんどは「定食屋」として検索をかけてみた。
あった、国道沿いに1kmほど北上したところに「まるたま食堂」。
名前もイイじゃないですか。
口コミの評判も悪くない。
みんなが安くておいしいと書いている。

国道沿いに歩いて行って、このあたりと思われるところまで行ったのだけれど、見当たらない。
もう一度Mapを調べてみると、国道沿いではなく、すぐ裏にある道沿いにまるたま食堂はあることになっていた。
しかし、残念なことに店に暖簾はかかっていなかった。
日曜日はお休みなのかもしれない。
お休みなら仕方がない。
もう一度Google Mapの力を借りては「定食屋」を検索するが、ヒットしない。
このあたりには食堂が全く存在しないエリアのようだ。

しかたなく、国道を離れて東に延びている住宅街の中の道を歩く。
時刻は午後1時を過ぎる。
食べ物にありつける場所もわからずに歩くとますますお腹もすいてくる。
こうなったらコンビニで弁当でも買った食べるしかないかと思ったりしたが、住宅地を歩いててもコンビニさえ出てこない。
札幌と言うところは郊外の住宅街には商店や食堂がほとんど存在しない土地らしい。
特に地域ごとの商店街のようなところが見当たらない。
市内の中心部とかには繁華街もあるし街道沿いにもショッピングセンターのような施設があるようなんだけど。

午後1時、豊平川の手前でファミリーマートを発見。
コンビニ弁当でも仕方ないな、河川敷ででも食べようかと弁当陳列棚を覗いたが、弁当の種類が少ない。
そして、コスパの良さそうなものが見当たらない。
肉を乗せたような弁当とか、スパゲティとかばかり
ひとつだけ「幕ノ内弁当」があったけれど、とても小さな弁当で、おかずも寂しい。
手に取ってレジへ持って行こうかどうしようか悩んだ結果、この先に何かいい店があるかもしれないと、また弁当を陳列棚に戻してコンビニを出る。

豊平川を渡る。
橋の名前はミュンヘン橋。
札幌とミュンヘンは姉妹都市かなんかだったはず。
以前に札幌へ来たとき大通公園の奥にミュンヘンとの姉妹都市を記念するモニュメントを見た気がする。
ミュンヘンとは1972年の夏冬オリンピックが取り持つ縁なんだろう。
あのオリンピックからもう50年。
ミュンヘンにも札幌との友好を象徴するものがあるのだろうか。
札幌の片思いなんてことになってないだろうか。

ミュンヘン橋
[豊平川にかかるミュンヘン橋]

ミュンヘン橋を渡ると、大きな娯楽センターのような建物が見え、続いて大きなホームセンターのような建物が見えてきたが、どちらにも立ち寄らずそのまま道を直進していく。
道路標識を見るとこの先に地下鉄の駅があるらしい。
駅前なら何か定食屋でもありそうな気がする。

このあたりでは地下鉄と言っても高架を走っているようだ。
そして駅に近づいているはずなのに、道沿いにはほとんど商店が増えてこない。
これもダメかなと思っていたら、道の反対側にローカルムードが臭いほど漂っていそうな生鮮食品店があった。
スーパーと言うより八百屋と肉屋と魚屋が共同で店を張っている市場みたいな店。
ここにはコンビニよりマシな手作り風弁当がありそうな予感がする。

野菜や果物の値段が安い。
旅行中の野菜不足解消にキャベツでも買おうかと思ったが、一玉が大きすぎて食べきれそうにない。
ちょっと薄暗い店内を奥に進むと精肉売り場。
メンコロ弁当とか海苔弁とかないだろうかと見回したが肉ばかりなので素通り。
諦めムードで左手の鮮魚売り場へ回ったら、魚の切り身なんかと一緒にパック入りの握り寿司が売れ残っていた。
時刻は1時半。
見切り商品なのか680円の定価の上に50円引きのシールが貼ってある。
こういうの好きなんだな。
今日のランチは贅沢して寿司だ。
北海道来たんだから寿司を食べなくちゃ。
レジで会計すると、680円から50円引きして、630円。
しかし、これに消費税8%で680円。
なんだ、税別だったのか。
ぬか喜びをしてしまった。

このローカルな店を出て、交差点に差し掛かったら、左手側に「みよしの」があった。
これは札幌でチェーン展開しているカレーと餃子の店。
だいたい札幌に来るたびにお世話になる低価格の食堂。
うーむ、もう少し我慢すれば600円台でカレーと餃子のセットが食べれてたかもしれないと悔しく感じる。
さっき買った寿司は夕食用にして、そのまま「みよしの」に入ろうかとも思ったけれど、寿司が傷んでしまって食べられなくなってもいけないので交差点を直進する。

このあたりから起伏が多くなりはじめる。
ちょっと登ったところに児童公園があったので、そこのベンチに腰掛けてお寿司をいただくことにする。
このお寿司、買うときは値段しか見ていなかったけれど、内容は悪くない。
一貫が大きい。
シャリの上の刺身が大きく分厚い。
マグロのトロやイカなど大きすぎて、隣りの寿司に覆い被さって隠してしまっているくらいだ。
魚のバランスも良かった。
全部で10貫。
中でもホタテとボタンエビが甘くておいしかった。
お寿司だけでは満腹にならないからカップラーメンでも買おうかと思っていたけれど、お寿司だけでかなりなボリュームがあって買わなくてよかったと思う。

握り寿司セット
[この寿司はコスパも味も満足]

さらに歩くこと1時間。
ようやく羊ヶ丘の入り口に到達。
午前中の藻岩山と違って、ここは丘に過ぎないからどれほどの展望だろうか?
記憶の中のイメージは広々した緑の丘の上にクラーク博士の像が立っていると言ったもので、ここから札幌の眺望が開けていたという印象は残っていない。
でもまあ、せっかく来たんだからと入り口を入ろうとすると、有料道路の料金所のような建物があり、そこに「大人600円」と書いてある。
「?」
普通車600円の間違えではないかと思ったが、これは通行料を収受するのではなく、入場料がかかる施設らしい。
羊ヶ丘展望台が有料だったとは知らなかった。
600円も払ってクラークさんに会いに行きたいとは思わない。
せっかくここまで来たけど、羊ヶ丘には未練などない。
料金所の前で回れ右。
さっき歩いていた道をそのまま北進して福住方向へ歩く。
右手は有料の羊ヶ丘。
不心得者が入場料も払わず侵入することがないように延々とフェンスが続いている。
このフェンスと並行して背の高いポプラ並木が続いている。

ポプラ並木
[ポプラ並木の裏はフェンスが続く]

歩いて行く途中で「業務スーパー」を発見。
昨日は狸小路の業務スーパーへ行ったけど、営業しておらずタイへ持ち帰ろうと思っていたインスタントラーメンと納豆が買えなかった。
それがこんなところで出会えて感激。
早速店舗に入る。
品揃えはあんまり良くなく、味噌ラーメンはなく、塩と醤油の5食入りをそれぞれかごに入れる。
納豆も激安商品はタレとカラシなししかないので、ちょっと割高だけどおかめ納豆を3パック、そして絹ごし豆腐を1パック。
今夜の夕食は納豆と冷奴とする。
そう、ご飯が必要なのでパック入りのご飯も3パック入りを買うことにする。
明日の朝もこれで納豆ご飯が食べられる。

業務スーパーからは針路を西にとり、ユースホステルへ向かって歩く。
住宅街の中の道を歩いていると浴衣を着た若い女性を頻繁に見かけるようになる。
アジアからの観光客も日本に来て浴衣を着て歩きたがるが、こんな住宅地では考えられない。
彼女は日本人らしい。
そうして、浴衣だけでなく普段着を含めて、住宅街の道としては異常なくらい歩いている人の密度が濃くなってきた。
交通整理も出ている。
なにかイベントでもあるのかと思ったところで月寒神社禮祭と書かれたのぼりが見えてきた。
たこ焼きや綿飴などの屋台も並んでいる。

時刻は4時を回った。
あと1キロくらいでユースホステル。
ユースホステルへ帰ったら大浴場でお風呂に入ってそれから冷たいビールを飲みたい。
いや、たぶんビールだけでは飲み足らなくなり、何か他にも飲みたくなるはず。
そんなことを考えながら歩いていたら大きな酒屋があった。
スーパーマーケットのような作りの店だけど、中はお酒だらけ。
ここでウイスキーを仕入れる。
さらに缶入りのレモンサワーも買ってしまう。
レモンサワーなんて飲みつけてないけど、今日は良く歩いたし、汗もかいた。
なんか酸味の効いたものを身体が要求している。

計画通りユースに戻り、大浴場へ下りて行く。
先客はいなかったけれど、入浴中にあとから男性二人がやって来た。
二人とも私より一回りくらい年配。
北海道に旅行で来ているそうで、もう何泊もこのユースに泊まっているという。
館内でも若い人より年配者を見かける方が多いくらいだ。

クロネコ通信
[ユースのロビーに置かれたラックに「クロネコだより」、名前に惹かれる]

夕食も計画通り納豆ご飯と冷奴。
レモンサワーがやたら美味しく感じる。
缶ビールも2本飲んだら酔いが回ってきて、ウイスキーの口を切ることはなかった。
いい気分になっているところで、フロントでなんだか係員が一生懸命英語で説明しようとしている声が聞こえてきた。
どうやらチェックインしようとしている一人旅の韓国人女性に館内のルールについて説明しようとしているところらしい。
私の韓国語はすっかり錆ついてしまっているけど、少しは役に立つだろうと通訳を買って出た。
しかし、酔っているせいか韓国語とタイ語の単語がミックスになってしまったりする。
「飲み水はどこにあるのか」と質問されたので、キッチンへ案内し、「日本では水道の水をそのまま飲んでも大丈夫だ」と教えたけれど、怪訝そうな顔をしている。
習慣として水道水を飲むなんてことはないからだろう。
日本人だって最近は水を買って飲むのが常識になってきている。
「水道水が気になるのなら、コンロで沸かして飲めばいい」と案内したら納得したようだ。

ハイサワー
[ハイサワーって旨いとはじめて知った]

寝る前にもう一度大浴場で入浴する。
今日は良く歩いた。
スマホの万歩計は26.1km、38,751歩と表示されていた。

万歩計
[よく歩きました]

つづく

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札幌旅行 (前編)
9月8日(金)
午後から休みを取って、12日までの5日間の予定で札幌へ遊びに行く。
たぶんタイから北海道へ行くのはこれが最後になるはず。
1年前の海外旅行解禁からずっと国外旅行ばかりしてきたけれど、それも今回で打ち止め。
今回の札幌行きはオマケのようなモノで、貯まったマイルが失効してしまうので、慌てて無料航空券に交換することとなり、どうせなら札幌へ行こうかと言う気になっただけ。
そしていつもの台北経由の中華航空ではあるのだけれど、中華航空の会員資格も今月から1ランク上がってエメラルドと言うクラスになっている。
このクラスになるとどこでも無料で好きな席を選べるようになる。
いままでのゴールドとは選べる幅が違う。
しかし、好きな席が選べるようになったけれど、以前の札幌行きはジャンボジェットだったり、トリプルセブンだったりの大型機材で、ビジネスクラスの席やプレミアエコノミーの席が開放されていて、かなりなお得感があったのだけれど、今回座席を選ぶ際に機材を確認したらエアバス330。ちょっと古い機材で、プレミアムエコノミーのない機材。
選べる座席は純正エコノミーのシートだけ。
然らばと非常口脇の再前方のシートを予約しておいた。

旅するクロネコ
[今回の旅行にも連れて行きます]

バンコクのラウンジで遅めの昼食をいただく。
冷凍ものだけれど、ここの飲茶は結構おいしい。
シューマイにはクワイが入っているようだ。
シャリシャリとした歯触りが楽しい。
サラダバーも常にきちんと整えられている。
ここでしっかりと食べて、たっぷりと飲む。
普段はあんまりジンなど飲まないのだけれど、ボンベイ・サファイアという綺麗な青いジンがあったのでジントニックにしていただく。
大好きなカンパリソーダもいただく。
ここのスタッフとはもう顔見知り、今回も何も言わないのに唐辛子を小袋に包んで持ってきてくれる。
唐辛子はヨーロッパへ旅行した時には随分と役に立ったけれど、日本ならどこでも七味唐辛子がありそうだから、使う可能性がないかもしれないけど、ありがたく頂戴する。

バー
[青いボトルがボンベイサファイア]

飛行機に乗り込むと、だいたい半分近く空席があり、私の隣も空席になっていた。
いままでの対応とは異なり、まったく形式的なものだけれどパーサーが挨拶にやってくる。
「なにかあればなんなりと」と言ったようなことを言われるけど、別に何も用事はない。
あとは機内食をはじめサービスはいつもとおんなじ。
サービスの質は悪くないけど、特別何かあるわけではない。
機内食も他の乗客よりも早く持ってきてくれたけど、これは一番前、ギャレリーのすぐ隣に座っているからだろう。

唐辛子の小袋
[サービスマニュアルにはないだろうけど、こういうのが嬉しい・・唐辛子の小袋]

台北で乗り継ぐと言っても、乗り継ぎ便は翌朝の出発なので、今晩は空港内で夜明かし。
もう何度もこの空港で夜明かししているけど、意外と快適。
中華航空のラウンジが営業している間は、ラウンジで休憩させてもらう。
そのラウンジもいままでのビジネスクラス用のラウンジではなく上級会員専用ラウンジへ案内される。
こちらは料理はメニューから注文すればテーブルまで運んでくれる。
飲み物もランクがアップしていて台湾ウイスキーのカバランもあればシャンパンもある。
しかし、すでに満腹でお酒ももうあまり飲みたくない。
何年か前まで、美味しいものがあればいくらでも食べられて、アルコールが含有されていればいくらでも飲めてしまう意地汚い体質だったのだけれど、どうも意地汚さは改善されないのに、口にできる量はだいぶ減ってしまったようで悔しい。
やっと旨いものがいくらいでもいただける環境になったのに体の方が受け付けなくなってしまったとは。

台北の上級ラウンジ
[身分不相応だということはわかっている]

夜11時過ぎに中華航空のラウンジを出て、となりにある一般用の無料開放休憩室へ移る。
ここで仮眠をとるのだけれど、中華航空から毛布を貸してもらった。
いつもはエコノミークラスの飛行機の中で用意されている毛布だけど、今回はキルティングの薄い掛け布団を貸してもらえた。
この方がぜんぜん温かくて寝てても快適。
おかげでいつもより眠ることができた。

9月9日(土)
6時前に目を覚まして中華航空のラウンジへ移る。
昨晩はほとんどラウンジ内に人がいなかったけれど、この時間はたくさんの人がいた。
まだ顔も洗っていないので、シャワールームを使わせてもらう。
受付リストに名前を書き込んでもらったら、待つこともなくすぐにシャワールームへ案内してもらえた。
シャンプーもして髭も剃る。
これですっきり。

札幌行きの便の出発時間は8時半過ぎ。
出発時刻が近付いたので広いコンコースを延々と歩いて向かう。
各搭乗ゲート周辺には台湾の観光や風俗、食べ物などをイメージさせる演出がされている。
バンコクの空港のように免税店ばかりが幅を利かせているのとはイメージがだいぶ違う。
搭乗口にはまだ搭乗が開始されていないのか乗客があふれていた。
日本行きの飛行機だけど、乗客の大半が台湾から北海道へ遊びに行く人たちで、日本語は聞こえてこない、
機内もほぼ満席で、非常口横の最前方席の私の隣にもモヒカン刈り頭の男性が座った。
ここでもパーサーが‐あいさつに来て、また非常口横での安全協力の案内を読むように言う。
昨日も読んでいるよと答えたが、もう一度読むようにとのことで、横で読み終わるのを立ってみている。
とりあえず、案内文にしばらく目を落としてから、顔を上げると「理解できたか?」と聞いてくる。
案内文は中国語と英語で書かれていたが、最後の方に日本語で「このカードを取り外さないでください」と書いてあった。
この日本語表現は少しおかしいので、「読んで理解できたが、この日本語の部分はおかしい」と指摘した。
あとになって、どのように直したらよいのかと聞きに来たので「取り外さない」ではなく「持ち出さない」にすべきだと指摘した。
さて、半年後くらいには私の修正指摘が反映されているだろうか。

非常口横は足を延ばせて楽だけれど、テーブルとかモニターをひじ掛けから取り出したり、あんまり便利じゃない。
帰りの飛行機では一列後ろの席に座った方がイイのかもしれないなと思う。
となりのモヒカンさんは、足元に非常口のでっぱりもあって、足も延ばせずちょっと不自由みたいだ。

新千歳空港には日本時間の午後1時半頃に到着。
今回預け荷物のキャリーバッグの中には大量の塩が入っている。
この塩はプレゼント用。
先月ピサヌローク郊外、ルーイ県の県境にあるボークルア村の塩井戸を紹介するオンラインツアーを担当した。
そのツアーの参加者(視聴者)から是非とも塩の味見をしてみたいとの希望があり、然らばと、塩も大量に持ってきて、北海道から希望者のところへ郵送してみようという算段。
空港内には週末でも営業している郵便局があるので、それも好都合。

定型外の封筒や小包にして約8kgほどの塩を発送する。
送料は私の負担だから、ちょっと財布にいたかったけれど、先月ロンドンでスリにやられたことを考えたら大した金額じゃないし、これで受け取ってくれた人が喜んでくれたり、タイやピサヌロークにより関心を持ってもらえたら安いもの。
もともと私なんかは、給料に見合っただけの働きもしていないので、このくらい還元して当然だろう。

その郵便局の小包発送用の料金表を見たらば、シャムネコのイラストが描かれてあった。
郵便小包のライバルであるクロネコ宅急便に対抗して、ゆうパックはシャムネコ便でも始めたのだろうか?
そういえば、宅配業界も以前はクロネコ宅急便の成功に追随してか、さまざまな宅配業者が動物のマークで乱立していた気がする。
ペリカン便、カンガルー便などは最近見ないけど、どうしたんだろうか。

料金表
[郵便料金の表にはシャムネコがついてる]

塩の発送を終えて身軽になったのでバスで札幌市内の宿へ向かう。
今日からの2泊は札幌国際ユースホステルという公営ユースホステル。
私が高校生の時、はじめて北海道を旅行した時は北海道中にたくさんのユースホステルがあって、ちょうど夏休みシーズンということで、どこも大学生たちでいっぱいだった。
しかし、今調べてみると北海道のユースホステルの数はだいぶ減ってしまっているようだ。

札幌国際ユースホステルは、まだ新しい施設で、札幌の中心地からは豊平川を渡ったところにある。
空港から乗ってきたバスのバス停から歩いて10分とかからない。
建物は鉄筋コンクリート製で、見た感じがビジネスホテルのようだ。
ユースホステルならドミトリーが定番だけれど、ここにはシングルルームもあり、料金は安く一泊3,800円。

部屋はソファーまであって、十分な広さ。
テレビもあるしWIFIも飛んでいる。
しかし、トイレや洗面施設はない。
それでもビジネスホテルのような狭っ苦しいユニットバスなんかではなく、ここには大浴場があるので、ずっと快適。
この大浴場も楽しみの一つ。
また、簡単なキッチンもあり、館内での飲酒もOKらしいりも嬉しい。

部屋で一息ついてから、さっそく外へ出かけてみる。
時刻はすでに4時半を回っているので大して歩き回れそうもない。
手近なところで狸小路まで行ってみることにする。
歩いて行くわけだけれど、靴の調子が良くない。
今回の旅行に備えて、穴の開いた靴底をいつものようにタイヤの古チューブを切ったもので補修してきたのだけれど、それが剥がれかかっている。
接着剤を100円ショップで買い求めることから始める。

虹
[ユースホステルを出たところで空に虹がかかっていた]

狸小路周辺は夕食や買い物に来ている観光客で混雑している。
聞こえてくるのは韓国語と中国語。
タイ人にも北海道は大人気なのだけれどタイ語は耳にしなかった。
100円ショップはすぐに見つかった。
日本は100円ショップでもさまざまな接着剤が、いろいろな用途に応じて用意されているのに驚く。
そんななかから衝撃に強いタイプという接着剤を買った。
税込み110円。
通りのベンチに腰掛けて、この接着剤を使って靴底の補修をする。
ベンチの後ろには市電が走っている。
新型の車両もあるが、何十年前と変わらない車体の市電もやってくる。

狸小路で行きたいところは、「業務スーパー」。
もう本帰国まで半年となったので、日本食材の買い出しもあんまり必要なくなって、どうやって食べきるかの方が課題なんだけど、納豆とかインスタントラーメンなんかは、常備しておきたい。
これらは業務スーパーが圧倒的に安い。
今買っておいてもユースホステルには冷蔵庫があるので納豆を保管して置ける。

しかし、なんということか狸小路の業務スーパーは営業していなかった。
閉店してしまったというわけでもなさそうだけれど、明かりが消えて、人気もない。
改装工事をしているという感じでもない。
どうしてしまったんだろう。
でも、営業していないのは確か。
この周辺に業務スーパーは他にない。
ここの業務スーパーがダメなら、このあたりで安く物を買うならドン・キホーテということになる。
これも狸小路に大型店がある。
でも納豆やインスタントラーメンなどは業務スーパーの方が安いようだ。
今晩の夕食もここで仕入れていきたいと思っていたけど、昨日からずっと食べ通し、飲み通しだったので、軽く済ませたい。
結局買ったのは、東洋水産の「麺づくり」というカップ麺。
これが100円以下の大特価になっていた。
それとサントリーの「ドライジン」。
これは翌週チェンマイへ行って、こんど離職してアメリカへ渡る同僚との最後の一献用に購入する。
彼はジントニックが好きだと言っていたので、ドライジンを買って行くというのも考えたが、ジンだけあってもチェンマイでトニックソーダが簡単に手に入るかどうか怪しい。
その点、このアイスジンはソーダで割るだけで簡単にジントニックになるという優れもの。

ユースホステルに戻ったらもう8時になっていた。
早速地下にある大浴場へ下りて行き入浴。
ちょっとした銭湯くらいの浴槽がある。
しかし、ほかに入浴している人は誰もいない。
独占状態で、入浴できる。
本当は、ほかにも誰か入浴してたら、旅の話とかしようかとも思っていたけど、でも一人でのんびり入浴するのはもっといい。
最初、湯が少しぬるめかなと感じて、熱い湯をしばらく足して湯温を上げたのだけれど、大して熱くないはずなのに、湯船に入って3分とたたずにのぼせ始めてきてしまった。
風呂に入ることがめったになかったので、身体がついてこないのかと思う。
それとも歳をとって体力が落ちたからかもしれない。

入浴後に夕食。
さっき買ったカップ麺。
値段につられて買ったので全然期待をしていなかったのだけれど、麺はノンフライ、フリーズドライの野菜もたっぷり入っている。
出来上がったものは、驚くほど美味しい。
かた茹での麺は私の好み。
フレーバーは味噌。
さっそくバンコクでもらった唐辛子を大量投入していただく。
旨い。
タイにはたくさんのインスタント麺が出回っているけど、ノンフライは見たことがないような気がする。
それにカップ麺でこんなに具がたっぷりなものも食べたことがない。
これで100円以下、タイバーツなら20バーツほどなら、土産用にたくさん買っておくべきだったと思う。

[つづく]

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続・チビのこと
7月からピサヌロークの下宿の部屋にやって来ていたネコのこと。
私はこのネコのことをチビと呼んでいるが、下宿のオーナーはチャカチャンと呼んでいるそうだ。
チャカチャンとはタイ語でセミという意味。

段ボールで爪とぎ
[ベッドの下には段ボールを敷いて、爪とぎ用にしている]

下宿のネコということになっているけれど、ここの家人たちはネコを飼っているという意識はあんまり無いようで、この下宿で生まれた仔猫なんかも、どこへ消えてしまったのかわからないうちに減っていくし、そのうちまたどこかから拾ってくるのか迷い込んでくるのか、見かけないネコが増えている。
そんなネコたちの中でも、このネコは特に私になついて、夜はほとんど一晩中私の部屋の中にいる。
そんなわけで、私がイギリスへの旅行などで一週間ほど下宿を留守にしている間、ずっとこのネコのことが気になっていた。
私がいない間、下宿のメス猫たちにイジメられてないだろうか、ちゃんとご飯は食べているだろうかと。
結局、そうした懸念は杞憂に終わり、久しぶりで下宿の部屋に戻って数時間後には、嬉しそうにネコは私の部屋へ訪ねてきた。

ネコの我が家
[もうずっとここに住み着いているような態度]

それからと言うもの、ますます私の部屋から外へ出たがらなくなった。
部屋には砂箱、つまりネコ用のトイレを用意していない。
このネコのトイレは下宿の外へ行って用を足しているらしいのだけれど、夜中など外から大きなネコの鳴き声や悲鳴が聞こえてくることがよくある。
だいたい、ネコがトイレに立って、外へ出た時に他のメス猫と遭遇してしまってのことらしい。

階段で待つ
[私の帰りを階段で待っている]

私は8月末にはピサヌロークを引き払い、バンコクへ異動になる。
このネコを連れていくかどうかで悩んだ。
仮に連れて行ったとしても、年明けの1月末にこんどは日本への本帰国が待っている。
タイは狂犬病蔓延国なので、ネコを連れ帰るには検疫関連で厳しく、面倒で、そして時間のかかる手続きが必要になる。
マイクロチップの埋め込み、二回の予防接種、抗体検査、そして180日間の保留期間。
単純計算でも最短で7カ月かかる。
1月末まで5カ月しかないので、タイムオーバー。
日本の空港検疫で不足する2か月間を留め置きさせるというのも不憫。

ノビノビ
[部屋の中では警戒心がなくなっている]

日本の検疫所で留め置き以外に、7か月後以降に私が再びタイへネコを迎えに来てやるという方法も考えた。
2か月間、タイの誰かにネコを預かってもらえば、ネコもそれほど不憫な思いをしないで済むのではないかと。
しかし、下宿のオーナーと話をしていたら、そのプランも無理そうだとわかった。
オーナー曰く、このネコは妊娠しているとのこと。

食欲旺盛
[お腹に子供がいるからか食欲が旺盛]

妊娠しているということは、遅かれ早かれあと1、2ヶ月もしたら仔猫が生まれてくる。
そうなると、その仔猫の貰い手を探さなくてはならない。
ネコをもらってくれる人なんて、そう簡単に見つかるもんじゃない。
探すのに苦労しないんだったら、真っ先のこのネコを飼ってくれる人を探しだしている。

仔猫まで日本へ連れて行くのはさらに困難。
生まれてすぐにチップを埋め込んだり、ワクチン接種と言う訳に行かないし、小さな仔猫から抗体検査用の血液採取も危険。
1年くらいかかってしまいそう。

冷蔵庫の前で
[私のネコもよくこんなお道化たポーズをしたものだった]

調べてみると、ネコは出産するまで中絶手術を受けさせることが可能らしい。
人間のように何か月と言う縛りがないとのことだが、子供が大きくなってからの堕胎は、大きな手術になってネコの負担も大きいらしい。
それに、中絶などさせることは、私としては大変不本意。
胎児の処分だって、ゴミ箱へと言う訳に行かない。

バンコクへの異動まで、あと1週間を切って、にっちもさっちも行かなくなったけれど、ネコは私の下宿の部屋を安住の地と心得てしまったようだ。
このところは出産準備のためか、タンスの中とかにやたらと入りたがる。
これはネコの本能なんだろう。

結論は8月26日に出た。
私がネコをもらってくれる人を困難だけれど、タイと言う土地ではお金さえ出せば買えないものはないとさえ言われている。
お金を出してネコを飼ってくれる人を探してもらった。
この仲介者へ5千バーツ。約2万円少々。
ピサヌロークのような田舎町では、これでもちょっとした金額。
しかし、たぶん中絶手術の費用と同じくらいだろう。
そして、飼ってくれることになった人にも5千バーツということで、簡単にネコの行き先が決まってしまった。

車に乗る
[受け渡し場所のオフィスまで車に乗る]

斡旋された人はまだ学生で、ピサヌロークの隣りビジット県にある実家はネコ好きで10匹近く飼っているという。
ちょっと不安ではあったけれども、もうタイムリミットが近づいている。
彼を信じて、ネコを託す。
当面一週間は毎日ネコの写真を撮って送ってほしい、その後も時々連絡がほしいと書面に書いて渡す。
実家と言うのは農家だそうで、そこには彼の兄と母がいるそうだ。
だいぶ奥の方に入ったところで、ピサヌロークから100キロ近くも離れているが、彼はネコをナップザックに入れてバイクで実家へと走って行った。

里親
[彼が新しい里親になってくれる]

本当に大丈夫だろうかと、気になって仕方がない。
無事着いたとかの連絡の一つもほしいところだけど、催促して良いモノだろうかと悩む。
夜になってから、ネコの写真が送られてきた。

びっくり顔
[新しい環境に放り込まれ、びっくりしたような顔をしている]

次の日も、日曜日ではあったが、ネコのことが気になって休んだ気がしない。
夕方になっても連絡がなく、イライラも募ってくる。
こっちから電話をかけたけれど電話に出ない。
お金で飼い主探すなんてダメだったんだろうか、お金だけもらったら知らんぷりなんだろうかと余計な方向へ考えが行ってしまう。
夜になって、やっと写真一枚が送られてきた。
「これから夕方までに写真を送ってほしい」と依頼する。

リラックス
[少しは落ち着いてきたようだ]

月曜日、まだかまだかと待っていたら5時頃になって写真が届く。
いちど訪ねて行って、実際この目でどんな家で飼われているのか、他のネコたちとの相性はどうなのかと確認さえできれば私の精神状態も落ち着くんじゃないかと思う。

美人ネコ
[こうしてみるとなかなかの美ネコだ]

火曜日は、午前中に写真が届く。
他のネコとも、仲良くやっているとのこと。
だんだん新しい環境にネコは慣れていってくれているようだ。
むしろ私の方がネコのことで振り回されないようにしないと。

寝ぼけ顔
[なんだか寝ぼけたような顔をしていて、光の加減か目が青くなっている]

水曜日、名前はカプチーノになったそうだ。
少し白みがかった茶色だからだろうか。
名前まで付けてもらったからには、もうすっかりそこのネコに成り切っているのだろう。
中絶まで考えたりしたけど、子供が生まれたら見に行ってみたいと思ってしまう。

下宿にて
[これはまだ下宿にいた時の写真]

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