9月13日 火曜日
朝7時に起床。
ロッテルダム港到着予定は8時半。
毎度同じことを書くけど窓がないので、時計を見ないと朝になったかどうかがわからない。
後部甲板へ出てみると、やっぱり夜明けが遅いみたいで、やっと空が明るくなってきたところ。
少し雲はあるけれど、まずまずのお天気のようだ。
そして空にはたくさんの飛行機雲。
空に定規でやたらと線を引いたように飛行機雲が走っている。
[飛行機雲と朝焼け]
部屋に戻って朝食。
いつもの通りパンをかじるが、今朝はプラムのデザート付き。
甘酸っぱくておいしい。今日の予定はロッテルダムの港から船会社のバスでアムステルダムへ入り、隣町のハーレムの宿に落ち着くことになっている。
アムステルダムまでのバスはすでに先日予約済みで切符も買ってある。
その後、ハーレムまでどうやって行くかで少し悩んだ。
便利さよりも金額を重視。
オランダは電車賃が高いようだけど、バスなどはフリーパスなどが充実していることがわかった。
ブログなどをのぞいても、アムステルダムの中は市電やバスが自由に乗り降りできるパスが便利でお得だと書いてある。
確かにパスがあれば、宿までの移動だけでなく、観光巡りにも使えて便利そう。
しかし、調べてみるとパスはアムステルダム市内でしか使えず、ハーレムまではカバーしていないことがわかる。
結局、電車で行くのが一番早くて安いようだ。
定刻に下船ができた。
オランダへの入国審査も簡単で「これからどこへ行く?」との質問に対して「ハーレム」と答えただけ。
ターミナル前にはすでにバスが迎えに来ていた。
アムステルダム行きは大型バスで下船してきた乗客が続々と乗り込んでいる。
同様にロッテルダム行きのバス停もあるのだけれど、こちらはバスがまだ来ておらず、乗客はバスを待っている。
私はさっさと下船してしまったけれど、まだ下船してくる人はいるようで、ターミナルからバス停へと歩いてくる人がちらほら。
バスの運転手は乗客名簿を持っており、乗る人を一人ずつチェックしている。
[このバスを待つ人たち以外の大半の乗船客は車で海を渡ったのだろう]
バスが出発したのは09:15。
私の座った席の前には、若い女性とその母親と思われる初老の女性が座っていた。
どうやらオランダは初めての様子で、いろいろと調べ物などしているのがわかる。
この若い女性、髪型や化粧がなんとなくダイアナ皇太子妃に似ていた。
ダイアナ皇太子妃と言えば、むかしロンドンのトラファルガー広場に人だかりがすごくて、何かのお祭りでもしているのかと思ったら、「もうすぐレディー・ダイアナが来るんだ」と教えられた。
ダイアナ皇太子妃がイギリス国民を熱狂させるのを見て、日本の皇室メンバーの場合、目立つのは警護ばかりではないだろうかと思ったことを思い出した。
そのダイアナ皇太子妃もゴシップが原因で事故死してしまい、エリザベス女王も逝去されてしまった。
再婚されたチャールズ新国王の王妃、カミラ王妃はどのくらいイギリス国民に支持されているのだろうか?
[前の座席はダイアナ妃似の母子]
バスの運転手は黒人で、アムステルダムまでは1時間くらいで到着するよと陽気に車内アナウンスをしていたが、港から高速道路へ入ったとたんに大渋滞に巻き込まれる。
高速道路は洋上コンテナを積んだトレーラーでいっぱい。
高速道路の脇には鉄道線路もあり、旅客用ではなく貨物線のようで、こちらもコンテナ列車が行き来している。
ヤードがあって凸型をした小型のディーゼル機関車が入れ替え作業なんかをしているのが見れて、私なりに渋滞を楽しむことができた。
[渋滞もまた楽し]
ロッテルダムを過ぎたらば渋滞も解消して、バスはスムースに走るようになった。
オランダに着いた最初の日に見た景色と同じ感じで、緑の牧場が続いている。
そのうちに空港が見えて、だんだんと市街地に入って、2時間後にアムステルダム中央駅の裏側に到着した。
裏口からまっすぐ駅に入ってしまえば簡単に電車に乗れるのだけれど、東京駅のモデルとなったというアムステルダムの駅舎を正面から見てみたいと思い、キャリーバックを引っ張って歩き出す。
駅周辺は古い建物が多く、レンガ色をした建物の屋根は尖がり帽子だったりドームだったりする。
十字架を載せた屋根の建物は教会なのだろうか。
どの建物も、日本やタイへ持って来たら、観光客を集められそうに思う。
新しい建物もあるが、古い建物と調和がとれるような設計になっている。
建物だけでなく、運河も入り込んでいて、大きな運河から細い運河まであり、そうした運河には跳ね橋がかかっている。
バンコクにもパクロン花市場側から暁の寺側へ渡るプッタヨファー橋が跳ね橋で、王宮前の海軍本部へ軍艦が入れるようにするため跳ね橋としたようだ。
また、王宮近くにあるロープクルン運河には、このアムステルダムの細い運河にかかっている跳ね橋と似た構造の跳ね橋、サパンホックがある。
このロープクロン運河は、ほかにもいくつも橋が架かっているけれど、跳ね橋はこれだけなので、本気で運河を航行する船のために跳ね橋構造にしたとは俄かに信じがたい。
[小さな跳ね橋]
一方、アムステルダムの跳ね橋はどうやら現役でもあるようで、駅前からはたくさんの運河めぐりの遊覧船が発着している。
東京駅の丸の内側バスターミナルのようなところに運河が入ってて、そこをボートが行きかっているのだから、面白い。
アムステルダム中央駅は確かに東京駅がモデルとしただけあって、全体的にはよく似たスタイルをしているが、もっと彫刻類などの装飾が多くて、豪華で華やかな印象を受ける。
駅前は一般の自動車は入って来ないが、3両編成の市電が走っている。
バスもやって来れば、自転車も来る。
なかなかにぎやか。
[鉄道駅と言うより水の駅のようだ]
さて、実は尿意をもよおしている。
駅の中へ飛び込めばトイレくらいあるだろうと考えたが、正面から入ってもトイレが見つからない。
探しているうちに、裏口へまた出てしまった。
そして、トイレを見つけたが、嫌なことに有料。
駅のトイレでも、切符を買ってホームの方へ行けば、無料のトイレがあるのではないかと考えて、アプリを使ってハーレムまでの切符を買う。
ハーレムまで4.70ユーロ。
たくさんあるホームの中から、ハーレムの方向へいく電車を探すが、トイレも探す。
トイレは正面側のホームに面してちゃんとあった。
しかし、これも有料。
しからば、電車の中のトイレなら絶対無料のはずと確信して、黄色い2階建ての電車に乗り込む。
トイレを無事に無料で済ますことができて一安心。
イギリスの電車はどれも綺麗だったけれど、このトイレを借りた電車は通勤電車なのか、あまりきれいではなかった。
トイレの掃除がされてなくて汚いのではなく、落書きがいっぱいで、備品もなくなっていたりして、あんまり大切にされていないイメージ。
[電車にはトイレがあってよかった]
駅舎は東京駅に似ているが、構内はバンコク中央駅にも似て、天井が蒲鉾型になっている。
ここもやはり次々に電車が発着している。
黄色い2階建て電車が多いけれど、ドイツ国鉄から乗り入れている新幹線なんかも見える。
陸続きのヨーロッパは国境を越える鉄道網が発達しているのがよく解る。
[ドイツの新幹線]
ハーレムへ行く電車も黄色い2階建て。
しかし、最初は2階建て電車に喜んだのだけど、2階建てと言うのは、荷物の多い旅行者には不便だということがわかった。
免税店で買った24本の缶ビールが重いので、狭い電車の階段の上り下りは大儀になる。
ドアの周辺だけ階段を使わなくてよいスペースになっているので、そこに座る。
缶ビールで階段を断念するような私以外にも、このスペースは自転車を持ち込む乗客に利用させているようだ。
オランダは自転車が多いところだけれど、自転車ごと電車に乗るのも一般化しているようだ。
特別に自転車持ち込み用の車両があるわけでもない。
[ハーレム駅到着]
アムステルダムからハーレムまではすぐだった。
駅から宿までは1キロほど。
宿は旧市街の真ん中にある大きな教会に面しているらしく、名前をカリロンという。
予約サイトを調べていて、ここが一番安かったので、ここを予約した。
値段は40.85ユーロであったけれど、チェックイン時に市税として5ユーロを払えとなっていた。
ハーレムの旧市街もブリーレ同様におとぎ話に出てきそうなかわいらしい町並みをしていた。
街の規模はブリーレよりも断然大きくて、にぎやかでもある。
そして、ちょっとエスニックなところもあって、タイ料理の店、インドネシア料理の店、日本料理の店が並んでいたりする。
[駅から宿への道]
イギリスではフィッシュ&チップスをイギリス名物大衆食として味わったが、オランダではコロッケを食べておきたいと思っている。
どこかにコロッケを売っていないものかと宿までの道をキョロキョロと探してみたが見つけられなかった。
宿は聖バフォ教会という古くて大きな教会の隣に位置していた。
教会周辺は旧肉市場広場と呼ばれる広場になっており、周囲にはテラス席を出したレストランやカフェが取り巻いている。
今夜の宿カリロンもそんなレストランの2階より上の部分に位置していた。
レストランの帳場でチェックインをしたが、東洋系で利発そうな顔立ちのスタッフは大変に親切であった。
ここでも電源に差し込むプラグがないかと聞いてみたのだけれどないとのこと。
しかし、スマホを充電したいなら、この帳場でできると言ってスマホ用のケーブルを貸してくれた。
これで当座はOK。
部屋は4階に位置していて、屋根裏部屋。
たぶん、もともとホテルとして作った建物ではないからなのかもしれないが、階段が急で、しかも狭いものだから、荷物を運びあげるのに2往復もしなくてはならなかった。
部屋は3畳間くらいで、洗面台はあるけれど、トイレやシャワーは部屋の外で共用。
しかし、部屋には2面に窓があり、教会が見えるし、窓から外を見れば広場も見えるという好立地。
[屋根裏部屋でも部屋からの眺めは一級品]
さっそくハーレムの街歩きに挑戦。
ハーレムの旧市街も一般の自動車は進入禁止となっているのか、石畳の道はどこも歩行者天国のようになっているけれど、自転車だけはたくさんやってくる。
それも結構スピードを出してやってくるのでヒヤリとさせられる。
日本のママチャリなんかとは違って、重量級の自転車が多い。
[こんな道を進んでいく]
北東方向へ歩いていき、運河に突き当たったところに風車があった。
オランダ的な風景にマッチする風車だと思ったのだけれど、これは昔からずったあったものではなく、最近観光用に復元したものらしい。
この風車を眺めながら、運河べりのベンチに座ってパンをかじる。
キャベツも千切って食べる。
運河には遊覧船も行きかうし、自家用のボートも係留されている。
自家用ボートはどれも趣味で保有しているものだろうけど、ずいぶんと贅沢な趣味だと思う。
ここら辺の人にとっては、これらのボートってのは別荘のようなものなのだろうか。
[オランダと言ったらやっぱり風車なんだろう]
Mさんからハーレムには世界最古の薬屋があり、その薬屋のシンボルは口を開けたムーア人の顔で、店の入り口のところからニョッキリと飛び出していると教えてもらった。
そして、Mさんたちがオランダにいたころはその顔の色は黒かったけれど、その後黒いムーア人は人種差別的だということで、色を青く塗り替えたのだそうだ。
ムーア人は北アフリカの人たちだから、黒と言うより茶色い肌だろうけど、肌の色のことで差別とか言っている方が、変なコンプレックスや心の底の差別意識の表れのような気がするけど、今の世の中では、まだ触れない方が無難なのだろう。
[窓に並んだ様々な肌の色をしたムーア人]
そんな最古の薬局も見てきた。
ムーア人は確かに青い顔をしていたが、なんだか病的な感じも受ける。
黒い方が元気になれそうに感じるのだけれど。
自分自身で体調の悪いところもないので、薬は必要なくて、薬局の中には入らずにムーア人の写真だけを撮ってまた歩き出す。
[これが薬屋のムーア人]
次に向かったのはMさんご推奨のクラフトビール工房。
オランダもベルギー同様に地ビールは盛んなようで、修道院ビールなんてものもあるらしい。
ベルギーではそうしたビールを飲んだことがあり、ピンク色とか果物味のビールとか口にしたけれど、私としては普通のビールの方がすっきりしてて美味しいという印象が残っていた。
しかし、これも名物。
そして今はクラフトビールが人気らしい。
ハーレムでMさんはJopenというビール工房がお気に入りだったそうで、私もそこへ向かってみる。
Jopenのビール工房は、古い廃墟となった修道院を改装したものだそうだけれど、ビール工房としての歴史は古くなく、まだ開業して10年ほどらしい。
しかし、ビールの作り方自体は、14世紀頃のレシピを参考にして作っているそうで、現代のビールとは風味が全く違うのだそうだ。
とくに14世紀はまだビールにホップを使ってなかったそうで、ホップ以外のハーブ類などで風味付けをしたものらしい。
[ハーレムのクラフトビールJopen]
Jopenは古い修道院を改修したそうだけれど、まったく新しい建物のように感じる。
スタイルは修道院だけれど、古さは感じない。
建物の前にもテラス席があって、食事をしている人がいる。
店内に入ると銅色の大きな蒸留器が聳えている。店内にもテーブル席があり、カウンター席もある。
私はカウンター席に座って周りを見回してみる。
常連さんが多いのか、カウンターのスタッフと談笑している人もいる。
[蒸留釜を見ながらビールが飲める]
この店に関する下調べとしてブログなどを読んでみたら、3種類のテイスティングセットがあり初心者にはお勧めとあった。
素直にお勧めに従い「テイスティングセット」と注文した。
ところが「どれをテイスティングしたいんだ」と聞かれてしまった。
こっちはもともと3種類のテイスティングセットという定番があるものと認識していたので面食らってしまう。
「いや、あの、ええと、だから3種類のテイスティングを、、、」と言うと、
「で、どれと、どれと、どれをテイスティングしたいんですか」と畳みかけてくる。
カウンターの前には20種類もの「本日のビール」見たいのが掲げられており、アルコール度数や特徴などが表示されている。
そんなの見ても、チンプンカンプン。
「お勧めの3種で頼みます」と注文をなんとか済ませる。
[Jopenのビールは缶入りもあってスーパーでも売られているらしい]
出てきたビールは150ccくらいのグラス入りで、色がそれぞれ異なっている。
一番左の色が薄いのが、ADRIAAN WITと言うそうで、アルコール分5%
お値段2.90ユーロ
真ん中は、MOOIE NEL IPAで、アルコール分6.5% 3.10ユーロ
右側の色が濃いのがJOHANNIETERで、アルコール分9% 3.50ユーロ
[各ビールの説明はあるのだけれど]
で、味の違いとか、香とかはよくわからない。
普段飲みつけているビールとはまるで風味が違うことはよくわかるけど、それより値段の方がもっと気になってしまう。
クラフトビールと言うのも趣味の世界のものなのだろう。
私はテイスティングだけで退散する。
宿に戻れば愛しいフォスターが待っているんだから。
ここでのお会計、9.50ユーロ也。
クラフトビールの次はコロッケ。
あちこち歩き回って見つけたのが聖バフォ教会の裏にある小さな店。
観光客向けの立ち食い屋みたいな店で、店の前で観光客たちが大口開けて食べている。
もっとも、食べているのはコロッケではなく、ほとんどの人がフレンチフライを食べている。
フレンチフライにはマヨネーズのようなものをべっとりとかけてある。
コロッケは1個2ユーロ。
安くない。
観光地だからだろうか、それともこれが一般的なのだろうか。
バーツ換算で70バーツくらいもする。
[コロッケよりフレンチフライが名物らしい]
コロッケは俵型で、クリームコロッケかと思ったけれど、中はしっかりジャガイモが詰まっていた。
これにソースではなくマスタードを付けて食べる。
味の方は、普通にコロッケであった。
[本場?オランダのコロッケ]
[マスタードで食べるのも旨い]
コロッケを食べていたら、そのままビールが飲みたくなり、部屋へビールを取りに戻り、教会前の広場に腰掛けてビールを飲み始める。
飲んでるうちに、何か食べたくなりスーパーJUMBOへ行く。
お惣菜を買おうかと迷ったけれど、惣菜類は概して高かった。
そんななかで、あれれと思ったのが総菜売り場にあった餃子。
日本風の焼き餃子なのだけれど、ラベルにはSUSHI寿司と書かれている。
一応値札のところにはGYOZAと書かれてはいたけれど、オランダでは日本風の惣菜の総称としてSUSHIが使われているのかもしれない。
ちなみに5個入りで4.50ユーロ。
[餃子も寿司も市民権を得ているようだ]
このスーパーで買ったものはイワシのトマト煮缶詰 1.56ユーロ
サンポーランというチーズ 1.00ユーロ
そして、JUMBOと言ったら詰め合わせて1ユーロのパン。
しかし、いざレジで精算してみると、3.70ユーロで私の計算より若干高くなっている。
私の計算だと3.56ユーロなのに、変だなぁと思いながらまた教会前へ行って、イワシをパンに挟んでかじり、ビールを飲んではチーズを齧りしながら、レシートをチェックしてみた。
わかったことは、私の計算ミスではなく、レジのミスでもなく、ただ私の買い物が下手だったことが判明した。
JUMBOのパンは4種類詰め合わせて1ユーロなのに、私はパンを3つしか買っていなかった。
なので、パン一つずつで計算されて、4つ買うより高くなっていたことが判明。
[ヨーロッパの人はこうした屋外のテーブルが好きみたいだ]
たっぷりある缶ビールをプシュ、プシュと開けながら、ノドに流し込む。
バンコクではなかなかチーズなんて食べられないので、とても幸せに感じる。
私がビールを゜飲んでいる横では、恋人同士なのだろうか、男女が抱き合ったままずっと動かない。
[今回の旅行に同行してもらった黒猫さん]
これで、今回の旅行はお終いとなるわけで、明日の朝は空港へ向かわなてはならない。
ハーレムからもスキポール空港へ行くバスがあるようなのだが、Google Mapで時間を調べようと思ったら、ストライキで運休と表示される。
ここへきてまたストなのかよ、、しかし、念のために確認しておこうとハーレムの駅前にあるバスターミナルへ行ってみた。
そして、わかったことは、「もうストは終わってるから、明日もバスは走るよ」ということであった。
アムステルダムのバスもクレジットカードで乗れるということなので、これで一安心。
日が陰ってきたら、急に寒くなってきて、ビールの続きは部屋に戻ってからということにした。
夜9時を過ぎても教会前の広場からは人の声が聞こえてきたし、教会の鐘の音も聞こえてきた。
[部屋の窓から見える夜景も一級品]
<hr>
9月14日 水曜日
スキポール空港を11時に出る飛行機に乗るために、朝7時過ぎに宿を出発しようとした。
チェックアウトをして、部屋の鍵を返さなくてはならないが、スタッフが誰もいない。
レストラン側の扉も鍵が閉まったまま。
しかたなく、カギは部屋の中のテーブルの上に置いてきた。
[カギはテーブルに置いたとメッセージを残しておいた]
空港方面行のバスはすぐにやって来た。
赤い連接バスで、ほぼ満席だったけれど、運よく空席があった。
どこをどう走っているのかわからないが、航空会社のスタッフのような制服を着た人が次々に乗り込んでくるから空港へ行ってくれるのは間違えなさそう。
郊外を30分ばかり走って、空港が見えてきた。
バスから降りてターミナルへ歩くが、到着した時もそうだったけれど、空港と駅が完全に融合していて、どこからが空の旅用で、どこからが汽車の旅用の施設なのかよく解らない。
[空港前は歩道と車道の区分もあいまいみたいだ]
それでも、表示を確認しながら航空会社のカウンターまで行く。
カウンター前は長蛇の列ができている。
私はプレミアレーンを使わせてもらったので、ほとんど並ばずにチェックインできたが、出国審査は大変だった。
カウンター近くの出国審査場は定員オーバーで閉鎖され、隣のターミナルまで歩かなくてはならなかった。
そして、そちらの出国審査場も長い行列ができている。
[チェックインカウンター前の行列]
空港に到着したのが8時だったのに、出国審査を終えてKLMのラウンジにたどり着いたのは9時を回っていた。
KLMのラウンジも混雑しており、座れる席を探すのにちょっと苦労する。
ラウンジ内は朝食時だからか、朝食用の食べ物ばかりしか見当たらなかった。
ビールはハイネッケンの生ビールサーバーが置かれていた。
サーバーで生ビールをグラスに注ぐなんてやったことがない、初体験である。
恐々とチビチビとレバーを引いたら泡しか出てこない。
見かねた次の人が、「こんなもん、スピードで注げばいいんだぜ」と教えてくれて、思いっきりレバーを引いたらば、今度は泡がグラスの半分程度で収まってくれた。
まぁ、半分でも構わない。
何杯飲んだっていいんだから。
しかし、オランダでオランダを代表する世界ブランドのハイネケンビールを飲むのが、帰りの空港が初めてとなるとは思ってもいなかった。
[やっと上手にグラスへ注げるようになった]
生ビールも2杯目、3杯目とスキルが上達して、いい具合に告げるようになってきた。
少し離れたところにチーズのコーナーがあり、いろんなチーズが並んでいた。
ゴーダもあれば、エダムもある。
先月医者からは悪玉コレステロールの値が高すぎるから、パンやチーズなんかは控えるように言われているけれど、やっぱり、ここではチーズが美味しい。
ワインのコーナーもあって、冷蔵庫にはスペインの発泡ワイン、カヴァがあった。
辛口のカヴァは大好きなので、これもグラスに注いでいただく。
こちらは生ビールと違って、チビチビと注いだ方が泡だらけにならない。
飛行機に乗る前、朝からいい気分になってしまった。
[カヴァなんて飲むのは何年ぶりだろう]
搭乗時間が近付き、搭乗ゲートまで延々と歩く。
大きな空港なので、歩く距離も長くなる。ゲート前もたくさんの人でいっぱい。
飛行機に乗り込んだら、やっぱり満席。
だいぶ飲んでいて、トイレが近くなっているから通路席が確保できていて良かった。
機内食ではタイのグリーンカレーが出た。
久々のタイ料理。
味の方は機内食としては、なかり本格的な味付けで美味しかった。
スプーンやフォークは環境に配慮してか木製であった。
使いやすいかどうかは別として、意気込みは感じられる。
[1週間ぶりのタイ料理]
もともとは窓側の席を予約していたのだけれど、往路で予想外の満席となったことに肝を冷やし、もし通路側でなかったらトイレを我慢しなくてはならないとの不安からこちらに到着した後に座席を変更しておいて正解だった。
窓側に席を取っていたのは、窓から黒海やクリミア半島が見えるかもしれないと思ったからだったけれど、いざ飛び立ってしまったらすべての窓のブラインドが下げさせられ、窓から外を眺めることなどもともと無理だったことがわかった。
[エアショウでは黒海上空を飛行していることを示していた]
<hr>
9月15日木曜日の早朝、14時間のフライトで台北に到着し、またラウンジでお好み弁当風のものを食べてバンコク行きに乗り継ぐ。
[今度はベジタリアンではなく、お肉が入っていた]
2年半も延期になっていた今回の旅行も無事完了することができた。