■かれんだー■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
<<前月 2024年11月 次月>>
■直近記事 20 ■
■コメント■
■カテゴリー■
■アーカイブ■
■2001-2004年の記録■
■ぶろぐ主宰者■
■ぷろぐらむ拝借■
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■その他■
 
■あどみん■
ADMIN ID:
ADMIN PW:
 

長時間列車の旅、ガンタンへ(中編)
5月14日 (土)
バンコクからの19時間かかってガンタン駅に降り立つ。
ガンタンはタイ国鉄で唯一のアンダマン海に面している。
もともとはタイ国鉄南本線建設のために、資材を陸揚げする目的があったようだ。
資材はイギリスからインド洋を越えてやってくるのだから、アンダマン海側に陸揚げ基地を設けるのは理にかなっている。

そんなガンタン駅も、どうして21世紀になっても存在し続けているのかと思うほど、鉄道利用者は少ない。
貨物輸送も行われていない。
発着するのは、バンコクとを結ぶ一往復だけ。

パステルカラー
[ガンタン駅近くの交差点]

しかし、ガンタンの街はかわいらしい街だった。
宿へ向かって歩き出してすぐの交差点に、パステルカラーで塗られた古い棟割り長屋が続いている。
その長屋は亭仔脚という二階部分に対して、一階部分が奥に引っ込んだ構造で、この引っ込んだ部分がアーケードの通路のような役割を果たしているもので、台湾の古い建築でよく見かけるもの。
バンコクの中華街にある古い長屋は、二階の部分ではなく、二階に取り付けられた庇がアーケードを構成するような形になっている。
亭仔脚は台湾以外でも、シンガポールやマレーシアでも見たような気がする。
もともとは福建系の建築なんだと思う。

ガンタンでの宿はシリチャイホテルというもともと古い建物を、最近全面改装してモダンにしてある。
とてもきれいにしてあって、スタッフ含めて感じが良い。
モダンだけではなく、レトロな部分もオブジェとして多用している。
たとえばサムローと呼ばれる輪タクが展示されている。
このサムローもタイのほかの地域で見かけるタイプと形が違う。
タイのサムローは漕ぎ手の後ろに客席をつなげて、後輪が二輪となっているが、ガンタンのものはサンドカー式になっている。

部屋も狭いながらきれいで、ベッドはまた二段ベッドであった。
シャワーブースが狭すぎるのは気になったけれど、清潔なのは気持ちがイイ。
さっそくシャワーを浴びて、全身にこびりついた埃や鉄粉の臭いを洗い流す。

しばらくして岩さんと合流。
岩さんはすでにガンタンの街を一回り歩いてきたそうで、私を連れて案内したがっている様子。
私はこのガンタンでやりたいことは、郊外にあるという温泉行きくらい。
宿で自転車を二台借り出して、岩さんと二人でまずはトラン川の対岸へ渡ることにする。
ガンタンはトラン川の河口近くに位置しており、川岸には渡河いるためのフェリーが運航している。
フェリー乗り場の近くには灯台のような形をした資料館が立っていた。
岩さんはすでに見学済みだそうだけれど、私にも見学を勧める。

ガンタン歴史博物館
[灯台のような形をした資料館]

資料館へ入って最初のホールでは銅像が立っていて、隣にはこの銅像となった男性が移った白黒写真のパネルがかかっていた。
この男性はパヤー・ラッサダーヌプラディットと言う人物で、どうやらこの土地の発展に貢献した県知事のような人物らしいということがわかった。
建物内には古い写真パネルが展示されていて、かつてのガンタンの賑わいなどが説明されている。
岩さんは上に登ると景色がイイですよと言ってさっさと上に登っていってしまったが、私には学芸員さんが付いて、一つ一つ説明してくれるので時間がかかる。
二階のスペースには先代のラマ九世国王が若かりし頃の写真がたくさん展示されていたので、「王様もガンタンへ行幸されたのか」と学芸員さんに質問したらば、王様は来ていないとのことだった。

ようやく上に登って、外へ出てみると、すぐ南側に漁船が係留されている。
「揚がった魚はここでセリにかけられるのか」と質問したが、ここは市場ではなく、魚はここから生鮮市場へ運ばれて売られるとのこと。
そして、近年リゾートとして人気のリボン島やクラダン島にムック島になどへ渡る船も、昔はここから出ていたんだそうだ。
現在は海岸沿いのハートヤオと言うところへ港は移っているらしい。
ここからリボン島まで船だと2時間かかるそうだ。
いまでは道路が発達したので、リボン島対岸のハートヤオ港まで車で行く方が便利になったので、港が移ったらしい。

漁船
[トラン川もタイの川なので茶色い]

そういえば昔はサムイ島へ渡る船もスラタニ市内のタピー川岸から出ていたけど、いまでは車で1時間も行った先にあるドンサク港へ移っている。

市内の方へ目をやると、廃墟かと思うような巨大なコンクリート製の建物がいくつも見える。
マンションか住宅団地のような巨大で長方形の建物の壁面には窓のようなものもほとんどなく、明り取りか通風孔のような小さな穴が少し開いているだけで、倉庫のような印象を受ける。
こんな大きくて、背の高い倉庫に、何を入れておくのだろうかと学芸員さんに質問したら、へんてこな答えが返ってきた。
「鳥の巣だよ」
鳥の巣?
ここらへんでは鳥の巣が特産品なのだそうだ。
よく意味が解らなかったが、説明を受けてようやく納得できた。
鳥の巣と言うのは、アナツバメの巣のことで、これは高級中華食材として高値で取引される。
天然物は海岸沿いの岩山の崖に作られたイワツバメの巣を使うが、普及品はこうした建物の中に、アナツバメたちに巣を作ってもらい、その巣を回収しているのだそうだ。
つまり「ツバメの巣(燕窩)」の人口養殖場ということになる。
先日、バンコクのヤワラート中華街の屋台で、燕窩スープが手ごろな金額で売られているのを見て、アナツバメの巣を採るのは命がけの作業で、だから珍味として高値で取引されるはずのものが、どうしてこんなに安いのだろうかと疑問に思っていたけれど、こうして大量廉価生産されていたことを初めて知った。

ガンタン市街
[真ん中の無粋な建物がツバメの巣量産施設]

トラン川を渡すフェリーは甲板上に車や人を載せて運ぶ簡易的な船。
対岸までの運賃は一人2バーツと安い。
自転車を載せる追加料金はかからなかった。
ガンタンよりももう少し上流には橋もかかっているそうだけれど、地元の人にはフェリーが便利らしく、車もバイクも次々に乗り込んでくる。
運行している船は一艘だけのようで、それがひっきりなしに両岸を行ったり来たりしている。
対岸までの所要時間は3分もかからない。

フェリー
[小さな航空母艦みたい]

対岸に渡って、温泉までは約6キロほどらしい。
事前にグーグルマップで道順を見ておいたのだけれど、アップダウンについては確認していなかった。
船着き場の近くに少し集落がある程度で、ほんの数百メートルも進むと、ヤシ園やゴム園が続く。
このあたりのヤシ園はパームオイルを採るためのヤシで、ココナッツや砂糖椰子はちらほら程度。
そうしたプランテーションの中を細い田舎道が続いているが、南部タイらしく丘が多い。
そうした丘のためちょっとした坂道が連続していて、自転車をこいでいると、汗が噴き出してくる。
民家が所々に点在していて、そうした民家の近くには犬がいる。
そうして自転車に向かって吠えかかってくる。
これはタイの犬の悪い習慣。
民家の飼い主から、犬は怒鳴られているが、吠えながら自転車を追ってくる。
鼻面を足で蹴とばしてやりたくなる。

2キロほど走ったところで、ハイウェイにでる。
多少のアップダウンもあるけれど、路肩も広く取られていて、自転車でも走りやすい。
車の交通量も多くない。
犬も追いかけてこない。

Hot Water Well
[温泉への道]

さらに2キロほど進むと"HOT WATER WELL➡"との看板が出てきた。
温泉の英文表記でこんな書き方もあることを初めて知った。
通常は"Hot Spring"となるかと思うが、タイ語ではบ่อ(Well)น้ำ(Water)ร้อน(Hot)の各単語を直訳しただけのものかもしれない。

ハイウェイから温泉へのわき道に入ってからは、なだらかながら上り坂が連続するようになる。
温泉公園まであと少しと言うところからは、坂が急になって自転車を押して上る羽目になった。
それでも、船着き場から20分ほどで到着できたのだから、まずまずのサイクリング。
帰りは下り坂が多くなるはずだから、少しは楽ができそう。

温泉森林公園
[温泉森林公園入口(裏口)]

ここの温泉の名称は、"Kantang Hot Spring Forest Park"となっている。
(やっぱり、温泉はHot Springだよな)
公園の入り口に自転車を止めて、早速中に入る。
Forest Parkとなっているので入場料がかかるのではないかと思っていたが、無料の公園らしい。
しかも、園内もよく整備されている。
タイでは国立公園とか、入場料を取るところが多い。
たいして整備もしていないのに、外国人には破廉恥な金額をー請求するので、うんざりするが、ここは無料とわかって嬉しい。

フォレストパークと言うだけあって、公園全体が深い森の中にある。
広さは500ライと案内されている。
1ライが1600平米なので、相当の広さの公園らしい。
2006年にフォレストパークになったとある看板に案内されているが、肝心の温泉の効能のようなものは見当たらなかった。

温泉公園の案内板
[タイ語、英語、中国語で書かれている]

園内には小川のようなものが流れていて、それが温泉水となっている。
その小川で足湯をすることもできるし、淀みになっているところでは、そのまま入浴もできてしまうようだ。
観光客と言うより、地元の人と言った感じの人たちが、温泉の小川に浸かっている。

公衆天然露天風呂
[和気あいあいの入浴シーン]

この温泉にも個室浴室があり、タイの温泉で一般的な直径2メートル半くらいある丸い浴槽を備えた小屋がいくつかあり、100バーツで入浴できるとなっている。
カンペーンペットの温泉なんかとおんなじスタイル。
当初は、この個室浴室を利用しようと思っていた。

個室浴室入浴受付
[公園正面入り口にある案内所]

しかし、この森の中の温泉で、狭い小屋の中に閉じこもって、外の景色も見えず、ただ温泉に浸かっているのはもったいないと感じた。
そう感じさせたのは、巨大な露天風呂に入浴している人たちを見つけたからだ。

巨大露天風呂
[巨大な露天風呂]

露天風呂と言うレベルではなく、温泉水が溜まっている大きな池かプールのようだ。
そんな感じで、少し楕円形をしているが、直径は15メートルくらいはあるだろうか。
脇には湯温が表示されており、午前08:30の測定で45.1℃となっている。
外気温も上がっているので、現在はもう少し熱いと思われる。
試しに手を入れてみると、かなり熱い。
しかし、ちゃんと入浴している人がいる。

45℃
[45℃といったら、結構熱い湯だ]

早速短パン1枚になる。
まずは、足だけ浸けてみる。
この巨大露天風呂は、広いだけではなく、深さもあるようだ。
足だけ入れて、ものの数分で足の皮膚が赤くなる。
結構な熱さだ。

しかし、隣の夫婦連れは、この温泉の中にドブンと頭までもぐったりしている。
私の一般的イメージでは、タイ人は猫舌であるとともに、もともと風呂の習慣がなく、熱いお湯には入れないと思っていた。
事実、カンペーンペットの大浴場も、温水プールかと思うくらいぬるいお湯。
私が少しお湯の栓を開けて、湯温を上げると、たちまちクレームがついてしまう状態だった。
それが、私が熱いと感じる湯温に、タイ人が浸っているのに、私は足先を赤くしているんじゃ情けない。
意を決して、全身浴に切り替える。

森の中での入浴
[お湯は熱いが、気温も暑いので湯気は立っていない]

しかし、ちょっと怖い。
ここの浴槽、やたらと深い。
足先から徐々に湯の中へ沈めていくが、なかなか足裏が底に届かない。
熱いお湯の中で、どのくらいの深さがあるのかわからないところへ、入るのは勇気がいる。
よくやく、足の指先に触れるものがあった。
底に到達。
深さは120~140cmくらいあるだろうか。

底は小石が多いようで、また泥の部分もある。
そうした底から、熱い湯が染み出してくるところがあるので、そうしたところを踏むと、足裏を火傷しそうだ。
こんな熱い温泉は、台湾の北投温泉の瀧乃湯以来かもしれない。
あそこも熱くて、身体を動かせず、そおっとお湯に浸かって我慢比べをしてなければならなかった。
ここの湯温も似たようなものらしい。
露天風呂の底に高温の湯が出るところがあるので、足を底につけず、泳ぐなどして浮いていればよいのだが、身体を動かすと熱水があたって痛い。

入浴シーン
[深いので中腰で入浴]

だいたい3分も入っていたら、茹であがってしまい、湯から上がって、淵に倒れこむように休憩する。
水を飲む。
小さなペットボトルの水を一本しか持ってみなかったことを後悔する。

なんどか、湯に浸かり、淵で休むを繰り返すうちに、湯温の熱さに少しずつ慣れてきたようだ。
少しくらいなら、泳ぐこともできるくらいにまでなった。

隣の夫婦連れだけではなく、やはり地元の家族連れのような人たちもやってきては、露天風呂に入っていく。
このあたりの人は、温泉慣れしているのだろう。

隣の夫婦連れに話しかけられた。
いつもの定番で、どこから来た、何の仕事している、何年タイに住んでいる、嫁さんはタイ人か、、、と質問をうけ、ひとつひとつ答えていく。
そして、「この温泉に初めてきたというのに、熱い温泉に浸かっても平気でいられるなぁ」と感心されてしまった。
平気でいられるわけではないが、もともと熱い湯に、我慢しながらでも入るのは嫌いじゃない。
「よそから観光に来て、この温泉に入れる人は珍しい」ともいう。

やっばり、ここの温泉に入ることができるのは、地元の人だけなんだろう。
この夫婦も毎日この温泉に入浴しに来ているそうだ。
そしてタイの人も熱い湯に入る習慣さえついてしまえば、この程度の温泉など何ともなくなってしまうのだろう。

なお、岩さんはこの露天風呂は熱すぎて無理ということだった。
足湯も熱くてダメだったので、水のシャワーだけ浴びて、自転車でかいた汗を流したそうだ。

この温泉、泉質はよくわからないが、無色で無臭だったので、単純泉なんだと思われる。
タイの南部はガンタンに限らず、温泉が湧いているところが多いようだ。
まだ行ったことのないところも多いけれど、いままでの経験上から、露天風呂としてはガンタンの温泉が一番のような気がする。

露天風呂の湯温は45℃だったけれど、足湯となる源泉の温度は69℃となっていた。
この温度はさすがに手を付けることさえできないだろうから、この周りには誰もいなかった。

69℃
[69℃の熱湯が流れる小川]

1時間ほど温泉を満喫して、再び自転車でガンタンの街へ戻る。
時刻は夕方6時少し前。
まだ外は明るいが、ペットボトルの水も飲み干してしまっており、もうビールを飲みたくて仕方がない。
ガンタンの街の老舗らしい食堂へ入って、早めの夕食とする。
店の名前はロークンで、エアコンもない大衆食堂風。
宿でシーフードが美味しい店だと紹介されてきたが、シーフード店のような派手さはない。
それとシーフードも出すけれど、店の看板メニューはラートナーという餡かけ麺でもあるようだ。

戻りのフェリー

まずは「チャーンビール」と注文したのだけれど、チャーンはないとのことで、シンハビールとなる。
辛いものが食べられない岩さんには悪いけれど、ヤムウンセンも注文。
岩さんは辛いものだけでなく、アルコールも受け付けない体質。
私は辛いものとビールはウエルカム。

しかし、出てきたヤムウンセンはちっとも辛くない。
どうやら、外国人ということで、唐辛子をほとんど入れずに作ったらしい。
辛くなくてはビールがうまくないので、生の唐辛子を刻んでもらってヤムウンセンに混ぜ合わせる。

ここの看板メニューはラートナーだけできなく、ホイジョーというカニのほぐし身を湯葉に包んで揚げたものがある。
これは辛くないので岩さんも食べられる。
私がヤムウンセンを食べている間、岩さんはホイジョーやソフトシェルクラブのニンニク揚げなどを食べられ、「なかなか旨いですよ」とオレンジジュースを飲みながら言われる。

シーフードの店として紹介されたのだけれど、大きなエビはないとのことで、プラーカポンというスズキの醤油煮も注文したのだけれど、スズキがなかったということでカマスの醤油煮が出てきた。

他にイカとかの料理も注文したはずで、ビールを2本飲んで、会計は1,060バーツ。
恐縮ながら、割り勘ということで、私はだいぶ得をしてしまった。

まだ8時前で、腹ごなしにガンタンの街の中心部を一周歩いてみる。
ガンタンでは、夜にも飲茶を食べる習慣があるようで、夜食として飲茶を出している食堂があった。


| https://chiangmaikk.com/blog/index.php?e=212 |
| | 12:59 PM | comments (0) | trackback (0) |
PAGE TOP ↑