9月28日 火曜日    天気は晴れ  

 このところ小鳥のピョンは幼虫ばかりを食べていて、他の食べ物はほとんど受けつけない。よほどこの幼虫が美味しいらしく、今回の旅行中も幼虫持参できている。昨日、カオヤイ国立公園に入る際に、ピョンは公園内に連れ込めないため、公園入り口でゲートの係員に餌の幼虫と一緒に預けていったのである。係員たちは気の良い人たちで、私たちが戻ってくるまで、ピョンの餌の面倒を見てくれるとの事であった。ところが、確かにピョンへ餌の幼虫を与えてくれていたようなのだが、問題は、食べ残した幼虫をそのままにしていたため、大半の幼虫が脱走してしまった。そのため、ピョンの餌が、ほとんどなくなってしまったのである。わずかに残った幼虫も、今朝を最後に食べ尽くしてしまい、これでピョンの餌はなくなってしまった。幼虫がいなければ、他の餌を食べてくれれば良いものを、やはりパンくずなどは食べようとしない。

 10時前にパクチョンのホテルを出発し、国道2号線をバンコクへ向かって走る。途中、チョクチョン牧場に立ち寄る。チェンマイでもときどきスーパーで見かけるが、このチョクチョンの牛乳はなかなか美味しい。タイにもいくつかの有名な牛乳メーカーがあり、日系の明治、欧州系の、ダッチミルや、タイ-デニッシュ、ネスレなど、その中でも、このチョンチョンは一番美味しいと思う。チェンマイでも酪農は盛んであり、やせこけた白い牛を良く見かけるが、このカオヤイ周辺にある牧場の牛は日本と同じ白黒のホルスタインである。
 このチョンチョン牧場、私はもう少し本格的な牧場をイメージしていたのだが、立ち寄って見たところの感想としては、まるで千葉県にあるマザー牧場と、鬼怒川のウエスタン村、そして、岩手県の小岩井農場を合計して3で割ったような施設であった。つまり、まったくの観光施設である。入り口にはカウボーイハットの係員がたち、駐車場への誘導や呼びこみをしている。土産物を売る店が並び、入場料には各種アトラクションがセットになっている。私たちは、ここで絞りたての牛乳を飲もうと思っていたのだが、お母さんと優泰はまっすぐにアイスクリーム売り場へ直行してしまった。アイスクリームは当然ここのオリジナルなのだろうが、日本同様、この手の観光牧場の常として、決して産地直売で安いと言うことはなく、観光料金が加味されて、小さなカップひとつが35バーツであった。味は「美味しいよ」との事であった。

 本日は、昼前にバンコク郊外にあるウォーターパークへ優泰を連れていく予定にしていた。一旦バンコク市内に入ってしまうと、交通渋滞に悩まされそうなので、バンコクに入る手前で、田舎道に逃げた。地図ではこの道をまっすぐ行けば、ウォーターパークのあるバンカピ方面へ行けそうであった。まったくの田舎の1本道で、快適に走れたのもつかの間、田舎道にしてはトラックが多いなぁと感じていたのが、そのうちにトラックやトレーラーにはさまれ、しかも大渋滞になった。どうやら、この道周辺には物流拠点がいくつかあり、この道はその抜け道として利用されているらしい。片側1車線の道ながら、渋滞して動かない。先を見ても延々とトラックの行列で、ちっとも動く気配がない。日差しは強く、やたらと暑い。トイレにも行きたくなり、まったく酷いことになった。

 渋滞を抜けるのに1時間以上かかり、ウォーターパークには予定よりだいぶ遅れて、午後1時過ぎとなっしまった。ウォーターパークで入場料を支払う際に、割引券を持っていないのか?と聞かれた。どうやら、ウォーターパークでは各種の割引券をばら撒いているらしく、割引券があれば、200バーツの入場利用が、半額の100バーツなのだそうだ。しかし、私はそんな割引券など持っていない。「農民銀行のキャッシュカードでも割引になるよ」と言われたが、私は軍人銀行のカードしか持っていない。変な話だが、200バーツ払えば、年間会員になれて、期間内ならすべてフリーパスになるのだそうだ。まったく、こんな営業をしていて、定価の入場料を払う人がいるのだろうかと思った。結局は何の割引券もないままに、それでも半額にしてもらえた。

 平日なので空いているだろうと思ったが、結構人が沢山来ている。たぶん中高生たちは試験が終わって休みになったからなのだろう。制服姿の子供たちが多いので、学校行事として遠足に来ている子供も多いのかもしれない。
 この生徒たちを見ていると、チェンマイの生徒たちとはだいぶ違うことに驚く。特にバンコクの女子高生は、チェンマイよりも日本の女子高生に近いのではないかと思える。制服のスカートはタータンチェックである。しかも、たくし上げているのか、切り詰めているのか知らないが、ミニスカートである。傍若無人ぶりも、チェンマイの生徒とはケタが違う。
 私たちはピョンを連れているので、遊園地の乗り物に乗る時には、私かお母さんのどちらかがピョンを見ていなくてはならない。しかもピョンはこの手の遊戯機具が怖いらしい。コンプレッサーや機械の唸りに驚いて、目を白黒させている。

 ピョンの災難はまだ続いた。呼び物のプールへは私が優泰に付き合って水に入り、お母さんがビーチパラソルの下でピョンと待っていた。このウォーターパークのマスコットはピンク色をした猫である。本来水が嫌いなはずの猫をマスコットにしているのも変な話だが、もっと変なのはプールの回りに猫が多いことである。私はもともと猫好きだから、猫がいることなど気にもしなかったが、この猫たちがピョンを狙って鳥かごに飛びかかってくるのである。まったくピョンも生きた心地がしなかったことだろう。

 閉園時刻までウォーターパークで遊び、バンコク市内へ向かう。今晩の泊まりはマンダリンホテル。市内の中心部までウォーターパークからはだいぶ距離がある。そして渋滞もあった。6時に出発してホテルに着いたのは8時であった。その間、プラトォーナムのインドラホテル前で警察官に交通違反で捕まってしまった。私は知らずにバス専用レーンを走っていたそうなのである。「チェンマイにはバスレーンなどないので、そんな規則があるなど知らなかった」と弁解したが、免許書を取り上げられ、明日の朝、警察署へ出頭するようにとのことであった。まったく、踏んだり蹴ったりである。しかし、タイの警察官の良いところは、日本と比べ警察官の裁量が大きいことである。反則切符にペンを滑らせている警察官に「なんとか勘弁してもらえませんですかねェ、明日は明日で用事があるし、、、」とお願いすると、「じゃ、ちょっと着いて来なさい」と、白バイで先導されて、少し離れた場所まで誘導された。
 「千バーツを越える罰金ならば、警察署で払わなくてはならないが、それ以下ならば、その場でも解決できることになっている」と警察官が言った。「では、いくら払えば宜しいでしょうか?」と恐る恐る聞いたところ、「いくら払える?」と質問された。罰金額を違反者が決められるとは何とも良い制度である。「150バーツで如何ですか?」と返事をしたら、「うーん、200バーツが最低だよ」と条件をつけられた。
 しかし、財布を覗いて見らた、120バーツしか入っていない。この窮状を察知した警察官、「まぁ、今回はイイよ、以後気をつけな」と言って免許書を返してくれた。私は、「それじゃ、申し訳ないので、これはチップとして、、」と100バーツを進呈したら、ワイをして受け取ってくれた。そして「ホテルの場所まで、先導してあげようか」とまで言ってくれた。白バイに先導されるなど、見分不相応と丁重にお断りした。

 晩ご飯は、名前だけはパクチョンと同じテキサスと言う名のレストランで食べる。ただし、ステーキではなくタイスキである。
 このテキサスはバンコクの中華街にあり、今日が中秋節と言うこともあり、中華街は沢山の人出であった。ホテルから乗ったタクシーの運転手は、「この辺は皆、中国人ばっかりさ、店をやっているのも、料理を食べるのも、、、タイ人は、ほら、あのゴミ集めの係りくらいさ」と言った。

朝食

パクチョンランドマークホテルのアメリカンブレックファスト。

昼食

ウォーターパーク近くの食堂にてバミーラーメンとカウマンガイ。

夕食

バンコクの中華街にあるテキサスにてタイスキ。

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