家族会議前の事前交渉。今朝はお母さんから先制攻撃を受ける。「お父さんが、夜日本語を教えたらアルバイトになるじゃないの」と言う。タイ人相手に日本語など片手間に教えたところで大したお金になるわけではない。そのことを説明したら、「お父さんは韓国語もわかるんだから、韓国人駐在員のところで教えたら1時間300バーツになるから、2時間ずつ毎日教えれば15000バーツくらいになるじゃない、そしたら優泰の学費の足しにもなるし、、」 今でも、毎日12時間以上の勤務をこなしているのに、更にまだ2時間、しかも出張授業となると、体力の限界に挑戦するようなものである。この金額、N生命へ毎月払っている保険金とほぼ同じだから、優泰の学費ではなく、保険金のために稼ぐようなもので、体力の限界が尽きたときに、本当の優泰の養育費が捻出できるのかもしれない。とすると、実に良いアイデアである。
昨日の韓国人の件だが、まだ尾を引いている。結局、私は後を経営者と他のスタッフに託して、ワタノー学校へ行ってしまったのだが、その後のことを確認してみると、何だかんだ行ったところで、やっぱり私のところが一番安かったのだろう、その韓国人のお客さんは、経営者に私の伝えた航空運賃を払っていったそうである。そのことを私は今日の午後になって聞いたのである。私のところには、昨日の件に関してメモもメッセージも残されておらず、手配カルテも無かった。そのため、私はてっきりK.K.トトラベルを利用されずに、よそへ行かれたのだろうと確信していた。ところがである、経理の机の上にあった昨日の売上伝票を何気なく見ていたら、なんとそのお客から4人分5万バーツ近いお金を受け取っているのである。と言うことは、航空券の販売契約が成立したことになるではないか!私は慌てて、航空予約担当スタッフに事情を確認してみると、経営者は確かにお金を受け取っている。しかし、何の予約手続きもされていない。予約もせずにお金だけもらったのでは、会社の信用にかかわる。「なんで、予約もしないでお金だけ受け取るんだ!」と問いただしたら、「韓国語がわからないから、どんな風に予約してイイかわからなかった」と言う。愕然とした。
経営者も、「タローが電話して希望を聞けばイイじゃないの」と言う。良くないときには良くないことが重なるものである。嫌々ながら電話をしてみると「予約の希望は伝えてあるはずだ」と言われる。当然だろう。「予約できる」と言われたから、お金を払って来たのだそうだ。恥ずかしながら、「もう一度、予約内容の確認をしたいので、希望スケジュールを教えてほしい」と昨日の非礼を詫びながら、当社が予約をしたはずだと言う内容を確認した。電話を切ってすぐに、すぐ航空予約端末を叩いた。希望便は「満席」であった。またキャンセル待ちをクリアするために奮闘しなくてはならないのか、、しかも、今回はキャンセル待ちをクリアしても、決して「カムサハムニダ」とは言ってもらえない。
夕方前、航空券の発券担当者をSPホテルへ誘って、個人的な意見交換をする。現在のK.K.トラベルで、まともに仕事をこなしているスタッフは彼女一人である。まずまずまじめだし、航空・旅行業界での経験も長い、業務知識も豊富である。もちろん、裏がえすと、小ずるいところもあるし、不正もある。でも、使えるスタッフであることは確かである。意見交換の主題は、私としては、来月末でK.K.を辞めて日本への帰国準備をはじめる計画があることを話しておく。正直なところ、現在のK.K.は私と彼女の2人で成り立っているようなものである。
彼女とは、現在のK.K.の抱える問題点と今後の課題について、認識はほぼ一致した。やはり、彼女も他社からのヘッドハント・アプローチを盛んに受けているらしい。タイで多少仕事のできる人材と言うのは実に貴重な存在である。が、彼女も、K.K.トラベルには他社には無い魅力があると言う。この点でも意見は一致する。つまり、上から管理されること無く、自由に仕事ができるということである。現在の最大の問題点は、経理の能力不足が大きく影響して、足を引っ張られていると言うことも、共通認識として一致した。彼女が、頑張っていてくれる限り、K.K.トラベルもすぐに崩壊することは無いだろう。
その彼女は、今朝自宅で足をサソリにさされて、足がまだ痛いと言っていた。チェンマイの庭付き一戸建ての家に住むというのは、日本では考えられないような危険がある。サソリならまだしも、毒蛇に噛まれたら大変である。
夕方、経営者がタイスキのMKの無料招待券があるからと従業員を誘って、夕食に出かけた。まだ閉店時間前だし、私は気分的にもあまり行きたくなかったので、誘いを断って、K.K.トラベルに残って仕事を続けた。ラジオ局へ向かう少し前にMKから出前が届いた。ダックの煮込みがのった緑色の麺である。そして程なくして、経営者から電話が入り、「タロー、おなか減っただろうから、料理を運ばせたからね」と言う。ダメ経営者だが、こうしたことだけは気が利く。また、私に対して、色々とトラブルに巻き込んでくれたりするが、毎朝メイドにコーヒーを入れさせたり、午後のおやつをスタッフとは別皿に盛って用意させたりと、こんなことにはずいぶんと気をつかってくれる。友人として実にイイ存在なのだが、、。
夜、ラジオが終わって放送局からの帰り道、雨に降られてしまった。