以前一時的に私の施設秘書をしてくれたギフトさんは私の手を離れ、現在経営者の直轄下にある。もちろん、もともと仕事をしていない経営者にとって、このようなスタッフは必要ないのだろうが、この経営者は変なところがあって、「辞めさせたら可哀想だから私が引き取る」と言って、本採用にしてしまったのである。と言うことで、私は彼女に対する監督の必要性はなくなった。彼女も実に居心地が良さそうである。なんたって、エアコンの効いたきれいなオフィスで、ソファーに座ってファッション雑誌を眺めたり、ネットサーフィンをして１日の大半を過ごしているのだから、たまに仕事と言えば、経理から１日に２、３件依頼される領収書作りだけである。せっかく、小屋がけ食堂のおばさんが苦労してチェンマイ大学まで出してあげたのに、こんな状態では、食堂のおばさんに申し訳ない気がする。特に移り気の経営者がまたいつ「今度の月末で辞めさせる」とか言い出しかねないし、何も仕事のトレーニングを積まずに、もとの失業状態にしてしまってはまずい気もするのだが、タイではそうでもないのかもしれない。居心地がよいことが最優先されるべきことで、苦労をするのは正気の人間のすることではないのかもしれない。私が小学校の頃、イソップの「アリとキリギリスの話」の解釈の仕方で、南方の国では、「キリギリスはいつも楽しく遊んでいて、アリは楽しみも見つけられず、一生働き詰で、価値のない一生、だからそうなってはいけない、今を楽しめ」と解されている国があると聞いて、すごくショックを受けたことがある。まぁ、そのショックが私の価値観を覆すほど大きなものではなかったから、今でもこうして働きアリに甘んじているのだが、そのショックを与えた南方の国とはひょっとして、ここのことではなかったのだろうか、、。
そのイソップの続きではないが、どうにも何かに対して事前に準備をしておくということが苦手なようである。今朝もコピー用紙がなくなった。K.K.トラベルでは経営者ご自慢のオールインワンのプリンターを使っているので、コピーもファックスもプリントアウトもみんなこの１台である。「早く用紙を補給しなさい」とパソコンでポップスのダウンロードをしていたギフトさんに指示したら、「もう、紙がないから補給できない」と言う。前回用紙を買う時に用紙は２束買って、１束使いきったらすぐに追加を買いに行くようにと指示していたのだが、「この間買った２束はもう両方とも使いきった」と言う。やはり、準備をするということが判っていない。「じゃ、とにかく早く用紙を準備しなさい」と指示をして、15分位しても、一向に用紙を買いに出る様子がない。山積みされている書類の束を何か漁っていたので、経営者か経理担当あたりから何か探すように指示されているのかなと勝手に解釈していたが、それは間違えであった。その後またソファーで寛いでいるので、「用紙はどうなったのかな」と聞いてみると、「さっき白紙の紙を３枚見つけたから、それを入れておいた」とお答えになられた。日本でならまるで人を食ったような答弁であるが、極平然と答えられるのだから、恐れ入ってしまう。
日中、とんでもなく暑い。ビートルのエアコンなど、風の弱い扇風機並の働きしかせず、運転していると汗だくである。その熱い炎天下の中、市内のホテルを回って、今後２週間分のホテルの予約の再確認作業をおこなう。電話で済ませたいところだが、相手の担当者の顔が見えないと不安でしょうがない。なぜ不安かと言うと、たとえば予約に問題があったり、手違いがあった場合、担当者はこちら側からクレームをつけられるのを恐れて、「OK、マイペンライです」と答える。どうせチェックイン当日は、自分が担当するわけじゃないから、「OK、マイペンライ」と答えているに過ぎないのだろうが、実際にはこちらにとってちっともマイペンライでは済まされない。私にはまだタイ語とタイ人の言いまわしの機微が理解できていないので、本当に「OK」かどうかなど言葉だけでは理解できないのである。なので、ホテルへ乗りこんでいって、その予約台帳や管理コンピューターをのぞいて見ないと納得できないのである。案の定、某大型ホテルには二つほど予約漏れが見つかった。「マイペンライ、今はオフシーズンだから、毎日空室あるので予約無しでも大丈夫」と担当は答えた。
あまりの暑さに、ビートルも不調を訴え出した。このチェンマイもだいぶ渋滞してきており、ガソリンがエンジンに供給される前に気化してしまうと言うトラブルが発生。エンジンルームはエンジンはエンジンの熱で熱くなっているのではなく、直射日光と気温で熱くなっているようである。エンジンルームのフードなど手で触れないほど熱くなっている。今までこれほど酷いことなどなかったので今年は特に暑いのだろうか？
夜、今晩帰国するOさんをチェンマイ空港まで送った後、ナコンピンコンド内でパソコンの設定とトイレの修理の依頼を受けて、帰宅したのは１０時過ぎとなる。ビールを飲みたかったが冷蔵庫を開けて見たらビールが切れている。その代わりジョッキで焼酎をオンザロックにして飲む。