ワタノーでの補講を始める前、6時半から駐車場に降りてビートルのワックスがけをおこなう。先週洗車をして、大体の汚れは落としてあるので、後はワックスを塗って磨くだけである。ワックスがけなどするのは1年ぶりぐらいではないだろうか、車体全体に細かな傷がついており、ワックスよりもコンパウンドで磨きたいくらいである。傷の中には、小石によるものとバイクによるものもいくつもあり、これらはパテで仕上げないとキレイニならない感じである。タイの道を走っていると(止まっていても)、特にハイウェイなどでは前を走る車や対向車が跳ね上げた小石がしょっちゅう飛んできて車体に当たる。そして傷がつく。さらに渋滞や信号待ちで停車中には、脇をすり抜けようとするバイクがしばしば車体を擦っていく。ライダーの注意力散漫と言うか、多くの場合、荷台からはみ出した積荷がぶつかったり、2人乗りしている後ろ側の人の膝などがぶつかる。
傷だけではなく、鳥のフンも1週間で20個所くらいにこびり付いている。路肩駐車をする機会が多く、その路肩の上空には電線があるから、当然鳥も止まるであろう。そして落下物もある。
ワタノーでの補講は11時まで、その後永らく故障してそのままにしていたミニバイクを修理に出す。もうだいぶ長いこと放り出したままにしていたためか、ガソリンまで空っぽになっていた。正午前の炎天下の下、トボトボとミニバイクを押しながらバイクの修理屋まで歩く。ワイシャツの背中が、汗でぴったりと肌に張りついてしまって気持ちが悪い。修理工は「OKわかったよ、見ておくから夕方にまた来てよ」と言った。任せて安心ではないから、修理中は立ち会うのが原則だと思っているが、最近は色々と忙しいので、そんなにのんびりと修理工に付き合ってはいられない。ニミバイクを修理屋に預けてK.K.トラベルへ向う。
気がかりなミニバイクの修理のことを押してまで、K.K.に出社したが、午後のK.K.トラベルはいたって長閑であった。日曜出のスタッフたちはあくびを繰り返している。若干のお客様の訪問を受け、日帰りツアーの予約や航空券の予約をさせていただく、そのうちのお一人は、先月もK.K.トラベルをご利用になられたお客様で、今回はミャンマー国境へ出国してタイの入国スタンプを取り直して来たいという希望であった。パスポートを確認するとタイの滞在許可期限が2日も前に切れている。急いで明日出発のゴールデントライアングルツアーへ申し込みをするが、オーバーステイの罰金は600バーツになる。それにしても、どうしてこうもオーバーステイをしてしまう人が多いのだろうか?チェンマイはのんびりしたところなので、滞在期限のことなど忘れさせてしまうのだろうか?そして滞在期限の記された入国スタンプはまるで浦島太郎の玉手箱のように、開いた瞬間に、現実に引き戻されて、罰金がやってくる。日頃ケチケチを続けている西洋人旅行者たちはきっと浦島太郎の話を知らないから、こんなことになってしまうのかもしれない。
7時半にK.K.トラベルを出てバイクの修理屋に行ってみる。修理工は「OK、直っているよ」と言ってエンジンをかけてみた。確かにエンジンは勢い良く回っている。が、排ガスがすごすぎる、白い煙がモクモクと出ていて周囲を真っ白にしてしまう。そして、数分後にはエンジンの調子が悪くなった。「あーあ、やっぱり、、」と溜息が出た。「あんまり良くないねェ」と修理工は言った。あんまりどころではないと思われるが、結局「また明日の夕方来てみてよ」と言われ、夜道をまたとぼとぼとアパートへ歩いて帰った。