小鳥のピョンは、私が出張していた間にすっかり優泰になついた様で、優泰が「ピョン」と声をかけると、チチチチチと羽を振るわせながら反応する。鳥も餌をくれる人になつくらしい。すっかり私は優泰にお株を奪われてしまった。鳥かごの糞の掃除は相変わらず私の仕事なのだが、糞の掃除人はひと格下に見られるのかもしれない。
そのピョンが今日はやたらとご飯粒を喜んで食べる。いままでご飯粒など見向きもしなかったし、獣医さんからも、「穀物を与えるとお腹を壊す」と言われていたので、与えても来なかったのだが、こうして喜んで食べるところを見ると、やはりモリツバメと言うのはスズメの仲間で、穀物を好んで食べるものなのかもしれない。
Sさんとドゥアンタワン・ホテルのシニアマネージャーと打ち合わせなどをする。まぁ、ビジネス・ライクな話しはほとんど出なかったが、それと前後して、K.K.トラベルとの取引について、問題が出てきた。ビジネスの大前提であるお金の支払いに関して、Kツーリスト側の条件と、K.K.トラベルとしての希望が完全に食い違っているのである。日本側はあくまでも、事後清算で、支払いは事後の翌々月払いとなる。しかし、K.K.トラベルは日本の業者を対象にしたランドオペレーターではなく、地元の旅行代理店に過ぎず、すべてが取り次ぎ業務に過ぎず、代金は全額前払いが基本である。しかも、現金商売で、少しでも安い金額を提供している。体力的に無理をすれば、受けて受けられない条件ではないが、K.K.トラベルのそれでなくてもズサンな金銭管理や運用から見て、とてもではないが危なっかしくて、責任が取れない。どうせトラブルが発生したら、責任は私に回ってくるのである。会社としては飛躍のチャンスなのかもしれないが、私にはリスクが高過ぎる。それにそのリスクに見合う報酬など私は今までもらってきていない。今後ももらえる保証は無い。地道に地元の代理店に甘んじているほうが、得策である気がしてきた。
Sさんは昼の飛行機でバンコクへ飛んで行かれた。私はK.K.トラベルのカウンターに戻り、デスクワークをはじめようとした。先週の水曜日以来メールも溜まりに溜まっているはずである。ナーン県へ行っている間はダイヤルアップさえ使えなかったし、昨日もSさんと一緒だったので、メールのチェックをしてこなかった。
ところが、なんと言うことか、メールの送受信ができない。そればかりか社内のホストコンピューターが全然ネットワークを張っていない。またしても私のPCは孤立してしまった。仕事にならない。社内のコンピューターを見てみるが原因がさっぱりわからない。しかし、ウイルスにも感染しているようだし、不安定になっている。こうした事態に対してスタッフはちっとも危機感が無い。まぁスタッフたちはネットが無くても仕事に不都合は無いし、むしろ仕事量が減って楽ができるくらいに考えているかもしれない。が、私としては、仕事にならないと言うことは、仕事が滞るということで、私の信頼にかかわってくる。ものすごくストレスが溜まる。