11月30日 土曜日
天気は晴れ
つくづく感じていることだが、タイのハイウェイを疾走する長距離バスは早い。私がバンコクまでビートルを運転していくときも、長距離バスにガンガンと抜かされるし、絶対に追いつけない。車体も車輪も大きいので、穴ぼこと継ぎはぎだらけのハイウェイを駆け抜けても、ビートルのようにガタガタと揺れたりすることもなく快適である。そして、食事休憩を30も取ったにもかかわらず、午前6時過ぎにはバンコクに到着。実質8時間もかからずら700キロを走ってくるのだから、驚いてしまう。
本日のアポイントは午前9時。面会場所は先方の事務所のあるルンビニ公園近く。まだ、アポの時間までたっぷり時間はあるので、朝のルンビニ公園にでも行って、ベンチに座って時間つぶしをすることにした。土曜日と言うこともあり、普段なら大渋滞するバンコク中心部へ向う道も順調で、7時前にはルンビニ公園に着いてしまった。
土曜早朝のルンビニ公園は朝の運動をする中国系の人たちで一杯である。また、そうした人たち目当てに朝食の出店も出ているが、これらも中国風の食べ物ばかりである。ジョギングをする人、太極拳をする人、みんな純粋な中国系の顔立ちである。カラオケをしているグループもあって、こちらは中国語の歌詞である。もうどこにもタイらしさは感じられない。私はバンコクの中心にいると言うよりも、台北の中正紀念堂公園や新公園(二二八公園)にでも来ているような感じがした。チェンマイに住んでいると中国人とタイ人の垣根が低く感じるが、バンコクでは、厳然と別れているように感じられた。
午前9時になるのを待って、先方の会社へ向う。日本人グループ取りまとめをしているH氏と面談をする。私も少しでも自分を高く買ってもらおうと、特にコンピューターやインターネット関連をアピールするが、賃金と言うか待遇面での妥協点は平行線のままであった。完全歩合制の実力主義で、実績によって高給も見込めると言った魅力のある会社だし、タイの旅行会社としては破格の従業員待遇を行なっている会社であることも、良くわかった。こんな私でも、懸命に働けば、バンコクで財産を築けるのではないかと、ちょっとは心がなびいたが、安易に妥協のできない点もあった。まずは新規顧客開拓に対する歩合であり、現況では、取引先の日本側旅行会社が中小中心である。昨今の旅行業界を取り巻く不況風はとても厳しく、倒産や廃業も日常茶飯事である。下手をすれば、取りはぐれて、こちらが債務返済をしなくてはならないことだって起こりかねない。家族持ちの私としては、そこまでのリスクを背負い込むのは考え物である。
が、このH氏という人物も変わった人で、アウトローと言うか、旅行業界には珍しい人物であった。本人も旅行業界に友人知人はいないと言うほど、他の同業者とも一線を隔したスタイルを堅持されている。まぁ昼飯でもと、誘い出された先が、日本人御用達のクラブが軒を連ねるタニヤ通りで、その中の一軒のパブに入った。私に注文を聞くでもなく、ボトルキープのシーバスリーガルを持ってこさせ、つまみにトルティーヤに豚肉と野菜を包んだロールを運ばせ、私に勧めてくれる。スコッチなど久しぶりだし、こんなメキシカンなど、タイに来て初めてである。ロールの大半を私一人で食べてしまった。ボトルもあっという間に空になり、ニューボトルをオーダー。3時過ぎまで、昼間から飲みつづけてしまった。続いて、マッサージに行くから行こうと言う。一緒にマッサージの個室に入るが、私は元来、他人に体を触られるのに耐えられない体質なので、頑なにマッサージを受けるのを拒否し、その代わり、H氏の横に陣取って座った。私がマッサージも受けず、ただ待っているのが不憫に思えたのか「なんなら、もう帰る?」と声をかけてくれたが、ここまで付き合って、そそくさと出て行くのも気が引けて、結局6時近くまで一緒に過ごした。これからクラブに行くのだというH氏とは、タニヤで別れ、一件バンコクで確認を取っておきたい用事をデゥシタニホテルで済ませて、チェンマイへ帰るべく、バスターミナルへ向かった。まったくH氏は勢力的な人であった。
帰りのバスは20:05発の切符を買った。昼にしこたま飲んだので、それほど空腹感もないが、良いがさめた頃に腹が減っても困るので、カップラーメンをすする。
バスは来るときと同じ新型の2階建てバスであった。バスのサービス係も来るときと同じ女性であった。出発が少し遅れて動き出したバスで、サービス係が袋菓子を配り始めた。いつもならパッケージに入った菓子パンを配ってくれるのだが、ソムバットツアーもサービスの質を落としたかな、、と思っていたら、あとで菓子パンのパッケージと飲み物のサービスもやって来た。さらに、チェンマイ到着前には、ふたたびウエハースの菓子とコーヒーとお茶のサービスまであった。菓子など食べたくもないが、こうしてサービスを受けると嬉しい。今日は何か特別なのだろうか?
夜中前に、昨晩と同じナコンサワン近くのドライブインでのお粥のサービスを受けた。おかずの内容は昨晩とは違っていたが、やはり2品ついていた。粥をすすっていると、別のバス会社(チャーンツアー)のVIPバスも到着し、その乗客たちがぞろぞろと降りて、夜食のテーブルについた。VIPバスと言うのは、私の乗っているエアコン1等バスを更に豪華にし、運賃も割高にしたものだが、ソムバットのバスと比べると、むしろ見劣りする。座席も狭そうだし、なにより夜食はオカズが一皿である。やっぱり、チェンマイ〜バンコク間はソムバットツアーが一番だと確信する。
朝食
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バスでもらった菓子パン2個。 |
昼食
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タニヤのバーでスコッチを飲みながら、メキシコのタコス風料理や、タイ式のビーフジャーキー、チキンフライ。 |
夕食
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新モチット・北バスターミナルでカップラーメン。 |
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