10月26日 金曜日
旅行も最終日。朝食前に優泰を連れてホテル周辺を散歩する。鉄道駅を抜け市場に入ると通路はビショビショに濡れており、その狭い通路を前に荷車をつけた形の3輪のモーターバイクが行き来する。そのため雑踏に拍車がかかる。荷車を付けたバイクは市場内で品物を降ろしたり仕入れたりするためにしばしば停車する。すると後続は道を塞がれ身動きができなくなる。なんとも不合理この上ないが、後ろで待つものも、これに慣れているのか、ただ待っている。
朝食会場はビジネスホテル風であった。バイキングのメニューも多いとは言えず、ちょっと寂しかったが、料理の味は悪くなかった。そして明るく静かであったが、天井にテレビが吊るされて、テレビ番組を放映しているところは、なんとも味気ない。きっとビジネスマン向けに朝のニュース番組を流しているつもりなのだろうと解釈する。
ホテルをのんびり出発し、ピサヌローク市内のお寺に参拝してからチェンマイを目指す。市内を出たところのガソリンスタンドで最後のガソリン補給をする。時刻は10時半を過ぎていた。スタンド横のコンビニにお母さんと優泰は買い物をすると言って中へ入っていった。出てきた二人を見るとお母さんはアイスクリームを持ち、優泰は怪獣の絵の書いた箱を持っている。優泰に対して以前「おもちゃの入ったお菓子は買っちゃダメだ」と言い聞かせていたが、今回の旅行でピマイに続き2個目のおもちゃ入りだ。優泰はとぼけて「え、これおもちゃ入っているの、知らなかった」と答える。最近、優泰は嘘をついたりごまかしたりする事が目に余る。不愉快なので今日はもう優泰と口をきかないことにする。
国道11号線を北上。大体路面の状態は良いのだが、ところどころ補修が追いついていない区間や、再舗装工事中の区間もある。時速は80キロくらいで、こちらが抜かす車と、こちらが抜かされる車がほぼ半数ずつくらいだ。こちらが抜かす車は農作業の車で、抜かされる車は乗用車やトラック、バスだ。走り始めて1時間半ほど過ぎ、デンチャイが近づくあたりで峠道が出てきた。そろそろ昼食にすべき時間だが、デンチャイの町まで集落はなさそうだし、さてどうするかとそのまま走っていると、峠を越えたあたりで、またもリゾート風の施設がある。昨日の分譲別荘とは異なり、小さいながらもセンスの良さそうなリゾートであった。入り口の女の子に食事は出きるかと聞くと、出きると答え、谷に面した東屋を指差した。幾棟か建つ東屋にはテーブルと椅子がセットされ、食事が出きるようになっている。いくつかの東屋には先客がいて食事をしていた。毎度なじみのメニューを注文。私はバジル炒めライス、お母さんはクオッティオうどんの醤油炒め、優泰はチャーハンである。トイレに立ちがてらリゾート内の小道を歩くと、なかなか雰囲気が良い。バンガロー風の平屋建ての宿泊棟は生垣をめぐらせており、ブーゲンビリヤの薄紫色の花と緑の葉が茂り、如何にも南国リゾート風だ。東屋の下の谷は茶色い川が湾曲しながら流れており、その周辺は果樹園になっている。国道に近い事もあり、車の音はするが、車が途切れると、谷を流れる川の音が聞こえる。山に囲まれて見えないが、比較的近いところに鉄道が通っているらしく、ディーゼル機関車が喘ぎながら峠を登っている音が聞こえた。
昼食には1時間以上かけてのんびりしたため、再出発したのは2時過ぎになっていた。ここからチェンマイまでは200キロ。あと3時間の行程である。デンチャイの市内には入らず、ランパンへの峠を再び登る。晴天で日差しが強くなり、エアコンの風も後部座席まで届きにくくなったが、峠を登る時にエアコンのスイッチを切るとエンジンのパワーが上がることを発見したので、登り道ではしばしばエアコンを止めて窓を開けた。山の空気は涼やかで気持ちが良いのだが、しばしば大型トラックが真っ黒な煤煙を吐き散らしながらノロノロと登っているのを抜かすときには、窓を閉め切らなくてはならなかった。
ランパンを抜けてチャンマイへのスーパーハイウェイに合流してからは、時速100キロで快調に走れる。昨日今日と狭い一般国道から、この広々としたハイウェイにでると、100キロで走ってもちっともスピード感がない。それにこのスピードでも次々に後ろから抜かされていくのである。バンコクからの定期バスなどどのくらいのスピードで走ってきたのかと訝りたいほどだ。
チェンマイに戻りついたのは午後5時であった。走行距離は出発してから約2300キロをちょっと超えていた。アパートの部屋へ入り、カバンの荷物を整理して、今晩はコカでタイスキを食べる事とする。これもいつものメニューであるが、私がメコンウイスキーを注文したため、支払い金額は300バーツほどとなった。
前職のサポート部から顧客向けのメールが届く。明日から施設の増強工事のため3週間サービスを止めると言う。しかし、3週間とは異常である。いろいろ良くない噂も漏れてくる。東京の会社に電話確認をするとサーバーの移転やらで3週間はどうしてもかかると言うが、現在の利用者数から言って、3週間もサービスを止めてしまったら、取り返しのつかない事態に至る事は明白なのだが、、。ひょっとして、経営的に成り立たないところまで来ているのだろうか、、。株主の方たちにはどのような説明がされているのだろうか、、。まさか、この3週間に会社の財産隠しをしようと言うのではないだろうが、、。
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