10月23日 火曜日
私はカフェインの入った飲み物を飲むと、眠たくても眠れなくなるだけではなく、利尿作用が働き、トイレが近くなるという体質である。結局夜中に一晩中1時間おきにトイレに行って用を足すと言うことになってしまった。
夜中に雨が降り、ベランダから夜の海を眺めるとイカ釣り舟だろうか、沖合いに煌煌と明かりを燈した船が真っ暗な水平線を黄色く染めていた。
朝6時に東京から電話が入る。以前の仕事に絡んだ相談事であった。今日は一日寝不足で辛い一日になりそうだ。
7時になり優泰を誘って海岸の砂浜を1時間ほど散歩する。若いタイ人が海岸から投網を打って小魚を捉まえていた。しかし、一回の投網でかかる魚はほとんどなく、仮にかかった時でも、とても小さな魚で佃煮用にしかならないような魚であった。磯でカニが穴に隠れるのを観察したり、巻貝を岩場から引き離したりして、自然観察をした。
8時過ぎにバイキング式の朝食をとる。夕べ食べすぎたのと、睡眠不足であまり食欲はないが、バイキングに並んだ食べ物はバラエティーが広い。タイ料理風から中国式、西洋式と分かれており、また昼食用のメニューではないかと思われるスパゲティーやら炒め物やらまで並んでいる。バイキング階上も、天上こそ高いが天井では吊り下げ式巨大扇風機が回り、絶えず食器がガチャガチャと鳴り、雰囲気としてはデパート食堂か学食である。客は欧米人は極端に少なく、ちらほらと見える欧米人は家族連れで、配偶者はタイ人のようだ。良く目に付くのは台湾や香港などからの中国系観光客と、地元タイの家族連れ、そして新婚旅行風の韓国人グループ。日本人の姿は見かけなかった。私は食欲がない割には、パンをふたつに目玉焼き、ハムそしてお粥で食べてしまった。
朝食を終えて、優泰が楽しみにしているレジャープールへ二人で出かける。お母さんは今日も部屋で留守番すると言う。本当は私も留守番をしてベッドに横になりたいところだが、、。レジャープールの入場料は大人100バーツ、身長120センチ以下の子供は半額であった。ホテル宿泊者の割引はないが、タオルを無料で使えるという。プールは流れるプールになっており、大きなスライダーもある。優泰はこのスライダーに夢中になった。スライダーは3種類あり、トンネル状にグルグルと回転するもの、直滑降に滑り降りるもの、スキーのジャンプのように、途中段差があるものがあり、優泰は回転するものを好み、ジャンプするものを怖がった。私もいくつか付き合ったが、しばらくして一人デッキチェアで休ませてもらった。1時間半ほどして小雨が降り出したので、優泰をパラソルの下に連れてきて雨宿りさせる。30分ほど雨が止むのを待ったが、なかなか止む気配が見えない。シャム湾沿いはこんな感じの雨が降るのかと感心していたが、ひとまずホテルの部屋に引き上げることにした。
昼食にはどこかでハンバーガーでも買ってきて、ホテルで食べようと思いビートルでジョムティエンビーチ側に走った。しかし、ジョムティエンビーチに沿った通りにはハンバーガーショップはなく、ビーチの南はずれまで行き、諦めてホテルへ急いで戻ろうと思った。寝不足で頭も痛くなってきており、運転には耐えられそうになかった。雑踏するビーチ沿いの道ではなくハイウェイで一気にホテルを目指したら、途中で巨大スーパーのロータスがあった。ここならクーポン食堂などもあるはずだし、簡単に食べられるかと思ったが、クーポン食堂に行くと、BGMにしてはやたらに大きな音量でガンガン館内放送を流しているので、よけい頭が痛くなり、ここでの食事は断念せざる終えなくなった。ピザ屋があったので、「持ちかえりが出きるか」と聞いたら、出きると言ったが、15分ほどで焼きあがると言う。冗談じゃない。このうるさい館内から一刻も早く逃げ出したい心境なのに15分なんて待てやしない。真に不本意ながらKFCのフライドチキンをパンに挟んだものを買う。ひとつが40バーツ以上もする。まぁ高くても仕方あるまい。
フライドチキンを持ってホテルへ戻ろうとしたら雨が上がり、晴れ間も見えてきた。せっかく買ったチキンだが、天気が回復したので、昼食は優泰の希望である回転展望レストランへ再挑戦することにした。切符売り場でまだ昼食は出きるかと聞いたら、あと40分しかないと言う。でもまぁ昼食だし、それもバイキングだから40分もあれば食べられるだろうと、回転展望台レストランの切符を買う。昼食にはシーフードがつかないとのことで300バーツであった。食事のほうは昨夜と同じようなメニューであったが、また満腹になるまで食べてしまった。
食後、タワーの屋上に登り、エレベーター以外の降下装置に挑戦してみることにした。優泰でも乗せてくれるのは、スピードシャトルというロープにつながった二人乗りの籠で、そこへ私たち家族3人で乗りこむと言う事でOKを取りつけた。しかし、順番待ちでさんざん並ぶ事になった。台湾か中国本土からの観光客が何十人と順番待ちをしており、結局籠に乗るまでに50分も待つことになった。そして実際に乗ってみるとスピードシャトルとは言うものの、降下速度はそれほど速くはなく、落下すと言ったスリルには欠けていたが、ロープ一本に家族3人がぶら下がっていると言う事と、ロープを支える滑車の作りがいい加減らしい現実には恐怖を味わう事が出来た。
部屋へ戻るともう夕方の4時であったが、優泰はレジャープールに未練があるようだし、雨が上がったらまた遊ぼうと約束をした手前、ちょっと辛いが再び優泰をプールへ連れ出す。私はしばらくデッキチェアで休んでいたが、せっかく来たのだからとプールに入りカエル泳ぎでプール内を泳ぎ回った。そしてただ泳ぐだけではつまらないので、流れるプールの水流に逆らって逆回りに泳いでみる事にした。これは正直大変であった。絶えず全力で泳がないと流されてしまうし、一生懸命水を蹴ってもなかなか前へ進まない。その間優泰はスライダーを何度も何度も滑り降りていた。時刻も5時になりもう部屋へ戻る時間となり、優泰を水から上がらせようとしたが、「あとちょっとだけ」とか「もう一回だけ」「最後の一回」とか言って、なかなか水から上がらない。結局部屋へ戻ったのは5時半近くなっていた。
夕食には昼に買ったKFCのチキンを食べさせる。優泰とお母さんは先にさっさと食べたが、私はまだ満腹で、しばらく食べる気がしなかった。今回の旅行でパタヤまで来て良かったと思う。優泰にもきっと良い思い出ができた事だろう。