１０月９日　木曜日　　　　天気は晴れ

　朝の日本語補習も、今日と明日で第四課まで進まねばならず、時間が足りなくなってきた。そのため、今日と明日は８時から１１時までの３時間の特訓とする。２時間で１課ずつ進むペースだが、十分な予習と復習、教えた内容を消化吸収するだけの時間的ゆとりが無いのか、単語の暗記力が鈍ってしまっているようである。しかも、今日は３時間の仏ぶっ通しのため、受講生の疲労度合いも高いようだ。それに、もしこのペースについて来れるようであれば、三週間で日本語をかなり理解できてしまうようになってしまうであろう。自分でも無理をさせているのを十分に理解しているが、ペースを緩めるタイミングも難しい。下手に緩めると緊張感もなくなってしまい逆効果になりそうである。語学はある程度のレベルに達してしまうまでは、スパルタも止むおえないのではないだろうかと思っている。

　大阪からOさんがやってくる。今朝早くチェンマイ入りしたらしい。今回はちょっぴりオネダリをしてしまった。私は納豆が食べたくなり、「納豆を買って来てほしい」とメールをしていたのである。Oさんは、大阪人なので納豆は普段食べないらしい、そのためどんな納豆が良いのかと、事前にわざわざ国際電話までかけてきてくださり、スーパーで納豆パックを仕入れてきてくださった。チェンマイにも地元産の納豆があるのだが、まったく美味しくないので、私としては非常にうれしいお土産である。しかも、Oさんは機内持ち込み手荷物として納豆を運んできてくださり、きっと臭いの漏れに気を使われたのではないかと想像される。
　納豆と言えば、１０年ほど前にハワイへほとんど毎月のように出張していた時期があった。今年も冷夏で米不足が心配されているが、当時はひどい米不足で、粗悪なタイ米とのブレンド米しか手に入らず、納豆ご飯も美味しくなかった時である。当時、ハワイへ出張して帰りの手土産はカリフォルニア米と決まっていた。そして、滞在していたホテルは今もあるか知らないが、確かハワイアン・パーク・ホテルというワイキキ海岸のダイヤモンドヘッドよりのはずれにあるホテルで、このホテルの朝食バイキングには、白い大きなボールにたっぷりと納豆が用意されていて、黄土色の無数の糸を絡ませていた。あれほどの豪快な納豆はそうそうお目にかかれるものでもないだろう。そして、その納豆ご飯は大変美味しかった。日系人も多いハワイだから、上手い納豆もあるのだろう。それに引き換え、チェンマイの納豆はお寒い。日本食売り場にあるのは、輸入物のパックとタイ国内メーカーの不味い納豆、そして多分用途そのものが違うのであろうが、山岳民たちが作るトゥアナォと呼ばれる納豆状の食品(どうやら調味料らしい)程度である。

　月曜日にセントラルデパートに注文した冷蔵庫が配送予定時間になっても届かない。こちらも外出しなくてはならない予定もあるし、あまり遅れられても困るので電話で確認を入れてみた。「配送予定が２時なのに、３時過ぎても届かないなんだけど」と告げると、なにやら帳面をめくるような音がして、それから「まだバンコクから品物が届かないので、配送は月曜日になる」と言う。こちらとしても本日冷蔵庫が届くと言うことで準備をしているのに、一方的に「月曜日になる」と言われるのは腑に落ちない。きっと、発注すること自体を忘れられていた可能性がある。「遅れるなら遅れるで、なんで連絡してくれないのか」とクレームをつけたつもりだったが、「まだ届かないから、届けられない、月曜日でイイですね」と立て板に水である。「月曜日まで待てない、何とかするのが責任だろう」と言ったら、電話口の女性の声が男性に代わり、「この商品はチェンマイには無いので、バンコクから取り寄せになるのだから、自分たちの責任ではない」と言う。取り寄せになることは注文時に説明を受けて、それを了解して配送まで３日も待ったのである。「もし、どうしても待てないなら、別の在庫のある冷蔵庫を運ぶから、それで良いだろう」と代案を提示してくる。が、こちらの希望の東芝製３ドアは他のタイプが無いらしいことも判明した。月曜日はチェンマイを留守にする予定であるし、責任感と言う認識が異なる人たちに、これ以上何を言っても無駄と気づき、来週火曜日の２時に届けるように念を押して電話を切る。タイ語にもラッピッチョープという「責任」と言う意味の単語があり、結構しばしば耳にするが、それは責任を自覚して発せられる単語と言うよりも、他へ転化するための、まるでトランプのババのような存在なのかもしれない。で、今回は私の所にババは残ったことになる。

　旅行会社のホームページを掲載するためのサーバースペースだが、申し込み後２４時間で設定するとなっているのに、もう２日が過ぎたがまだ何の連絡も無い。前回補習校のホームページに関して大阪のレンタルサーバー会社に騙される形になっているため、「またかぁ」と嫌な気分になって、どうなっているんだと昨晩メールを打ってみた。そしたら、こちらはちゃんと返事が来て、決済に使ったクレジットカードのオーソが取れないから、カードを両面ともコピーに撮って、ファックスするように言って来た。経営者のカードなのだが、いったい何の問題があるのだろう。ファックスと言うのは安全ではない気がしたので、別のカードを使って初めから申し込みのやり直しをしてみる。

　ラジオ番組終了後、Oさんとテイクオフへ行って深夜まで飲みながら話をする。このテイクオフという店、寄せ集めのソファーやらベンチやらの変な趣味ながら、飲みながら話をするには妥当な店のようである。ライセンス生産モノのスコッチのボトルを入れて、グビグビやるが、タイの水割りはやたらと薄いので、何杯飲んでも、ほとんどボトルは減らない。

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