10月1日 月曜日
10月となってしまった。そして週も明けた。優泰を学校へ送り、引越しも最終段階に突入する。
部屋の中の大方のものは運び終えたが、まだ細かいものが沢山ある。テーブルの上の細かなものや、引出しの中のものなど、こうしたものが結構未整理のままだし、カバンに放り込むと、後で何がなんだかわからなくなってしまう恐れがある。そこで洗面器を使って、少しずつ運ぶ。冷蔵庫の中のものも洗面器を使って運び出す。冷蔵庫は今までよりも一回り大きくなり、冷凍庫も独立していて、庫内のものの移し変えは無難にできた。
引越しの最中、15階に住むオイさんがカギを貸して欲しいと飛び込んできた。聞けば、昨日の私と同じにカギのとじ込みをして閉まったようだ。事務室には連絡したかと聞けば、まだ事務の人が来ていないと言う。それならばと、昨日のカギの施錠解除の段取りは覚えているので、部屋からヤットコを持ち出し、ノブのリングを外し、シリンダーを剥き出しにした。あとはシリンダーをピンなどでこじるだけだ。ピンになりそうなものを探しにアパートの廊下をうろうろする。なかなか適当なものが見当たらなかったが、エレベーターホールで、木ねじを発見。早速オイさんの部屋へ向かうと、既に昨日のエンジニアが既にドアを開けていた。なーんだ、彼がいたのか、、。
。タイのアパートの多くがもともと家具付だから、本来なら入居者が家具を用意する必要はないのだが、やはりイザ住むとなると、いろいろと必要なものが出てくる。今回は衣類の収納に難点があり、お母さんの洋服を入れるスペースが十分に確保できない。かといって本格的な家具を買うのは、この先どれほどここに住むのかも分からず不合理だ。そこで安直にパイプとビニールの簡易箪笥としたわけだ。
オイさんは新しい我々の部屋へやって来て、ひき肉のバジル炒めとカボチャのプリンを作ってくれた。ひき肉のバジル炒めは日頃店で作ってもらうのと比べてバジルの比率が高い。ほとんどバジルの野菜炒めのようだ。タイの家庭ではこの様にして食べているのだろうか、、。普段買い食いをしている我が家では、タイの料理では肉が多く野菜不足になりそうだなどと感じていたが、そう感じさせてのは外食中心だったからで、この辺の事情は日本と似通っているのかも知れない。
オイさんは料理だけ作ると、さっさと自分の部屋へ引き上げてしまった。まだお昼までは1時間近くあるが、お母さんと2人で早めのお昼ご飯とさせてもらう。
食後も細かなものを運び込み、2時近くになってようやくもとの部屋を空っぽにする事ができた。汗をかいたので、シャワーを浴びて、それからお母さんと2人ビートルに乗って優泰を学校へ迎えに行く。今日は補習校のある日でもあり、学校から補習校へ直行する。補習校がおこなわれている間、市内へ出て携帯電話のプリペイドカードを探す。タペー門周辺を何度か低速でグルグルと走り回ったが、携帯電話屋が見当たらない。旧市街にも入ったがだめだ。私の住んでいるファイケウ通りやショッピングセンターには携帯電話屋が乱立しているのに、やはり観光客ゾーンには携帯電話屋がないのだろうか、、。途中で、プリペイドカードだけならコンビニにもありそうだと気づき、セブンイレブンに飛び込む。券種は500バーツ1種類だけであったが、これでことが足りた。
再び優泰を補習校まで迎えに行き、補習校の入っているビルのガードマンがずいぶん親切だと思ったら、私たちが住んでいるナコンピンコンドに以前いたガードマン君であった。
アパートへ戻る途中にリンピンスーパーに立ち寄り、パンや牛乳、クッキーなどを買う。このところ私もお母さんもリンピンスーパーが気に入っている。来るたびに品揃えが充実してきているように感じる。但し、従業員教育については、教育マニュアルが近所のショッピングセンターに入っているトップスよりしっかりしていないためか、ちょっとぞんざいな感じもする。
優泰は新しい部屋に入っても早速宿題に取りかからなくてはならない。時間は既に5時を回っている。私は優泰が宿題をしているうちに今晩の夕食を買いに出る。今晩も小屋がけ食堂で惣菜を作ってもらう。新しい部屋で家族3人で食べる初めての夕食である。メニューはソーセージの入ったマカロニのケチャップ炒め、豚肉のニンニク炒め(ムーカティアム)、肉無しの五目野菜炒めである。今日も食堂のおばさんがおらず、比較的(おばさんと比べて)若い女の人が店番をしていた。心なしか、おばさんと顔が似ているので、おばさんの娘かもしれない。彼女におばさんはどうしたか尋ねたところ、具合を悪くして家で休んでいるとのことであった。どんな具合かと聞いたところ、毎日油の煙を浴びつづけて体調を崩したそうだ。
惣菜を作ってもらっている間にタイ製の清酒「忍」を雑貨屋へ買いに行く。レジに忍と20バーツ札を出したところ、4バーツしかおつりが来ない、店のおじさんに「16バーツなの?」と聞いたら、そうだと言う。冷蔵庫にある値札も16バーツに書き換えられていた。私の次に忍を2本買った制服警官も16バーツ請求されていた。どうやら1バーツ値上げしたようだ。
新居での夕食も無事に、美味しく済ます事ができた。食卓からは夕方のドイステープが眺められ、また日が暮れると、街の明かりが眺められた。こんどは繁華街側ではなく、夜景も落ち着いたものだが、2キロくらい先のビールの上に巨大なネオンが赤と緑でともされており、そこだけが少し浮いた感じになっている。