「ねぇ、朝ご飯何にする?」と言うお母さんの言葉で起こされた。「えぇ、今朝は何を食べさせてくれるんだい」と返事にもならない返事を返したところ「何にも食べるものないよぉ、もうパートンコーは売りきれている時間かなぁ」と暗に私にパートンコーを買いに行けと催促している感じがある。そこで「もう、売ってないだろうなぁ」とかわした。結局、アパート前で売っている鶏の唐揚げ屋台でフライドチキンとカオニャオと呼ばれるモチ米を買って朝食とする。朝食にはちょっと重かった。
午前中は恒例のワタノーでの補講。新学期が始まったからか、生徒数が増え始めている。増えたのは良いが、欠席していた生徒は、欠席していた間に自習していてくれたわけではないので、また休み前の課へ戻ってやり直しである。こんなことをしているから何時までたっても進まないのだろう。もう、形容詞の否定形の作り方を忘れられている。
昨年から補講を受講している生徒はもう6年生(高校3年生)になる。生徒たちに進学はどうするのかと聞いてみたら、全員がチェンマイ大学への進学を希望していた。チェンマイ大学以外に受験しないのかと聞いたら、チェンライ県にあるメーファールアン大学も受けると言う。メーファールアン大学と言えば、講がを英語でおこなわれる大学として有名である。この子たちにそれだけの英語力があるのだろうかとちょっと気になるのだが、例文のように「あなたは英語が上手ですか」と質問したら「はい、私は英語が上手です」と答えが返ってきた。いずれにしても、彼女たちの受験選択科目に日本語がないので、私としては気が軽くて済む。「どうして日本語を勉強しますか」とまた例文からの質問をすると「日本語は面白いですから」と模範回答が帰ってくる。「日本語は難しいですか」「はい、日本語は難しいですが、面白いです」、、うーん、このテキストが終わるくらいには多少日本語が使えるようになるかもしれないと期待が湧いてきた。
午後はK.K.トラベルのカウンターについて働く。5時過ぎにK.K.トラベルの女性経営者が派手な服装で大きな声をあげながら帰ってきた。「あぁー疲れたぁ、もう本が重いんだから」と騒いでいる。なんだ、なんだ、またお菓子作りの本でも仕入れて来たのかぁと思っていると、私の前につかつかとやってきて、「タロー見てよ、こんなに本があるんだから、重くて疲れちゃったわ、すぐマッサージさん呼ばなくちゃ」と疲れているのか、はしゃいでいるのかわからないような調子で訴えてくる。持っている本を見ると、本だかカタログだかわからないようなものが、重そうなファイルケースに収まっている。「これ、何の本ですか」と経営者に質問すると、待ってました、よくぞ質問してくれましたと満面笑顔で、「あれぇ、タローに話してなかったっけぇ」と言う。うーん、思い出せない。大体経営者から聞く話のうち、会社の経営に関すること意外で、記憶にとどめておくのに値しないものなど、つまり話の90パーセント以上は聞き流しているので、思い出せない。「チェラ大のMBAを受講しているのよ」と日曜出のスタッフみんなに聞こえるような大声で言う。「チュラ大 ? MBA?」私は一瞬何のことだか良くわからなかった。「チュラ大ってのは確かバンコクにある名門国立大学だし、MBAってのは経営学修士のことじゃなかったっけ」と独り言をつぶやき、「はぁー、ご苦労なことで」と思わず漏れてしまった。出きれば経営学の修士の前に、経営のイロハを先に学んでもらいたかったなぁと言うのが実のところの感想である。ちょうど昨日も資金ショートぎりぎりになり、新規の航空券発行ができなくなる寸前であったのだから、、。前金でもらっているお金がどこに消えているのかと疑問に思っていたら、ひょっとしたらこのチュラ大の入学金につぎ込まれていたのだろうか、それともこの派手な服装だろうかと、ちょっとうんざりしてしまう。まぁ、そんなことはないだろうが、MBAを取得されると、経営が改善されるのだろうか?
夜、ビデオでタイの歴史大作映画「スリヨータイ」を見る。映画のなかで話されているタイ語はほとんど理解できないので、英語の字幕スーパーを目で追う。が、なかなか追いつかない。それに何より、登場人物名が覚えきれない。名前が長すぎて、しかもローマ字の綴りが複雑過ぎる。2時間ほど見ていたら目が痛くなってしまった。あと残り1時間ある。また今度、目薬でも指しながら鑑賞しよう。