9月29日 土曜日
最近の週末の恒例となってきたのだが、朝ご飯をピーノートのお母さんがやっているクオッティオうどん屋で買う。メニューはお母さんがクオッティオうどんの細麺(センレック)、優泰はタイラーメンのバミー細麺を、私はバミーの平打ち麺を食べる。
優泰は月に一度の子供会の日で、お母さんと2人会場のYMCAまで送る。私はそのまビートルを修理工場までまわす。昨日に引き続き今日は助手席側のパッキンの交換だ。はじめはものの30分もあれば交換できると思っていたが、どうもすんなりとはまらないらしい。はめたり、はずしたり、またはめて押し込んでみたり、終いには新品のパッキンをカッターで削り出す始末。時間だけは過ぎて、1時間たっても終わらず、2時間が過ぎ、昼近くなって工場の親父が「はまらない」と言い出した。はまらなければ、「どうするの」と聞き返すと、「古いのをはめればいい」と言う。それでは一体今日は午前中半日かけて何した事になるのやら、「なんとかしなけりゃお金払えないよ」と答えると、ふたたびドアにへばりついて格闘し始めた。こりゃ時間もかかりそうだと踏んで、近所を散歩してみることにした。メーピン川沿いに市場の方角へ歩く。しばらくは場末のツーリストゾーンのようで、安手のゲストハウスや川沿いの食堂などが続いたが、そこから先は果物市場になっているようで、右も左も果物だらけ、直径3センチあるかないかのまるで金柑のようなミカンから、ソムオーという大人の頭ほどもある巨大なミカンまで、盛大に山積みされている。どうやらミカンのシーズンらしい。また、バナナを積んだトラックも盛んに行き来している。まだ緑色をしたバナナをこれまた山のように積み上げている。
市場から修理工場へ戻ると12時になっていたが、まだ格闘中であった。そして良く見ると無理して押す込むか引っ張るかしたのだろう新品のパッキンがちぎれている。これじゃ交換しても意味がない。親父は「別のパッキンを買ってくる」と言って工場を飛び出していき、30分ほどで戻ってきた。なんとあれほどドイツ製の純正パッキンを強調していたくせに、買ってきたのは日本製の標準パッキンだ。オイオイ。日本製じゃ密封できないと言ったのは誰だっけ、、。が、さすが日本製はピッタリとドアにはまり、装着感も良いようだ。それに隙間も全然ない。却って純正パッキンの運転席側はドアの締りが悪く、すぐに半ドアとなってしまう。こんなことなら両方とも日本製にすれば良かった。まぁワーゲン専門の修理屋だから、きっと純正品にこだわりたかったのだろう。
工賃の清算をする段になって、親父は両方とも純正品の代金としての請求伝票を書いてきた。私は「片方は日本製のはずだから、こんな金額は払えない」と指摘したら、「でも自分達は純正品を日本用意したんだよ」と弁解する。まぁ確かに2本用意したのは事実だが、そのうち一本は取りつけられず、しかも引き千切ってしまって台無しにしている。かわいそうと言えばかわいそうだが、こんな昼過ぎまで暑い工場で待たされた身としてはとても了解できない。まぁ親父も自分の技量不足を認めたようで、純正一本と日本製一本の値段で了解した。教訓として、やたらと純正品にこだわるとろくな事がないというわけだ。
アパートへ戻るともう2時過ぎになっていた。お腹も空いたのでひとり小屋がけ食堂で唐辛子と豚肉の炒め物(パットプリックムー)を食べる。いつもの食堂のおばさんはおらず、みなれないお姉さんが中華鍋に向かっていた。おばさんはどうしたのだろう。
3時から引越しに取りかかる。新しい部屋を偵察してみると、カーテンが取りつけられていた。先日洗濯するように依頼したので、洗って戻ってきたのだろう。が、しかし、レースのカーテンと厚手のカーテンが逆さまに付けられているではないか。まったく何をやってるのだか、、。まずはカーテンの付け替えからおこなう。この交換がなかなか悲惨なものであった。カーテンは天井に近いところから吊るされており、身長が186センチもある私でもイスを踏み台にしての作業となる。カーテンレールの側面は彫刻が施された化粧板が取り付けられ狭くなっている。おまけに彫刻部分には積年の埃が堆積しており、カーテンをつけたりはずしたりするたぴに、パラパラと顔面に降り注いでくれる。
次に荷物の搬入だが、私の荷物は衣類を含めてバッグひとつほどしかないが、優泰のおもちゃは山ほどあり、よくもまぁこれほど日本から運んできたものだと愕然とする。また衣類も私の3倍ほどはある。今日のところは私のと優泰のものだけを運び込む。
夕方になるとさすがに疲れて、もうビール以外何も口にしたくなくなった。お母さんも疲れているのは同様だから、タイスキのコカで夕食を取ることにする。お母さんと優泰を先に行かせ、私はシャワーを浴びてから行くことにした。シャワーを浴びながら、今日はビールを一気にゴクゴクと飲んでやろう。それには氷を入れないほうが良いだろう。それに薄味のチャーンビールの方がシンハビールより、ゴクゴク感が楽しめそうだなどと想像する。
しかし、シャワーを終えてコカへ入るとお母さんが既に、私の為にシンハビールを注文していてくれており、しかもグラスに注がれたビールには氷が浮かんでいる。うーん、お母さんの思いやりで高級なシンハビールを注文してくれていたのは嬉しいのだが、、。まぁ、味はシンハが格段に上なわけだし、よーし飲むぞぉとゴクリと飲むと、やはりシンハは喉に重たい。うーむ、やっぱりシンハビールは水割り風にチビチビ飲むべきか、、、。が、チビチビも積もれば山となるで、瞬く間にシンハビールの大瓶一本を空にしてしまい。再度チャーンビールを注文。氷を入れずにゴクゴクと飲んでみるが、さすがに2本目のビールはうまくない。それにアルコールが6度あるシンハビールの酔いが回ってきたのか、結局2本目のビールは3分の1ほど飲み残してしまった。
夜中1時半過ぎにビールを飲みすぎたためかトイレに目を覚ますと、リビングの電気がついている。見るとソファでお母さんが文庫本を読んでいた。引越しで疲れているはずだし、明日も朝から引越しの続きがあるのに、寝不足だと大変だぞ!