9月27日 木曜日
今朝はソバを茹でて食べる。優泰が学校へ通うようになって朝の運動をする時間がなくなってしまった。
今日のYMCAではリーディングの試験があるそうだ。それにワークブックの宿題もしなければならない。といっても、試験の準備はテキストを一通り読むだけだし、宿題も簡単に済ませてしまう。
机の引き出しにタイ・バーツの現金を入れっぱなしにしており、これでは危険かと思い、銀行に預けに行くことにする。現金を数えたらなんと2万バーツも入れっぱなしになっていた。
銀行の窓口はまだ朝早い事もありすぐに順番が回ってきた。預け入れも簡単に終わり、為替レートを確認しようと思ったが、今日のレートはまだ本行から届いていないとのことであり、昨日のレートを見せられた。どうやら円高もひと段落してしまったようで、先週よりも為替レートが若干低くなっている。次にアパートの事務室へ行って、今週末に部屋を移るが、新しい部屋の受け入れ準備がどのくらい進んでいるかを確認した。風呂場の天井と照明は新しいものに交換されており、床の掃除も今日明日中におこなうとのことであった。他にカーテンに埃が多くついているので洗濯するように依頼し、食器棚に棚のボードが欠落している事を指摘する。しかし、カーテンと床掃除さえしてくれれば、今週末の引越しは問題なさそうだ。
YMCAへはお母さんを荷台に載せて自転車で向かう。YMCAの英語クラスで現在使っているテキストも今日で終わりそうだ。そのためか今日のクラスはかなりのんびりしたもので、前半の1時間で課程を修了してしまい、後半はワークブックとひとりずつ呼び出されてのリーディングの試験であった。試験そのものは私の知らない単語がいくつかあったが、今日の試験は読むだけで特に訳文を作る必要もないので、適当な発音で読んで終わりとなった。
YMCAからの帰り道に、小屋がけ食堂で昼ご飯を買う。この食堂で一番辛いメニューは何かと聞いたところ、「バイカパウ(ひき肉のバジル炒め)」とのこと、何だいつものメニューじゃないか、、。それでも普段よりもピックキーヌー(緑の激辛唐辛子)をたっぷりいれてくれたようで、半分も食べたあたりから顔中から汗が噴出し始めた。以前はこのピックキーヌー一本で、口の中が辛くて大騒ぎしたのだが、いまでは一度に数本入っていてもちっとも気にならなくなった。もちろん単品でポリポリ食べられるほどのところまではまだ来ていないが、、。
1時にお母さんはアパートの同じ階に住む駐在員の奥さんの部屋へ遊びに行き、私はまたもひとり残された。アパートの部屋に閉じこもっていても面白くないので、ビートルに乗って出かけることにした。お母さんからもカセットの生テープを買ってきて欲しいと頼まれていたのだ。市内をビートルで一回りした後、スーパーハイウェイ沿いにあるマクロという巨大なスーパーに立ち寄る。カセットテープの種類は少なかった。タイ製のテープは三本セットで40バーツほど。しかし、デザインがどうも20年以上昔の感じで、なんだかテープを回すとキーキーと雑音がしそうだ。しかし、他にソニーやTDKのカセットもあるにはあったが、なんと最小単位が10本セットなので、とても使いきれない。物は試しとタイ製の三本セットを買う事にした。
それにしても、チェンマイにはロータス、ビッグC、カーフー、マクロなどの巨大スーパーが何軒かあるが、品揃えにしても何にしてもこのマクロが一番劣るようだ。第一に売り場が暗い。照明の蛍光灯も半分も点けていないし、商品のつまった段ボール箱だけは数メートルの高さまで積み上げられ、フォークリフトが行き交い、お客は少なく、、。つまりスーパーと言うより限りなく卸問屋の倉庫の雰囲気だ。生鮮食料品のコーナーもなんとなく時間外の場外市場って感じである。巨大スーパーをランク付けすると、ロータス、ビッグC、カーフー、マクロの順番になるかと思う。優泰を迎えるまでにまだ少し時間があったので、フォルクスワーゲン専門の修理屋に立ち寄ってみる。ドアのラバーパッキンが劣化しておりボロボロなので、交換したいと考えた。パッキンが劣化しても、安全性には何ら影響はないが、大雨の際にドアからの雨漏りの原因なったり、冷房効果を損なうことが考えられる。修理屋の親父にパッキンの交換ができるか確認したところ、取り寄せになると言う。ならば取り寄せる前に価格を確認してもらうと、なんと一本が600バーツだと言う。つまり左右のドアで1200バーツだ。ちょっと高すぎる。親父に「高すぎる!」と言うと、ドイツ製の純正品だから高いと答え、日本製の物で良ければ、一本100バーツだと言う。が、日本製は形状が異なり、室内を密閉できないと言うのだ。密閉できなければパッキンの意味がないわけで、大散財だが、ドイツ製を注文することにした。他に屋根につけてしまった傷を修理できるかどうか聞いたところ、できるが、これっぽっちを塗装しなおすのはもったいないという。傷は小さくても大きくても、塗装は一回が500バーツほどだから、もっと傷だらけになってから塗装したほうが良いと、私の財布を心配してくれた。
優泰を学校からアパートへ連れかえり、お母さんと優泰は宿題に取り組み始める。私はその間にやるべき事がないので、自転車に乗って出かけることにする。
まず、チェンマイに来てから手紙をまるで書いておらず、知人の多くにもチェンマイへいく事を話さずに来てしまっていたので、遅まきながら絵葉書でも送ろうかと思う。それで、まずはタペー門周辺の観光客ゾーンへ行って絵葉書を20枚ほど購入。1枚が5バーツであったので全部でちょうど100バーツだ。
次に、市内は車やバイクの排気ガスで空気が悪く、自転車で走るのは健康に悪そうなので、郊外へ向かう事にする。チャーンプアク門(白象門)から北へ伸びるファン街道を行く。途中スーパーハイウェイの交差点までは、交通量も多く、路上駐車も多く、さらに路肩は穴ぼこだらけと自転車で走るには最悪の環境だったが、スーパーハイウェイを越えたあたりから、道幅は広くなり、自転車で路肩を走るには快適になってきた。大きな公園やゴルフ場を過ぎ、軍の訓練施設あたりで、左折する。4車線の広い道路に走る車はまるでなく、自転車でスイスイと走る。やがて広い道は尽きて、川沿いの土手の道に左折した。穴ぼこだらけの未舗装道路となったが、いかにものどかな道で気分は悪くない。1キロほどで再び舗装された道となり、 川を渡る橋があり、橋を渡る道へ右折する。なだらかな登り勾配だが、高原の道のように、林の中に続く道で気持ちが良い。右手にはサイクリングコースもあるようだし、所々にバンガローもある。ドイステープの山も間近に迫っている。ここはチェンマイと言うより、軽井沢の雰囲気だ。しかし、登り勾配はさすがに自転車には辛い。ある程度まで上ったところから、こんどはなだらかな下りが延々と続いている。でも、下りの道は帰りに登らなくてはならず、いい気になって下ると後で痛い目に遭いそうだから、今日のところはここで引き返すことにした。登ってきた道を下るのはさすがに気持ちがいい。橋のところまで一気に下り、再び土手の道を先に進むことにする。左手には大きな貯水池が見えたり、ゴルフ場が見え、右手には巨大な、まるでオリンピックでも開けそうなスタジアムが見えてきた。途中の交差点から左に入り、ファン街道へ抜けて、チェンマイへ戻る。やはり帰りもスーパーハイウェイから市内寄りは自転車では走りにくい。さっきまでの気持ち良さが、あっという間に消えてしまった。小屋がけ食堂で野菜と鶏肉の甘酢炒めとチャーハンを作ってもらい、スーパーに寄って牛乳に長ネギ、豆腐などを買う。今晩は小屋がけ食堂のオカズに加え、私の手料理を一品添えてみる。麻婆豆腐くらいなら簡単に作れそうだと考えた。ひき肉は先日買ったものが冷蔵庫に入っていると、生姜と酒と醤油の合わせ調味料で炒めて、小麦粉でトロミをつければできるだろうと、まったくの自己流で作ってみる。結果は優泰にはまずまず好評であった。が、唐辛子が入っていなかったので、なんだか麻婆豆腐と言うより、「豆腐のひき肉炒め中華風」といった中途半端な味となってしまった。