6月24日 日曜日

昨晩は優泰に特大のアイスクリームを食べさせたのでオネショが気になって朝6時前に優泰をトイレに行かせるために眼を覚ました。

優泰のトイレを済ませた後、まだ二人が寝ているうちに昨日の事故で壊れている車のドアとステップの補修をおこなう。ドアの裏をはずして、凹んだ部分を叩き出し、ステップをはずして、ねじれた部分を平らにして、再びネジで締め上げる。

8時近くに部屋へ戻ると二人は日曜朝のアニメ番組を見ていた。私は車の補修で体が汚れたのでシャワーを浴びる。朝9時には再び警察署に行かなければならないので、ホテルの前の食堂で朝食を取る。二人はアメリカンブレックファスト、つまりトースト2枚に目玉焼きふたつ、小さなソーセージが4本にキュウリのスライス。飲み物にコーヒーと言ったところだが、値段は50バーツでなかなかのお値段である。私は豚挽き肉入りのお粥。こちらは20バーツ。しかし、アメリカンブレックファストは一人前で十分だったのかもしれない。2人ともソーセージにはフォークをのばさなかった。

いつも通り優泰の食べる速度が遅く、付き合っていたら遅刻してしまいかねないので、ひとり先に部屋へ戻り出かける準備をする。

チェンライの街はやたら直進禁止、右折禁止、左折禁止の交差点が多く、車で走ろうとすると街の中を右へ左へとぐるぐる回らなければならず、方向感覚がおかしくなってきてしまう。それでもなんとか警察署に辿り着いたが、相手方がやって来たのは9時半過ぎであった。昨日の彼はなんと4輪駆動のトラックを運転して来ているではないか。たしかまだ15歳だと言っていたはずだが、、。

トラックに壊れたバイクを積み込み修理工場へ向かう。壊れた個所はフロントフォーク周りとプラスチックの部品類であって、修理費用は約4千バーツほどであった。日本でこの種の修理をしたらきっと新車が代えるくらい高いものにつくだろう。

修理代の見積もりが出たところで、彼のお母さんに15歳で車を運転できるのか?と聞いたところ、「できる」との答え、さらに免許は持っているのか?と聞けば持っていないとの事、、、。つまり15歳だと無免許だが、運転の仕方は知っていると言う事らしい。そこで免許なしで運転して良いのか?と聞いたら、「事故が起きたら問題になる」とのこと。思わず頭が混乱してきてしまった。しかし、無免許運転そのものはきっと大した問題ではないのだろう。だから彼はこうして堂々とトラックを運転し、修理工場と警察署の間を往復しているわけだし、立会いの警察官も何も言わないのだろう。

警察署で最終的な費用の清算を済ませ、まるでコリントゲームのようなチェンライの市街地をホテルへ向けて戻ると時刻はもう11時近くになっていた。せっかくチェンライまでわざわざやって来て、思い出が事故だけとは面白くないので、ゴールデントライアングルというビルマとラオスの国境へ行くことにした。この国境にはメコン川があり、大きな川の流れを見ながらのんびりするのも良いかと考えたわけだ。

チェンライの街からアジアハイウェイを北上し、メーチャンという街で左折し、チェンセーンという古い遺跡のある町へ向かう。ゴールデントライアングルはこのチェンセーンの町からメコン川に沿って10キロほど走ったところにある。チェンライからは約70キロほどの道のりで、私たちはのんびりとビートルを走らせ、ゴールデントライアングル地帯のメコン川沿いの食堂に着いたのは12時半になっていた。

食堂には川風が吹き込み、またついさっきまでスコールでも降っていたのか、とても涼しくて気持ちが良い。バンコクでの睡眠不足や、車の運転で体が疲れきっていたので、なんとしてもここは涼風に吹かれながらビールでも飲んで、寝転び、昼寝でもしたいところだが、このあともチェンマイまで250キロものドライブが待っている。ビールはお預けだ。食後、優泰と川岸へ降りて、川面に石を投げたり、着飾った山岳民族の女の子達がアイスキャンディーを買っていくのを眺めたりして、結局2時過ぎまでのんびりと過ごしてしまった。

チェンセーンからの帰り道は辛かった。優泰はお菓子が食べたいと言うので商店に立ち寄り、ビールのつまみのようなスナック菓子を買ってきて、それにはパッケージにビールの絵まで描いてある。そして優泰の奴は「これを食べるとビールが美味しくなるんだって」などと言い出しやがる。こっちはさっきからビールを飲んで昼寝をしたいと思いながら我慢しているのに、まったく人の感情を逆なでするような事を言ってくれる。チェンライのガソリンスタンドでガソリンを少し補給して、山道を時速70キロほどで快調に走るが、それでも後ろから来た車にすぐ追いつかれ、そして追い越される。また、山間部のためか雨が降っている個所が何ヶ所もあり、そのたびに窓を空けたり閉めたりしなくてはならない。

チェンマイまであと約100キロほどの所で車をとめて、籐や竹で編んだ製品を売っている店に立ち寄る。店と言うより小屋が何軒か並んでいる程度のものだが、みなそれぞれが自分たちで作って売っているようで、それぞれ形は似ているが編み上げ方が店によって異なる。お母さんは大きな丸い洗濯かごと小さな箒を買った。

チェンマイに辿り着いたのは7時半であった。これから夕食を買ってくるのも面倒なので、前から一度言ってみようと考えていた近所のレモングラスという食堂に入る。タイ料理の店だが、外国人客も多く、店内も綺麗にしていて、人気店のようだ。注文した料理は、鶏とカシューナッツ炒め、カニのカレー炒め、豆腐のスープ、パックプンという野菜のレモン風味スープ。味はどれも次第点であった。値段も今日は私がビールを小ビン一本で止めていた事もあり、チップを含めて300バーツで足りた。

食事を終えて、部屋へ戻りシャワーを浴びて、9時半にはベッドに入った。この数日間は本当に疲れた。漸く自分のベッドに入れて嬉しいが、また明後日は東京に向かうため夜行バスが待っている、、。

 

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