撮影に使う小道具関係の準備をする。今回のCMも象を使ったものなのだが、その象の演技に使う枕を調達しなくてはならない。4歳の子象といっても、それは象だからやたらとでかいものが必要になる。サイズで言うと縦横ほぼ1メートル四方程度である。どこに行ったってそんな大きなものなど売っているわけは無く、特注をしなくてはならない。市内最大のワロロット市場の繊維製品を扱う専門店が並ぶ路地をさまよい、枕専門店で相談をする。店の女主人に「象の枕が作れるか」と聞いたところ、「作ったことが無いから作れない」と言う。ならどこへ行けば作ってもらえるだろうかと聞き返したが、やはり「象の枕なんか作っているところは知らない」と言う、、。何軒か訪ね歩く。特にどうせ誰に聞いたって、「象の枕なんて知らない」と言われるの決まっているから、作り方から説明しなくてはいけないだろう。枕の中身はどうするか、枕が沈みすぎて、象の顔が埋まってしまっては困る。かと言って、カチカチでも枕のイメージにならない。私は当初梱包用の発砲ウレタンのボールを詰めたらば適当な硬さになるだろうと考えたのだが、しかし、現物を確認してみて、それではゴツゴツした印象になってしまうだろうと言うことでボツとなる。
試行錯誤しながら、結局天然の綿を圧縮して詰め込む事にする。そして、象の枕の製作を引き受けてくれる店も見つかった。しかし、そんな巨大な枕などを作って撮影終了後は一体どうしたらよいのだろうか、、。続いて、高さが8フィートほどの階段ハシゴを探す。象の巨体を高いアングルから撮影するのに使うと言う。レンタルの機材があればよいのだが、はたしてチェンマイにそんなレンタルショップなどあるのか知らない。中古の道具屋などを巡ってみるが、階段ハシゴ自体見つからない。郊外の大手ホームセンターチェーンへ行って確認すると、こちらには随分と立派な階段バシゴが何種類かあった。しかし、どれも輸入品らしく、とんでもなく高い。タイの人たちは、そんな8フィートもの高さの階段バシゴなど必要としないのだろうか、、、。
昼からはドイステープの山に登って、撮影が上手くいきますようにと願をかけた。私は仏様に手を合わせるついでに「世界の反戦の声がもっと広がり、はやくアメリカが手を引くように」とお願いをした。しかし、なんとも暑いのだ。山の上は、木陰に入れば風は涼しいのだが、日差しはとても強烈で、半そでシャツから出た腕や、襟のあたりがチリチリと焦げるように熱い。下山後も、旧市街にあるチェディールアン寺へ回る。ここの境内では、おばあさんが籠に入れたスズメを売っており、それを買って、空に放ってあげることで功徳を積むことになっているのだが、このあまりの暑さに、スズメ売りのおばあさんの姿は見えなかった。もっとも、この暑さで籠に詰め込まれていたら、スズメもくたばってしまいかねず、功徳どころではなくなってしまいそうだ。
夕方前に無事に象キャンプのマネージャーとの契約書の取り交わしを終えて、夕食にはメーピン川沿いのナーンルアンと言う海鮮料理のレストランに行く。このレストラン、味も悪くないし、演出もそれなりなのだが、客層が今ひとつである。日本の男性ツアー客が多く、しかも現地調達のお弁当持参である。タイのレストランの多くが、客が持ち込むアルコール類に寛大なのは結構なことだが、この手の弁当持参は、回りの目もあることをもっと意識してもらいたい。その他、エアコンの効いた部屋もあるのだが、そちらは中国人団体客で満席である。そして、盛んにカラオケでガナッテイル。店にはプロの歌手もいて、なかなか上手に歌ってくれているのだが、そのプロからマイクを取り上げて歌う客や、デュエットする客で、歌は騒音となってしまう。
朝食 |
ご飯と豆腐と玉子のソボロ、ワカメスープ。 |
昼食 |
川沿いの中華麺の店にてチャーシュー入りワンタンメン。 |
夕食 |
川沿いのシーフードレストラン「ナーンルアン」にて海鮮料理。 |