5月19日 土曜日

今日は、ランパーンへ日帰りの小旅行に出かけることにしている。本当は7時には出発したいと思っていたが、いつもの通りお母さんと優泰の朝の支度に時間がかかり、結局家を出られたのは8時過ぎになっていた。ちゃんと朝6時には起きて、作り置きのおにぎりを食べるだけで、今朝は体操もしなかったと言うのに、、。

赤いピットアップトラックに乗り、アーケードバスターミナルへ着いたのは8時半前。切符売り場を探すと、「ランパーン」と呼ばわっている声が聞こえたので、その声のする方へ行く。08:45発だそうだ。まだ時間があり、もっと早いのに乗りたいと思ったが、面倒なのでこのバスにする。バス賃はひとり55バーツ。ちょっと高い気もするし、切符には31バーツと書かれ、それをマジックで消してある。
バスは冷房バスであった。多分冷房バスだから値段が高いのかと納得する。車内のテレビでは、土曜日の朝のアニメ番組を流している。

ランパーンまでは快調にハイウェイを走り、峠を過ぎたところにあるゾウ保護センター前で、黒人と白人のカップルを降ろし、やく1時間半でランパーンのバスターミナルへ到着した。

バスターミナルはどうやら街外れにあるらしく、町までは紺色で小型のピックアップトラックに乗ることになる。このトラックは乗合で、客が集まらないと出発しないらしい。すでに8人ほど乗っているが、運転手はまだ乗せたいようだ。
客待ちで待っていると、どうやら優泰がウルトラマンの描いてあるハンカチをなくしたらしい事に気づく。お母さんがトラックから降り、バスターミナルの中や、まだ止まっていたさっき乗ってきた冷房バスの車内などを探してくる。はたして、ハンカチは冷房バスの席の下に落ちていたとのことであった。

小型トラックに結局11人もの人を乗せ、すし詰状態でようやくノロノロとターミナルを出発する。このような田舎町の中心は市場であろうと見当をつけて、市場まで行く事にする。下車する際に50バーツを運転手に渡すと、20バーツしかおつりをよこさない。「30バーツもするの?」と聞くと「30バーツ」と答える。「5歳の子供はただだろ」と言い返せば「ひとり15バーツで大人2人分だという」。他の乗客もだいたいそのくらい払っているようだし、これが相場なのかもしれない。チェンマイよりずいぶんと高い。

降りたところは市場と言うより商店が集まった繁華街と言った感じのところであった。道端の露天でサツマイモをカレー粉で捏ねたものをパイ生地で包み揚げたものを売っていたので10バーツ分購入する。はじめはお母さんも優泰も及び腰であったが、ちょっと味見をして、美味しい事を確認すると、結局2人でみんな食べてしまった。

馬車は商店街から交差店を越えたところに何台も止まっていた。一番前にいた馬方(御車か)に料金を確認すると30分150バーツ、45分200バーツと書かれたプレートを見せてくれる。結局1時間をちょっと越えるだろうが300バーツで回ってもらう事とする。

優泰は御車のおじさんから麦わら帽子をかぶせてもらって隣に座らせてもらって上機嫌である。パカポコと軽快なスピードで街中を抜けて、バーンサウナックという130年以上も前の民家を見せてもらう。木造の大きな建物だが、作りが確りしているのか、手入れが良いのか、建物の歪みなどほとんど感じない。私たちの大泉の家など、まだ30年も経たないのに、かなり歪みが出ているのは、果たしてなぜか?この民家のテラスで冷たい飲み物をいただき、しばし休憩をする。

次ぎに訪れたのはワットプラケオ。現在バンコクのワットプラケオにあるエメラルド仏が、昔一時的にこの寺に安置された事があったとかで、境内にはいくつもの緑色の仏像がある。こうしていくつもあると、ありがたみが無くなるが、ビルマ風の建築物があり、金色に輝く幾層もの屋根を並べて天高くのびる姿は、なかなか雅やかな感じがする。

結局、馬車を降りたのは12時を回っていた。中華ソバ風の麺にワンタンとチャーシューを入れて食べさせている食堂があり、ほぼ満員の盛況だ。けっしてきれいな店とは言えないが3人でテーブルにつく。コップにブッカキ氷をいれて三つテーブルに置かれる。備え付けのポットには薄い中国茶が入っていて、それを勝手に氷入りコップに注いで飲んで良いらしい。うすい茶がほとんど水のようになる。

ここのソバは美味しかった。タイの麺としてはちょっと柔らかい感じの黄色い麺に薄切りのチャーシューが2種類とワンタンがいくつも入っている。ワンタンの具もしっかりしていて、ボリューム感がある。優泰には少し小さめのどんぶりでもらう。どうもお母さんは日本でもラーメンのチャーシューには尻ごみしていたが、ここでもチャーシューは食べられないようだ。優泰はソバに小匙3杯の砂糖を入れてスープを甘くして食べる。私は大さじ2杯の唐辛子と酢を入れて刺激的な味を楽しむ。

食事を美味しくいただき、13:42発の列車に乗るべく駅に向かう。こんどは原付バイクに客席をつけただけのタクシーに乗る。もともと原付バイクであり、客席もお母さんと優泰の二人が乗れば、もうそれで限界である。そこへ無理やり私がモーターバイクのシートへ後ろ向きに腰掛け、何とか3人納まることができた。しかし、これだけ乗っているためかこのタクシーはよろよろとほとんど自転車並の速度でしか走れなくなったようだ。

駅へは少し早めに着いた。チェンマイまでの切符を買うが、たったの23バーツである。3両編成の冷房なし3等車だけのディーゼルカーは定刻にやってきて、そして定刻に出発した。車内は各ボックス席にひとりか二人が座っている程度であったが、ボックスごと空いているのはトイレの前くらいであった。

優泰は運転席へ入れてもらい、流れ込んでくる線路の眺めを楽しんでいる。私は全開にした窓から吹き込む風を楽しむ。お母さんはちょっと暑さでバテ気味らしい。このディーゼルカーは鈍行列車らしく、5分から10分おきくらいに駅へ停車する。花壇などで飾られた駅もあれば、周辺には民家はおろか人が歩けるような道一本もなさそうな森の中の無人駅もある。

峠の手前の駅で、オリエンタル急行とすれ違う。長いモスグリーンの車両が窓をさえぎる。この23バーツのディーゼルカーに乗っている私たちと、多分直線距離にして3メートルも離れていない、隣を走る豪華列車の乗客とは、その払っている運賃にどれほどの開きがあることだろうか、、。

峠のトンネルを越えてクンタン駅に着く。海抜が500メートルを越えているためか、外の空気がひんやりと感じる。この駅で物売りたちが何人も乗り込んでくる。ソムオーというザボンの一種と、お米で作ったクラッカー風のものを買う。ソムオーは10バーツで、クラッカー風は20バーツだそうだが、たまたまズボンのポケットには24バーツしか入っていなかった。この24バーツを見せたところ、「24バーツで良い」と実に気前が良い。スーパーでソムオーをひとパック買っても、40バーツ以上するから、それより量が半分も無いとしても10バーツなら文句は無い。ましてや6バーツも負けてもらったのだから。

結局チェンマイには午後4時を少し過ぎて到着した。2時間半ほどかかったことになる。駅前から赤いピックアップトラックに乗り、アパートへもどる。

夕方アパートのプールで優泰と泳ぐ。アパートの子供二人もプールに入っていて、何かと私にちょっかいを出してくる。その上ひとりはフルチンである。プールで6時頃まで遊び、夕食を買う。今晩の夕食は鶏肉のトムヤムスープと野菜の甘酢炒め、そして優泰用に挽肉と野菜のたっぷり入った玉子スープを作ってもらう。

夕食後、優泰と階下へ降り、久しぶりにマレー風のクレープを買う。私は、別の屋台でカノムチンというカレー汁かけの麺を買うが、お肉を入れないでといったら、店側も困惑して、それじゃ美味しくないなどと言う。でも、夕食のトムヤムでも野菜の甘酢炒めでも鶏肉が入っていて、もう肉は食べたくないと言ったら、納得してくれた。そして肉が無いから5バーツで良いと言う。いくらなんでも5バーツでは安すぎるので、豆乳(3バーツ)をひと袋買い、10バーツ札を出して、おつりはいらないと言った。

 

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