9月19日 金曜日    天気は晴れ 

 朝から優泰のことでイライラさせられる。毎日やるべきことに対する手抜きが目に余る。朝食前から雷を一発。手抜きをしたり、知らん振りなど小ズルクなるのは成長してきている証拠なのか、それともだらしなくなっているだけなのか、、。雷は優泰に落ちるだけではなく、お母さんへもちょっぴり火の粉をふりかける。

 8時過ぎにビートルでアパートを出発。チェンライへ向かう。久しぶりの長距離ドライブである。スピードは控えめにしてハイウェイを走る。天気は空の半分くらい雲があるが、雲は黒くなく、純白。雲のないところは透明感のある青い空である。景色も山の緑が美しく、快適なドライブである。午前中に出発したこともあり、ほとんどエアコンをつけることなく3時間ほどでチェンライに到着。チェンライに少々寄り道して、チエンライの旅行会社を経営するSさんと情報交換。そしてイスラム教徒の食堂で昼食をご馳走になる。私は大きな塊のチキンが付いたカレー風味のサフランライスを注文してもらい、Sさんとそのご主人はチキンを食べずに水牛の尻尾のスープを食べられていた。タイ版のオックステールスープと言ったところであろうか。私は肉類に関しては好き嫌いがある方で、内臓系やゼラチン質のような部分は食べられない。そのため、薦められたこのバファロー・テール・スープもほとんど口をつけることがなかった。

 2時にメコンに面したチェンセーンに到着。メコン川に面したレストランで地元に詳しい中国系の人ふたりと打ち合わせに入る。今回のチェンライ県での目的は今晩チェンセン港に到着する中国シーサンパンナからの船に乗ってくる旅行業関係者たちに合流して、チェンライの観光に関する意見交換と情報収集をするのが目的である。が、その前にこの中国系の2人は私とチェンライにおけるロングステイを目的とした住宅開発について計画現場を見て回ろうと言うのである。この2人とは前回もチェンライの観光開発について見て回っており、私もこの2人のプロジェクト発起人に入っている。しかし、私の感覚からすると日本人を対象にした場合、チェンライのインフラ整備はチェンライとは比べ物にならないくらい遅れている。チェンマイとチェンライは北部タイにおける兄弟関係にあたるような町なのだが、環境は大きく違う。ここで考えられているロングステイ計画とはチェンライ郊外の自然の豊かなところで、リゾート感覚の長期滞在から半永住感覚である。そう書いてしまうと聞こえは良いが、かなり原野商法に近い。それに中途半端なリゾートでは集客や販売が難しい。本格的にリゾートを開発すれば、土地代の高い市内のコンドミニアムよりも費用がかかる。設備をケチれば、ただの姥捨て山である。さらに、対象を日本人として考えると、言葉の問題は、生活から医療の方面に至るまで影響があるし、日本の食材も入手が難しく、日本料理店も無いに等しい。日本人が長期滞在をするのには、生活者が好み趣向で選べるくらいの複数の日本料理屋がほしい。チェンマイがロングステイ誘致に成功したの、はじめに短期間の観光客を対象とした開発があり、ホテルなどが充実し、日本人観光客相手の日本料理屋ができ、続いて近郊の工業団地への日本企業の誘致に成功して、駐在員を中心とした日本人生活者を抱えることができたことが大きく作用しており、ロングステイがプームだからと言って一朝一夕にできるものではないと、私は否定的な意見を切々と訴えた。むしろ、我々のプロジェクトは本来の目的であるメコン川クルーズの取り扱いと乗船客に対する観光サービスの提供に徹するべきと軌道修正を試みる。最終的には2人にも了解してもらい。今回のチェンライ滞在中に回る予定だったロングステイ対象計画地の下見は中止となった。

 夕方6時に、ゴールデントライアングルにあるメコン川沿いのレストランで川を眺めながら食事をしようと料理を注文している最中に、一隻の白くて大きな船が航行してくるのが見えた。ハテ、何の船だろうと目を凝らしてみると、今回我々の本来の目的であるメコン川クルーズの船である。到着は8時と聞いていたのにずいぶんと早いではないか、、。注文した料理が出てくる前に急いで店を出て港に向かう。川に平行した道を車で追いかけたが、船の航行速度は40キロくらいとなかなか早い。日没を迎えたチェンセン港には6時半に接岸。白い船体の堂々とした客船である。川岸に停泊してクーリーたちが荷積み荷降ろしをしている貨物船と比べると、まるで掃き溜めに鶴と言った感じである。予定時間よりも早かったこともあり、税関のスタッフたちも仕事の前の腹ごしらえの途中らしく、上半身裸のままで、飛び出してきて、慌てて制服の袖に手を通したりしていた。乗客は中国系タイ人のグループが50人ほど乗っている。私たちが出迎えるのは、日本の大手旅行会社のバンコク駐在の人(O所長)と、なんどかこの公開日記に登場しているバンコクの旅行会社のH部長(台湾系タイ人)それと随行してきた中国旅行社の幹部4人である。

 入国手続きにはずいぶんと手間がかかった。パスポートをチェックするコンピューターが港に無く、チェンセンの町中にある入国管理事務所へ行かなくてはならないらしい。港から入国管理事務所へ向かい、パスポートチェックをしてもらうが、今度はパスポートに押す入国スタンプを港に持っていってしまっているので、ここでは押せないから、再び船の停泊する港へ向かう。そんなこんなで、日本人1人と中国人4人の入国手続きだけで2時間もかかってしまった。他のタイ人たちは自国のパスポートを所持しているので、パスポート上の本人確認だけなのでコンピューターの照合が必要ない。ようやく、今晩の宿泊先であるゴールデントライアングルのビルマ領側にあるカジノホテルに向かえるようになったのだが、ここでも問題が発生。中国旅行社からの随行は雲南省の社長と副社長の2人と聞いていたのだが、日本部長などを含めて4人も来ている。カジノホテルの部屋の予約は5部屋しかしていない。私と一緒に出迎えをした中国系の2人は地元出身の人間なので、知り合いの小規模リゾートに泊まるので初めから問題ないが、2人増えたことで部屋が足りなくなった。金曜の夜ということもありカジノホテルは満室らしい。協議の結果、私はH部長が同室となった。

 カジノホテルはパラダイスリゾートと言う名の豪華ホテルで、ビルマ領内にあるので、ここへ渡るにも簡単な出入国手続きがあるのだが、我々は部屋数こそ足りないのだが、もとの内務大臣からの招待客と言うことで、まったくのフリーパスである。パスポートのチェックが無いばかりか、ビルマ入国料さえ請求されなかった。通された部屋は特大のスイートルームでリビングだけで我が家と同じくらいあるのではないかと思われた。風呂場も、ちょっとしたホテルのツインルームくらいの広さがある。が、寝室にはキングサイズのベッドが一台。H部長と同室は問題ないが添い寝は勘弁願いたいので、リビングに簡易ベッドを運び込んでもらう。船に乗ってきた一行は船内ですでに夕食を食べたと言うが、私は食べていない。それに一行も夕食が早かったので、夜食を食べると言うので、ホテルのレストランでサパーミーティングとなる。バイキングで日本風のものを含めて料理のバラテエティーは豊富であった。

 就寝前にH部長と話し込むが、H部長は最近愚痴っぽくなっており、バンコクの社内で発生している人間関係にまつわる愚痴を聞かされた。すでに何度も聞かされてきている話ではあるが、眠い目をこすりながら、12時過ぎまで話を伺う。

朝食
ご飯と豆腐入り炒り卵。
昼食
チェンライのイスラム食堂にてサフランライスと鶏肉。
夕食
ゴールデントライアングルにあるパラダイスホテルにてバイキング。

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