ビートルの補修作業で再度修理屋に行ってみる。あんまり当てにしていないし、よけい調子が悪くなることも考えられるが、修理賃を払いながらこのままで済ましてしまうことにも合点がいかない。ビートルを修理屋に持ち込み、ギアからの油漏れやノッキング、そしてブレーキが甘いことを指摘する。しばらく待たされてからビートルは作業台に乗せられてギアの油漏れの確認作業に移った。油が微量ながらポタリ、ポタリと滴り落ちてくる。工員がギアボックス周辺の油汚れを拭い取り、それで「作業完了」と言う。これでしばらくは大丈夫だと言うのだが、そんなわけがない。漏れている油を拭えば、そりゃ滴り落ちてくるまでは多少時間がかかるだろうが、抜本的には何も変わっていない。そして、10分後には最初の一滴が滴ってきた。「これじゃ治ってないんじゃない」と質問すると、「古い車だから仕方がないよ」と言う。だから治してほしいと言っていたのだが、その辺の感覚が理解できていないようで、このくらいは「マイペンライ(大丈夫)」らしい。「ギアオイルがなくなったら補充すればイイじゃないか」と言うのが修理工の意見であった。そして、「もし治すならパッキンを交換することになるからお金がかかるよ」と殺し文句を言ってくれた。
ノッキングに関しても、まるで気にしていないようだ。「点火タイミングがずれてるんじゃないの?」と質問しても「たぶんそうだろう、でも走れる」とタイミング調整をしてくれる様子がない。最後にブレーキは調整をしてくれたようなのだが、ブレーキの閉め方がきつく、ブレーキを踏んでいなくてもシューがドラムと擦れて「シュー、シュー」とタイヤを回転させると音がし、空回りもすぐに止まってしまう。路上を走行するとブレーキの摩擦熱でホイールがとても熱くなる。「これじゃ危ないんじゃないの?擦れてるよ」と指摘すると、「マイペンライ、走っているうちにブレーキが磨り減ってくるから」と実に感動的な答えをしてくれる。タイが自動車普及から見て事故率が世界的にもトップクラスの原因は、この辺にもあるような気がする。
結局、修理屋で工具を借りて自分で最後の調整をしてみる。まぁまぁの状態かなと思えるところまで調整をして、一連の補修作業は完了という事にする。ずいぶんと時間ばかりかかったが、成果はどれほどあっただろうか、、。
午後に領事館に行って確認事をする。お母さんの日本への再入国許可が今年の7月に切れる。それまでにお母さんを日本へ一時帰国させて再入国許可の取り直しをしなくてはならないのだが、再入国許可だけではなく外国人登録も更新しなくてはならない。いろいろと時間のかかる事務手続き仕事ばかりだし、物価の高いこともあるので日本へお母さん一人を送り出すのも気がかりだ。できれば再入国許可の延長手続きがチェンマイにいながらできたりすればベストだと考えて領事館へ相談に伺ってみる。窓口で対応してくれたのはいつものタイ人女性スタッフ。大変上手な日本語をはなされるし、こちらの言っていることもきちんと理解してくれる。で、再入国許可の延長に関して「原則的にはやむを得ない事情がない限りできないんです」と答えられたが、「私には権限がないので奥で確認してきます」と窓口からは見えない奥の部屋へ引き込まれた。15分くらい待ったであろうか、結論は同じで、絶対にできないわけではないが、できたとしても一回きりの再入国許可で、しかも有効期限は一年間。もし、延長が認められないと日本の永住権までなくなってしまってビザの取り直しから始めなくてはならなくなるから、なるべく今回は日本へ帰って再入国許可を取り付けてくるようにとのことであった。まぁ初期の目的は果たせなかったが、対応が親切なので、こちらとしては気分が悪くない。
夕食には優泰と2人でハンドン街道に出没するピザの屋台へ出かける。この屋台、ロータス・スーパーからチェンマイへもどるときに利用するUターンの場所近くと言ったあまり目立たないところに出る屋台なのだが、麺類や炒め物の屋台の多いチェンマイにおいてピザを看板にする珍しい屋台で、以前から気になっていた。
この屋台でできるものは、何種類かのピザ、パスタではスパゲティーかペンネ、ステーキとチャーハン。ピザは30バーツと60バーツの二種類があり、大きさが違う。トッピングによる価格差はないが、トッピングのバエティーはそれほどない。私はキノコとピーマンのピザ、優泰はソーセージのピザそしてシーフードスパゲティーを注文した。ステーキはどれも50バーツながら肉は鶏と豚のみでビフテキはない。30バーツのピザは直径が20センチほどの生地の厚いパンピザであったが、焼き立てでけっこう美味しかった。優泰のソーセージピザにはチーズとソーセージしか乗っていないと言う極めてシンプルなピザであった。一緒に注文したスパゲティーはパスタがちょっと茹で過ぎだが、ソースは悪くない。シーフードと言っても、海の幸と呼べそうなのはムール貝くらいで、イカと見えたのは竹輪の輪切りで、他にカニカマボコなんてのも入っている。35バーツならしかたがないか、、。しかし、この屋台で一番嬉しかったのは「タバスコ」が用意されていたことで、チェンマイではピザ・チェーンのピザハットですらタバスコを用意していない。これには感涙してしまった。
朝食 |
ジャガイモとタマネギの味噌汁。 |
昼食 |
修理屋近くの簡易食堂にてバジル入りのチャーハン。 |
夕食 |
ピザの屋台にてピザとシーフードスパゲティ。 |