10月15日
金曜日 天気は晴れ
朝7時のバスで山を下りる。この温泉周辺で何度も乗ってきた南投バス。毎度毎度ガラガラのバスで、こんなんで経営が成り立つのかと心配になるほどであったが、今朝のバスだけは小学校へ通う生徒たちや、山岳民のお年寄りたちで満員に近かった。小学生たちは中国語を話しているが、年寄りたちは山岳民の言葉である。これも昔話になるが、以前の年寄り立ちの会話なら、山岳民の言葉半分、日本語半分で構成されていたのだが、最近の年寄りはもう日本語を日常語に使う人たちではなくなったようだ。
埔里の町で朝食を食べ、台中行きのバスに乗りかえる。この埔里と台中の間には何社ものバス会社がバス路線を持っていて、競合しているので本数は多いし、サービスも上々である。来る時に乗ったのは国光号と言うバスで、料金はちょっと高めであったが、今回は新埔里線と言う120元と格安のバスであるが、シートはゆったりし、車内ではビデオ上映まであった。
今日は阿里山まで登る予定である。特に阿里山鉄道には是非乗ってみたいと思っている。この阿里山鉄道の出発地は台中よりも100キロほど南にある嘉義の町からで、その嘉義の町までは鉄道で行くことにした。こちらは特急の自強号と言う台湾鉄道の看板列車で、スピードとサービスが良いとの評判であったが、値段も高く、普通列車の2倍以上の運賃で220元ほどした。しかし、乗ってみれば普通の特急列車で、バスのような豪華さやアトラクションもない。むしろ、各駅停車の鈍行に乗ったほうが面白かったかもしれない。
そんなにして到着した嘉義だが、阿里山鉄道の切符を買おうと窓口に並ぶと、係員は「席はないよ」とつれない。この鉄道に乗りたくて来たと言うのに、「席ないよ」じゃ話にならない。が、前評判通り、「汽車の切符ならあのおばさんから買いなさい」と言われる。嘉義市内の旅行会社で、汽車の切符と阿里山の宿をセットにして販売していると言う。宿は一泊1600元と言うところを1500元に負けてもらう。美麗亜ホテルと言うホテルだそうで、食事のつかない素泊まりである。肝心の汽車の切符は1時に持ってくるからと言う。汽車賃は別払いで、大人399元、子供200元だそうだ。
汽車を待つ間、駅前の繁華街にあるファーストフード店風の店で昼食にする。注文したのは、五目麺、豚肉を使った牛丼風、そして排骨飯である。注文した後で、ウナギ定食があるのを発見し、残念に思う。台湾はウナギの産地であり、値段も120元とお手ごろであった。
食事中にグラグラと揺れた。地震のような揺れ方である。表通りを大きなトレーラーでも通ったのだろうか?しかし、そんな様子もないし、音もない。結構大きな横揺れなのに、他のテーブルの台湾人たちは平気な顔をしている。地震に気が付かないのだろうか?それとも地震慣れしてしまっているのだろうか?
1時過ぎに切符は用意された。しかし、切符は何と全部で5枚もある。一体どうしたことかと聞くと、切符をすべて子供運賃の切符で用意したと言う。子供用の切符2枚で大人用の切符になるから大丈夫だと言う。なんだか、タイでよく聞きそうな、わかったような、良くわからないような説明を受けたが、取り敢えず何とか1時半発の汽車に乗ることができた。
阿里山鉄道は、元々が森林鉄道で、エアコン付きの観光用の車両を使っているとは言え、ガッタンゴットンとまるでトロッコ並の乗り心地である。はじめは面白かったが、あまのに振動が酷いので、だんだん疲れてきた。景色も前半は眺めが良くて窓に釘付になっていたが、そのうち深い森の中に入って、薄暗い森の中しか見えるものはなくなってしまった。
途中、奮起湖と言う場所の手前で、「この先災害工事中」とのことで、汽車から降ろされ、約3百メートルほど竹林の中を荷物を持って歩かされた。阿里山鉄道は、この災害地点をもって、山の下半分と、上半分とで分断されており、竹林を抜けた先には、山の上半分を走る列車が待機していた。私たちにとってはちょうど良いハイキングであったが、荷物が多く雨でも降っていた日には悲惨な乗り継ぎになるだろう。
5時過ぎに終点の阿里山臨時駅に到着。この駅は数年前の地震災害により倒壊し、終点が仮設駅となっていた。阿里山は国立公園に指定されているからか、駅の改札を抜ける前に国立公園の入場券を買う事になっていた。料金表には大人100元、子供50元と書かれていたのだが、私が券を買おうとしたら、係員から「外国人じゃないのか」と聞かれた。あぁ、台湾も国立公園の入場料に外国人料金を設定しているのかぁ、、と、私はちょっとがっかりした。タイでもタイ語で話して入場料を払えば、タイ人と同じ料金にしてくれたし、タイ語だけでダメなときも、労働許可書を見せればOKだった。しかし、台湾では労働許可などないし、私の中国語では、台湾生活者と見なしてもらえないのだろう。まぁ仕方ないかぁ、、。「パスポートを見せなさい」と言われて提示したら、「日本人、30元」と言われる。なんと、外国人料金が地元の人より安くなっているとは、、。しかも、30元と言うのは、3人分の金額だそうで、ますます驚いてしまった。
駅にはホテルの迎えが来ていたが、ワゴン車に定員オーバーになるほど詰め込まれてしまった。3人がけのワゴン車のイスに4人ずつ座るし、皆泊りがけの荷物も持っているので窮屈なことこの上ない。
美麗亜ホテルはホテルと言うより小奇麗な旅社と言った感じで、館内に食堂もない。客室内には冷蔵庫もないし、イスやソファーセットもない。しかし、「明日の朝の日の出見学ツアー」の売り込みはあった。
夕食は、倒壊したと言う阿里山駅前にある食堂でエビチャーハンに汁ソバ、マーボー豆腐、高山キャベツ炒めを食べる。どれも美味しい。特にキャベツ炒めは絶品であった。優泰も台湾の料理をだいたいよく食べる。タイの料理と比べて辛くないので子供にも食べやすいのだろう。それと味付けも薄味で、抵抗がない。
食後、阿里山名物と言うダンゴを買って宿屋に戻る。外気温は10度を下まわり、宿屋で借りた1着100元のジャンパーがありがたい。明日の朝は4時起きでご来光見物の予定だが、今晩はずいぶんと霧が深くたれこめている。明日の日の出は大丈夫であろうか?
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