6月14日 木曜日

寝坊をまたしてしまった。目が覚めたのが7時15分前。運動に出られない。

朝食にはフレンチトーストを作ってやり、お母さんと優泰に食べさせる。私は昨日お母さんが食べ残したチャーハンの残りを温めなおして食べる。

優泰を幼稚園へ送った後、アパート1階のインターネット屋から呼び出しを受けて仕事の打ち合わせをする。その後、チェンマイ市内にあるコンピュータープラザと言うところで、IT-Tech Showをやっていると宣伝カーが触れて回っていたので、そこへひとりで行ってみた。そしてがっかりした。もともとこのコンピュータープラザも秋葉原の電気街にある小さな雑居ビルのようなところにPC関連のテナントが2フロア−ほどマチマチと入っているだけの所で、ショーとは名ばかりで、キャンペーンガールが立つわけでも、最新機器のデモンストレーションをやっているわけでもなかった。つまりふだんと同じで、表に垂れ幕でIT-Tech と下がっているだけであった。まったくの無駄足。

アパートに戻ったら昼になっていたので、緑色のインスタント麺を茹で、東京から持ってきたタンメンスープ(麺をジャージャー麺に使いスープだけ残っていたのを持ってきた)を注ぎ、キャベツ、にんじん、ねぎなどたっぷりの野菜を入れて食べる。ちょっとしょっぱくなりすぎたが、とても美味しくお母さんと二人食べる。

午後はしばらくPCに向かって、その後お母さんと中古車を見に行く。お目当てはフォルクスワーゲンのビートル。チェンマイに来てからお母さんはこのビートルを見るたびに「かわいい」と言い続けてきた。チェンマイにはこのビートルをはじめ古い車もずいぶんと走っている。ひょっとしてこの土地では車は廃車にならないのではないかと思うくらい、新旧いろいろな車があるのです。それはスクーターやオートバイでも同じことで1950年代のホンダもしょっちゅう見かける。

一軒目の中古車屋には赤いビートルが2台いた。価格は9万バーツとのこと。価格から見れば安い車の部類に入るだろうが、外装は綺麗に塗装してあるが、エンジン回りがだいぶ汚れており、ベルト類にも疲労が見える。物は試しと試乗させてもらう。エンジンは簡単にかかったが、アイドリングが一定していない。しばらく空吹かしをして漸く、アイドリングが安定してきた。路上に出て、ウインカーが日本車と逆についているので少々面食らったが、一応走る。交差点でブレーキを踏むが効きが悪い。停止するまでに押し流される感覚がある。そして、ギヤをダウンさせて減速しようとしたら、なぜかエンストしてしまった。セルを回してもエンジンがかからない。仕方なく交差点から車を押し出して道脇に止める。販売員はバッテリーのチェックなどをしているが一向にエンジンは止まったままだ。どうやらレギュレターのトラブルらしい。レギュレターのトラブルには去年私もさんざんラビットスクーターで泣かされ、結局18000円も払って新しいレギュレターと交換した経験がある。古い車はエンジンよりも電装系に病気が出やすいようだ。結局修理に30分以上かかり、なんとかエンジンが動き出し、よろよろとガレージに戻ったが、ガレージで再び同じトラブル。こりゃ安くても持て余す車になりそうなので他をあたる。

2軒目の中古車屋は比較的綺麗なビートルがいた。色はミント色でドアがクリーム。屋根には荷物台を載せ、ヘッドランプにはひさしまでついている洒落た車だ。エンジンルームも綺麗に手入れされており、もとのオーナーのこの車への愛着ぶりを伺わせる。車内のシートもベージュ色で小奇麗である。

こちらも早速エンジンをかけて試乗させてもらう。ビートル特有の馬がギャロップするようなエンジン音を立ててくれる。加速も伸びがあるし、ギヤも軽い。もちろんブレーキもちゃんと効く。良いじゃないですかこの車。エアコンも装備されているし、12V車だし、南米製でなくドイツ製だし、気に入った。販売員は多分この店の奥さんらしく、女性相手の交渉は苦手だ。値段交渉はお母さんに任せて、購入することにした。今日のところは手付金だけを支払い、明日の朝残金を持ってくることにした。結局買値は提示価格から2割ほど引いてもらえたようだ。

優泰は幼稚園から戻るなり、また昨日と同様に、このアパートに出入りする子供二人と部屋で遊ぶ事となった。そして、今日も一言のタイ語も覚えてこなかった。私は仕事を再開しようとするが、ネットでのデータのやり取りができなくなり、そのうちプロバイダーから接続も切れ、再接続しても上手く認証ができなくなってしまった。チェンマイのアクセスポイントの事務所に電話を入れても誰も出ず、バンコクの24時間サポートに電話をしたら、「故障」だといい、いつ復旧するかわからないという。

子供たちは結局6時過ぎまで部屋の中で遊び、私たちは6時半にとなりのコカレストランへ行ってタイスキを食べる。今日はやたらと日本人客が多い。15人くらいの日本人男性ばかりが薩摩白波の1.8リットルパックを持ち込んで宴会しているし、地球の歩き方を手にした中年夫婦もやってくる。私はいつも通りのメコンウイスキーのリポビタンD+ソーダ水割りである。夜8時には店を出て部屋へ戻り、小ビンのボトルを半分以上空けて良い気分で床についてしまった。
プロバイダーのトラブルは未だ解決できずにいた。

午前3時くらい、バイクか車か知らないがとんでもない空ぶかしの音が鳴り響いた。尋常な音ではない。回転数も間違いなくタコメーターを振り切っている筈だ。時々エンジンが咳き込むような音も混じる。そして爆発音がして、エンジン音は消えた。ベランダへ出てみると、少し先の路上で火が燃えていた。そしてしばらくすると科学消防車が来て火を消しはじめた。ガソリンに引火したためか消火には手間取ったようだ。

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