7月12日 金曜日 天気は晴れ
朝一番に宿をチェックアウトする。いくらひどい宿になれている私でも、この宿には降参だ。ここに泊まっている西洋人観光客や隣室の日本女性たちは気にならないのだろうか?ふたたび獣道を抜けてロングビーチに出る。昨日満室で断られたロックガーデンは空室ができていた。朝来れば、チェックアウトする客もいるだろうし、空きも出るだろうと考えたのは正解だった。ここの建物は椰子の葉ブキで、壁は廃材を打ちつけただけ、バラックそのもので、トイレは室内になく、敷地の隅に共同便所と共同水浴び場がある。これで1泊20リンギット。安くはないが、ベッドだけはかろうじてカバーが掛かっており、多少は清潔感があった。
ロングビーチは浜辺にサンゴの欠片が落ちているわけではなく、遠浅で素晴らしく綺麗なビーチであった。私はいままで同じマレーシアのランカイ島の海が一番綺麗だと思っていたが、こっちの方が断然綺麗だ。汚い話しだが、海に入っていながら、小便がしたくなり、かなり沖まで泳いでいたし、便所はビーチの外れの宿の丘を越えたところなので、面倒くさくなり、そのまま海の中で小便をした。ここの海の水は、薄いブルーものすごく透明度が高い、海底は白く明るい。そして驚いた事に、小便をすると、私の泌尿器の先から黄色い液体が出てくるのが確認できるほどなのだ。これほど透き通った海は本当に初めての体験である。この島はどうやらダイバーたちに人気があるそうだ。私はダイビングのライセンスこそ持っていないが、シュノーケリングくらいならできそうだと思い、シュノーケリングツアーに参加して、海底の様子や色鮮やかなサンゴや熱帯魚が見てみたくなった。
ロングビーチ周辺では、シュノーケリングツアーの参加費が1人30リンギットであった。しかし、昨夜泊まったアウルビーチでは25リンギットと言っていたので、私はまたまた獣道を抜けてアウルビーチへ行きシュノーケリングツアーに参加した。
シュノーケリング初体験。足にフィンをつけるのも初めてなら、水中メガネもはじめてである。約5時間かけて5ヶ所のポイントを案内してもらった。水中メガネを着けて海に入って驚いた。海の中が見えるのである。魚が泳いでいる。優泰の英語の本に出てきたレインボーフィッシュそっくりなカラフルな魚がいる。黄色いのも、青くて大きいのも、黄色と黒の縦縞も。サンゴもいろんな色がある。形もさまざま。見とれてしまって息継ぎを忘れて海水をシコタマ飲んでしまった。残念なのは目が悪く、遠くの魚やサンゴが見えないのである。海がめの姿も見かけたが、あっという間に泳ぎ去って、見失ってしまった。
シュノーケリングツアー初体験にして大感動をしてしまった。お母さんや優泰にも是非見せてやりたいが、ここの宿泊施設だと、優泰はまだしもお母さんは我慢できないだろう。今日泊まるロックガーデンの共同便所や水浴び場も、真水はほとんどないのである。川がなく、水は雨水がたよりなので、雨が降らないと、真水がないのである。しかし、良く考えてみれば、水がないということは、汚水もそれ程でないと言うことになるし、それだからこそ海がこんなに綺麗なまま保たれているのかもしれない。あと何年かすれば、きっと観光開発が進み、快適な宿泊施設も出来上がるだろうが、ここもプーケットやサムイのように、俗化してしまい、海の透明度も失われてしまうかもしれない。まだ今のところ、水もなければ、電気もなく、電気は夜になると自家発電で、各部屋には30ワットの電灯が灯るだけだ。タイよりも進んでいるのは、ゴミの回収で、宿から出たゴミはゴミ回収船が毎朝回ってくる。しかし、残念なのは観光客のマナーで、空き缶やタバコの吸殻、ペットボトルが砂浜や草の茂みに投げ捨てられているのが目に付いた。
シュノーケリングの帰り道、また獣道を歩いていたら、体調30センチほどのオオトカゲの子供が木に上っているのを見つけた。口から赤くて長い舌をヒュルヒュルと出し入れしているが、見かけほどすばしっこくはなく、木の棒で突ついたら簡単に木から落ちてきた。逃げ方も遅く、ヨッコラヨッコラと歩いていく。このオオトカゲのほかにリスがやたらと沢山いる。こいつらがまたチーチーと良く鳴くのである。リスがこれほどうるさい動物であったとは知らなかった。
昨夜は、蚊の攻撃に悩まされたので、今晩は事前に対策を打っておくべきかと考えて、宿屋の親父に相談したら、「雨が降らなきゃ蚊も湧かない、それに蚊帳も吊ってあるじゃろ」と言われて安心したが、夜になってやはり蚊の襲来はやって来た。蚊帳があったも、あちこち破けていてものの役に立たない。ここの宿屋は夜更けには自家発電も泊まってしまい、真っ暗闇。そしてかなり勾配のある斜面に立っているので、危なっかしくて外へも出られない。やっぱり、明日になったらこの島を離れよう。
朝食
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トシーカフェと言う海の家でマレー風の朝食。ナシレマックと言って、魚のチリソース煮がご飯にのって、ゆで卵とキュウリが添えてある。メニューには3.50リンギットとあったが、店のおばさんにサラマッパギ(オハヨウ)と挨拶したからか、それとも他の西洋人たちがトーストをかじっている中でのマレー風を注文したのが嬉しかったのか2リンギットでOKとのことであった。 |
昼食
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シュノーケリングツアー中に立ち寄った食堂でミーゴレンを食べる。船頭さんの話しでは、「漁村のローカル食堂だ」と聞いていたので、期待していたが、観光客向けで、メニューはミーゴレンにナシゴレン(炒飯)、フライドバナナ程度。ミーゴレンには肉は入らず4リンギット。同席のデンマーク人のカップルは食べられるものがないと嘆いて、飲み物だけ、カナダ人の女性は私と同じミーゴレンを注文したが口に合わないのか、半分も食べられない。 |
夕食
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高台に張り出したテラスのある食堂に入ったらバイキングであった。1人12リンギット。マレー風の串焼きサテは不味かったが、西洋人に人気があり、焼きあがるたびに行列ができていた。他にタマネギのスープ、野菜炒め、中途半端な味のチャーハン、生野菜少々、牛肉の煮こみ、鶏肉の炒め物。デザートにバナナケーキと果物少々。チェンマイの29バーツバイキングが恋しくなった。
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