小屋がけ食堂での日本風メニューの第二段を実施する。前回おこなった親子丼での反省も活かして、食材は現地調達で間に合うもの、それから、下ごしらえだけしておいて、注文を受けたらすぐに出せるものにする必要があると思った。そこで、昼ご飯の定番ともいえるカレーライスを思いついたのである。タイにもカレーはあるし、野菜類だってカレーに必要なものは揃う。それに注文を受けたら、ライスを更によそって、カレーをかけるだけである。これならOKと簡単に考えて実行に移す。またしても事前の計画と呼べるようなことは何もしていない思い付きだけである。
8時に小屋がけ食堂のおばさんの所に行き、簡単な打ち合わせをする。食材はほとんど揃っている。値段は30バーツとし、自家製のマヨネーズを添えたサラダを付けることにする。前回同様に20人前ほどで考えてみよう。ゆで卵も添えてみたいし、そうそう、カレーライスと言ったらタイ人は知らないが、日本人には福神漬けが必需品だ。現地調達できるものでと考えていたが、街の市場では福神漬けまでは売っていない。これだけはスーパーへ行って日本食材の売り場へまわらなくては、、。一旦アパートに戻って、YMCAの入り口前で配るビラを作成する。
9時半よりビラを配り始めるが、今日はYMCAに通ってくる日本人受講生が少ないのだろうか、前回と比べてビラの捌けが悪い。反応も今ひとつである。本日の成り行きに若干不安がよぎる。10時には小屋がけ食堂にもどってカレーライスの下ごしらえをする。野菜を炒め、小麦粉とカレー粉を油で煎りながら捏ねてルーを作り、サラダ用の野菜を刻む。自家製マヨネーズと言うのは食堂のおばさん手作りで、できれば砂糖を入れずに酢を加えてはしかったと思うのだが、タイ風にやたらと甘い代物である。お米は前回とは異なり、おばさんの食堂で普段使っているタイ米100%である。カレーライスだからタイ米でもイイだろうと言う妥協である。電気釜が1つしかないので、日本風とタイ風の炊き分けには手間がかかるのである。
結論から書くと、今回は前回以上に失敗であった。まず、カレーがあまり美味しくない。タイのカレー粉は日本の物と比べると格段に風味が落ちる。それと、私の技量不足で塩味が足りない。そして、日本風にトロリとしたカレーソースはパラパラのタイ米には合わない。つまり、まずいのである。期待をしていたYMCAの授業から流れてくる日本人を狙ったが、日本人客は2グループ、8人止まりである。このままでは大幅な赤字である。本日はもう日本人客の誘致は難しく、タイ人客に食べてもらうしかないだろう。反省点ばかりで、前回の反省が活かされているとはとても言えない。
本来なら最後まで責任を持って販売しなくてはならないのだが、昼過ぎ一番に弁護士さんから呼び出しがかかり、先月から依頼を受けている案件の処理のために、県庁へ出向く。依頼の内容は、近隣国出身者に対してチェンマイでの合法的滞在資格を取らせると言うものなのだが、依頼を受けた段階では簡単に解決して、事務処理だけだと甘く考えていたのだが、ことはそう簡単ではなさそうである。どうも最近近隣国からの居留者に対して締め付けが厳しくなっているようである。また、調べてみると、以前使用していた労働許可証も裏に何だかドロドロがあるようである。そして、どうもそのドロドロを取り除かないと、コトは前に進みそうも無い。依頼主は日本人ながら、解決しなくてはならない対象は近隣国出身者なので、ミスコミュニケーションにも気をつけなくては、、。ドロドロの沈殿物を取り除くために、弁護士さんは管轄の警察で沈殿物が悪玉か善玉かを確認すると言う。まぁドロドロしているから、善玉とは思えないが、、、。
4時過ぎに例のホームページ作成のためにソムペット市場近くの旅行会社に向かう。しかし、ホームページを作成するよりも、写真のスキャンと引き伸ばしてプリントアウトする作業をさせられる。どうして皆こんなに写真が好きなのだろうと感心してしまう。風景写真ではない。自分たちの写真である。たぶん引き伸ばして壁にでも飾るつもりであろうか?女性スタッフだけではない。男性スタッフも、そうで、しかも友人(男性か女性かは聞き漏らした)にメールで送りたいが、どのようにしたら送れるのかと聞かれてしまう。ホームページを作りに来たはずが、まるで事務所のコピー係りと同じ扱いである。しかも無給で、ガソリン代も自腹だから、引き受けてしまった私が毎日忙しいのも自業自得であろう。なお、タイではこのような無償の労働(ボランティア?)に対しても労働局から労働許可の発給を受ける必要がある。それをしないと不法就労となって警察に捕まるのだが、私の場合、労働許可証に書かれている業務範囲に「コンピューター関連業務派遣」とあるから、一応はクリアされているものと思う。むしろ、ワタノー学校で日本語を教えていることに関しては、?マークが付きそうなのだが、しかし、ワタノー学校も受け入れ先団体に名前が載っているからマイペンライなのかもしれない。ラジオ局にしても学校にしても、国営、国立の組織であり、そこが身分証まで出してくれているのだから、お上の機関で就労(でも無賃)するには、労働許可のような七面倒な手続きが要らないのであろうか?
先のドロドロ労働許可にしても、私にしても、タイと言う国は実に外国人の労働に対して厳しい国である。就労できる職種も厳しく制限されている。しかし、実際にこうして長期滞在する日本人が増えてくると、そうした日本人目当ての日本人による商売も増えてきて、まず、営業許可も労働許可も得ていないだろうなぁと思われるモノがたくさんある。いわゆる不法就労で、非合法、資格外活動で、バブル期の日本にたくさんいたジャパユキさんジャパユキくんと同じで、差し詰めチェンユキさんとでも呼ぶべきだろうか。私だって、午前中に小屋がけ食堂でカレーなんかやっていたけど、これだって100%資格外活動である。まぁ、先日、小屋がけ食堂の改装にあたって「出資」をしたから、出資者と言う身分とも考えられるが、、。そんなこと、認めてもらえないだろうなぁ。
食堂のカレーの売上は日本人に対して8食、タイ人7食の計15食止まりである。おばさんたち家族の夕食がカレーになったのは言うまでもなく、私も鍋に残ったカレー汁をビニール袋に入れてもらって持ち帰った。おばさんはそれでも100バーツほどの粗利があったと喜んでいるが、私は持ち出しの福神漬けやカレーに入れる牛乳、コンソメスープなどスーパーで買った代金分があり、実際のところそれらを差し引いたら収支マイナスとなる。
朝食
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パンとクリームシチューの残り。 |
昼食
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食パン。 |
夕食
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餃子とマーボー豆腐。 |