8月5日 木曜日 天気は曇り ときどき雨 場所により晴れ
日本人のお客様2人とビートルでバンコクへ向かう。お客様のバンコク行きの目的はお二方ともそれぞれ異なる。お一人は観光ビザから退職者ビザへの切り替えが目的で、もう一方は、バンコク銀行の本店に置いている非居住者預金をチェンマイ市内の銀行へ送金することである。何れの作業も、明日行うこととし、今日はバンコクまで走るだけである。チェンマイを出発したのは午前9時。
スーパーハイウェイに入ってすぐにバイクの事故現場に差し掛かる。状況から見て、自動車とバイクの事故で、反対車線からUターンしようとした車両に。直進車がぶつかったものらしい。周辺には野次馬も集まり、警察も現場検証をしている。たぶんバイクのライダーは即死だったのであろう、10メートルほど先で、仰向けになって倒れていた。周囲は真っ赤な血が溜まっていた。タイでは、死んでしまった人は、仕方ないと思うのか、病院へ運ぶでもなく、現場検証中は野ざらしのままらしい。あぁ事故は嫌だ。
その後、ビートルは快調に走る。今までにないくらいエンジンの調子が良い。気温が高くないことも影響しているのだろうが、スピードも常に90キロ以上をキープして走れる。キャブレター直前でガソリンが沸騰してしまうと言うトラブルも無い。峠に差し掛かってもギアを落とすことなく、パワフルに登ってくれる。馬力が向上したのは実に喜ばしいが、燃費は少し落ちている感じである。市街地走行ではリッターで10キロ程度、ハイウェイでは13キロ程度しか走らない。さらに前回ガソリンを給油したときと比べて、またもガソリン代が値上げになっているようだ。とうとう1リットル20バーツの大台に乗っている。つまり、1キロ走るのに2バーツ必要と言うことになるのだろう。ビートルを購入した当初は、400バーツも入れれば満タンで、400キロほど走れたのだが、今では500バーツ入れても満タンにならない。単純計算だと、バンコクまでおよそ700キロ。ガソリン代だけで、1400バーツになる計算だ。もう飛行機の運賃とほとんど同じである。
トゥーンの町を過ぎて、緩やかなカーブの続く山道の途中で、大型のトレーラーが横転していた。積荷の石炭かアスファルトのような黒い石のようなものが、路肩にまかれていた。重量オーバーのためカーブでバランスを崩してしまったのであろうか、、。このハイウェイ、この手の大型車の単独事故が実に多い。
昼食はタークの市街地にあるウィアンターク・ホテルで食べた。ホテルなので昼のバイキングでもあるかと思ったが、バイキングはなく、その代わりエレクトーンの演奏で、ドレスを着た歌手がステージで歌を歌っていた。夜ならわかるが、昼の日中から、歌手の歌を聞かせながらの昼ご飯と言うのもちょっと場違いな気がする。さらに、私たち以外に客は入っていなかった。そして、ホットオードブルの盛り合わせとチャーハン、食後のコーヒーを注文いたのだが、初めに出てきたのがチャーハンで、チャーハンを食べ終わった頃にコーヒーが出て、コーヒーが飲み終わった頃にオードブルが出てきた。そのため、せっかくのオードブルの盛り合わせも半分近く残してしまう結果になった。このホテル、料理を出すタイミングをご存知では無いらしい。もっとも、各料理とも味は悪くない。私の注文したカーウパット・クロッカピと言うエビ味噌のチャーハンはチャーハンの周囲に卵焼きやキュウリの細切り、刻みインゲン、中国ソーセージ(香腸)、干しエビなどが盛り合わせてあり、まるでお子様ランチのようなニギヤカさであった。
午後も快調に走りつづけた。ナコンサワンを過ぎ、チャイナートを越えて、そろそろガソリンを補給すべき距離まで走ったかなと思っていたが、ガソリンメーターはまだゼロを指していない。ビートルも私の苦しい台所事情を察して燃費が良くなったのかと、喜んでいたが、どうやらそんなことはなかったようで、やがてエンジンの出力が突然落ちて、アクセルを踏んでも加速しなくなった。ガス欠である。ハイウェイの立体交差があるだけの場所で、周囲は畑ばかり、民家も無い。こりゃ困ったところで止まってしまったもんだと思ったが、取りあえずガソリンを求めて歩き出すことにした。走ってきたバイクを止めてガソリン・スタンドの場所を聞くと、運の良いことに、立体交差のすぐ先、距離にして200メートルほどのところにスタンドがあった。ラッキー。スタンドで店番をしていたオヤジさんにガス欠で止まってしまったから、ポリタンクにガソリン入れて欲しいと頼んだのだが、ガソリンは売り切れだと言う。「ディーゼルならあるよ」と言う。まったく、スタンドまでがガス欠でどうするんだ。このスタンドは広い敷地に、ドライブイン風の食堂を持っており、オヤジさんは食堂のアンちゃんに声をかけて、そのアンちゃんにポリタンクを渡し、ガソリンを買いにバイクを走らせた。私もそのバイクに便乗させてもらい、更に1キロほど先のスタンドで無事にガソリンが買えた。
アユタヤを過ぎると交通渋滞が酷くなった。このあたりは工業団地も多く、ちょうど勤務の交代時間にあたるためか、従業員を送迎するバスで渋滞しノロノロ運転となった。バンコク市内に入ったのはもう日没後で、雨まで降ってきた。宿泊先のトンタラ・ホテルには夜8時近くに到着した。予定より1時間遅れである。
夕食には中華街にあるテキサスでタイスキを食べる。何よりまずビールで無事到着を祝して乾杯したいところだが、オカマのウエイトレス氏は「ビールは無いのよ」と言う。理由を聞くとカウパンサーと言いい、お坊様たちが雨安居と言って、お寺に篭るこの季節、この店ではビールやお酒などを出さないそうである。なんとその期間が3ヶ月もあると言うのだから、店としても売上に大きな影響を与えるであろう。それを敢えて敢行するのだから、ここの経営者は熱心な仏教徒なのかもしれない。
朝食
|
パンとポテトサラダ。 |
昼食
|
タークのウィアン・タークホテルにてホットオードブルの盛り合わせとチャーハン。 |
夕食
|
バンコクの中華街、テキサスにてタイスキ。 |
前日へ 翌日へ
|