朝一番に領事館から電話が入る。「映写機が直りましたから、1時に学校へ伺います」と言う。わー、大変だ。今日は通常授業とあきらめて、視聴覚室の使用申請も取り下げていたし、生徒たちへの告知もできていない。大急ぎで学校へ向かって上映のための手続きを取る。でも、上映ができるようになって助かった。なんたって宿題が満足に完成していないから、生徒たちに会わせる顔が無かったのである。これで宿題の提出はあと二週間の猶予ができたわけだ。来週は王妃誕生日で、学校がお休みでもある。
学校の作業をこなして、またも急いでチャーンプアク警察署へ行く。以前から引きずっている日本人がらみのトラブルの処理のため、朝10時にアポイントが組まれていたる。なんと言っても、現在の最大の問題は、本来被害者であるはずの日本人が加害者側の策略で、逆に窃盗容疑で訴えられてしまい、日本人の身分は保釈中の被疑者なのである。これを完全に晴らさなくては、相手を捕まえられない。この疑いも丸っきりの事実誤認であるのだが、警察署側も一旦容疑をかけて逮捕状を作成している手前、おいそれと容疑を引っ込めてはくれない。あっちの証人、こっちの証人と証言を集めていき、容疑を晴らす証明をしていき、最終的に逮捕状にいたる調書を作成した係官を納得させなくてはならない。係官としては、自分が作成した調書の不備を指摘されるわけで面白くないだろう。そこを何とか懐柔しながら、了解させなくてはならないので、本当のところ、このあたりが弁護士さんの腕の見せ所だと思う。が、アポイントにあわせて警察署に入ったところ、なんと担当の係官はバンコクへ行ってしまって不在だと言う。このあたりの連絡の悪さはもう馴れっこになってしまったが、いつもながら疲れさせてくれる。
午後からの日本映画上映会だが、バタバタながらもなんとか上映の段取りがついた。生徒たちへは校内放送で案内を流し、通常の教室にも黒板にメッセージを書いた。領事館の上映スタッフたちは1時からスタンバイを始め、1時20分くらいから、まずはスライドの上映から始まった。スライドの内容は日本の文化的なものや風景を紹介するもので、当り障りの無い、日本人が見たらちょっと退屈してしまうようなスライドではあった。でも、生徒たちは熱心に見入っていてる。特に景色の中で雪が出てきたり富士山が出てきたりすると溜息があちこちから漏れてくる。タイの生徒たちには雪と富士山が日本の魅力なのかもしれない。一方、京都の金閣寺については目立ったリアクションが無かったようだ。キンキラキンの建物などタイでは珍しくも無いからであろうか、、。
映画の上映は2時からの上映となった。生徒たちの中には2時から別のクラスに行かなくてはならないものがいたりして、ちょっとかわいそうであったが、なぜか日本語クラス以外の生徒たちも詰め掛けてきて、視聴覚室はほぼ満席の盛況となった。思惑通り生徒たちは日本の高校生たちにとても興味を示した。映画の中の季節が夏のためか、登場する高校生たちの制服姿は、タイの生徒たちとあまり変わらず、男子生徒は白いシャツに黒ズボン、女生徒は夏用セーラー服風である。スクリーンに映し出される日本の学校の校内の様子など、生徒たちは熱心に見入っている。コミカルな部分では笑い声も聞こえてくる。音声は日本語で、字幕にタイ語が入るのだが、字幕の消えるのが早すぎて、字幕を追いきれない生徒が多いのと、書かれているタイ語訳が適訳ではないようで、生徒たちはストーリーを追うのに苦労している模様である。が、正直なところ、この映画は生徒たちに見せるには、細かなシーンで問題があったようである。まず、主人公が模範的な高校生ではないこと。むしろ、問題大有りの生徒である。バイクを飛ばし、ビールを煽り飲み、喫煙のシーンもある。そして、言葉遣いが徹底的に悪い。つまり、日本語の授業の一貫として上映するには問題のある映画であった。そう考えると、モデルが大学生になってしまうが「しこふんじゃった」の方が良かったかなと思えた。本当なら、「アイコ16歳」みたいな、リアルな日本の高校生像を描いたものを上映したかった。
夕方に、昨年一時チェンマイに滞在され、今年はバンコクに滞在されている八王子のTさん夫妻と会い、一緒にカムインハウスで夕食を食べる。このところカムインハウスは客の入りが改善されたのか、エアコンの効く室内の席は満席で、池に面したテーブル席での食事となった。
朝食
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ご飯に白菜の味噌汁、韓国のり、スクランブルエッグ。 |
昼食
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フライドチキン、モチ米。 |
夕食
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カムインハウスにて北タイ・オードブル盛り合わせ、海老のすり身揚げ、鶏肉のバイトゥーイの葉包み揚げ、五目野菜炒め、雷魚の姿揚げ。 |