4月5日 土曜日    天気は晴れ   

 優泰が週末に通う日本人授業補習校の当番になっているので、8時半までに補習校へ到着したかったのであるが、チェンマイの堀沿いの道で、チェーンプアク門を過ぎたあたりからひどい渋滞になる。最近はよくこのあたりで接触事故があって、そのための事故渋滞かと進まない車の中で多少いらいらしながら辛抱していた。しかし、原因は事故ではなく、堀端にあるパーパオ寺で祭りでもあるのか、この寺へ出入りする人たちが、縦列駐車をしていたり、ところかまわず車から乗り降りしているためであることが、渋滞に巻き込まれてから20分後に判明した。

 優泰は今日から2年生の授業を受ける。2年生は補習校の中の最大人数のいる学級で、13人もいる。先生も大変であろう。ワンパク盛りだし、日本語のレベルだってまちまちな子供たちに、教科書に沿って漢字を教え、九九を暗記させていかなくてはならないのだから。それも、日本の小学校で教える一週間分を土曜日のたった一日で教えなくてはならないのだから、、。そのためか、今学期より、授業は5時間となり、従来やっていた音楽とかは無くなって、ぜんぶ国語と算数だけとなった。

 補習校からもどって、優泰を近所のショッピングセンターに入っている東京メガネへ連れて行く。最近どうも優泰の目が悪くなっているのか、学校の先生からも「黒板の文字が良く見えていないようだ」と指摘されていた。目が良く見えないから、余計に集中力が落ちてしまっているのかもしれないと思い、メガネをかけさせることにした。検眼をして、「だいぶ進んでますねぇ」と言われる。優泰は暴れん坊なので、すぐにメガネを壊してしまうのではないかと心配して、値段も安く、安全な子供向きのプラスチック製のメガネをかけさせたかったが、店員さんのほうが一枚上手であった。「これはハリーポターと同じメガネフレームです」との一言で、優泰はフレームのほっそりしたチタン合金が気に入ってしまった。日本製の輸入フレームである。私のかけているメガネドラッグのメガネより数段上等である。レンズも、子供の近視が進まないためにはHOYAのこのタイプのレンズが一番だとか、親心にまでつけこんでくる。結局、優泰のメガネを買うために、週明けに払おうと思っていたアパートの家賃分を使い切ってしまうことになった。またもや手痛い出費である。でもまぁ、しょうがないか、優泰はこのハリーポターメガネが気に入ったようである。

 夕方から700年記念運動場にウルトラマンショーを見に行く。ウルトラマン・タイランド・ツアーだという。今日から3日間、1日に3回のショーが体育館で予定されている。先月くらいから町のあちこちにポスターが貼られ、チェンマイ中の子供たちが垂涎の的になっていた。入場料も、大人子供の区別の無い金額で、切符一枚が、労働者の平均日当を上回る価格だから、ちょっと子供向けのアトラクションとしては高価である。ポスターで確認した公演時間は、午後6時のものがあったので、6時少し前に会場に到着。すでにものすごい数の親子連れがうごめいている。まだ開門はしていないようだ。駐車場にビートルを止めて、入り口に向かおうとしたところ「タローさん」と声がかかる。誰かと思って見回すとチュンポンさんであった。彼も子供連れでやってきていた。「もう切符を買ったか?」と言うので、いや、まだこれからだよと答えると、じゃあこっちに来てよと先導して、切符販売の係りに何やら告げて、指定席の切符を二枚発行させた。もちろん金は払ったが、「これ特別席ね」と言う。席番号を確認すると、最前列のステージ正面席であった。通常、この手の興行では、役所関係やその他のVIPのために空けておく席である。「私たちの隣ね」とチュンポンさんが言う。なるほど、チェンマイで顔が利くチュンポンさんだからできる芸当なのだろう。おかげで私たちも余禄に与ることができた。
 6時のショーは開門は6時半となった。そして、こんなものでも前座があるのか知らないが、着ぐるみたちのトークと歌を延々と聴かされ、十分に退屈させてもらったところで、ようやく7時になってウルトラマンたちの登場となった。内容的にはデパート屋上や遊園地のウルトラマンショーでのステージを大掛かりにした程度であったが、会場は静まり返っている。私たちは最前列にいるので、振り返ると観客席を見晴らすことができる。そして、子供も大人も、ステージにくぎ付けになっている。もう、わき見をしていたり、おしゃべりをしている人さえほとんどいない。手にもったポップコーンも口に運ぶのを忘れているくらいだ。ウルトラマンたちのアクロバット的な身のこなしには感心したが、残念ながら、ステージではテレビの中のような特撮を披露することもできず、スペシューム光線は豆電球がウルトラマンの腕に灯る程度で、ちょっと寂しかった。そして、なんとウルトラマンショーは7時半前に終わってしまい、最後はウルトラマンと怪獣、着ぐるみたちがステージに集まっておしまいであった。なんだか狐につままれたような幕切れであったが、優泰は満足したようである。

朝食
パンとインスタントのコーンスープ。
昼食

ホットドック。

夕食
コカにてタイスキ。

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