勝ち取った休暇と言うよりも、まるで脱走するような感覚での休みである。7時半に出発しようと考えていたが、ビートルのエンジンが回りだしたのは8時になっていた。走り出してすぐに気がついたのは、またもガソリン代が高くなっていることである。とうとうチェンマイでは22バーツになっている。毎週のようなこの値上げ、ドライブ旅行にはちょっと辛い。ランプーンで500バーツほどガソリンを入れたが、量的には23リットルほどにしかならない。以前は400バーツで30リットルほど入ったのだから、ほぼ倍近い金額となっている。
ビートルは本日もエンジン快調。本日の目的地はカンチャナブリである。距離にして750キロ。まだ体力仕事を控えなくてはならない身にはちょっと負担の大きなドライブである。その分、ビートルのエンジンが快調である事は大変助かる。スピードもほぼ時速90キロを維持して走れるので、ランパーン、トゥーン、タークと街道沿いの主要な町までの所要時間を容易に計算できる。
エンジンは快調なのだが、エアコンは暑さにバテ気味のようである。もともとビートルの構造上、エアコンの効きが悪いのだが、南下するに連れて、外気温がますます高くなり、エアコンをつけても暑い。はじめにお母さんが「もぅ暑い」とダウンしてしまう。お腹は空いているが、食欲がないと言う。カンペンペットのドライブインで食事をしようとしたが、「食べられそうなものがない」とアイスクリームだけを食べてパス、更に1時間半ほど走ったところで、ようやく体調が戻って、食事ができた。
食欲不振はお母さんだけではなく、小鳥のピョンも同じようである。野菜や米粒を与えたが余り食べたがらない。もっとも、新鮮な生肉ばかりを普段食べているので、こうしたドライブインの作り置き惣菜など食べたくないのかもしれない。この辺の志向はピョンとお母さんは共通しているらしい。
ナコンサワンを過ぎて、いつもならバンコクへの大街道国道32号線を走るのだが、今日はカンチャナブリへ向かうため、32号線の迂回路とも言えるチャイナート、スパンブリ経由の国道を取る。この国道もバンコクへ向かうのだが、途中スパンブリから西に向かえば100キロほどでカンチャナブリに到着できる。
32号線と比べると交通量は各段に少ない。それでもほとんどの区間が4車線道路で、快適である。しかも、過積載のトラックが少ないからか、舗装路面の状態が32号線よりもずっと良い。大型車にはさまれ、煽られながらの運転で、いつもナコンサワン-バンコク間の250キロが憂鬱だったが、ちょっと大回りになるが、バンコクへの往復にこのルートを取っていたら、ずいぶんと楽ができたものと思われる。そうしたことも、最後になって知ってももう遅いのだが。
このルートのひとつだけ欠点は、田舎の小さな町にさしかかると、バイパスで迂回するのではなく、町の中心に道路が伸びていて交通信号に引っかかりやすいと言うことがある。
スパンブリーから西に向い、ウートンの町の手前で今日3回目のガソリン補給をする。1回に500バーツずつで、もう1500バーツもガソリン代に消えたことになる。タイ政府もガソリン価格の高騰が、物資輸送の大半をトラックに頼っているタイ国の状態を危惧してか、ディーゼル燃料は当面値上げをさせない方針を打ち出したそうだが、焼け石に水になりかねない気がする。
カンチャナブリー近くのさとうきび畑で日没を迎え、市内のホテルに到着したのは7時過ぎになっていた。チェンマイを出て11時間。途中休憩などをしながらだったが、いやはや長かった。今晩の泊まりは鉄道駅に近いラグジュアリーホテルと言う新しくて清潔そうなだけが取得のシンプルなホテルで、1泊素泊まり600バーツとホテルとしては格安ながら、室内には冷蔵庫もバスタブもない。おまけに食堂らしきものはあるが、朝食しか営業していないそうで、その代わり宅配ビザ屋のビラが置かれていた。
ホテルで夕食が取れなかったことは幸いだったかもしれない。と言うのはホテルのすぐ近くにバーンラウと言うちょっと気が効いたレストランがあり、そこでの料理が実に美味しかったのである。ピョンも連れて入ったのだが、別に咎められることはなかった。この辺も実にタイらしい。ピョンは付け合せのキュウリと牛肉のオイスターソース炒めを良く食べたが、鳥の味覚にはオイスターソース炒めは味が濃過ぎたようで、夕食後ピョンは盛んに水を飲んでいた。
朝食 |
トーストとコーヒー。 |
昼食 |
ドライブインの作り置き惣菜の赤カレー汁かけご飯。 |
夕食 |
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