ちょっと最近神経質になりすぎている。K.K.トラベルのスタッフたちのことでピリピリし過ぎている。掲示板にも「経営者がこんなんだから、仕方ないじゃないか」と言ったような書き込みまでいただいた。まったく、その通りで、所詮はタイの個人商店に過ぎず、日本的な常識など通じないのかもしれない。が、私としては、私なりにK.K.トラベルに対して思い入れもあるし、ただのローカル旅行代理店に終わらせたくない。私がここにこのまま居残るか、日本へ帰国するかの結論をだす時期が近づいているから、余計に焦ってしまうのである。このまま私が消えても会社が成り立っていけるのだろうか、成り立たせるためには、何をしたら良いのかと、考えている矢先に、ここのスタッフたちの態度を目の当たりにすると、本当に背中の奥の深いところから、全身に疲れが染み出してくる。何度注意しても懲りない連中だが、何度でも注意しないといけないのだろうか、、。
このところチェンマイは良い天気が続いている。空気も澄んで遠くチェンダーオの山並みまで見渡せる。雨季が近づいているのである。ここ数日は雨も降らないし、気温も40度まであがることもなくなった。が、それでもやっぱり外は暑いらしい。昼前にサーラー・チェンマイさんに紹介されたと言う日本人のご夫婦が来店された。それも汗びっしょりかかれている。ナイトバザール近くから道に迷い、道を尋ねながらいらしたそうで、ずいぶんと苦労してたどり着かれたようである。飛行機の運賃やホテルの代金などを確認されるのが目的だったのか、それとも私と言う存在の鑑定が目的だったのか、良くわからないが、2時間ほど話し込んで行かれた。そして、「ストレスが溜まるんですよね」とおっしゃる。何のことかと言うと、ここの何事によらず定価がはっきりせず、何事によらず値段が交渉で決まると言うのに疲れを感じられるらしい。私のところのような旅行会社でも、店によってみんな値段が違うと言われる。
まぁ、店によって値段が違うのは確かだが、それ自体は日本でもあり得ることである。ところが、タイの場合は日本と反対に、常連になればなるほど、足元を見られやすい。何度か利用していると、店側はだんだん横着をしてきて、そのうちには舐められてしまいかねない。お客様は飛行機の切符代やホテル代などを色々とお聞きになったりして、「この切符は○○だといくらと言っているが」とか「ここのホテルは××で予約できた」とおっしゃられる。私はK.K.トラベルの定価を申し上げたつもりであったが、私としては営業努力でなんとか安い価格で飛行機やホテルを提供したいと思ってはいるが、チェンマイで一番安い価格まで落とすには限界がある。他にK.K.トラベルよりも安い旅行会社があっても仕方ないと思う。「じゃ、いったいオタクは何が得意なの」と質問されたが、はて、ヨソよりも断然安いものなど何かあっただろうか?断然安いとしたら、人件費くらいではないだろうか、、、。とっさには答えられなかったこともあるが、トータルで考えたらば、ヨソよりも私の場合は、一つ一つの予約に気を配っているつもりだし、来店いただいたお客様には、なるべく親身になって、何でも相談に乗らせていただいているつもりである。たぶん、どこにも広告を出さずに、お客様が増えているのは、その点を評価してもらえているからだとも思う。
このお客様は「チェンマイでロクな日本人に遭っていない。チェンマイにいる日本人の過半数がロクでもない奴ばっかりだった」とおっしゃる。もっと聞くとやはりチェンマイであった日本人に不愉快な思いをさせられたばかりらしい。「サーラーチェンマイのKさんは、そんななかにあって本当にいい人だ」とも言われた。私もKさんは、金儲け主義ではないし、穏やかな人で実に言い人だと思う。しかし、チェンマイにいる日本人のほとんどがロクでもないというのには、ちょっと異議を唱えさせてもらった。確かに酷い人は多いが、過半数ではなく、まだ少数ではないだろうか。しかし、その少数が、新参の日本人長期滞在者や滞在予定者の廻りを徘徊するので目立つのだろう。
夜、K.K.トラベルの経営者と7月には私が日本へ帰国せざるおえない状況になっていることを説明する。想像した通り、経営者は驚いて大きな声をあげ始めた。物静かなことが良い事とされているはずのタイだが、ここの経営者は中国系なのでやかましい。「とにかく、私は月に○×万バーツの出費があり、貯金を切り崩しながらの生活で、そろそろ貯金の底が見えてきたから、帰らなくてはならない」と説明をしたらば、内政干渉というか、何んでそんな出費があるのかと、主な出費項目を一つ一つ尋問された。そして、「優泰の教育費が高すぎる」と結論付け、「これがなければ△万バーツは節約できる」と答えを出された。そして「タイの普通の学校ならお金がほとんどかからない、それにタローの生命保険も掛け金が高すぎる。タイの保険ならもっと安い」と、こちらの事情もお構いなしである。が、まぁそれでも心配はしてくれているようで、住む家なら何とかするとか、色々と言ってくれる。
が、私の心配は、私がいなくなったあと、K.K.トラベルをどうやって経営を成り立たせるかである。現在でも、マネージメントが悪くて、あちこちへの支払いにバタバタやっているのに、、、。そのことに言及したついでに、まず、スタッフの意識改革が必要だと提言した。固定給制に問題があるかもしれないので、歩合にしたらどうかとか、ヒマを持てありしているスタッフにアウトセールスをさせるべきだとか提案したが、すべて否定されてしまった。「スタッフはまだみんな子供だから、そんなことはできない」と言うのである。じゃあ、なんで大人を雇わないのか!と血が上りそうになるが、「マネージメントはタローがやったらイイよ、それが一番安心できる」と言われてしまったので、頭のてっぺんまで登りかけた血は、見る見ると引いてしまい、顔が青ざめかかってしまった。「オイオイ、あんたが経営者じゃなかったの、、オイラ、辞めさせてもらうかもしんないよって言ってんのにさぁ」と思わず日本語でつぶやいてしまった。