チェンマイでのロングステイを計画されているSさんご夫妻は、既にロングステイ用のビザも取得され、なんどもチェンマイへ短期滞在を繰り返されて、退職後はチェンマイ生活がスムースにスタートされるはずであった。しかし、「ここの人間関係がもう堪えられないんです」と言われる。話を伺ってみるとお付き合いをされている日本の方の多くが、あまり良い評判を聞かない人たちばかりである。チェンマイ生活に関してだいぶ高い授業料も支払ってしまっているようである。授業料と言っても、それは学校での勉強ではなく、車や土地などに関してである。そしてその「授業料」を受け取っている人が自慢そうに「大人どうしが、納得の上で10円のものを100円で売りつけても別に何も悪いことなどない」と吹聴しているのを聞いて、「もう嫌だ」と感じられたそうである。本当に納得の上でなら、問題がないかもしれないが、きちんとした情報提供もせず、相手がよく知らないことを良いことに、高く売りつけるなんてのは、正義であるわけがない。詐欺と何ら変わらない。「騙されるほうが悪い」ともよく言われるが、それは騙されたほうが今後の反省の意味で口にする言葉ならわかるが、騙した方が口にするのは筋違いである。
短期間の滞在でもそんなことの繰り返しで、もう居たたまれないらしい、そのな折り、日本のテレビ番組でホアヒンと言う海岸リゾートで長期滞在をはじめようとされている日本人を紹介するものを見たそうで、自分たちもホアヒンで暮らしたいから、一緒に付き合って行ってみてほしいと依頼を受けた。私の感覚では、確かに海外リゾートで海を眺めながら暮らすのも良さそうだが、しかし生活のためのインフラはそれほど整っているとも思えないので、一応は消極的な個人的見解を申し述べたのだが、仕事としてK.K.トラベルに発注していただいた限りは、私としてもホアヒンでのロングステイを成功させるべく全力を尽くさなくてはなるまい。
今朝朝一番に話し合い、今晩Sさんのピックアップトラックでホアヒンへ向かうことにする。ホアヒンまで800キロ、向こうで2泊する予定で、日曜の夜に帰ってくるつもりである。先月末からK.K.トラベルを留守がちにしており仕事が山積みになっている。これでまた山が少し高くなりそうである。
このところ雨がしばしば降るようになった。空気の乾燥もだいぶ治まり、気温もちょっと下がった気がする。午後にナコンピンコンドに短期滞在していたIさんが新しいアパートへ引っ越されると言うので引越しの手伝いをする。一人もののIさんなので、荷物はほとんどない。新築らしいアパートはまだきれいでピカピカであった。しかし、エレベーターは止まっており重たい荷物カバンを担いで4階まで運び上げた。このアパート安くてキレイなのは良いが、住人の年齢層が非常に若い。Iさんの孫みたいな人たちばかりである。実際にこうしたタイの若者の多いアパートで暮らしたら、深夜遅くまでCDやテレビの音が気になるのではないだろうかとか他人事ながら気になってしまう。
Sさん夫妻とのホアヒン行きに際して、K.K.トラベルのスタッフにホテルの予約をしておくように朝指示をしておいた。特にこの週末は連休でもあり、バンコクからも比較的近いビーチリゾートは予約が取り難いだろうから注意するように言い渡していたのだが、Iさんの引越しから戻っても、ホテルの手配はされていなかった。「どうしたんだい」と聞いてみると、「ホテルの料金表をファックスで送ってもらうように電話したけど、まだ届かないから待っている」と言う。まったく、全然判っていない。心配した通り、私が受話器を握って空室の確認の電話を入れてみると既に満室になっていた。朝の段階で空室を確認していながら、そのまま半日も待っているから、こんなことになるのである。ファックスを送るように依頼しながら、しばらく待っても届かなければ催促の電話ぐらいするのが常識と思うが、待つ時間が長いと、そのまま忘れてしまうのもここのスタッフの性格である。たぶんホテル側のスタッフも同じで、ファックスを送るのを後回しにしているうちに、送ること自体を忘れてしまっているのだろう。ここでの仕事に「催促」は必要不可欠である。結局、私が自分で電話を掛け捲り、ホアヒンの隣チャアムに宿を確保する。業界内の事前情報よりも値段的にはずいぶん高かったが、もう時間切れである。
夕方パソコンの設定の依頼も受ける。今晩から留守にするため急いで作業をしたのだが、少々手間取り今晩のラジオ番組に30分ほど遅刻をしてしまった。9時に放送が終わって、急いでアパートへ戻り、10時にはSさんのピックアップトラックに乗ってチァアムへ向う。