午前2時半ごろに、ナコンサワンまで50キロのところにあるドライブインで休憩となる。9時間ほどの長いバス旅で、唯一の休憩で、夜食の粥サービスを受ける。ここまで、チェンマイを出てから5時間半も時間がかかっている。普段よりもだいぶ時間がかかっている気がする。乗客はゾロゾロとバスから降りてドライブインへ吸いこまれていったが、夜食のサービスを受ける人は半分にも満たなかった。
いつもなら夜食を食べ終わった客がバスに戻ったら、すぐに出発するのに、なかなかバスは動こうとしない。ここからバンコクまではまだ300キロ近くもある。明朝のプーケット行きの飛行機は8時のものに予約を入れてあるのに、こんなにグズグズしていて間に合うのかとハラハラしてくる。ドライブインでは45分も休憩を取って出発したのは3時過ぎであった。
バンコク郊外のランシットへは6時過ぎに到着。市バスに乗り換えて7時前には空港に到着した。通勤時間帯のため、道路は渋滞がちであった。こうした通勤バスに乗るのは久しぶりである。なんとなくサラリーマンに戻ったような気がする。こんなことひとつを取ってもチェンマイとバンコクの生活環境はずいぶんと違うものである。
プーケット行きの飛行機は満席であった。乗客にはインド系やアラブ系の乗客が多い。機内サービスの簡単な朝食をもらう。窓際の席であったので、外を見ていたが、下界は雲が厚く垂れこめていて、所々雲間から海や陸地が見えた。南部へ行けば行くほど海岸線はマングローブに覆われているのか、海岸線のギリギリまで緑が迫っているのが見える。川はこれでもかと言うほどに捻れるようにくねっている。やがて、小島の浮かぶ海面が迫ったかと思ったら、プーケットに着陸した。バスで来たら十数時間かかる距離も、飛行機だと1時間少々であった。
空港からホテルまでは乗合のミニバス・サービスを利用した。一人150バーツで、宿泊先のホテルまで送ってくれるらしい。バスとは言ってもワゴン車で、座席をやたらと狭めた作りで、後ろに荷物置き場を作っている。そんなワゴンに運転手を含めて12人も乗り込むのだから、狭くて仕方がない。なだらかな丘の続く良く整備された道路を20分ほど進むと、道路脇の旅行代理店前に停車して、全員降りるように言われる。「どこのホテルに泊まるのか」と質問され、ここで目的地別に車を乗り換えるのかと思ったらそうではなかった。「予約してあるのか」と質問される。予約済みであることを告げると、私には見向きもせず、まだ宿の予約をしていない乗客にホテルの紹介をするからと、半ば強引に店内へ引っ張っていった。店内ではホテル以外にツアーの斡旋もしているらしく、この旅行代理店前で30分近くも待たされた。私はワイシャツにネクタイ姿で、ツアーに参加するとは思われなかったようで、見向きもされなかった。それでも11時にバンタイビーチホテルに到着。
お母さんの携帯へ電話をすると、ピピ島に行っていて、ホテルへは5時ごろに戻ると言う。まだ時間はたっぷりあるので、その間に持参のパソコンを使って仕事をする。ネットへの接続には近所のネットショップに行かなくてはならないが、そのネットショップはチェンマイのように安くなかった。自分のパソコンを持ち込んでのネット接続であったが、メール送信のための30分程の利用で90バーツを請求された。料金を確認すると1分あたり3バーツなのだと言う。
ネットショップを出た段階で、時刻は3時を回っていた。朝も機内サービスの小さな調理パンだけであったので、空腹を覚える。しかし、これもチェンマイと違って気軽に入れるように地元の食堂が見当たらない。町を歩き回ったわけではないので、断定はできないが、ホテル周辺にある食堂はどこも観光客目当てのレストランばかり、値段も高そうである。こうしたところで一人で食事をするほど寂しい事は無い。コンビニに入ってカップラーメンを買って、それを昼食にすることにした。
夕方から、お腹の調子が悪くなった。水便のような下痢である。カップラーメンが当たったとは思えないが、一体どうしたのだろうか?辛い。お母さんたちは6時過ぎに「もう、酷い目にあった」と言ってツアーから帰ってきた。ピピ島へ渡る船はモーターボートだったらしく、この雨季の高波でだいぶ揉まれたらしく、全員が船酔いで、観光どころではなかったそうだ。夕食前にもネットショップへ立ち寄って、メールの返信を送る。
下痢はますます酷くなり、夕食でも食欲は無く、サンドウィッチを少々食べただけに終わった。