5月29日 火曜日
5時少し前にバスの車内照明が薄暗くともり、おしぼりが配られる。バンコク郊外に近づいたようだ。いくつかの工業団地が過ぎていく。すさまじい味のホットコーヒーが配られ、続いて配られた味があるかないかわからないような薄い中国茶で口を中和させる。
5時半過ぎにドンムアン・バンコク空港前で臨時停車させ、降ろしてもらう。ここだと歩道橋を渡るだけで空港ターミナルへ入れるのでとっても便利だ。バンコクの新しい空港をバンコクの東にあるチャチュンサオに造る計画は、利権問題などで工事が遅れているそうだが、空港の利用者からすると、現在のドンムアン空港はバンコク-チェンマイ間の鉄道やハイウェイが目の前を走っているので、便利な事この上ない。それにバンコク市内へも近い。
キャセイ航空のカウンターで11:00発のフライトから08:20発のフライトへ変更してもらう。早めに香港へ着いて、香港でワンタンメンでも食べようと思う。香港から成田へのフライトも1時間早いものにしてもらう。朝早くチェックインカウンターも他に並んでいる人もいなかったためか、なかなか対応がよろしい。
タイ出国手続きを済ませ、搭乗口前でPCを開き、昨日の日記を書く。待ち時間を利用して、空港の電気も使わせてもらって日記を書くのは、実に良い待ち時間の利用方法だと自分ながら感心する。それに500バーツというタイの物価から考えると法外なほど高い空港使用料を取られているのだから、このくらいはせめて元を取らせてもらおう。
キャセイ航空は朝の便という事もあり機内食は朝食形態であった。そのため食前のアルコールなどのサービスは無かったが、特別に一本都合してもらった。出てきたのはカールスバーグであった。
香港へは着いたのは現地時刻の12時を少し回ったところであった。乗り継ぎの便は3時なので、実質2時間少々の空き時間ができた。市内へ向かうバスに乗ってワンタンメンを食べに行く。 市内までの高速道路は快調に走ったが、高速を降りたとたん信号待ちや渋滞でのろのろ運転になった。旺角あたりで時刻は1時10分を回っている。これ以上時間がかかったら、飛行機に乗り遅れてしまいそうなので、佐敦道でバスを降りる。
宝石店やレストランの並ぶ表通りから、漢方薬屋やコンビニの並ぶ路地裏に入ったところで、大椀10元と大書きした東京で言えば場末の立ち食いそばやのような店を発見。早速飛び込み、ワンタンメンを注文する。店内はほぼ満席の盛況。水やお茶が出てくるわけではない。飲み物が飲みたければ「清涼飲料水を注文しろ」といったシステムのようだ。
出てきたワンタンメンは香港麺独特の極細でやたら腰のある麺に薄味のスープ、そこへ巨大なワンタンが三つ浮かんでいた。香港のワンタンメンのワンタンは海老がたっぷり入っているのが通常だが、ここでは具の中の大半が豚肉で海老は風味を添える程度であったが、それでもなかなか美味しかった。店外を見まわすと、向かいには特大椀8元と書いた店も見える。多分このあたり一帯では、日本のハンバーガー戦争さながらにワンタンメン激安戦争が行なわれているらしい。
食べ終わって店を出るが、こうした激安戦で食べ歩くのは楽しそうだし、もう一杯くらいならワンタンメンが食べられそうだ。しかし、時刻は1時40分になっており、これ以上市内でのんびりしていると飛行機に乗り遅れそうなので、仕方なく空港行きのバスに乗る。バスの前方には日本人の若い女性3人連れが「楽しかったねぇ」などと言い合いながら座っていた。
空港に着いたのはもう飛行機の出発30分前であった。手荷物検査や出国審査に時間がかかり、ゲートまで急いだが、ゲートに着いたときはすでにファイナルコールとなっていた。洗面所で歯磨きをしたかったが時間が取れなかった。
東京行きの便は比較的すいていた。今度は食事前にビールを貰えたし、食事中もワインのサービスを受けられた。成田上空には定刻より30分近く早く到達したが、着陸許可がおりないのか、成田空港を通りすぎ霞ヶ浦周辺を旋回して、結局着陸したのは、定刻となっていた。
8時45分のスカイライナーの切符を買ったが、2000円ほどもする。最初から判っているが、バーツで計算したら700バーツであり、チェンマイからバンコクまでの寝台特急よりも高い。日本に着いてしまったかという実感が湧いてくる。