1月29日 水曜日
天気は晴れ
同じアパートに住むぬItさんは、山歩きが好きなのだそうだ。私も山を歩くのは嫌いではない。もともと目的地を定めて、そこに向かって進むということ事態が性分にあっている。今日はそのItさんとHzさんを誘って、ランプーン県とランパーン県の境にある、クンタン山の登頂に挑んでみる。まぁチェンマイ盆地を囲む山のひとつではあるのだが、標高は1373メートルとさして高くもなく、さらに900メートル近くまで車で登れてしまうのである。でも、運動不足の解消にはもってこいの高さではある。
朝7時半にビートルに3人で乗り込んでアパートを出発。通勤ラッシュの時間帯で、途中ちょっと渋滞もしたが、クンタン山の登山口には9時半に到着。簡単な入山手続きと、国立公園入場料を払う。従来、国立公園の入場料を払う際には、人数分の入場料の他に、車の乗り入れ料を請求され払ってきていたが、今日は、車の乗り入れ料こそ請求されたものの、乗り入れ料には、運転者一名分の入場料が含まれていると説明を受けた。本当に含まれているのだろうか、いままでそんな話を聞いたことも無かったし、毎度ちゃんと払ってきていたのだが、、。
インフォメーションセンターで山の情報を仕入れる。山頂まで歩けるかどうか、途中で食事を取れる場所があるか、、、。インフォメーションセンターではワラ半紙にガリ版刷りのような簡単な地図をくれた。等高線も、方位関係もまるで入っていない、きわめて適当な地図なのだが、取りあえず、車で登りきったところにある駐車場から、山頂までは約5キロであることが判明。途中に4個所の山小屋もあるらしい。
第一の山小屋 |
駐車場から約200メートル |
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第二の山小屋 |
第一の山小屋から約1100メートル |
簡単なクオッティオうどん屋あり |
第三の山小屋 |
第二の山小屋から約3000メートル |
パヤップ大学の山小屋 |
第四の山小屋 |
第三の山小屋から約1000m |
山頂(宿泊施設なし) |
ちょうど、カブスカウトでもキャンプに来ているのか、タイの小学生くらいの子供たちが沢山来ていた。10時少し前に最終の駐車場に到着し、そこから急な階段を上り始める。こんな階段が5キロも続くのでは、大変なことになるなと心配したのだが、階段は200メートルほどに過ぎず、第一の山小屋からは比較的なだらかな山道となった。山は背の高い木や竹に覆われてはいるが、比較的明るく、見通しが利く。窪地には涸れかかった沢があり、その周辺には野生のバナナが茂っている。国立公園だし、なんとなく野生動物なんかも見られそうな気がするが、動物の気配などまったく無い。出会いたくもないが蛇すら出てこない。鳥の鳴き声は盛んに聞こえるが、背の高い木々の梢近くを飛びまわっているのか、下から見上げても鳥の姿も見られなかった。山の斜面に取り付けられた登山道はよく整備されており、ところどころで見晴らしが利く。今日は晴れているのだが、少し霞みもかかっているようだ。それに森の中なので、直射日光もあたらず、暑くなく、快適な登山ができる。まぁ登山と言うよりもハイキングである。
第二の山小屋でクオッティオうどんを食べる。この先にはもう食事を提供する施設がないそうだ。時刻はまだ10時半にもなっておらず、ちょっと早すぎるが、ここで昼食としてしまう。できますものはと言うと、クオッティオうどんのみ。ご飯ものはないようだ。質素なうどんだったが、一杯が25バーツと下界と比べると割高である。ここまで一人の登山者にも出会っていないが、こんなんで商売が成り立つのであろうか、、。山小屋には犬がいて、やたらと馴れ馴れしい。その犬は、私たちが山小屋を後に歩き始めると、さっさと前を歩き始め、「さぁついて来い」と言わんばかりである。スタスタと先を進んでは、途中で立ち止まり、ゆっくり上ってくる我々を振り返ってみている。まったく、登山ガイドのつもりなのであろうか、、。まぁそのうち飽きて自分の山小屋に戻るのだろうと思ったら、どこまでも先導していく。そして、第三の山小屋に到着したとき、ここには別の白い犬の親子がいて、盛んに吠え立てていたのだが、この先住者に向かって行って、追い払ってしまった。追い払うのは犬だけでなく、我々の食べこぼしたお菓子のくずを求めて寄って来るここの鶏まで、犬は追い散らしてしまう。まるで「これは俺の客だぞ」と言った剣幕である。
山頂手前500mほどのところに、まだ目も開かない子供を生んだばかりのメス犬がいた。子犬は10匹もいるであろうか、メス犬は乳を与えていた。子供を生んだはかりだからか、メス犬はガリガリに痩せていた。菓子を投げ与えると、夢中で食べる。我々を先導してきた犬も、このメス犬には向かっていかず、おとなしくしている。案外この子犬たちの父親なのかもしれない。我々が最後の急傾斜を上って山頂を目指し始めると、このメス犬もやって来て、二匹で我々を先導する。ここの犬たちは、このシェルパ役でエサをねだっているのかも知れない。でも、結局この山頂まで、他に登山者を誰も見かけなかったし、エサにありつける確率は大いに低いと考えられる。
山頂には簡単な展望台があった。やはり靄がかかっていて下界の見晴らしはそれほど良くはない。日中は暑くて水蒸気が立ち上ってくるからだろうか、この山頂は、日陰が何もなく、登ったぞといった感動に浸ること一分ほどで、日差しの強さで、すぐに下山したくなってきてしまう。犬たちもモニュメント風の陰に隠れて喘いでいる。時刻はちょうど12時で暑いはずである。何枚か写真を撮り合って、下山を開始。下りは楽である。途中休憩を取ることもなく、駐車場までらくらくと下ってしまった。犬たちは駐車場まで見送ることもなく、それぞれの山小屋で別れてしまった。駐車場に戻ったのが午後2時で、近くにある鉄道駅へ寄ってみることにする。駅の売店で炭酸飲料などを飲みながら休憩していると、しばらくして貨物列車がチェンマイ方向から登ってきた。そうしたら、10人はいるだろうか籠にお菓子や焼き鳥などを入れた物売りの人たちが、ホームへ向かってゾロゾロと移動を始めた。貨物列車じゃお客も乗っていないし、運転士や車掌にでも売るのだろうかと眺めていたら、待つほどもなく、今度は下りのディゼルカーが三両編成で、ランパーン側のトンネルが出てきた。物売りのおばさんの半分はホームで商品を詰めた籠を掲げて売り歩き、残りの半数はそのままディーゼルカーに乗り込んだ。車内販売でもしてくるのであろうか、、。物売り以外に、この駅で乗り降りする客はなかったようだ。駅では登山者用のシャレーの受付をしていたし、売店ではキャンプ用のテントの貸し出しもしていた。しかし、こんなに利用者が少なくては、商売も成り立たないのではないだろうか、、。アパートには5時ころに帰り着いた。日帰りの山歩きとしては適当なコースのようであった。
夜、Itさんの部屋に呼ばれてお酒を飲む。市内で旅行会社をやっているタイ女性のドゥアンさんが来ていた。以前にアパートの事務所で会ったことがあるので、面識はある。今晩はチェンライワイナリーの果実酒を手土産にチェンライツアーのセールスに来ているようだ。そして、うまく週末のチェンライ一泊ツアーを売り込めたらしい。総勢7人ほどでメーサロンやチェンライを回ってくることで、話がまとまったようだ。代金は一人2500バーツだそうだから、安くはないが、参加する本人たちが合意しているのだから、脇からゴチャゴチャ言うべきではないと考え、ドゥアンさんにはコースのアドバイスだけをする。特にこの週末は中国正月(旧暦の正月)にあたり、メーサロンは中国人の村なのできっと面白いのではないかと言うことや、これだけのツアー代金なのだから、それなりのホテルに泊めた方がいいなどアドバイスをした。
朝食
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ロールパンにポテトサラダ、ほうれん草のクリームスープ。 |
昼食
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クンタン山の山小屋にて即席麺。 |
夕食
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小屋がけ食堂の豆腐と野菜の炒め物。 |
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