1月19日 日曜日    天気は晴れ 

 まったく、我ながら移動続きの毎日だと思うのだが、今日はビルマ国境のメーサイまでドライブである。私のビザ問題はほぼクリアしたのだが、お母さんのタイ在留期限が今日で切れてしまう。そこで、本日中にタイから国外退去せねばならず、ビルマ国境への往復となったわけである。

 いつものことで、アパートを出発したのは10時になってしまった。チェンライへの山道を快調に走り抜けて、昼過ぎにはチェンライ市内へ入る。本当にチェンライへの国道は走りやすくなった。峠と呼べるような箇所はもうドイサケットとメーカチャンの区間50キロほどしかない。そこも、大部分が登坂車線を設けてあり、道幅も広い。ペナン島で買ったシンガポールの学習書に掛け算が出ていたことに、驚いた私は、今からでも優泰に九九を教えなくてはと、車内で二の段の練習を口移しにさせるが、優泰はまるでやる気がなく、手ではオモチャをいじくり、すぐに何か他の話題に振ろうとする。引っ叩いてやりたいが、こっちは山道でハンドルを握っているので、手が使えない。睨み付けたくても、スピードで走っているので横を見ることも出来ない。それをイイことに、優泰はちっとも真面目にやらない。
 毎度、地方に行くとお母さんの食事場所を探すので苦労をするのである。もともと田舎の市場や道端の屋台で食事を取ることを好まない、どこか適当な場所はないだろうかとハイウェイ沿いに目を走らせた。そして見つけたのがチェンライ市内の巨大スーパーである。ここのクーポン食堂でなら不満はないだろう。お母さんや優泰の好きなデザートもある。店内は日曜日と言うこともありものすごく混雑していた。スーパーのレジはそれほどでもないが、クーポン食堂は満員の盛況であった。やはり、田舎なのだろう、買い物目的のお客ばかりではないようだ。食堂の方も、チェンマイあたりと比べるとかなり地味である。チェンマイあたりのクーポン食堂なら、タイ料理以外に日本風も西洋風も中華、韓国などバラエティーがあるのだが、ここの出店は大半が麺類の店である。

  メーサイに到着したのは2時半で、まずはイミグレーションに出頭して、お母さんと優泰のパスポートに出国スタンプを押してもらう。私はビザを取ったばかりで、再入国許可の手続きをしていないので今回はビルマへ入らず、タイ側で見送りとなる。と言っても、お母さんと優泰の二人でビルマの入国手続きをさせるのが心配なので、私はタイの出国手続きをせずに、二人に付き合って国境の橋を渡ってビルマ側のイミグレーションまで行き、ビルマの入国手続きを手伝う。正式に出入国手続きもせずに、国境上でこんなことをするのは、問題行動に当たるのだろうが、係官にも別に咎められることもなかった。ビルマ入国料として5ドルを払って、お母さんと優泰はビルマ側の国境市場の人ごみに消えていった。4時半にタイ側の国境で待ち合わせとした。

 お母さんたちがビルマ側へ行っている間、私は国境の橋の袂で、橋を渡る人たちを眺めた。日曜日なので、タイ人の観光客が多い。タイ人たちは緑色の国境通行証を持っている。外国人観光客の姿も多い。西洋人観光客のうち、少人数のグループはビルマ側へ入っていくが、団体客は国境の橋からビルマ側を眺めるだけである。中国人の団体客も橋を渡る。ビルマ側に入ったところで、国境市場の品物の大半は中国から陸路入ってきたものなので、彼らにとっては珍しいものではないのだろうが、この中国人観光客は漢方薬や乾物などを手にして戻ってきた。中国人でも台湾あたりからの観光客だったのだろうか、、。橋を眺めていて気づいたことがある。物乞いが減った。山岳民の衣装をつけて写真のモデル料をせがむ子供たちが減った。物売りが減った。商売が成り立たなくなったのか、それとも取締りが厳しくなったのであろうか、、。その代わり、橋の袂近くの電柱などに日本語の張り紙が張り出してあった。「少女売春をするな」と訴えるものであった。各国からの観光客が集まる国境で、こんな注意を受けるほど日本人と言うのは、恥ずかしい行動をしているとは、まったく情けない話である。

 4時半にはお母さんと優泰が帰ってきた。タイ入国の手続きを手伝っていると、入国係官が、「なぜ貴方はビルマに行かないのか」と聞いてくる。「マレーシアまで行って折角ビザを取ったばかりで、ここで出国して無効にしたくないからだ」と説明したら、ビザ代は幾らだった、交通費や時間ももったいない、ここで入国すれば、手続きなしで一ヶ月の滞在が出来るのにと言う。お説ごもっともながら、入国係官としては、本来無査証入国を繰り返す長期滞在者に対してはビザを取るよう指導すべきだろうに、彼は、ビザなんて面倒だからここにくれば良いとアドバイスするのだから、タイと言うのは面白い国である。

 タイ側の国境市場でお母さんと優泰の衣類を追加で仕入れ、カシューナッツと梨も買い込む。国境を出発したのが夕方の5時。チェンライでガソリンスタンドに立ち寄った以外はノンストップで250キロを走り抜け、8:40にチェンマイに帰り着いた。

   

朝食

そうめん。

昼食

チェンライの巨大スーパー、ビッグCにて緑のカレー。

夕食
トムヤム味の即席麺。

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