6月17日 日曜日

朝ご飯は昨日ロータスで買ったフランスパン。甘くないだけでも感激物である。そこから先の味については二の次と言った感じだが、まずくは無い。

9時過ぎにビートルを引っ張り出し、3人でドライブへ出かける。今日の目的地はチェンダーオ洞窟。チェンマイ周辺の人たちの発祥の地としての伝説があるそうだ。後ろのタイヤの空気圧が少し低い感じがしていたので、近所のバイク修理屋でタイヤに空気を入れてもらう。

チェンマイから北へのびるハイウェイを時速50キロほどで走っていると次々に後ろから来た車に抜かされる。時には2人乗りしたモーターバイクにさえ抜かされる。ビートルは決してスピードが出ないわけではないが、のどかな一本道をのんびり回りの森や民家を眺めながら走るのは悪くない。別に急ぐドライブではない。

メーリムを過ぎると山が近くなり、緩やかな峠道も出てくる。1時間ほど走ってどこかの茶店で休憩しようかと道端にペプシコーラの看板を出している小屋にビートルを止めて、コーラを所望すると氷が無いと言う。コーラそのものも冷蔵庫に入っている様子はない。このあたりの部落には電気が来ていないのかもしれない。優泰のスナック菓子を6バーツほど買って、先に進む。緩やかなカーブが続く山道の両側にはソムオーと呼ばれるザボンが山積みされて売られている。タケノコも売っているようだ。

ホームメードスタイルと英語の看板が道路脇に出ていたので、そこへ立ち寄ってみる。ハイウェイから少し谷側へ降りたところにその店はあり、こんな山奥には珍しく洒落た店構えで、庭も良く整備されていた。メニューは英語で書かれており、サンドウィッチなどもある。ここで最近お母さんのお気に入りのコーヒーシェークとコーラそしてコーヒーケーキを注文。洒落た店なので値段は安くは無いがお母さんは気に入った様だ。店のオーナーらしき女性も綺麗な英語を話す。

チェンダーオ洞窟は、ハイウェイから5キロほど細い道に入ったところにあった。大型の観光バスなど入れないような細い道で、まさしくタイの知られざる観光地である。駐車場らしき空地の前には野生蘭を売っている店が並び、その奥にお寺の境内が続き、洞窟の入り口にはやたら青い色をした池があり鯉が泳いでいる、良く見れば茶色の鯉以外に錦鯉風もいれば、メーホンソンで見た青い魚もいる。魚の餌を買って池に投げる。

洞窟には入場料的なものとして、ひとり10バーツの寄付をする事になっている様だ。ドネーションと書いてあったから寄付なのだろうが、払わなければいれてもらえそうに無いし、払えば領収書(入場券?)をくれる。また、入り口では仏さんに供える花も売っているのでこれも10バーツで購入する。

洞窟に入り、入り口からしばらくは蛍光灯で明かりがついており、そして仏像が安置してある広いところに出た。案内人らしき男性が寄ってきてタイ語で色々と説明をしてくれるが、残念ながらチンプンカンプン。タイ語が良くわからないというと、英語で説明が書かれた看板を指差す。書かれていたのは洞窟の説明などではなく、洞窟内のガイド料金の事であった。内部への懐中電灯の持ち込みはできない事、案内人をつけなければいけない事、案内人代は100バーツであることなど、、。せっかく来たのだから案内してもらう事にする。

案内をしてくれるのはこの男性ではなく、おばさんであった。アセチレンランプに火をつけて、洞窟内を先導してくれる。この先には明かりはまったく無く、案内人のアセチレンランプだけが頼りである。洞窟内は広いところはちょっとしたホールくらいの広さがあり、狭いところは四つん這いにならなければくぐれないほど狭い。鍾乳石の造型に「象」「獅子」「はすの花」「馬」などに見たてるあたりは日本の鍾乳洞と同じだ。広いところの天井にはコウモリたちが真っ黒にとまっており、地面にはびっしりとコウモリたちの糞が敷き詰められている。

ランプの火を頼りに洞窟に潜るなどとはまったく探検気分である。お母さんなどはサスペンスドラマに出てきそうだとか、殺人鬼が隠れてるかもしれないなどと言ってはひとりで怖がったりしている。その点で優泰はこの洞窟探検を楽しんでいる様だ。体が小さいので狭いところも楽らくである。だいぶ深くまでもぐったところに寝釈迦佛が安置されていた。300年前に安置されたそうだが、良くタイで見かける寝釈迦は肘枕で横向きだが、この寝釈迦は仰向けに寝ている。

結局洞窟内の案内は1時間ほどになったであろうか、探検気分だけは十分に味あわさせてくれたので、案内してもらった良かった。こんなところは案内人がいなければ洞窟内で道に迷って出てこられなくなるかもしれない。

車に乗って出発する前に、野生蘭を2種類買う。値段はどんな花が咲くかではなく、どれほど見つけにくいかで決まる様で、50バーツと30バーツを選ぶ。時刻はすでに1時を過ぎてしまった。おなかも空いてきたし、午前中に休憩を取った店に昼食を取りに行くことにする。

チークの森の中に伸びるハイウェイの途中で、ソムオーを三つで100バーツで買う。スーパーよりも確かに安い。しかし、市場の価格と比べるとほとんど同じような気がする。まぁ、これほど沢山売っているのだからソムオーはこのあたりの特産品なのであろう。

ホームメードスタイルのレストランについたのは2時近くなっていた。ついてしばらくすると雨が降り始めた。風が涼しい。昼食には私はローストチキンライス、お母さんは豚挽き肉のバジル炒めライス、優泰はチャーハン。味もサービスも悪くない。ローストチキンライスには鶏肉のほかに、甘い中国ソーセージの薄切りが何枚も添えられている。優泰は相変わらず食べるのが遅い。3時までに食べたらチョコレートケーキを注文してあげるといったが、3時を少し回ってしまったし、タマネギを避けて食べている様だ。そこでチョコレートケーキを注文する交換条件を出してやった。「避けて残したタマネギを半分食べたら注文してあげる」と言った条件だ。優泰はしぶしぶタマネギを口に含んだ。

家に辿り着いたのは4時過ぎになってしまった。私はちょっと疲れてしまったが、優泰とプールへ入る。アパートの友達も合流してプールで遊ぶ。

6時に夕食を買いに出る、今日のメニューは鶏肉のトムヤムスープ、野菜の甘酢炒め、豚肉と獅子唐の炒め物である。部屋に戻るともう6時半を過ぎている。しまった大河ドラマを見過ごしてしまった。食後買い置きの米焼酎をまた舐める様に2杯飲む。飲みつけるとメコンウイスキーよりもずっと上手い。

 

前日へ  翌日へ