5月16日 日曜日 天気は晴れ
ワタノーでの補講をおこなっている最中ではあったが、09:35-10:15まで学校を出てK.K.トラベルの日帰りツアーの立会いのためアマリリンカム・ホテルへ向う。日帰りトレッキングツアーで通常ならジャーニーツアー社のツアーに集約させてもらうのだが、今回はオリジナルでとのご希望をいただいていたので、車やガイドさんなどそれぞれ個別に手配をおこなった。そのため、出発前の最終打ち合わせをはじめ、私が顔を出さなくてはならなくなってしまったのである。受講生にはその間課題を出して自習をしていてもらう。
ツアーの立会いから戻り、課題のチェックをおこなうと、形容詞の否定形で間違いを多く発見した。日本後は語尾変化が複雑なので、ちょっと習っただけでは覚えきれないのだろう。かといって、たっぷりと時間をかけられるだけの余裕もない。
午後は、K.K.トラベルでのカウンター業務。何件かの航空券を予約し、何枚かのチケットを発券し、そして集金をさせてもらう。日曜日は経理も休んでいるので、お釣り銭に気を使う。特に百バーツや20バーツ札が不足しがちである。お客様にお願いして、なるべく釣り札を出さなくて済むようにしているが、お客様だってそう何枚も百バーツ札をお持ちになられているわけではない。どうしても足りないときは、メイドに千バーツ札を持たせて隣近所の商店に走らせ、両替してきてもらう。この紙幣の両替と言うのは、チェンマイではずいぶんと一般的にどこでも行われているようで、K.K.トラベルにもよくオート3輪タクシーの運転手が飛び込んできて、「両替、両替」とせがむ。K.K.トラベルの隣が農民銀行であるにもかかわらず、K.K.トラベルで両替をしようというのは、どうしてだろうか?このことに限らず、ここの人は実に良く人に頼みごとをする。「ちょっとアレ貸して」とか、「コレ教えてよ」など、ほとんど面識がなくても平気で頼んでくる。頼むといった丁重な姿勢がないこともしばしばである。お金だってすぐ無心してくる。このあたり、日本人のような恩義の世界は存在しないのかもしれない。「人を使うと高くつく」とか「タダより高いものはない」と言った感覚は多分希薄なのだろう。
そう言えば、今日もワタノーで補講をしている最中に、突然ピシッとしたスーツの中年女性の見学者が現れ、「授業料はいくらなの」と聞いてきた。特に授業料はなくコピーや教材費として20バーツだと答えたら、「ウチの娘にも日本語を教えてほしい」と言う。こちらは商売でやっているのではないし、私にももう1クラス増やすだけの時間的余裕がないので、「満員だからできませんよ」と答えたが、簡単には引き下がらず、「朝早くてもイイから、、」と食い下がってくる。今後は、「授業料は1時間200バーツですよ」と答えるのがもっとも簡単な断り方になるかもしれないと確信した。
夜、閉店準備をしていたら、ビールのラッパ飲みしながらの西洋人グループが10人ほど押しかけてきた。「明日、パイまで行くんだけど、バス代はいくらだ」と聞いてくる。パイ行きのバスは小さく、こんな時間に来られても、無理なので断ろうかと思ったが、たまたまカウンターで新聞を読んでいたワゴン車運転手のキットが、「オレ、オレ、オレに行かせてよ」と目で訴える。そうか、彼のワゴンをバス代わりにチャーターすればことは簡単に解決できる。「そこにいるのが、バスの運転手だから彼と相談してみなよ」と西洋人に言うと、彼らとキットが料金交渉をはじめた。私は中立を守って、どちらにも荷担しなかったが、アルコールの入った西洋人グループにキットはまくし立てられ、一人190バーツと言う防御線もあっという間に崩されて、貸しきり1台1500バーツと言うことになってしまった。相手は10人だから、ひとり150バーツと言うことになる。交渉が成立したところで、私が戦後処理にちょっとだけ介入し、「予約をしたのだから、予約金を運転手に払ってあげてください。そして、運転手は片道はカラで帰らなくてはならないのだから、パイについたら、帰りの客を見つけるのを手伝ってやってほしい」と主張した。酔った西洋人たちは、「OK、でも金がないから、これを置いて行くよ」と安物の腕時計をキットに手渡した。
8時過ぎ、本日最後の仕事。先日からバタバタやっていたクオッティオうどんの製麺工場の見学へ案内する。工場見学がどうしてこんな時間かというと、工場側は、「今は暑いので、日中は仕事にならないから、涼しくなる夜だけ操業する」と言うことであった。
工場はサーラピーというチェンマイ郊外にあり、二百坪くらいの工場であった。米を粉にして、水に解き、それをベルトコンベア風のところに広げながら加熱気をくぐらせると、幅60センチほどの巨大クオッティオうどんができあがると言うものであった。まぁ、工場自体は、それほど複雑な装置がメカニカルに動いているわけではなく、短調ながら、興味深かったのは、工場の環境である。タイらしいと言うか、工場内にも犬たちが勝手に入りこんでウロウロしている。猫も粉の入った麻袋の上で寝ている。工員たちも着帽、手袋など一切無しで、なんとも大らかな衛生管理である。できあがった麺は、加熱しているとは言え、ベトベトしていて、すぐに雑菌が繁殖しそうである。以前に太麺のクオッティオうどんの生麺をうどんサラダ風にして食べてみたいと思ったことがあったが、実行しなくて良かったと今ごろになって胸をなでおろした。
が、衛生管理がしっかりしていないと言っても、それは日本の基準でのことで、ここにはここなりの基準もあったようだ。一匹の犬がクオッティオうどんのベルトコンベアの横で糞をしようと中腰で踏ん張り始めた。犬の目線はは中空を漂い、そろそろ排出かと言うところで、従業員に尻を蹴飛ばされた。無防備なところを急襲された犬は悲鳴を上げて、機械の隙間にまるで猫かネズミが隠れるかのように逃げこんで悲鳴を上げつづけていた。
工場主が言うには、ここの工場にはアメリカ人も見学に来たし、フランスにもクオッティオうどんは輸出されている。日本からも見学者が来たことがあるが、まだ日本へは輸出できていない。まぁ、日本の食材輸入業者が見学したら、やはり「なるほど、タイだなぁ」とは思うだろうが、日本がこの環境で生産された生麺を輸入しようとは思わないであろう。
朝食
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暖めなおしのマツタケご飯。 |
昼食
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バジル炒めライス。 |
夕食
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韓国風黒味噌炒めご飯(チャジャンパプ)。 |
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