5月15日 水曜日 天気は晴れ、夜にスコールのような雨
バスは午前5時半頃にはバンコクのはずれナバナコン工業団地近くに入った。車内に明かりがつき、間延びしたミュージックが鳴り響く。そろそろタイ式のドロドロとやたら濃くて甘ったるいミルクコーヒーが配られる頃だが、私はまだまだ眠たいので、イスを倒したまま到着までもう一眠りする。
午前6時に新モーチットバスターミナルで吐き出される。まずは、トイレにでも行こうと、ターミナルの建物の中に入って所用を済ませる。ターミナルのベンチに座って、昨夜バスの中でもらった菓子バンを朝食代わりにかじる。帰りのバスの切符も買っておく。ふたたびどこのバスにしようかと迷ったが、やはりソンバットツアーにしてしまった。7時近くになってバンコク市内行きの市内バスに乗る。77番バスがシーロム通りまで行くそうなのでそれに乗る。
市内バスでも眠ってしまった。市内中心に近づくにつれて渋滞が激しくなり、車内も満員となって、立っている人たちはとても窮屈そうであったが、私はイスに腰掛けたまま、眠ってしまった。昨夜飲んだ薬がやたらと効くようだ。シーロムには午前8時過ぎに到着。ガイドをしている友人Fに会い、ハンバーガー屋でコーヒーを飲みながら、彼の計画している会社設立についてのアドバイスをする。
9時に、Fと一旦別れて、H部長の所へ先日作成したプレゼンを提出に行く。プレゼンはパワーポイントで作成しており、それをフロッピーに落として持ってきたのだが、心配だったのは、T部長のところのパソコンがパワーポイントを開けるかどうかであった。はじめにフロッピーを入れて開こうとしたところ「開けない」と表示されたので「やはりダメだったか」と溜め息が出たが、パソコンのエクスプローラーで検索すると、パワーポイントのアプリケーションがちゃんと入っている。どうやら関連付けが上手くできていなかっただけようで、アプリケーションから開いたら簡単に開けた。そこで関連付けをやり直した。
T部長との話しは4時間近くに及んだ。私は2時間くらいかと思ってFに昼を一緒に食べようと約束していたのだが、結局1時近くまで話しこんでしまった。T部長は本当に人間味もあり言い人なのだが、企業人としては少しその優しさがアダになって、そんな役回りが多いような気がした。私もさんざん世話になってきたし、こんなプレゼンでも役に立ってもらえるのなら、私としてはとても嬉しい。
Fは待ちきれずに屋台で食事をしてしまったと言う。私も「屋台で食べるよ」と言ったが聞き入れず、私を連れて小奇麗なシーファー(空色)と言う名のレストランへ入った。私はここで60バーツもするナマズの切り身の入ったカノムチン(ココナツカレー風味のそうめん)を食べる。シュウマイも食べた。食べるのはもっぱら私だから支払いは私がしなければいけないはずだが、Fは決して支払いをさせてくれない。
食後もシーファーに残ってビジネスのアドバイスをする。いっしょに仕事をすると言う彼の友人のTawi氏も同席する。仕事のビジネスプランは私がほぼ作ったとおりの形で彼らも満足したようだ。事務所はなるべく通りに面した1階に置きたい。日本人相手の商売だし、日本人が寄り付かない路地奥や古い建物の暗い階段を登った2階や3階などは避けたい。しかし、彼らのやるビジネスは日本人相手とは言うものの、儲かるような商売ではない。日本人旅行者に安くて上質な案内をする日帰りツアーを提供するボランティアのような仕事だから、事務所などの固定費に回せるお金はほとんど無い。私は市内中心部を諦めて、高架鉄道の終点で、サートン通りがニューロードとぶつかるタクシン橋のたもとを提案した。このあたりはまだ古い建物も多く、小さな商店が小さな商売をしながら寄り集まっているような場所である。きっと家賃相場も安いだろう。それと、私はもう1つ別の考えがあった。ここはバンコク市民にとっては高架鉄道の終点で土地柄もあまり洗練されていて人気が無いだろうが、日本人個人旅行者の多い土地だと考えた。この橋は日本人でも安心して乗れる高架鉄道の終点であるとともに、メナム河畔にあり、メナム川を航行する水上バスの乗り場でもある。この水上バスに乗って、メナムからバンコク観光する日本人も多い。日本人相手に店を開くには絶好の穴場である。
さっそく3人で高架鉄道に乗ってタクシン橋のたもとへ行く。古いバンコクの町にタイムスリップしたように、古い建物が並んでいる。中国廟の隣りに何軒もシャッターを閉ざしたままの建物がある。Fによると風水の関係で廟の隣での商売を華僑たちは嫌うそうだ。シャッターを閉めている建物のオーナーに電話をかけて家賃を聞いてみる。すると3万2千バーツだと言う。大幅な予算超過である。それに間口は4メートルほどで奥行きが10メートル少々、しかし、5階建てで、5階まで一括借り上げが条件だそうだ。彼ら2人のビジネスにはでかすぎる。呆然とたたずんでいると、観光客風の日本人が何人も通りすぎる。ここは高架鉄道駅から、日本人に人気のシャングリラホテルやオリエンタルホテルへの抜け道になっているようだ。それなのに日本人相手の店など1軒も無く、まったく惜しい立地である。
その後も高架鉄道に乗りながら汗だくになってスクムビット通りやプラトゥーナムなどを歩き回ったが、良い物件は見当たらなかった。高架鉄道駅構内の1坪にも満たないスペースの値段も聞いてみた。2万バーツと言う。伊勢丹の入った巨大なショッピングコンプレックスで簡単に夕食を済ませて、彼らと別れた。物件を見つけてもすぐに契約しないで、私に声をかけるように念を押した。しかし、食事中も彼らの口数は少なかった。日中歩き回りつかれたのと、考えていた以上に家賃が高かったのだから、、。しかし、ビジネスなんて全てがこんなもので、みんな思ってたより金がかかり、思ってたより金が入らないものだと思う。だから、最初から大きな事をせず、少しずつ勉強していかなくては、、。
バスターミナルへ向かう途中でスコールに見まわれた。そのため市内の渋滞はより激しくなり、チェンマイ行きのバスに乗り込んだのは私が最後の乗客であった。今夜のバスも満席であった。
朝食
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バスでもらった菓子パン。 |
昼食
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ナマズの切り身入りカレーソーメン(カノムチンプラドゥクウン)。 |
夕食
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ブラックキャニオンと言うコーヒーショップで五目カレー炒め載せご飯。これで70バーツ。バンコクは物価が高い。 |